スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

米国のアジア太平洋重視戦略に中国はどう対応しているのか

China Counters U.S. Tilt Toward Asia aviationweek.com July 02, 2012 2011 年末が米国の東アジアへの軸足移動が決定的になった時期だとしたら、2012年前半は中国が米国の動きをかわす様相を呈している時期といえよう。米国は控 えめな部隊展開だけで、各同盟国、中国に米国の同地域の権益の存在を実感させているのだが、中国は自国の地理条件と非対称的優位性を活用して米国の戦略に 対抗しようとしている。 米 国の戦略見直しはおよそ10年前に遡るもので、その時点で米国は中国が潜水艦、宇宙兵器、対艦ミサイル等を整備し、米兵力にA2/AD(接近拒否、領域排 除)戦略の実施で対抗しようとしていると分析していた。ただ、アジア各国にとっては2010年になって明らかになった韓国艦船撃沈後の北朝鮮支援、南シナ 海の対立する領土主張への国際仲裁の拒絶といった事例で中国の好戦的態度へ恐怖を感じることとなり、オバマ政権にアジアへの「バランス再編」をイラク、ア フガニスタンの兵力削減を受けて選択させることになったのである。 ヒ ラリー・クリントン国務長官は2011年11月号のForeign Policyに投稿し、米国はアジア重視の見直しを迫られる転換点に達し、中国を脅威とする見方は排除しつつも、米国の「同盟条約国たる日本、韓国、オー ストラリア、フィリピン、タイ国がアジア太平洋への戦略的最重視の大きな支えだ」と論点を展開している。オバマ大統領のオーストラリア訪問(2011年 11月)でも米国はダーウィンに海兵隊2,500名を2016年までに駐留させ、海軍が沿岸戦闘艦二隻ないし四隻をシンガポールを拠点とすることが発表さ れている。米国、シンガポール両政府は艦船の母港化でなく定期的な寄港が内容だとしている。 2012 年1月には米国とフィリピン両政府が軍事同盟協力関係の復活を検討していることが明らかになった。おそらくその内容には米国の偵察機材の定期的な立ち寄り と約500名の兵員もフィリピン軍施設を利用すること、共同軍事演習の回数増加が入っているのだろう。ただし、先月末の時点でペンタゴン取材陣に対しサ ミュエル・ロックリア3世提督(米太平洋軍司令官)Adm. Samuel Locklear, 3rd, commander o

航空自衛隊 F-35 まず4機調達の販売契約まとまる

US, Japan Sign For First Four F-35s aviationweek.com July 02, 2012 日本政府は合衆国政府と6月29日に正式合意し、ロッキード・マーティンF-35 戦闘機の最初の4機および装備品一式を600億円(7.6億ドル)で購入することになったと同社が発表。 今回の提案内容および合意内容は日本国内で署名され、通常離着陸型F-35 を単価102億円で合計4機購入するもので、これは日本が予算計上した99億円よりも高くなっている。 その反面シミュレータ2セットおよびその他の価格は当初の205億円から191億円に下がっており、総額は600億円で変更がない。 今 回の合意書成立はロッキード・マーティンにはF-35生産工場での生産レート維持には朗報で、米国の発注数が削減されていることから同社はフォートワース 工場(テキサス州)の経済的運営に日本からの42機発注はその他国からの発注とあわせてのどから手がでるほど必要だ。2月に昨年12月に同機選定をした日 本だが、今年2月に価格上昇あるいは納期の遅れが発生する場合は導入を取り消す可能性を米側に表明していた。その理由にペンタゴンが今後5年間で179機 の発注を先送りにする決定をしていたことをあげていた。 日本の参画がこのまま続くことになったことで同社は次に韓国の60機発注を期待する。 同機の生産に参画している主要メーカーにはノースロップ・グラマン、英国のBAEシステムズ、エンジンメーカーのプラットアンドホイットニーがある。 ロッ キードはF-35 開発を合衆国向けに共同開発パートナー8カ国、英国、オーストラリア、カナダ、イタリア、トルコ、オランダ、デンマーク、ノルウェーとすすめており、米国 の防衛装備史上最大の規模に膨れ上がっており、開発・調達あわせ3,960億ドルを今後20年間に支出する見込みだ。 コ メント  これまでも主張しているようにF-35は日本の防空圏の確保に絶対必要な機体ではありませんし、このまま行くと同機開発配備は数十年にわたり、西 側の防衛体制そのものを危険にさらす可能性もあると思います。同機を選定した防衛省の判断、政治判断はこれから大いに非難される可能性もあります。F- 22を売ってもらえなかった理由も謙虚に考える必要がありますし、まさ

