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F-35Bのエグリン基地での初飛行がやっと実現

F-35B Finally Flies At Eglin Training Base By Amy Butler abutler@aviationweek.com aviationweek.com May 22 , 2012  エグリン空軍基地(フロリダ州)でのF-35Bの初飛行が5月22日に実施され、同機のパイロット養成に同基地が今後活用される意味で大きな一歩となった。 F- 35A通常離着陸型の一号機はすでにエグリン基地に2011年7月に配備されており、海兵隊向け短距離離陸垂直着陸機能を持つB型は今年1月に到着してい た。同基地には現在12機が配備されている。パイロット養成開始は本来は昨年秋に開始予定だったが、同機の完成度とくにソフトウェアに疑問がテスト実施部 隊から寄せられたことから空軍と海軍が初飛行を延期していた。 F-35Aの「習熟」飛行は3月に実施済みだ。今の目標は運用実用性評価operational utility evaluation (OUE)をF-35A六機で今年の夏に開始することだ。 OUEは空軍と海軍の飛行テスト部隊が実施し、その結果次第で空軍教導軍団が正式なパイロット養成の開始を決定する。所期訓練とOUEにはブロック1Aソフトウェアを用い、基本となる飛行制御はカバーするが兵装放出などの高度な機能はない。 正 式にパイロット養成が開始となればF-35開発の大きな一歩となる。初期作戦能力(IOC)の獲得には一定数のパイロットおよび整備陣が必要だ。各軍のう ちでは海兵隊が最初にこれを達成しそうで早ければ今後二三年のうちとなろう。F-35が第一線部隊に配備されると旧式機を退役させて保守点検費用を節約す ることができる。 現時点でF-35Aは合計47回の飛行をエグリンで実施している。機体引渡し後に飛行を実施していない間を利用して第33戦闘隊は機材を地上整備訓練に使用していた。

ブルーデヴィルII飛行船開発中止へ

USAF Lets The Air Out Of Blue Devil II Airship By Amy Butler abutler@aviationweek.com aviationweek.com May 24 , 2012 米空軍はブルーデヴィルII飛行船開発計画を中止する。 空軍から開発契約主体のMAV6に対し、性能が悪いことを理由に開発中止を通告した。当初は2月にもアフガニスタンに投入が期待されていたが、実際には初飛行も実施されていない。 尾部フィンの開発、無人運航用のソフトウェアの開発がとくに課題だった。空軍は同機の性能結果に不満を隠せず、以前からMAV6の業務規模は徐々に縮小されていた。 ブ ルーデヴィルIIは情報収集用ペイロード2,500ポンドを搭載する構想で、国防高等研究プロジェクト庁の自律型リアルタイム地上偏在地上画像監視装置 Autonomous Real-Time Ubiquitous Ground Surveillance Imaging System (Argus)がまず想定されていた。 さらにAxsysべビデオボール二基を搭載し、高解像度ビデオ撮影をする想定と、「ペナントレース」情報収集装置(リーパー搭載システムの改良型)の搭載も予定されていたと空軍筋から判明した。 ブルーデヴィルIIは制空権が確保されているアフガニスタンでの情報収集能力の向上が期待されていた。特定地点上空に一日以上滞空させることは人員面予算面でも負担少なく実現できると考えられていた。 だが現実にはブルーデヴィルIIの開発経費が大きく増加しており、86百万ドルの当初見積もりは二倍近くになっていることが判明した。 去 る3月に空軍はMAV6との契約業務内容を見直し、情報収集装置の搭載を契約から外した。空軍筋によると無人航行用のソフトウェアは開発上の理由により当 面搭載しないことにしたという。目標をまず飛行の実証に絞ることにしたのも、システムの統合が早期に実現することができないためだった。 「こ の方針変更後は主契約社は各種の技術問題解決に尽力し、その中に飛行制御ソフトウェア、尾部フィン設計変更、電装用配線などがあった」と米空軍は議会に報 告している。「飛行船の完成もその初飛行もともに契約完了期日である2012年6月末日までに現不可能であ

