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パキスタンがビン・ラディン作戦で損失したヘリを返還

Pakistan Returns Helo From Bin Laden Raid aviationweek. com /Reuters May 27, 2011 パキスタンはビン・ラディン襲撃作戦で破損したステルスヘリの残骸を米国に返還しているとペンタゴン関係者がロイターに明らかにした。 襲 撃作戦で米海軍SEALチームは強行着陸の際にブラックホーク・ヘリ一機を損失している。米国はステルス関連の機密部品等が敵の手に渡らないことを注意してきた。しか し、同機の一部は現地に取り残され、米国はパキスタンに返還を求めていたもの。「機体は先週末に返還され、現在米国内に戻っている」とペンタゴン報道官のデイ ブ・レイパン大佐は語る。 同 襲撃作戦で米・パ関係は大きく傷つき、米国はビンラディン潜伏の陰にはパキスタンの支援があったのではと疑う向きもある。逆にパキスタン側は襲撃作戦は同国 主権の侵害と非難し、議会では米軍によるアフガニスタン作戦の補給路を遮断すべきとの意見もある。 ジョン・ケリー上院議員は5月16日にイスラマバード訪問に赴き、パキスタンによる機体返還が両国間の信頼醸成に必要との認識を示した。 しかし機体返還だけでは両国間関係修復には不足だというのがオバマ政権にパキスタン・アフガニスタン政策で顧問を務めた元CIAのブルース・リーデルだ。「あまりに遅すぎるし、両国間関係の悪化を改善するには小さすぎる」 また、これも元CIAで現在はRANDコーポレーションのアルトロ・ムニョスはパキスタンが返還していなかったら「悪意の証明」と受け止められかねかったという。 もっともビン・ラディン強襲作戦以前にも両国関係は冷め切っていたのはパキスタンがCIA関係者を国内で逮捕し、米国がパキスタン西部で無人機による攻撃を実施していたためだ。 米議会内でもビン・ラディン潜伏先で押収した情報を公開しパキスタン共謀の可能性を明らかにすべきとの声もある。 ロバート・ゲイツ国防長官は二国間で「信頼の欠如」が存在するのを認めたが、同時にパキスタンを見放す事はできないとの見方だ。

情報収集に活用するブルーデビル2飛行船

USAF Surveillance Air USAF S USAF Surveillance Airship On Track For 2012 aviationweek.com May 16, 2011 米空軍のブルーデビル2Blue Devil 2常時監視飛行船の運用配備は2012年2月開始の見込みで契約仕様の期日よりも18ヶ月も前倒しになると関係者が明らかにした。 ブルーデビル2はオプションで有人飛行も可能な多用途情報作戦用の機材で原型はTCOMのポーラー100TCOM Polar 100飛行船でMAV6(http://www.mav6.com/本社ヴァージニア州アレクサンドリア)という少企業により製品化されている。 同飛行船には広域および局地高精度電子光学赤外線ビデオセンサーと信号情報収集装置を搭載して5日間の上空飛行が可能で、情報収集、目的捕捉、地理位置情報を入手できる。 開 発初期契約は2010年10月に発効しており、7月に船体が完成、初飛行は9月の予定。MAV6の契約総額は82.6百万ドルで3月に継続契約が交付され た。ブルーデビル2には空軍の他陸軍とペンタゴンの統合簡易爆発物対策組織Joint Improvised Explosive Device Defeat Organizationが共同参加している。前作のブルーデビル1試作機は12月に配備済みで、ホーカービーチクラフトのキングエア90を原型に広域カ メラと信号収集装置により個人別に追跡が可能な能力をフルモーションビデオと携帯電話の使用状況から得ている。SAICが同機の主契約社である。 ブルーデビル2は全長23フィート、全幅10フィート、全高7フィートでペイロードベイを機体下にもち、有人飛行の際はコックピットに無人飛行の制御卓と同じ装置を用いる。 Image: USAF urveillance Airship On Track For 2012 aviationweek.com May 16, 2011 米空軍のブルーデビル2Blue Devil 2常時監視飛行船の運用配備は2012年2月開始の見込みで契約仕様の期日よりも

JSFで代替策を求める米上院

Senators Ask For JSF Alternatives aviationweek.com May 20, 2011 上院軍事委員会にJSF統合打撃戦闘機の代替選択肢が必要との見方が出ている。 1. ジョン・マケイン上院議員(共和・アリゾナ州)は5月19日公聴会で「代替策の検討がをはじめるべきではないか」と発言している。席上ではJSF開発および装備の負担は限界を超えているとの試算が示された。 2. しかしペンタゴンを代表したアシュトン・カーター次官補は次世代ステルス戦闘機で他に候補機はなく、このまま計画を進めるとインフレ率と生涯コスト補正を加えると一兆ドル規模になるという。これならF-22を残した方が安価になる。 3. ただし上院軍事委員会のメンバー全員がマケイン議員の主張する方向性に賛同しているわけではない。 4. ジョン・コーニン議員(共和・テキサス州)は地元にフォートワース工場があることもあり、JSFはなんとしても実現するべきと主張する。その他にはマーク・ベグリッチ議員(民主・アラスカ州)がペンタゴンに予算規模で厳しい質問をしている。これに対しアシュトン・カーター国防次官補は全体規模の2割から5割の抑制を検討していると回答。 5. ただし、ペンタゴンの予算執行評価局長クリスティン・フォックスはその目標に疑問を呈し、ソフトウェアで開発コストを下げるにしても、運用維持(O&S)コストの削減は別の問題だとする。たとえば燃料費の削減は困難だという。 6. 一方、ロッキード・マーティンのF-35計画総合責任者のトム・バーベッジはJSFの維持コストを既存機種と比較するのは正しくないという。JSFのO&Sは2065年まで継続し、ここまで維持運用された機種は他にないというのが主張だ。 7. にもかかわらずカール・レヴィン委員長(民主・マサチューセッツ州)はカーター次官補に対し一週間以内にJSFが予定通りの目標達成に失敗した場合の代替案を同委員会に回答するように求めた。 コメント: いよいよF-35の失敗が隠せなくなってきたということでしょうか。自衛隊F-X候補からF-35が脱落するのは当然としても、西側の防衛体制にとって