ロシアはシリア向け武器供給をいつまで続けるのか

Syria Getting More Russian Air Defenses, Helos aviationweek.com June 27, 2012 ロシアから防空システム、再整備ずみヘリコプター、ジェット戦闘機等総額5億ドル近くの装備品が国際社会からの批判をものともせず今年中にシリアに引き渡される観測が出ている。 これはモスクワの軍事シンクタンクCASTののレポートでアサド大統領の国内鎮圧にロシアが武器を供給しているとの非難をさらに加熱させるもの。また防空システムは国際武力介入の際に使用される可能性があり懸念を生じる。 ロイターは同レポートを発表前に入手し、ロシアからシリアへの武器販売契約書が2005年から2007年にかけて存在していることを知った。 契約書締結は国内蜂起の発生を相当さかのぼるもので、ロシアはシリア向け債権134億ドルの7割を放棄しており、これまで債務不履行のためにシリア向け武器販売が滞っていた要因を取り除いている。 またこのレポートによるとロシアはMiG-29戦闘機12機、Mi-25攻撃ヘリ数機を今年中にシリアに引き渡すという。さらにBuk-M2EやPantsir-S1の引渡しも今年中に実施し、地上部隊の防空能力を引き上げるという。 MiG-29契約は総額6億ドルでオプション12機購入を含む。同レポートでは年内に12機引渡しを予測。同戦闘機には空対空、空対地ロケットを装備し、シリア上空に「飛行禁止地区」設定の際にも対抗できる。 プーチン大統領はロシア製兵器は内戦に使えない性質のものと説明し、ラブロフ外相は過去に締結した契約により供給された装備は防御的なものと発言。 これに対しクリントン国務長官はロシア側の発表内容でロシア製兵器が国内弾圧と無関係としていることは「明白な偽り」と発言。シリアの防空体制はほぼ全部がロシア製で、先日のトルコ空軍機撃墜以来あらためてその能力に関心が集まっている。 フランスからはシリアの危機状況を終結させるためにも飛行禁止地区設定を検討中という。昨年のリビア危機でも同じように飛行禁止区域が設けられた。 「シリアの防空体制はリビアの上を行っている。」と同レポート著者のひとりルスラン・アリエフRuslan Aliyevは指摘している。 「一方でシリア防空体制は協力だが、多数のシステムで構成されて

SM-3最新型の弾道弾迎撃実験が成功

U.S. Downs Target Missile In High-stakes Test aviationweek.com June 27, 2012 米軍のレイセオン製新型迎撃ミサイルが迎撃実験に成功。北朝鮮やイランのミサイル開発への有効な対策になりそうだ。 実験は6月26日夜半にハワイ沖合いで実施され、標的となったのは分離式中距離弾道弾だったとミサイル防衛庁が発表。模擬弾頭が実際に分離され攻撃シナリオを再現した形となった。 「ミサイル各部品は設計どおり作動し、きわめて正確に迎撃できた」と翌27日に同庁が声明文で発表。 使用されたのはレイセオンのスタンダードミサイル-3ブロックIBで、米海軍の最新のミサイル迎撃手段。 同ミサイルは2015年にルーマニア国内の陸上打ち上げ施設に展開される予定で、オバマ大統領のNATO東側地域をイランのミサイルから防衛する手段となる。 レイセオン製ミサイルの迎撃実験成功はこれでわずか6週間のうちで二回目で2011年9月の初打ち上げでの失敗をカバーした形だ。 MDAは今回の実験成功でオバマ大統領の欧州向け段階的適応型アプローチによるミサイル防衛の第二段階には重要な成果が生まれたと評価する。 今回のテストは通算28回の発射で23回目の迎撃成功となった。 ハワイ標準時の26日午後11時15分、標的ミサイルがカウアイ島の太平洋ミサイル試射場から打ち上げられた。 これに対しUSSレイク・エリーがハワイ沖合いでミサイルを発見、追跡捕捉し、搭載する第二世代イージスBMD兵器システムがSM-3ブロックIBミサイルを発射した。 ミサイルは衝突時の運動エネルギーで目標を宇宙空間上で破壊し、いわゆる衝突破壊迎撃のパターンを実現した。 SM-3は短距離から中距離弾道ミサイル迎撃に使用される。最新型ブロックIBには二色の赤外線シーカーを備え、推進力を正確に制御できる短いバーストが可能な機構がついている。これにより目標への接近が可能となる。