米海軍無人機開発の狙いはEW能力の確保だ

X-47B Advances To Anechoic Testing   aviationweek.com May 14 , 2012 無人機X-47Bは通常の航空機に比べて10倍規模の電磁エネルギーで耐久性テストを受ける。海軍は空母艦上での過酷な電子環境でも作動するかを確かめるのが目的だと言っている。 こ れに対し航空宇宙関係者が指摘するのは今回のテストが米海軍が想定する次世代無人戦闘航空機システムのミッションと密接に関係があるというもの。ミッショ ンとは電子攻撃(EW)であり、高出力マイクロウェーブ(HPM)を瞬間で集中放射し、敵の地対空ミサイルやレーダーを攻撃するものだ。また、敵のコン ピュータや指揮命令所など電子装備を重点的に使うものなら全て攻撃対象となりうる。 X-47Bは将来の無人艦載空中監視・攻撃機 (Uclass)を想定して通常のメーターあたり200ボルトでの電磁干渉(EMI)テストを受けない。同機のシステムは2,000ボルトに耐えるように設計されているのだ。 海軍はUclassで再充電可能な電子兵器を運用することを想定し、同兵器を発射した際に発生するサイドローブや急速な電子スパイクに耐えられる特性を想定している。HPMは近接距離で使用すればUclass自機の電子装備や飛行制御システムの損傷を回避できる。 今回のテストはパタクセントリバー海軍航空基地(メリーランド州)の無響施設で行われる。「今回のテストは条件の良い春に電磁性能を試そうというものです」と語るのはハイメ・エンダール大佐(UCAS-D無人戦闘航空システム実証実験責任者) 「将来のUclass機はX-47Bのサイズと同じであるべきでしょうか。同機はもともとJ-UCAS(供用無人戦闘航空システム)として開発が始まったもので、機体内部に4,500ポンドの兵装と電子戦兵器を搭載する想定でした」 米 議会は米海軍の今後の無人攻撃機開発案を精査しており、四社に契約を交付する予定だ。ジェネラル・アトミックス、ロッキード・マーティン、ノースロップ・ グラマンとボーイングの各社で、Uclassを2016年までは開発継続できるが、その時点で設計審査を厳重に行うべし、と規定している。 現状では海軍の無人攻撃機開発計画はノースロップ・グラマンX-47Bテスト用合計2機で進んで

サイバー作戦の重要性が高まる中、週末はサイバー、電子戦についてお勉強しましょう

Confusion Reigns In Cyber Planning aviationweek.com May 01 , 2012 ペ ンタゴン制服組は長年にわたりサイバー戦に関する政策方針を求めて、交戦規則、予算手当て、権限で再整理が必要だとしてきた。しかし、文民、法律専門家、 国防総省トップが決断を先送りしており実現にいたっていないが、デジタル世界での脅威は世界中で増え続けているのが現実だ。 基幹ネットワークを侵入から守る努力はこの十年間成功していない。サイバー侵入事例の大多数に「攻撃」の分類は適用されていないが、商用スパイ活動、知的所有権侵害、情報収集の被害が増大している。 反 対にサイバー手段cybertoolsを監視活動、電子攻撃、難易度の高いアルゴリズム形成に利用しようと現実的に考えるのは少数にとどまる。このグルー プはサイバー攻撃手段に予算を投入するほうが効果的で、敵ネットワークへの侵入することで攻撃への対抗手段にもなる主張する。 2013年度予算要求では軍もサイバー攻撃手段の整備に本腰になっているのがわかるが、議会が要求案をそのまま認めるかは不明。米海軍は艦船・航空機の通信、センサー類、ネットワーク網の脆弱性をあらためる方針だ。 海 軍関係者より本誌に文書で連絡が入り、高性能通信網の開発に予算を充当し、既存手段も改修することで「防護され、妨害に強いネットワークを再構築する」と の方針が出ているという。その関連で「サイバー攻撃・通信妨害への対抗手段を電子戦(EW)、サイバー作戦、ネットワーク網、共用空中運用通信ネットワー クJoint Airborne Layer Network」で実現するという。 エアシーバトル構想では海軍と空軍はサイバー作戦cyberoperationsを重視しており、とくに無線網からの攻撃として偽メッセージを送ることは1970年代から実施されているEW手段だ。 「サイバー空間と電磁スペクトラムは表裏一体であり、2013年度予算概算要求提出にあたり、EWおよび電子支援システムの構築を重視しています」(海軍作戦部長グリナート大将Adm. Jonathan Greenert.) その中にはEA-18グラウラー電子攻撃機、次世代ジャマー、ノースロップ・グラマンE-2D性能向上型ホークアイ早期警戒機および艦載試作・実証用とし