ステルスヘリの製造場所

Indications Of Hawk Works In Stealth Helo aviatonweek.com May 13, 2011 5月1日のビンラディン強襲に使用されたステルス型のH-60ブラックホークはシコルスキーのホーク事業所Hawk Works(ニューヨーク州エルマイラ)で改修を受けたものと考えられる。 その証に同事業所の所在を明らかにしない目的かグーグルアースでエルマイラコーニング空港の画像がぼやかされている。元の画像データは政府がグーグルアースに提供したものだ。 シコルスキーはエルマイラでこれまでもCIA他政府機関、海外政府向けの低騒音機を製造している。これは2004年にシュワイザー航空機を取得したことによるもので、同航空機は超低騒音の偵察用機体をこれまで製造してきた経験がある。 シュ ワイザー航空の買収はポール・マーティン(当時シコルスキー上席副社長(高性能機開発担当)が中心となっておこなったものだ。マーティンは2000年にシ コルスキーに来る前はロッキード・マーティンでスカンクワークスの筆頭副社長を務めていた。マーティンは2007年にシコルスキーを去り、現在はカリフォ ルニアでコンサルタント会社の社長だ。同社でのマーティンの経歴にはシコルスキーで「軍用機生産および高性能機開発全般に従事」とあり、「極秘プログラム も含む」としている。マーティンはコメントを拒否している。 ス テルス改修型のブラックホークは米陸軍特殊部隊用のMH-60近代化改修プログラムの一部で現有のMH-60K/L型73機と交代する計画でM型の引渡し が始まっている。その一号機はケンタッキー州フォートキャンベルの第160特殊作戦航空連隊(空挺)に2011年2月に納入された。 予 算規模10.7億ドル総額で2016年までの同プログラムでUH-60Mをベースにしたヘリを調達するが、エンジンは強化型ジェネラルエレクトリック YT706を搭載し、通信装置、状況監視、生存装備を追加している。その中にはレイセオン製サイレントナイト・レーダーがあり、地形追跡・回避能力を探知 される可能性を最低限にして提供する能力がある。. シコルスキーはビンラディン作戦で使用されたヘリコプターについては

ノースロップのファイヤーバードは有人飛行も可能な新型UAS

Exclusive: Northrop Unveils Firebird MALE Aircraft aviationweek.com May 6, 2011 ノースロップ・グラマン は今月遅くにも 極秘開発してきた ファイヤーバード を 公表の準備をしている。 ペンタゴンが 開催するエンパイヤチャレンジをその機会にする。これはすばやく実用化が可能な情報収集監視偵察技術を実証することが目的の演習。 中高度長距離(MALE) 性能の無人機市場でプレデター、リーパー、グレイイーグルをもつ ジェネラルアトミックス はノースロップ・グラマンにとって目障りな存在だった。 そ こでファイヤーバードはオプションで有人操縦も可能な機体(OPV)であり、秘密のうちに同社が12ヶ月で製作したもの。初飛行を2010年2月に完了し ており、昨年10月にペンタゴン関係者が内覧している。プレデター・リーパー連合を上回る受注機数は期待できないものの、同社はOPVはすきま市場と見て いるのは無人機を一般の空路で飛行させる規則をめぐりペンタゴンとFAAが意見の一致をまだみていないためだ。 尾翼設計はOV-10ブロンコの流用で、ペイロード四種類を同時に搭載でき、無人モードで最長40時間の飛行が可能。飛行速度は最高200ノット。 イー グルチャレンジ演習は5月23日から6月3日までで、同社は同機の搭載組み合わせ例に高解像度フルモーションビデオ、電気光学・赤外線センサー、電子式方 向探査・通信リレーを同時に搭載できる展示をする。同社によるとファイヤーバードは着陸からセンサー類の取替えをして離陸までを一時間で完了できるとい う。イーグルチャレンジはアリゾナ州フォート・フアチュカで実施される。 なお、同機の詳細な解説はAviation Week & Space Technology5月9日号の特集記事を参照されたい。