オスプレイ安全性に関し米側の説明は7月下旬に設定済み

U.S., Japanese defense officials to meet to discuss Osprey issues USAF website Posted 6/22/2012 by Army Sgt. 1st Class Tyrone C. Marshall Jr. American Forces Press Service 国防総省高官が7月22日に訪問する日本側代表団にMV-22およびCV-22オスプレイで最近発生した事故の背景説明をするとジョージ・リトル ペンタゴン報道官George Littleが本日発表した。 「これは国防総省が本件を真剣に捉えていることの現れであり、日本国政府からの照会への対応でもあります」 予 定では国防総省の軍民双方の高官の中にはマーク・リパート国防次官(アジア太平洋担当)Mark W. Lippert, the assistant secretary of defense for Asian and Pacific security affairsも同席するという。沖縄県知事が提起した懸念の解消もねらいだ。国防総省はMV-22のアジア太平洋地域への配備を進めている。 MV-22はターボプロップ機の速度と航続距離を持ち、ヘリコプター同様の離着陸性能があり、戦闘装備の海兵隊員24名を運ぶ。従来型ヘリの2倍の速度でより長距離飛行が可能だ。CV-22は空軍の特殊部隊輸送用機種だ。 MV-22オスプレイが4月22日にモロッコの演習場で墜落した事例がアフリカンライオン軍事演習で発生している。また、CV-22が6月13日にフロリダ州で墜落し、5名の搭乗員がけがをしている。 「今回の背景説明では6月13日の事故を中心に情報を開示すると共に原因究明の途中経過も報告します」と報道官は説明し、エグリン空軍基地の関係者も同席すると追加した。 一方で4月のMV-22事故の初期調査結果も紹介される。同報道官によると初期調査結果は機体の問題が原因ではないとのことで、オスプレイの安全運航実績と信頼性を強調している。 「累計飛行時間は14万時間になっており、このうち三分の二がこの2年間で実施されています。米空軍及び海兵隊はCV-22、MV-22の運用を世界各地で継続しており、米国内での人員輸送運用はもちろん、アフガニスタンでの戦闘

ボーイングのファントム・アイは長期間耐空性能の実証をめざしています

Boeing Looks To Return Phantom Eye To Flight This Year   aviationweek.com June 22, 2012 ボーイングは液体水素を燃料とするファントム・アイ無人実証機の飛行を今年中に再開する。同機は6月1日の初飛行後の着陸で損傷している。 事故の原因調査と損傷評価は採取段階にあり、機首降着装置の不良が原因とされる見込みで設計に問題があったとする。 事故による損傷は機体構造上で現れているが、修復は比較的容易なようだ。降着装置の強化のため部品・構造上で改善策が講じられよう。 今回の事故原因が究明されれば、今年中の飛行再開に向かう。 ファファントムアイはエドワーズ空軍基地(カリフォーニア州)で28分間の初飛行をし、高度4,000フィートに達した。今後は高度10,000フィートに達したあと、最終的に65,000フィートを目指す。同機は連続4日間の空中待機ができる設計。 実用型は10日間飛行待機をめざし、およそ2,500ポンドのペイロードを搭載した場合は7日間にこれが伸びる。翼巾は250フィートとなる。 ボーイングにとってはグローバルホーク無人機ブロック30およびブルーデビル2飛行船が空軍の予算削減の影響を受けていることが好機となる。ファントムアイの飛行時間コストはグローバルホークよりも相当低いと同社は説明している。 royalさんのコメント 将来のスタンドオフ機材として有望な可能性を示す機材だ。核巡航ミサイル使用の危険性が高まる中で運用されればロシアや中国は核先制攻撃を実施するのが事実上不可能となるだろう 。

X-37B2号機が469日の軌道上飛行を完了し帰還

Second X-37B completes classified space mission aviationweek.com  Ares, Posted by Guy Norris 12:13 PM on Jun 16, 2012 本日早朝に米空軍のX-37B軌道実験機の2号機(OTV-2)がヴァンデンバーグ空軍基地(カリフォーニア州)に着陸し、軌道上飛行469日の記録を樹立した。これは1号機OTV-1の飛行期間の二倍以上。 今 回のミッションの詳細は秘密扱いで、OTVの一回目の飛行と同じだ。同機の写真はまもなく公表されるとみられるが、空軍はボーイングX-37Bが「軌道上 実験』を完了したとだけ発表する秘密徹底ぶりで、短い声明文で同機の「帰還能力」により空軍は新技術のテストを低リスクで実施できるとしている。 X- 37Bは全長29フィートで小さい主翼つき。ヴァンデンバーグ基地への着陸は6月16日午前5時48分(太平洋標準時)で、15ヶ月に及ぶミッションが完 了した。アトラス5でケイプカナベラル空軍基地(フロリダ州)より2011年3月5日に打ち上げられた。今回のの長期間飛行により当初の設計での軌道飛行 設定270日間が改良されたことが実証された。 打ち上げ前に米空軍からは今回のミッションは「OTV-1による軌道上飛行能力の実証結果の上に、さらにテストを実施し、技術要因を微調整する」としていたが、テストの内容、軌道上で何をしたのかは秘密扱いだ。 専 門家から長期間ミッションとなって加圧タイヤなどに影響が出るのではないかと懸念が出ていた。OTV-1ではタイアの一つが着陸時にはパンクしていたよう で、より長期間飛行となるミッションではガス抜けが起こっても当然と見られていた。ボーイング、空軍双方から同機の着陸時の状況については何も言及がな い。■     打ち上げ前のOTV(米空軍提供)