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バイオ燃料の実用化を本格的に開始する米空軍

Aviationweek.com 1月30日 マイアミ---米空軍は2013年までに二種類のバイオ燃料を型式証明し、ジェット燃料と50対50の混合比で30万ガロン以上の調達を計画している。民間航空ではバイオ燃料利用の拡大が動きつつある中、この計画は空軍が石油依存度を下げる大きな動きとなる。空軍は二種類のバイオ燃料を競合させる意味で各16万ガロン調達する予定。選定に残った燃料が実験、エンジンテスト、飛行テストに使われる。この概要は当地でAviation Weekが開催したシンポジウムでライトパターソン空軍基地の代替燃料型式証明事務局長ジェフ・ブラウンが発表したもの。 原油価格が10ドル上昇すると空軍の負担は6億ドル増加するとして空軍長官(当時)マイケル・ウィンが2005年に空軍の既存エネルギー依存度を下げる計画を開始した。その後空軍は合成燃料の型式証明を試み、石炭・天然ガス・バイオマスから抽出の燃料で全部隊で2011年までに飛行させることを目標としている。50-50混合比燃料で2007年8月にB-52が飛行し、昨年はC-17とB-1Bが飛行している。 しかし、合成燃料を精製する工程は温暖化ガス排出の量が石油燃料精製の場合よりも多くなる欠点がある。航空関係専門家は環境重視のオバマ政権ではバイオ燃料が望ましいと見られるものと予測している。そこで空軍が新方針を打ち出したのが新大統領就任式と時期が同じというのが興味をそそられるがブラウンによると偶然の一致という。 空軍の希望は国内運用の航空機燃料の半分をバイオあるいは合成燃料に2016年目標で代替すること。「バイオ燃料のほうが多くの点で合成燃料よりも利点が多いのです。ただ、合成燃料の型式証明が必要で、バイオ燃料開発に必要な知識情報の幅を広げるのに役立っています。」 軍用バイオ燃料の開発は民間エアラインが行っているテストの比ではない規模となり、生産量も飛躍的に増加させるだろう。大量生産の期待が寄せられる理由としてバイオ燃料に既存の精製施設を利用できるため、資金調達が難しくても新規のインフラ投資が相当節約できることがある。

レーザー兵器でUAV撃墜に成功

Aviationweek.com 1月27日 軍事仕様のソリッドステートレーザーはまだ実験室レベルだが、民生高出力工業用レーザーを使った兵器を実戦化すべく努力を続けている民間会社が二社ある。ボーイングは同社のアベンジャー防空システムにレーザーを搭載し、小型UAVを撃墜できることを実証した。一方、レイセオンはレーザーファランクスを飛翔中の迫撃砲弾に対して使用するテストをまもなく実施する。レーザーアベンジャーの実証テストは昨年12月にホワイトサンズミサイル試射場(ニューメキシコ州)で実施された。ボーイングによると目標捕捉に成功し三機の小型UAVを「複雑な山地と砂漠の背景の中」追跡したという。キロワット級レーザーがそのうち一機のUAVを「実戦上意味のある距離から」撃墜した。目標は小型センサーまたは弾頭部分を装着したUAVで脅威として想定したもの。同機は機体に穴を貫通する燃焼が見られたという。同社は「初めて戦闘車両がレーザーによりUAVを撃墜した初の例」と主張。ロシアはそれより先にトラックに搭載の高出力レーザーによりドローンを撃墜したとする写真を公開しており、Almaz-Anteyが開発中と説明している。二酸化炭素ガスによるレーザーは技術的にはアメリカの空中発射レーザーと類似しており、アメリカはこれで飛行中のドローンを1973年に撃墜している。ボーイングとレイセオンのシステムはそれぞれ類似しえちるが、より軽量な電気レーザーである。2007年には初期型のレーザーアベンジャーが道路上の爆発物および不発弾を無力化する実証実験に成功している。ごく最近の実験ではレーザー出力が二倍となり、目標捕捉追跡・位置調整を加えるとともに、簡素化され高耐久化された。レーザーアベンジャーの開発予算はボーイング自社負担だが、すでに同ユニットの情報を顧客候補複数に提供したという。「政府予算がつけば、一年で実戦配備が可能です。」(同社)高出力レーザーがあれば現在アベンジャーが搭載しているスティンガーミサイル4本いりキャニスターが不要となる。レーザーに野戦カメラ赤外線目標捕捉システムを組み合わせることは可能だ。レイセオンは高出力レーザーをファランクス機関砲に取り付けることをめざしており、艦上搭載あるいは地上搭載の短距離防空を狙う。2006年6月には静止試験で20キロワット急の工業ファイバーレーザーを使用し