ファントムレイ初飛行か

Ph Phantom Ray Under Way In First Flight aviationweek.com May 3, 2011 秘密のベールに隠された ボーイング のX-45Cファントムレイ無人実証機だが、4月27日にエドワーズ空軍基地で初飛行を実施した模様。 ボーイングは初飛行の実施の事実のみ認め、その他は保安体制解除まで発表できないとしている。ファントムレイは米海軍のUclass無人ステルス艦載攻撃機開発の第一歩と言われる。 X-45Cはファントムレイ実証計画の試作機であり、その他に ジェネラルアトミックス のアヴェンジャー(プレデターC)がある。 ノースロップ・グラマン のX-47Bも2月4日に29分間の初飛行を同じくエドワーズ基地で実施している。 ロッキード・マーティン もポールキャットおよびRQ-170センティネルにより競作に参加する見込みだ。 RQ-170はフルモーションビデオ撮影能力があり、昨年からアフガニスタンに投入されており、オサマ・ビン・ラディン殺害作戦にも参加したと考えられている。 「今回の成功のもとは2009年のザルカウィ抹殺にむすびついた空中ISRによる情報収集能力の優位性そのものです。遠隔操縦による航空機の存在が今回の作戦に役立った知識ベースの形成につながっています」(元情報機関関係者) ファ ントムレイについては情報が統制されており、初期テストデータの解析が完了する5月4日以後に解禁される見込み。ファントムレイはボーイングのファントム ワークス製X-45Cの発展形であり、ロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機と同様の兵装を搭載出来る設計になっている。 同機はボーイングのセントルイス工場からエドワーズに12月4日にNASAスペースシャトル運搬機により搬送された。その後はドライデンフライト研究センター内に移動していた。 antom Ray Under Way In First Flight aviationweek.com May 3, 2011 秘密のベールに隠された ボーイング のX-45Cファントムレイ無人実証機だが、4月27日にエドワーズ空軍基地で初飛行を実施した模様。 ボーイングは初飛行の実施の事実のみ認め、その他は保安体制解除まで発表できないとしている。フ

ビン・ラディン襲撃にステルスヘリが投入されていた

Bin Laden Raid May Have Exposed Stealth Helo aviationweek.com May 3, 2011 オサマ・ビン・ラディン殺害に成功した米特殊部隊が極秘ステルスヘリコプターを使用していた可能性が浮上している。 実 際の機種は不明だが、おそらくH-60ブラックホークの改造型だろう。写真および報道記者によると同機にはステルス性を考慮したテールローターとハブフェ アリングがあった他、ローターは5枚ないし6枚でカバーが付いていたという。また外部塗装は赤外線反射を抑えるもので、V-22と類似している。写真は AviationWeek.com/aresで見られる。 同機はミッション途中で損傷を受け放棄された。ミッションチームが機体大部分を破壊したが、 同機のテール部分は目標地点の壁の外に着地し破壊されなかった。 ステルスヘリの技術は以前からあり、ボーイング/シコルスキーRAH-66コマンチに広く使われていたが、同機は2004年に開発中止になっている。固定翼機の場合と異なるのは騒音と赤外線特徴対策に重点が置かれている点。 このうち騒音を下げるため、メインローター、テイルローターそれぞれ枚数を増やすことが有効だ。空力特性の改善と飛行制御の効率性向上でローター回転数を下げる他、赤外線探知を下げる事が必要だ。コマンチでは排気ダクトと空気取り入れ口で工夫されていた。 レーダー断面積RCSの削減には機体側面を滑らかにし、かつ傾斜をつける、降着装置を引き込み式にする、ローターハブにフェアリングを付けるのが有効だ。固定翼機と同じステルス性はヘリでは実現不可能だが、ヘリは通常は低高度飛行し、地表面の乱反射を利用できる。

電子戦で米国は一層の努力が必要, F-35は重要なEW機材

Pentagon Taps EW For Second Wind aviationweek.com Apr 27, 2011 米国は電子戦に遅れを取っている。しかも20年前から。 これがオバマ政権が国防予算の削減を求める中で電子戦(EW)にその他ごくわずかの分野とともに予算増加を認める根拠だとフランク・ケンドール国防次官補(国防装備調達・技術担当)は説明する。 「EWへの支出を増強する必要があります。今後はEWを重視します」とし、国防予算からの資金捻出を図る動きだ。 米 空軍はEF-111EW兼戦術ジャミング機を1998年に退役させており、これがEW実戦力の退潮のはじめだったとされる。その後わずか数ヶ月でイラク北 部上空を飛行中のU-2はイラク防空網の脅威に直面している。同国の防空網の改善は海軍が指摘していたが、空軍にそれが伝わらなかったのは空軍のEW部門 が分散してしまいEWの効能を説得できる高位の将官がいなかったためと言われる。 EF-111退役とEW任務の海軍移管は表裏一体だが、ケンドール次官補はそれだけが理由ではないという。 「これまで我が国はEWでこれまでよりも実戦力があると信じてきましたが、能力面でも優位性でも衰退しています。これを脱するためにも現実の直視が必要です」 「80 年代90年代からEW部門が国防総省にあり、開発中の技術は豊富にありましたが、戦闘の様相が変化を示す中、われわれも進歩を続ける必要があるのですが、 唯我独尊になっていました。その理由の一つに国防力の統合再編成があったのかもしれません。今やEWを再活性化するべき時期です。」 指向性エネルギー兵器として高密度レーザーや高出力マイクロ波があるが近い将来に実戦レベルになるとは見られていない。 「指 向性エネルギーはいつも5年先の技術です。80年代には私は陸軍でミサイル防衛に携わっておりましたが、当時すでに指向性エネルギーは話題になっており、 数年先に実用化となると見ていました。たしかに研究は大きく進歩しましたが、実用的な兵器にするためには研究課題が残っています。EWの再活性化案は情報 監視偵察(ISR)、指向性エネルギー、サイバー作戦、電磁戦場管理EMBMが交差するところで出て

