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イタリア陸軍向けICH-47F

Italian Army Signs Deal For CH-47F Chinooks aviationweek.com 5月14日 アグスタウェストランドはイタリア陸軍向けICH-47Fチヌーク大型ヘリ16機受注分の一号機を2013年に納入する。契約は総額12.2億ドルで5月13日に調印された。契約内容には当初5年間のロジスティック支援および追加オプション購入4機を含む。当初契約は昨年秋に調印の予定であったが、予算不足により延期となっていた。このため、納入予定は一年間遅れることになった。 【配備計画】 チヌーク新造機は陸軍航空隊第一連隊(ローマ近郊ビテルボ)に配備される予定。ICF-47の導入はアフガニスタンでの作戦行動で既存ヘリが消耗しており急いで必要とされている。イタリアは同機を陸軍特殊作戦部隊用(現在派CH-47C+を使用中)にも使いたい意向だったが、この希望は「輸出妥当性」が理由に却下された。その中には空中給油用ブーム、低高度航法レーダーおよび改良型機体防衛装置として指向性赤外線妨害装置(DIRCM)ミサイル用のジャマーが含まれていた。F型の基本構成は特殊部隊用ではないが、イタリアはオプションを評価検討し、ICH-47FにDIRCM用にイタリアのエレットロニカとイスラエルのエルオプが共同開発中のジャマーを後日装備することにしている。 【生産体制】 アグスタウェストランドがICH-47Fの主要契約者となり、システム統合と最終組み立てを同社のベジアーテ工場で行う。ボーイングはフィラデルフィア工場から同機の胴体を供給する。アグスタウェストランドとボーイングはCH-47生産をめぐる提携関係の成立に時間がかかった。その内容は今回の契約内容を超えるもので、フィンメカニカの子会社がCH-47の生産販売で英国含むヨーロッパに加えてモロッコ、リビア、エジプトで権利を有する。 【中古機輸出】 アグスタウェストランドはさらにイタリア陸軍と交渉中で現役使用中のCH-47C+ヘリを改修修理の後、中古機市場へ販売する可能性を模索している。両者で合意が出来ていないのは各機の残存価値に関する点。イタリア陸軍でのCH-47Cの運用は21機までに減ったが、当初の調達合計は40機であった。チヌークの需要は国際的に高いことから、C型は運用機がすぐにでもほしい国や新造F型には手が出ない国から買い手

NASAの宇宙発電システムがピンチ

Aviationweek 5月11日号より NASAのプルトニウム238のストックが枯渇している。核兵器製造の副産物として太陽光の利用が困難な範囲で活動する宇宙探査機の発電用に使っており、深宇宙探査の継続のために早急に生産再開が望まれると全国研究協議会は考える。オバマ政権の2010年度予算案でエネルギー省分には30百万ドルでアイダホ州およびテネシー州の原子炉を再稼動させ、宇宙機のラジオアイソトープ熱電発電機(RTGs)用の燃料を確保する案が含まれている。Pu-238は1980年代以降は各処理場で製造されておらず、NASAのロシア側供給先でも貯蔵量が減少している。NASAはすでにPu-238供給不足を織り込んでミッションの規模縮小を開始している。ただ、オバマ予算案の30百万ドルは頭金にすぎない。生産再開の費用は総額で150百万ドルを下らないとの見積もりがある。
Senators Push Panel For 15 More C-17s aviationweek.com 5月13日 上院議員19名の連名で上院歳出委員会に対し2009年度緊急戦時追加予算案にC-17輸送機の追加発注を含めるように求める動きが出ている。同委員会は定数30名でイラク、アフガニスタンに加えて新型インフル対策として総額853億ドル内容の支出案を5月14日に採択する予定。書簡はバーバラ・ボクサー(民主 カリフォルニア州)とクリストファー・「キット」・ボンド(共和 モンタナ州)両上院議員が起草し、上院に対し追加分として15機のC-17調達に必要な予算を盛り込むよう求めている。C-17はボーイングのロングビーチ工場(カリフォルニア州)で組み立てられており、ボンド議員の選挙区。議会内のボーイング支持勢力は以前の生産中止の動きを何とか阻止してきたが、C-17関連で43州合計3万人の雇用があることを強調している。書簡では輸送需要の増加要因としているのはアフガニスタン国内の作戦の増加に加え、ドイツに新設されたアフリカ軍団に陸軍と海兵隊部隊が増強されること。 【国防長官は生産中止方針】 ゲイツ国防長官はC-17調達は205機で終了としたいと言明している。ゲイツ長官はC-17生産ラインの停止に必要な予算を2010年度予算に計上している 【下院予算にもC-17追加購入】 下院歳出委員会の戦時補正支出法案は総額943億ドルでその中には31億ドルでC-17を8機、C-130を11機調達する内容が盛り込まれている。 コメント: C-17の運用機数が大いに越したことはないのは利用者側の意見でしょう。一方、苦しい財政事情の中で国内を優先するオバマ政権(この内向き姿勢が大きな代償をともなうことになります)が予算捻出のためプロジェクトを整理する方針のため、政界で意見が分かれているのでしょう。一方、わがC-Xの開発が遅れると、C-17の購入あるいはリースというオプションが出てくるのでは。その意味でもC-17生産ラインが本当に終了となるのかここが正念場です。