F-22合計24機をグアム・沖縄に配備

Aviationweek.com 1月26日 F-22の配備は第四回目かつ最大規模で飛行隊全部がエルメンドーフ空軍基地(アラスカ)からグアムのアンダーセン空軍基地に移動する。別に12機がラングレー空軍基地(ヴァージニア州)から嘉手納基地に今月はじめに飛来している。第一回目の配備がラングレーからエルメンドーフまで、第二回目はラングレーから沖縄へ、第三回目はエルメンドーフからグアムまでの派遣だった。すべて臨時編成の飛行隊として新鋭戦闘機の支援体制、信頼度を測る意味があったもの。 ただし、米国内の基地から嘉手納まで無着陸で飛行させることはリスクがあると考えられるのは、途中の洋上で島しょ・船舶から機密情報を収集される可能性があるため。特に電子・信号情報収集(sigint)が航行中の中国船舶多数から試みられる可能性があると、情報筋は認める。sigint能力のあるロシアTu-95複数機が最近グアム近辺を飛行して緊張を招いたばかり。 米国関係者は今回派遣の二飛行隊はアジア太平洋地区全体の安全と安定を保証する部隊の定期的なローテーションの一環と語る。アジアで軍事的な緊急事態が発生すると、アメリカの戦闘機がハワイ、グアム、アラスカそして嘉手納から日本、韓国、シンガポール内の前線基地に移動する。米本国からの追加派遣部隊が途中の基地に展開し、追加戦力として準備することになる。 西太平洋におけるF-22の主要な任務は巡航ミサイルへの対抗策であり、同機の高度なアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)式のレーダーで長距離から小規模目標を捕捉し、あわせてAIM-120CおよびD型のARMRAAM空対空ミサイルの新型搭載により巡航ミサイル防衛を期待される。F-22のもつ高度な電子偵察能力で中国、ロシア他の電子偵察活動を監視することも可能だ。

オバマ政権下の国防予算動向を占う

ターミナル1 2共通記事としてオバマ政権での国防予算の動向についての観測記事がありましたので掲載します。 Flightinternational.com 1月20日 航空宇宙産業は経済危機とは無縁の数少ないセクター。しかし、国防関係の調査開発、生産規模が年間1950億ドル規模となっているとはいえ、航空宇宙産業には困難な課題も存在する。ひとつには資金の不足がある。国防予算は今や第二次大戦後最大規模になっているのに、皮肉なことに航空宇宙産業の財政状態が逆にあだとなるのだという。実際には状況はもっと複雑である。オバマ政権の防衛支出は未知の要素に左右されるかもしれない。たとえば、紛争、テロ攻撃の発生。ただし、防衛支出の長期傾向は明白で、国防総省予算は当面は現状水準の維持となる見込みだ。これは兵器調達が急激に減少することを意味する。 国防予算の近未来動向は 戦費補正予算分除く2009年度の国防予算総額は5,170億ドルで、11年間連続の予算増となる。アメリカの国防支出は10年から15年周期で増加・減少を繰り返しており、最近の底は1997年。中期見通しは支出増が減速することを示しているが、急減少はまだ数年先のことになろう。議会予算局(CBO)の予測どおり2014年から2026年の平均年間支出が増減ゼロの予算になると、ペンタゴンの購買力は大きく減少する。その間にアメリカ経済全体が成長をするはずだからだ。国防総省の支出規模の対GDP比率は平均5.6%だった80年代から90年代は3.8%になっている。CBOは2013年に3.1%、2026年には急落して2.6%と予測。議会と新政権は経済活動との比較で最低規模は安全保障に投資していく必要があり、GDP4%相当が提案されており、現在の規模では5,910億ドルとなる。経済規模に呼応した国防支出の利点は明らかだ。国防支出はやがて安定し、未知の地政学的な変化があっても予算規模を想定することが可能となる。 4%枠を設定しても支出額は歴史的な規模を維持することになる。 予算基盤を増強 ではどれだけを国防予算に支出できるのか。戦略予算措置評価センター(CSBA)が9月にまとめた報告書では2018年度のGDP4%の国防予算は8,950億ドルとなり、長期予算案よりも2,630億ドルも多くなる。2009年度から2018年度の間の総支出額は4%枠では7.4兆