中国の軍事力整備で戦略バランスはどう変わるのか

Chinese Buildup Upsets Strategic Balance aviationweek.com Apr 29, 2011 対艦弾道ミサイル開発に成功し、海軍力を増強している中国を改めて軍事大国とみなすべきであるとの点で軍事アナリストと米海軍は一致している。 1. 中国の意向は軍事バランスそのものに影響を与えるのは必至で、米国のアジア太平洋における長期的軍事・地政学的政策は見直しを迫られるだろう。 2. ただし中国の軍拡の加熱に対する意見は分かれている。ひとつだけ確かなのは次回台湾海峡で危機状況が発生した場合、米国は直ちに1996年のように空母戦闘群を派遣する可能性は少ないということだ。 3. ただし中国に本当に米海軍空母戦闘群を駆逐する能力あるいは意図があるのかと問われると自信をもって回答できるものは皆無だ。また軍事力増強で中国が何をめざしているのかも測りかねているのが現状だ。中国がアジアのリーダーとして旧ソ連圏のように各地に影響力を行使のではと見る向きがある。あるいは軍事力は中国の領土保全、通商交通路確保また領土主張の裏付けとして使われるのではないかと見る向きもある。 4. たしかに中国は自国領土を守り、政治的対立を回避する決意があるようだ。その鍵は対艦弾道ミサイル(ASBM)通称空母キラーのDF-21Dの開発だ。 5. 数カ月前に同ミサイルは米国流では初期作戦能力獲得の段階に達している。ペンタゴンはこれに対して同ミサイルはまだ実戦想定の試験を実施しておらずとしこの状況を直視していないが、アナリストの中にも同ミサイルの実際の性能を測りかねるのが現状だ。 6. 「ASBMの実際の性能はJ-20と同じく中国の情報収集・監視・偵察能力の実力、ネットワーク能力がわからないと判断は不可能です。兵器体系は目標情報を入力できなければ役に立ちません」(国防コンサルタント) 7. 「最終突入段階の誘導システムで疑問があります。空母が移動目標であることも一因で、予め範囲を想定して発射しても最終誘導が必要です。そのため誘導システムの精度が重要なのです」(海軍力・海洋安全保障専門のアナリスト) 8. ペンタゴンは最新報告の中で中国の軍事力に

F-X選定 震災被害が追い風になる可能性

F-X Bidders Could Gain From Tsunami Damage aviationweek.com Apr 29, 2011 F-Xの調達数を拡大案が検討されている。 三菱重工業 製F-2B練習機18機が3月11日の東日本大震災で被害を受けておりその修復は困難との見方が広がっているためだ。 1. 防衛省はこのうち三機が修復完了出来れば運がよい方だと見ており、これがF-X選定を急ぐ理由にもなっている。18機の修復費用は136億円相当と見積もられる。 2. 震災前に運用していたF-2Bは合計33機でこのうち18機が海水につかってしまい残存運用機数は15機となる。 3. そこで日本の選択は以下の四点だ。①運用機数の減少をそのまま甘んじる ②F-2Bの追加生産を行う ③米国より ボーイング F-15D在庫機を取得する ④F-X取得機数を増やす 4. このうち最初の二つは可能性が少ない。 5. 損傷を受けたのは全部が複座機なので、訓練部隊に大きな打撃で機数の回復は高い優先事項となる。 6. 三菱重工業は今年内の最終納入をもってF-2生産ラインを閉鎖する予定だが、部品メーカーはすでに生産を中止している。 7. そこで追加発注をすると非常に高額な発注となる。ましてや同機は1990年代の機体でありそこにあえて大金をつぎこむのか、という議論になろう。 8. 防衛省も部品生産を再スタートするコストを考慮して、むしろ予備部品を活用して損傷機の修理をする可能性がある。 9. 防衛省はF-15DJを運用しており、F-15Dと類似したこの練習機でF-15Jへの機種変更訓練を実施しているのだが、F-15Dを取得するとしても在庫機数、機体寿命以外に-2Bの代替機としての適性が問題になる。F-2BはF-2A以外にF-4EJパイロットの訓練に使用されている。 10. では第四番目の選択はどうか。防衛省は各入札社にF-2B交代分の調達数上乗せの可能性について説明していないといわれるが、損傷機のうち何機が回復可能かがわかっていたら調達数増加は当然ありえるはずだ。 11. 塩水に浸かった戦闘機の回復は実現性なしと言われるが、90