SM-3改良型が迎撃実験に成功

US Downs Test Missile With New Interceptor By Jim Wolf/Reuters aviationweek.com May 10 , 2012 . 米海軍の弾道弾迎撃ミサイルのSM-3最新型が迎撃実験に成功し、北朝鮮やイランの脅威から同盟国の防衛がより有効になる。 目標弾道ミサイルはハワイ付近で5月9日に捕捉破壊された。迎撃したのはレイセオン製のスタンダードミサイル-3で「設計通りの効果を確認した」とミサイル防衛庁(MDA)が発表。 今回テストされたのはSM-3ブロック1Bで、昨年9月の初試験で目標迎撃に失敗したためレイセオンでは生産開始が遅れたままになっている。 ヨーロッパを包むミサイル防衛の盾は地上配備、艦船配備のハードウェアと宇宙配備のセンサー類で構成する。 SM-3ブロック1Bはまずルーマニアに2015年に配備され、オバマ大統領が提唱する段階的適合的アプローチの一部としてミサイル防衛英の任務にあたる。同ミサイルは米海軍のイージス対ミサイル防衛艦艇にも搭載される。 弾道ミサイル防衛にあたるイージス艦は合計27隻で、このうち米海軍が23隻、日本の海上自衛隊が4隻を運用。イージスシステムはロッキード・マーティン製。 5月9日の演習では目標となる短距離弾道弾が太平洋ミサイル試射場(ハワイ州カウアイ島)より発射された。迎撃ミサイルはUSSレイクエリーより発射され、同艦が目標を追跡し、飛行経路情報をSM-3ミサイルに送信した。 SM-3から放出した弾頭が目標に衝突し、これを破壊した、とMDAが発表。ただ今回の演習で実戦で想定される囮目標への対応が想定されていたかについてはMDAは言及を避けた。 こ れに対し国防管理協会Arms Control Associationの主任研究員トム・コリーナTom Collinaは敵の対抗手段の想定をしない迎撃実験では実戦での有効性は確認できないと指摘している。一方、ミサイル防衛を強く提唱するリキ・エリソン Riki Ellisonは軍と関係が強く、水曜日のテストは北朝鮮から発射されたミサイルから韓国を防衛するシナリオだったと語る。米海軍の第7艦隊所属イージス 艦が日本海から韓国軍、米軍地上部隊を防衛する設定だという。 現行SM-3との比較では新型は目標シーカーの

KC-46Aの基礎設計が完成

KC-46A Design Review Complete May 09 , 2012 By Amy Butler abutler@aviationweek.com ボーイング は2013年予定の米空軍向けKC-46A空中給油機の設計審査に備え、4月に事前設計審査(PDR)を完了した。このPDRでボーイング設計案が「システム要求水準を満たし詳細設計に進む基礎ができている」ことが証明されたと空軍は発表した。 KC- 46Aは(計画のみにとどまっている)民生用767-2C貨物機仕様を原型に貨物扉や機内床の強化、尾翼、主翼、尾部などの設計変更をしている。ボーイン グは「PDRのような」社内審査を-2C型で行なってからKC-46Aの審査に入る。ただ同社関係者は詳細については明確にしていない。 ボー イングはKC-46A開発契約を昨年初めにEADS提案のA330原型案にうちかって手に入れた。その結果、2017年度末までに実戦投入型機材を18機 納入することが求められている。その予定価格は合計44億ドルが目標だが、政府見積もりでは53億になっており、このうち空軍は契約上の上限額49億ドル を支払う。上限額を超える分は空軍とボーイングで60対40の比率で負担する。さらに政府の会計検査では同機開発を継続するためボーイングは4億ドルを自 社負担する必要があるとする。  同機開発を統括するクリストファー・ボグデン少将Maj. Gen. Christopher Bogdanは「これまでのところの推移に満足」しているという。 ただし、同少将はボーイングはウィチタ工場の閉鎖を決定したため設計、製造上で計画が困難な事態に直面する可能性を以前に示していた。同工場は伝統的に空中給油機を担当してきた。この決定により専門知識はシアトルに移転することになる。 「ボー イングには同社が約束したことは全部責任をもってもらいたいです。それをウィチタ工場を閉鎖したからといってひとつでも反故にさせるつもりはありません。 同社の組織決定事項ではありますが、リスクを増やすのは問題です。ただ本官の観点からは何も変更が見えません。ボーイングには結果を出してもらいたいと思 います。」(同少将) KC-46Aの初飛行は2014年末の予定で、初期低率生産は2015年開始となる。空軍は179機を合計517億ド