米空軍2010年度予算の概要

USAF 2010 Request Lacks Major New Initiatives aviationweek.com  5月7日 米空軍の2010年度予算概算要求総額1,605億ドルは毎回新規プロジェクトを加えてきた例年に比してさびしい内容。C-17およびF-22の生産終了で空軍予算案には新規プロジェクトはわずか二つとなり、439百万ドルでKC-135空中給油機の後継機種選定を再開することと、9.5百万ドルで共用垂直離陸輸送機計画(CVLSP)を開始することのみ。後者は空軍宇宙軍団が核兵器運送の支援およびアンドルース空軍基地で要人輸送任務の支援に使用中のUH-1Nヒューイの後継機。 【予算の全体構造】 2010年度要求額は前年度査定額の1、614億ドルを下回る。ただし、後者は補正予算分を含む。2010年度分には戦闘作戦の追加予算160億ドルを期待。空軍がブルートップラインと称する自由裁量予算総額は約20億ドルの増加で、インフレを考慮すると実質減額とパトリシア・ザロキーウィッツ空軍予算局長は説明。同局長によると今年の空軍予算は人員削減の動きが止まり、来年度は総員331,700名体制となることもあり「均衡がよくとれている」とのこと。 【F-22の将来は未決】 C-17生産ライン閉鎖費用として91百万ドル、F-22生産ラインの閉鎖には64百万ドルが必要としている。ただし、F-22生産設備を「使える」状態で保存するのか、生産を完全に停止するかは未決定。(同上予算局長)  【ISR機】 概算要求が強調するのが情報収集・監視・偵察(ISR)用機の予算ならびに核兵器体系の維持管理予算。後者は空軍内部で核兵器取り扱いの不祥事が頻発したため。ISR向けにはセンサー開発も含め9億ドルが要求されているとのこと。 【CSAR-X先送り】 次期戦闘捜索救難ヘリ(CSAR-X)調達および次世代爆撃機提案競技は先送りとするとゲイツ国防長官が4月6日に発表ずみ。CSAR-Xの延期でH-60M合計2機とHH-60Gペイブホーク合計95機を追加購入する。 【輸送機】 空軍は共用貨物輸送機(JCA)開発の管理を陸軍から引き受けるが、詳細は未整理。また、C-27J輸送機合計8機を購入する。

ファンタムレイ:ボーイング自社開発UAV

Boeing Unveils Phantom Ray Combat UAS Aviationweek.com May 8, 2009 無人戦闘航空機ファンタムレイPhantom Rayは中止となったX-45からボーイングが自社資金で開始した短期試作プロジェクト。2010年にホワイトサンズミサイル試射場(ニューメキシコ州)での初飛行をめざす。ファンタムレイはX-45を単純に復活させるものではない。同機は政府の要求水準に具体的を満足するために作られておらず、他社と競合するものでもない。また、政府による指導監督の対象でもない。ボーイングは飛行実証後に兵器搭載、電子戦、情報収集、偵察、また指向性エネルギー兵器運用含む同機の運用可能性を実証する予定。 【ボーイング戦闘航空機の将来】 2001年に共用打撃戦闘機提案協議をロッキード・マーティンに奪われ、2007年には海軍向けの無人戦闘機システム(UCAS)をノースロップ・グラマンのX-47の前に敗北を喫し、ボーイングは戦術航空機事業の戦略を構築に苦労してきた。セントルイスが戦闘機生産の拠点であり、現在は韓国・サウジアラビア・シンガポール向けにF-15E派生型、米海軍向けにF/A-18E/FスーパーホーネットとEA-18グラウラーを生産中。この先の将来は未定だ。 【ボーイングの目論見】 国防予算が伸び悩む中、ボーイングにとってはファンタムレイ他のプロジェクトで世代機開発に技術陣を従事させる。また、設計スタッフも予算削減で人員削減となっているため従来の方法にとらわれない方法で航空機開発に挑戦せざるを得ない状況だ。海軍は再度提案競技を開催する予定で、おそらくX-47の飛行試験が終了する2013年より後となると見られるが、空母運用の次世代無人ステルス機を開発となる。ボーイングのファンタムレイ開発はその際には大きく生かされるだろう。 【社内開発】 ファンタムレイプロジェクトはボーイング社内では「リブループロジェクトProject Reblue」の呼称で2007年にコンセプトがまとまったもの。本格的開始は2008年6月。今月までは社内でも少数の幹部とエンジニアを除きその存在が秘密となっていた。 【ファンタムワークス】 以前は先端航空機システムズと呼称されていたファンタムワークスが2月に再発足された。旧名称の復活により、試作機製作の伝統も復活