F-X選定 政治的なリスクも

Three Contenders Remain For Japan F-X aviationweek.com Apr 28, 2011 今年中にF-2最終機が 三菱重工業 から引き渡されると戦後日本の戦闘機生産は45年で一旦終了となり、戦闘機の生産技術が継承の機会を失う。 ■ このことはF-X選定に携わる関係者には重い事実で、選定が早ければそれだけ早く戦闘機生産の産業基盤が再活性化されるのだ。 ■  防衛省によると BAEシステムズ は 住友商事 とともにユーロファイター・タイフーンを、 ロッキード・マーティン はF-35、 ボーイング はF/A-18E/Fでそれぞれ応じてきたという。 ■ 同省によると昨年の時点でロッキード・マーティンF-22、ボーイングF-15、 ダッソー ・ラファールも候補にあがっていたが、F-22輸出の可能性がなくなり、F-15については防衛省が完全な新型機を採択する方向になったため選にもれたとのことで、ダッソーからはコメントは出ていない。 ■ 平成24年度予算にF-X調達を盛り込むタイミングで今回の公募となり、来年度予算の都合上、提案各社は9月までに応募をする必要がある。その後、選考過程を経て12月末までに内閣に選考結果を提言する運びだ。したがって選定には三ヶ月しか時間がない。 ■  防衛大綱でF-Xは40機ないし50機調達するとしており、最初の12機の納入を平成28年度末までに実現するとしている。機体開発の成熟度で見ればF- 35はF/A-18E/Fおよびユーロファイター・タイフーンに遅れをとっているので、後者ニ機種は選定過程の締切りに間に合う。ただロッキード・マーティンも平成28年度内の納入は可能と見ている。 ■ 早期納入は重要な要素となる。F-XはF-4の後継機種と言う位置づけでF-4の機齢は30年を越えている。F-4の退役は飛行時間累計に左右されるが、 10年以内に避けて通れない予測だ。そうなると三菱重工業はF-X国内生産を急速に立ち上げる必要がある。業界には早期納入の日程および防衛省が費用面で厳しい要求をしていることからF-Xの初期ロットは輸入に頼らざるをえないのではとの見方がある。 ■ 日本は防衛装備の国内生産を求めており、一部部品・システムも国内開発が望ましいとしてきた。しかし、

中国初の艦載戦闘機の開発が進んでいます

New Chinese Ship-Based Fighter Progresses aviationweek.com Apr 27, 2011 中国から瀋陽J-15フライングシャークの写真が流出しており、同機は中国初の空母に搭載するため開発されている。 ■J-15はJ-11Bを原型とする。J-11BはスホイSu-27フランカーからライセンスを得ずに中国が改良した機体だ。J-15自体はロシア製艦載型のSu-33と酷似しており、主翼折りたたみ式、拘束フックを備え降着装置は強化されている。J-15はスキージャンプ式離陸の設計であり、Su-33とこの点でも共通だ。相違点はフラップの設計と中国製高性能エイビオニクスの搭載。 ■同機が正式なライセンスを取っていないことでロシアとの摩擦が生じている。 ■ J-15にはカナード翼がついているがSu-33も同様なことから飛行制御システムは類似していると見られる。さらに、J-15のモックアップ機体がダミーの対艦ミサイルを搭載しているのが目撃されており、同機が攻撃任務を想定しているのがわかる。Su-33はこれに対して空中戦闘任務で設計されている。 ■ 同機が大型であることから中国の海洋戦略が沿岸防衛から兵力の海外展開に切り替わる際の基礎となることがわかる。同機はまずロシア製空母旧名称ワリヤグに搭載されると見られる。同機の写真は瀋陽航空工業の第112工場で撮影されている。 ■ 同機には外部ミサイルレールおよび広角ホログラフィによるヘッドアップディスプレーの搭載が判明している。 ■このことから同機の性能について評価が分かれている。ロシアのリア・ノボスティ通信は同機はSu-33より性能が劣ると伝えるが、中国側関係者によるとSu-33のエイビオニクスは旧式だと見ており、中国製のセンサー類、表示装置、兵装を採用したという。同機のエイビオニクスには高性能対艦探知レーダーがJ-11Bから流用されている。 ■ 同機の第一線配備は2016年より以前になると見られる。 ■中国国内の情報筋によると同機初飛行は2009年8月31日に決行されており、ロシア製AL-31エンジンを搭載していたという。ウクライナが中国向けのSu-33フランカーDを供給しており、この点を米国アナリストも認めている。