F-35導入で悩ましい選択を迫られるカナダとオーストラリア

Canada Still Keen To Buy F-35s Despite Problems May 02 , 2012 Australia Delays F-35 Plane Orders To Aid Budget May 03 , 2012 カナダのF-35導入の選定過程に問題があったとの報告書が公表されたが、F-35の導入の希望を依然変更していない。 カナダは2010年7月に合計65機の導入を発表した。選定は競合機がないまま決定された。 これに対し政府支出の監視団体より導入決定のもとになっていたのは軍が提供した誤ったデータであり、費用とリスクを軽く評価していたとの指摘が先月出てきた。これに対してカナダ空軍は選定をやり直す予定はないと批判をかわした。 カ ナダはCF-18の後継機種として同機を求めている。野党からはF-35にこだわることが結果的に高価な誤りにつながるとの指摘があり、F-35のコスト 上昇、計画遅延を理由にあげている。CF-18が退役する時点でF-35がまだ配備できないとどうなるのか、という視点だ。 2008年時点では総額92億ドルと算出していたが、配備を20年間維持するためにはさらに60億ドルが必要と判明している。さらに燃料、パイロット訓練まで含めると250億ドルを超えるだろうと国防省は認めている。 一方、オーストラリアはF-35の第一期分発注(12機)を遅らせて予算の節約を図る。 オーストラリアの最初の発注分は2機で2014年から15年の想定だが、この機体は米国内でテストと訓練に使われる。その後に続く12機についての決定を迫られていた。 国防省は今回の決定で米国向け機体と同一日程の納入予定になるとし、先送りにより16から21億豪ドルの節約になるとする。 オー ストラリアはF-35国際共同開発に最初から参加して米国を助けてきたが、各国に同機の開発遅延と費用上昇により発注を削減したり、先送りしようとする動 きが出てきた。オランダは当初予定の85機を削減すると発表し、イタリアも発注機数を三割削減した。その他の共同開発国は英国、ノルウェー、トルコ、カナ ダだ。 オーストラリは164億ドルで最大100機を購入する計画だが、当初の14機以降の購入を確約していない。 オーストラリはF-35導入が遅れる間にボーイングF/A

予算ピンチでこんなところにもしわよせが:救難ヘリCSARの運用でやりくりが苦しい米空軍

USAF Reviews CSAR Helo Fleet Plan By Amy Butler Source: Aerospace Daily & Defense Report aviationweek.com April 27 , 2012 米空軍は戦闘捜索救難(CSAR)運用計画を見直し、現行のHH-60Gヘリおよび後継機種CRH(戦闘救難ヘリ)で作戦ニーズが実現できるかを検討する。 空軍の想定は148機の救難用回転翼機を配備することだが、現在の予算規模では112機の運用しかできない。そこで基本機能検討のマスタープランを今秋までに完成させ、現行の機材規模で戦略的な役割を実現できるかを検討することになった。 CRH では新型ヘリコプター選定も視野に入れるが、配備中の機材の有効利用も課題だ。HH-60Gの三機はすでに飛行時間10,000時間に達しており、8機は 9,000時間台に達している。長時間稼動機は米国内で運用されており、飛行時間が少ない機体は海外に回されている。一つの問題は米空軍は機材寿命の判断 手段を持っていないことだ。 さ らに機体構造とエイビオニクスの保守点検問題が浮上してきた。2008年以降の比較でペイブホークの点検修理工数は3割増加しており、単純に飛行運用回数 が増加している事の結果だという。それでもイラク・アフガニスタンでの作戦ペースが落ちているため、救難ヘリの運用も減っているものの、期待されるほどの 低下ではないという。 一年前に発生したHH-60Gの空中給油プローブ切断事故は構造疲労が原因だったと推定されている。原因の解析はまだ進行中だ。空軍にとって頭が痛いのはペイブホークの原型UH-60Lが米陸軍から退役をはじめていることで、予備部品の確保が困難になってくることだ。 空 軍はL型ブラックホークを原型とするHH-60Gを98機保有しており、UH-60MをCSARヘリに改装する予算も確保しており、すでに三機がシコルス キーから納入されている。ただ空軍が考えているのはM型とL型でかなりの相違があるのでM型をそのままHH-60Gに回想するのではなく、陸軍からL型を 譲渡受けることだ。まだこの交渉は開始されていない。 HH-60Gには性能改修も順次実施されている。米海軍からミサイル警報装置を借り受け、装着している。機