P-8Aポセイドンの開発状況

Australia To Help Upgrade P-8A Poseidon Aviationweek.com 5月6日 【オーストラリア国防省の期待】 オーストラリアはボーイングP-8Aポセイドン海上哨戒機購入の第一歩としてアメリカとの協定に基づき同機の改修作業に参画する。先週発表のオーストラリアの国防白書では空軍所属のP-3Cオライオンの後継機として有人機合計8機(ポセイドンが想定)および最大7機の大型無人機(ノースロップ・グラマンRQ-4グローバルホークを想定)を導入する計画。P-8A改修の第一段階スパイラルワンに加わることで同機の情報を入手でき、オーストラリア産業界にも機会が生まれる。また、P-8A改修に同国の意見が反映される可能性が高まると期待。ただ、同国の負担金額は未発表。同国のP-3Cの退役は2018年の予定。 【2号機】 一方、米海軍向けP-8A二号機T-2はボーイングのレントン工場(ワシントン州)で完成に近づいており、隣接するボーイングフィールドへのフェリーフライトが予定されている。同機はミッションシステムの試験に供され、一号機T-1は4月25日に3時間31分の初飛行に成功しており、二号機とともに海軍のテストプログラムに2010年の第一四半期に加わる予定。T-1は現在ボーイングフィールドでシステム艤装中。 【海軍におけるテスト予定】 T-1がフライトテストを開始するのは9月ごろの予定で、その後三号機T-3も加わり、シアトルを数ヶ月間は拠点とする。これは海軍がボーイングのフライトテスト実施能力をより多く利用してからパタクセントリバー海軍航空基地(メリーランド州)で引渡しを受ける方針にしたため。T-3は兵装システムのテスト機材となり同機の胴体部分はスピリットエアロシステムズ(カンザス州ウィチタ)よりレントンに今月到着の予定。 【構造上の特色】 P-8Aは737-800の胴体部分・尾翼を補強したもの以外にストレッチ型-900の主翼を強化して使う。胴体下部に兵装庫がある。また主翼下部に兵装装着部分があり、主翼の先端はウィングレットではなく、熊手状に傾斜角がついている。 コメント:前段はオーストラリアのかかわり方についてですが、記事の後半の方が情報量が多くなっていますので、オリジナルの表題はふさわしくありません。Aviationweek電子版では記事がよく

大統領専用ヘリVH-71は復活できるか

AgustaWestland Pitches VH-71 Compromise Aviationweek.com 5月1日 ゲイツ国防長官により開発中止と機種選考の仕切りなおしの方向性が示されてしまった次期大統領専用ヘリVH-71についてメーカーのアグスタ・ウェストランドは反論を展開しており、端的に言えばここまで開発が進んでいるのにやり直しはないだろうというもの。第一期契約分のヘリをスクラップにするよりも同社はしかるべく型式証明を取れば機体寿命は10,000時間あり、仕様要求性能の1,500時間を超えていると主張する。ペンタゴンは同機の使用年数は5から10年しかなく配備するのは無駄と考えている。改装のもととなるAW101型はすでにメーカーの言う飛行時間の証明を受けている。さらに、同社によるとこれまでに33億ドルが費やされており、あと35億ドルあれば第一期契約分の機体計19機を納入できると反論する。この経費合計額は当初のVH-71予算案に近いもの。同社はさらに1.5型と呼ぶ性能向上型の構想を持っており、これが具体化すると当初の計画性能を実現できるが、総費用は130億ドルの当初予算以内になるという。同社は先行生産型としては第五号機のVH-71を英国ヨービル工場から納入したところだ。CEOであるジュセッペ・オルシは実施予算は当初の二倍となってしまったが、ヘリ機体に限ると予算超過規模はわずか8パーセントかつ遅延は6ヶ月に留まっていると語り、これは全部設計変更(大規模なものが50件、小規模なものは800件)によるものという。同社の第一期契約分のVH-71機体は予定の9機がすべて完成し、ロッキード・マーティンによる装備等の完成作業を待つ状態となっている。 コメント:おさらいしておくと、老朽化進むVH-3(S-61)の後継機として合計23機を購入しようという計画があり、アグスタ・ウェストランドのEH-101を原型とするVH-71「ケストレル」が採択されていたのですね。ロッキード・マーティンがインテグレーターとなるといっても機体は外国製というのはいろいろ波紋を呼んだ選択であったはずです。その後性能が思ったより出ない割には大幅に予算が膨らんで、という悪い話題しか聞こえてこなかったので、ゲイツ国防長官も大鉈を切ったのでしょう。メーカーとしては層ですか、と引き下がったのでは話にならないの