米陸軍のJMR新型ヘリコプター開発は思惑通り進展するか

U.S. Army Moves On Next-Gen Helo aviationweek.com Apr 15, 2011 米陸軍は次世代回転翼機開発に向かいつつあるが、業界では「通常通り」の技術実証を重視する姿勢では何よりも必要とされる技術革新に結びつかないのではと懸念が強い。 1.陸軍が準備を進めているのは来月中に共用多目的回転翼機(JMR)の技術実証にむけた契約締結だ。もともと共用多目的という用語はこの10年間に見え隠れしてきたもので、現行の攻撃ヘリ、多用途ヘリの後継機を各軍共用で運用する考え方だ。これが今では米軍各部隊が運用するヘリの四種類をカバーする概念として拡大解釈されている。 2.JMRとは具体的な機種ではなく、重量別に軽量級、中間級、重量級、超重量級の四つに分かれるものと言うのが陸軍の考え方だ。重量別に分類する際の区分を空力学的な機体構造で考えるが、四区分全体で偵察、攻撃、輸送、大型輸送をカバーするもの。 3.JMRが想定する運用開始は2025年から2030年で、現時点ではまだ確立されていない技術を利用する。現行機種の生産は2018年を境に減少する見込みで多少の改修はあろうが、同じ頃に陳腐化してしまうと米陸軍は見ている。 4.そこで陸軍の対応はJMRの技術実証で2010年代末までに次世代回転翼機の開発を開始することだ。 新型機種の開発にはまだ時間があるが、技術開発予算が制約を受ける中で技術要素を取りまとめる意味でもJMRにより陸軍は前に進むきっかけになる。 5.陸軍の航空応用技術局がbroad agency announcement (BAA)通達でJMR実証機の構成要求を1月に発している。まずこの研究段階で広範囲な性能要求に関する中核技術の定義をする事で今後の投資分野を把握しようというものだ。 6.この研究はJMRでいう中間重量級に焦点を当ててAH-64D、UH-60M、AH-1Z、UH-1Yのそ各後継機種を検討する。さらに軽量級ではOH- 58D、重量級はCH-47Fの場合でも共通した技術要素を取り上げる。超重量級は今回は想定外であるのは米空軍が中心となり共用将来型戦域輸送機(JFTL)構想の対象範囲とのため。陸軍の研究対象である超大型垂直離着陸機は空軍のC-130J後継機種開発に統合されJFTLとなった。ただ代替手段研究(AOA)は承

F-35の供用は2016年以降になる見込み

US Navy, AF May Field F-35s Later Than 2016 Apr 21, 2011 米空軍および海軍のロッキード・マーティンF-35の実戦配備が2016年以降になる可能性が出てきたと、ペンタゴン関係者が21日明かした。 ■ヴェンレット海軍中将が報道陣に語ったもので同機のテストは進行中で生産は今年始めに体制を建て直した上で一定の進捗を示しているという。ただ、同中将によると性能試験とウェポンシステムの進捗が問題だという。 ■同中将はテストの完了は2016年より前に完了しない見込みとし、空軍と海軍が同機の初期作戦能力の獲得宣言のも同年以降になるということを意味する。 ■ ヴェンレット中将によるとペンタゴンとロッキード・マーティンは今年の夏にも再度同機の開発契約で再交渉するという。 ■ゲイツ国防長官が昨年にロッキードの実績で改善がない限りは契約報酬の6.14億ドルは凍結すると発表していた。なお、同機開発の総額は3,820億ドルで米軍向け三機種、合計8カ国向け機種を開発する規模になっている。 コメント   やれやれ、ということですね。ひょっとするとF-35は最大の失敗プロジェクトになるどころか、西側の空軍力整備を20年遅らせることになるのでは。それでも同機は防衛省のFX候補で、採択されれば今から日本が相応の負担を求められる=当然多額の資金提供者として期待されても、納入は2010年代後半だったらまだよいほうということになりはしませんか。そこまでの価値がある機種なのでしょうか。

FX選定に向けた説明会が東京で開催されました

Three Fighters Competing for Japanese FX aviationweek.com Apr 20, 2011 日本が待望されていたFX次期戦闘機の要求内容を発表し、三種類の戦闘機の競合となる。ボーイングF/A-18E/F、ユーロファイター・タイフーン、ロッキード・マーティンF-35だ。 防衛省はロッキード・マーティンF-22、ダッソー・ラファールについても提案を期待していたが、米国政府がF-22輸出を禁止してしまった。ダッソー社からの発表は入手できなかった。 3月11日の大震災の影響で本来の日程が遅れていた。震災の結果、航空自衛隊松島基地は津波に襲われ三菱F-2合計18機が海水により被害を受けている。防衛省は被害機の修理費用を内閣に要求しているといわれる。 FXの導入機数は50機でマクダネルF-4の後継機種として期待される。震災、福島原発の問題が残る中で4月に公募説明会を開催できたこと自体に驚く企業幹もいるが、日本の安全保障上の課題であることが十分理解される。 航空自衛隊の岩崎幕僚長は震災前の3月2日に本誌取材で3月末までに仕様書を発表し、提案内容を精査する時間を十分な長さで確保して平成24年度予算にFX取得を要求する予定と語っていた。