指向性エネルギー兵器に注目が集まる

Study Highlights Importance Of Directed-Energy Weapons aviationweek.com April 20 , 2012 米国は指向性エネルギー兵器として高密度レーザーや高出力マイクロウェーブの配備に向けた予算配分を真剣に考える必要があるとの提言が出た。その主張では単に指向性エネルギー兵器の経済性だけがその理由ではないとする。 迎 撃ミサイル発射のコストは一回9百万ドルとされ、高価であるばかりか米国の軍事装備配備を偏った内容にしかねないと主張するのはマーク・グンジンガー Mark Gunzinger(戦略・予算分析センターCenter for Strategic and Budgetary Analysis)の最新の論文内容だ。 同 論文は4月19日に公表され、その中でグンジンガーは敵が米軍に対して安価なミサイルを波状発射するシナリオを想定した。指向性エネルギー兵器(DE)が ないと、米軍司令官は敵ミサイルに毎回高価なSM-3やSM-6の発射を迫られ、コストは高くなるが敵は米軍に高負担をさせるのにわずかな出費ですんでし まう。. DE 兵器には多くの利点があるという。DEを組み込んだ巡航ミサイルやUAVなら20もの目標上空を飛行してそのすべてに発射ができる。その後UAVなら帰還 し、再充電すれば戦闘空域に戻ることが可能だ。DDG-51アーレイ・バーク級駆逐艦なら艦上で電力を供給して高密度レーザー兵器を運用できる。DE兵器 により米軍には「行動の自由を復活し、コストによる制約から解放される」とグンジンガーは主張する。 実 際にはDE兵器の前線配備には解決すべき問題があるが、技術は成熟度を高めていると同論文は指摘する。最大の障害は予算と組織内の抵抗感だという。「太平 洋地区の各基地すべてを分厚いコンクリートで防御するのは不可能」とし、高精度ミサイルから誘導ロケット、火砲、迫撃砲と多種にわたる脅威に運動性兵器で すべて対応するだけの予算はないという。 そこでDE兵器による防衛は兵站上でも有利だという。空中給油機に装備すれば戦闘空域の中まで前進することが可能となり、戦術戦闘機の有効飛行範囲がそれだけひろがる。 た だ指向性エネルギーはそれだけで完結する体系ではないと同論文は強調する。つまり、既存の運

F-22のUAE配備はイランへのメッセージ

UAE-based F-22s A Signal To Iran By Amy Butler abutler@aviationweek.com April 26 , 2012 イランとの緊張が米国・イスラエル側で高まるなか、米国は静かに切り札となるステルス戦闘機F-22をアラブ首長国連邦に展開しはじめている。 アル・ダフラ空軍基地に複数機が配備され、作戦行動をすると事情筋が明らかにした。同基地はすでにU-2やグローバルホークの拠点になっている。 「米空軍はF-22を南西アジアに配備しました。この配備で現地国との軍事関係が強化され、主権・領土の保全に役立ち、戦術航空作戦での連携能力が向上し、装備、運航上の共同作戦体制が強くなります」(空軍スポークスマン) F- 22には優れた性能としてスーパークルーズ、ステルス性、情報収集能力があることから世界で最高性能の戦闘機と考えられている。同機をこの地域に配備する ことは当然同地域の注意を喚起することになる。このタイミングでペルシャ湾に同機を投入することは米国がイランの核兵器開発の野望に反対しているとの意思 表示となる。 同じようにF-22がグアムおよび日本に展開した際にも同地域では同機に注目が集まった経緯がある。 実 際にはF-22は中東に過去にも展開したことはあるものの、2005年に作戦能力獲得が公式に認められてから戦闘任務には投入されていない。リビア作戦な どに投入されていないのは同機の高コストが原因とみられる。裏返せば、同機の高性能が絶対に必要とならない限りは戦闘空域には投入されない。一方、同機搭 載の酸素発生装置では問題が発生している。 なお、ロッキード・マーティンはF-22最終号機の引渡し式を来週開催し、マリエッタ工場(ジョージア州)の生産ラインは空軍の調達の歴史上で過去の存在となる。

米軍ISR機材は厳しい現実にさらされています

U.S. Navy And Air Force ISR Plans Jeopardized avitionweek.com April 20 , 2012 一年前とは対照的に、情報収集・監視・偵察(ISR)用機材は過酷な向かい風にさらされている。機体の老朽化、データリンクの過負荷、サイバー脆弱性の出現、に加え予算削減だ。 「ISR は本当に危機的状況になりつつあります。新規購入の予算がつきません。現有の経年機でさえ飛行継続の予算が不足しています。」(この分野に詳しい空軍関係 者) ISR,電子戦、サイバー作戦は技術的には表裏一体であり、運用面でも密接に関係している。かつては国防予算交渉ではそれぞれ優遇されていたもの が、2013年度予算要求では最後の段階で削減対象となり、さらに年末までに軌道に乗っている計画でも更なる削減を免れない可能性がある。 「大 型有人機のE-3B AWACS、E-8Cジョイントスターズ他の機種が老朽化していますが、現行機を維持することさえままならない現状です。エンジン、エイビオニクスの予備 がなくなってきました。RC-135フリート(リベットジョイント、コブラボール、コンバットセント)は健在ですがその他の機種は大変です。短期的な解決 方法は危機的な予算環境の中では見つかりませんし、そのほかの選択肢も購入資金もありません。関係者一同打開策を模索していますが、運用方法を変更せざる を得ない状況です」(上記空軍関係者). その解決策となるのは小型無人機のファミリーを開発し、ペイロードを変更することで柔軟に対応することかもしれない。次世代の敵勢力が一層進んだ防空能力を展開する可能性を考慮すると、一定の機体喪失は覚悟しておく必要があろう。 「こ こでの考え方は一機失っても即座に代替機をつかって必要なデータをてに入れるのです。そのため空軍はISRおよび電子戦用に高性能センサー開発を急いでい ます。単独飛行ではなく群れをなして飛行させる構想です。想定されるのはステルス戦闘用UAVとステルス性がないトラックのような機体で、大量に製造し生 存可能性を期待するというものです。各機はロボットであり、コンピューターと使いプログラムして、仕事をさせます。未完成の滑走路に着陸剃る必要もあるで しょう。機体が小さければこれも難しくはないはずです」

ステルス技術に対抗するロシアの防空装備充実に注意が必要

Fighters, Missiles For Countering Stealth aviationweek.com Mar 23, 2012 2010年代以降をにらんだロシアの技術戦略思想を体現した新型航空機、防空兵器の試作型ないし初期生産製品が出現してきた。 各 く国が兵器体系の開発戦略を実際の状況に応じて打ち出している中、ロシアの国防計画は系統だっており一貫した姿勢が見られる点で一線を画している。米国の 軍事力に対称的に対抗する一方、米国のもつ弱点には非対称的に対応する意図が見られる。ロシアの戦略上の狙いはロシアの政治的主導力を米国が支配的な立場 にとる世界の中で実現することであり、武器輸出で得る収入で国防力整備の制約条件を和らげることにある。 ロシアの選択はF-35共用打撃戦闘機中心とする西側の構想に呼応した戦術防空体制を構築することにある。JSFの配備遅延によりロシアには対応準備で20年以上の時間的余裕が手に入った。 航空機ではロシアの防空計画は機数ではなく性能を重視し、将来の主力は30トン超の戦闘攻撃機をスホイ製とする。Su-27フランカーから2つの型式が進化する。より小型のMiG-25/35は輸出専用とする。 こ のうちSu-34打撃戦闘機兼中型爆撃機が一番完成度が高い。生産型のSu-34の最初の6機がリペツクの戦術開発部隊に納入されており、今後10機が追 加される。その他92機の発注が3月に発表されており、2020年までに納入される。同機の開発は1980年代末から始まっており、今後Su-24フェン サーの後継機種として、陸上・洋上攻撃任務、航空制圧・敵防空網打撃他のミッションに従事する。 Su- 35S航空優勢戦闘機の飛行テストが1月に始まっている。同機はフランカーを大幅に改良した機体であり、推力ベクトル制御をヨー、ピッチ、ロールで行い、 完全な飛行制御を行う。これによりSu-30MKIで採用されたカナード翼が不要となったことで、従来の速度制限マッハ1.8がなくなり、重量を軽減した 結果燃料をそれだけ多く搭載する。戦闘機としては異例の操縦性を実現し、飛行制御・推力制御を統合したことが大きな特徴だ。. 搭 載する117Sエンジンは従来より16%出力増であるが、素材の変更と設計変更で重量は従来型にほぼ同じ水準だ。レーダ断面積(RCS)は減