イージスシステムが弾道弾迎撃テストに成功

Aegis Completes Successful Intercept Test aviationweek.com Apr 18, 2011 4月15日にハワイ沖でロッキード・マーティンのイージス弾道ミサイル防衛(BMD)システムが中距離弾道弾(IRBM)の追尾、破壊に成功した裏には遠隔地のAN/TPY-2レーダーからのデータを利用していたこと同社が確認したことで判明した。 1.イージスBMDシステムがIRBM迎撃に成功し、しかも遠隔地からの発射の迎撃に成功したことで、イージスBMDで遠隔地のセンサーを活用し、可能なかぎり発射初期段階で迎撃できることが実証された。 2.今回の実験で発射されたのはスタンダードミサイル-3一発で、リアルタイム情報を遠隔地のセンサーからまず得た後、艦載SPY-1レーダーが接近する弾道ミサイル目標を補足したことが同社から発表された。 3.米海軍に取りBMD任務はその重要性をましている。計画していたDDG-1000ズムワルト級を中止しDDG-51アーレイ・バーク級駆逐艦に高性能BMD装備を搭載すること決定をしたばかりでもある。ロッキード・マーティンはBMDと艦隊防空を同時に実施できるイージスシステムのアップグレードを実施している。 4.実験に参加したDDG-77オケインは、第一世代のイージスBMD装備でミサイル防衛庁(MDA)、海軍、ロッキード・マーティンによる実験に成功した。このシステムでは弾道ミサイルの最終飛行段階で自艦防衛が可能であり、米海軍により2008年に運用が承認されている。 5.今回の実験で証明されたのは欧州の段階別適応アプローチ(EPAA)案の第一段階部分であり、この構想はオバマ大統領が2009年9月に発表したもの。 6. 実験に使用されたIRBMはマーシャル諸島クウェジェリン環礁のレーガンテスト施設から発射され、太平洋上空を北東に飛行した。発射後にウェーキ島に前進配備のAN/TPY-2Xバンド移動可能レーダーがミサイルを発見し追尾した。 7.このレーダーが弾道情報を指揮命令戦闘運営通信(C2BMC)システムに提供し、目標データを処理した後に遠方にいるオケインに通信している。IRBMミサイルが軌道上を飛行している間に同艦のAN/SPY-1が同ミサイルを発見補足した。 8.同

米海軍が高出力レーザー兵器を艦艇に搭載する

HPM, High-Energy Lasers To Arm U.S. Warships aviationweek.com Apr 12, 201 米海軍は指向エネルギー兵器を火砲と併用してこれまでよりも効果的な艦船防御を実現する。  今後の計画では高出力マイクロウェーブ(HPM)で対電子攻撃あるいは高エネルギーレーザーへの対抗手段とする構想だ。標的には敵の防空手段や対艦巡航ミサイルが想定されている。そのほかのオプションはHPM装備を無人機や小型ミサイルに搭載する。実現の鍵となるのは主要部品の小型化が今後どれだけ進展するかだ。  期間15ヶ月で出力10kwのレーザーを艦上のMk83砲(25mm)に搭載する。この併用でも人員一名で運用できる。レーザー光線の導波器は砲の左側に設置し、レーザー発生器は下部にある。レーザーは出力変換と冷却装置を含む。  Mk83の電気光学式、赤外線式射撃管制システムは10Km以内の標的に使用する。その後の照準は光学式に切り替わりレーザーの有効範囲は8Kmである。  「この距離でもボートに何人乗っているのか、武装しているのか、どんな武器をもっているのかがわかります」(メーカーBAE幹部)「その後は低出力で緑色レーザーで視力を着続けないモードに切り替え、3から4キロメートルで照射します」  情勢が敵対的にエスカレートすれば「弾薬、ロケット弾などに照準します。ゴムボートであれば確実に穴が開きます。」  効果が出るまでの照射時間は距離と材質により異なるが、2秒から数十分の一秒だ。照準装置によりレーザーは目標の3mm以内に命中する。  「10kwクラスのシステムですと将来はUAVも標的にすることができると思います」(同幹部)「さらに100kw超であれば対艦ミサイル、巡航ミサイルからの防衛に利用できるでしょう。まず初期段階の能力でも実際の艦に導して運用コンセプトを理解していただき、通常型の運動性兵器をどこまで補完できるのかを実感してもらおうという狙いです」  BAEシステムズは電子攻撃機能を付加したHPM兵装を構想している。正確な周波数の幅を選べばHPMは電子攻撃手段となり、敵の小舟艇のエンジンをかなりの距離から停止させることができる 。  HPMには精度があまり必要ない。HPMを一度照射すれば10隻から30隻のボートを目標に

MDA ミサイル早期警戒衛星の新しい方向性

MDA Drops Target-Acquisition From Next Sats aviationweek.com Apr 14, 2011 コロラド・スプリングス発 米国ミサイル防衛庁(MDA)は目標捕捉センサーを今後開発する新型ミサイル追跡衛星に搭載しない予定。これはシステムの合理化および予算節約のため。 次世代宇宙配備ミサイル追跡システムは現在実証中の ノースロップグラマン 製宇宙追跡監視システム(STSS)よりも簡易な構成になるとMDAは説明している。 今回の決定はジョンズホプキンス大学応用物理研究所(APL)の提言を受けた形で、APLはこれから開発する精密追跡宇宙システム(PTSS)の設計開発で中心的な存在。 軌道上のノースロップグラマン衛星は二機で以前あった宇宙配備赤外線低軌道探知システムから生まれたもので、目標捕捉および追跡用の各センサーを搭載している。この二つで弾道ミサイルの発射を「誕生から死まで」探知する能力を実証済みだ。捕捉センサーはミサイルの高温排気を探知する設計で、追跡センサーは弾道飛行の中間段階で低温の弾道先端部を追跡することができる。 PTSSにMDAは目標捕捉センサーを搭載し、追跡能力だけの衛星とする設計を採用する。この理由は衛星の構造を簡略化し、リスク低減と製造費用の節約となるためだ。 PTSSではセンサーの操作制御にネットワーク機能が加わる。STSSでは衛星搭載の目標捕捉センサーにより自動的に探査を開始するところが、PTSSは静止軌道上のミサイル警戒衛星からの信号により目標の探査を開始するのだろう。STSS衛星も今後のPTSS衛星もともに低軌道周回衛星である。 今回の仕様は一部業界関係者には驚きを持って受け止められた。ペンタゴンはコスト節減の意味ではむしろ既存衛星の設計をもとにSTSS宇宙機を調達するとみられていたためだ。 今回の決定でノースロップグラマンによるSTSS衛星の安易なコピー版売り込みの方向性は否定されることになる。 APLの調査研究で最終仕様が決まることになるが、3月にMDAはAPLとともにPTSSのシステム要求内容検討を行なっている。 APLから6社に再委託契約が示され、最終設計の内容を構成することになるが、調

米空軍新型爆撃機の開発状況は秘密に覆われています

USAF Bomber Gets Tight Numbers aviationweek.com Apr 11, 2011 秘匿性と遅延が米空軍の新型爆撃機開発で合言葉になってきた。予算は大幅に支出しているのだが、新型爆撃機が実戦化となるのは2020年代半ばより早くなる可能性はないと空軍は見ている。ペンタゴンでは同計画は極秘扱いであり、有人型となる選択肢もあり核兵器運用能力もある、とだけ説明があるだけだ。 ゲイツ国防長官が明らかにしたのは同機調達数が80から100機になり、一機5億ドルという二つの数字だけだ。長官はB-2 と同じ機体は望まれていない、と空軍高官が最近漏らしている。 計画の長期化でリスク回避と共用打撃戦闘機JSFの開発が遅れていることから予算の肥大化を防ぐ効果が期待される。年間予算は2016年まで平均10億ドルを下回る規模と予測される。その年になるとJSF予算が減少する見込みだ。 技術面でひとつ確実に開発が進んでいる要素は極度低視認性(ELO)と前例のない空力特性の組み合わせだ。この技術は新型爆撃機以外に開発中の長距離攻撃兵器体系二機種にも応用される。ひとつが電子攻撃(AEA)に特化した無人機であり、もうひとつが長距離侵攻型情報収集監視偵察(ISR)任務のUAVだ。 このうちELO特性の機体でジャミングを行うAEAはステルス性を補助する重要な要素だ。ネットワーク機能でレーダーでステルス機を探知する能力が向上しているが、これをジャミングで妨害することができる。将来はELO機が探知されないように妨害することが期待される。当面はこの機能はロッキード・マーティンRQ-170センティネルUAVで実現する。. 侵攻型ISR機には長距離飛行能力とELOの組み合わせが必要で、これが2007年から2008年にノースロップグラマンに交付されたアクセス制限プログラム(SAP)の最終形であろう。ここで重要なのが後退翼で薄膜気流をどう維持するかという要素だ。これにより全翼機型UAVで連続32時間の監視飛行が可能となるとノースロップグラマン技術レポートが解説している。 このSAPが実現するのであれば、空軍があえてグローバルホークのブロック40調達を拡大しようとしていないかの説明がつく。 侵攻型長距離IS

エアシーバトル構想の対象は中国だ

AirSea Battle Concept Is Focused On China aviationweek.com Apr 8, 2011 ゲイツ国防長官はそれを21世紀のアメリカの軍事抑止力を形成するものと表現している。海軍作戦部長はそれによりパラダイムが変わると発言している。 1. ここで話題になっているのは新しいエアシーバトル構想AirSea Battle conceptであり、空軍、海軍関係者が具体化しようとしているもの。 2. 米空軍、海軍双方が長期計画では中国に焦点を当てているのは公然の秘密だ。そこに進行中の技術革新が加わる。例えば無人戦闘航空機システム(UCAS)があるが、予算問題のため研究開発にくわえ調達まで制約がある中、中国の脅威に対抗するために新兵器の開発が急速に進むとは見られていない。そこで台頭するエアーシーバトル構想では既存体系を方向性を変えて使用し、ネットワークの活用で敵の侵入を阻止する・地域確保(A2/AD)環境下で作戦に制約がつかないことを確保する方策を求める。 3. 戦略予算評価センター( CSBA 、本部ワシントン)がこのエアシーバトル構想についてより詳しい解説をしている。このCSBAでかつてアナリストをしていたロバート・ワークは海軍次官であり、他にも現政権で重要な役職につくアナリストが多い。同センターの報告書では「エアシーバトルは軍事作戦の指導原則だが、それだけでは戦闘に勝利することはできないし、そう理解されるべきではない。また、特定のシナリオとして例えば台湾の防衛の目的で利用されるべきでもない。むしろ、西太平洋地域における通常兵力のバランスを受け入れられる形に維持するための軍事作戦の条件を設定することに利用されるべき構想である」としている。 4. つまり中国との戦闘を想定しているのではなく、太平洋の西側における安定性を維持するための軍事バランスを維持するのを目的としている。これは中国の成長発展に対応するとともに中国の戦略・政策意図に透明性が欠如していることにも対応するものだ。ではCSBAはエアシーにどんな具体的内容を想定しているのか。 5. ● 空軍による宇宙空間作戦で中国人民解放軍(PLA)の宇宙配備海洋偵察衛星システムを利用不可能とする。また同システムにより対艦弾道ミサイルの照