イラクからアフガニスタンへ 変わるアメリカの役割

Aviationweek.com 1月14日 イラク戦争とアフガニスタン戦争は表裏一体だ。ともに9.11攻撃の余波であるが、違う理由と違う方式で戦闘が継続している。イラク戦は大部分が都市内部、宗派間、イラク国境内部での戦闘行動である。一方、アフガン戦は農村部、かつ大部分が南部、東部でパキスタン西部のパシュトゥーン族と関連のある地帯が舞台である。その結果、ナサニエル・フィック(アフガニスタンで2001年から2002年従軍の元海兵隊将校、現新アメリカ安全保障研究所で主任研究員)はアフガニスタン国境内の戦闘行為だけに目をとらわれず、「パシュトゥーン族の心理的国境には半分がパキスタンとなっていること」に注意すべきと語る。  アメリカから3から4旅団(1万人から1.5万人)を増派し、現在イラクで従軍中の部隊から手当てする案がある。だがアフガニスタンで兵力増強をしたとしても、イラクよりも広大かつ人口も多い同国の中では少々の規模拡大ではインパクトに欠ける。新しい陸軍・海兵隊共用対内乱野戦マニュアルFM3-24によると、民間人千人につき、対内乱兵員20名が必要とされている。これをアフガニスタンにあてはめると、必要な兵員数は60万人となり、実現は不可能な規模だ。同マニュアルの編者のひとりジョン・ナガル(元陸軍中佐、新アメリカ安全保障研究所主任研究員)はアフガニスタンで対内乱戦闘を成功裏に実施するためには「アフガン保安部隊の劇的な増加が必要だ」と語る。ゲーツ国防長官も最近になり、アフガニスタン陸軍を現状の7万人から13万人に増強する案を公表している。だが、ナガルは「されに倍増して25万人必要だ」という。さらに、タリバン内部で使命感・信条に欠けるものを分離させる工作が必要とも主張する。アフガン保安部隊の増強、タリバン勢力の減退、アメリカによる対内乱戦術の向上に加え、アフガン陸軍内部で経験の蓄積があれば、今後数年間のうちに戦闘の方向性が変わってくるというのである。  アフガニスタンへ向かうアメリカ部隊についてフィックはアフガン陸軍向けの訓練に従事させることを進言している。ナガルはまずはカブールの制圧が第一で、そのあと治安を郊外に広げるべきと見る。「一方でアフガニスタン・パキスタン国境地帯に追加部隊を駐留させる。これなら勝利は可能だ。これまで十分な部隊を投入していない。だが、もっとすべきこと

次次世代の超音速・長距離攻撃機に期待する米空軍

Aviationweek.com  1月11日 米空軍の次世代爆撃機の飛行速度は亜音速とする決定があり、極超音速実証機ブラックスウィフトの計画中止が決まったばかりだが、高速・長距離飛行が可能な攻撃機に対する関心を失っていない。 次世代爆撃機を亜音速とする決定は高い生存性を持つ超音速機技術が2018年までには成熟化していないためであると空軍研究所の航空機部主任科学者ロナルド・ポールは語る。「高い生存性」とは高度ステルスであり、エンジンを機体に埋め込んで尾翼のない形状となるが、この機体形状では超音速機はまだ実現していないというのだ。空軍が2018年爆撃機を定義した際には超音速機を実現する技術が実用化されていなかったとポールは説明する。 鍵となる技術はアクティブフローコントロールであり、空気取り入れ口と排出口と無尾翼機体の制御に関するものとポールは語る。 空軍研究所では同時に航空戦闘軍団および太平洋司令部と共同で長距離攻撃機の研究も行っている。これは有人亜音速機となった次世代爆撃機の後継機をめざすものだが、現在は兵装に焦点を当てているという。検討されたオプションには高速度長距離ミサイルにボーイングX-51スクラムジェット実証機の技術を応用するものがある。X-51は本年末までに初飛行の予定。 極超音速航空機の実証機として期待されたブラックスィフト計画の中止により、同研究所はX-51の長距離版に追加予算が計上されることを期待している。ブラックスィフト(空軍研究所と国防高等研究プロジェクト庁の合同研究プログラム)は議会が野心的な目標の達成は無理とし昨年その開発を取りやめさせたもの。計画に終わった同機は滑走路からの離陸、ターボジェット推進での加速、スクラムジェットへの動力切り替え、マッハ6での巡航と飛行操作、か滑走路への着陸をもくろんでいた。 もし、空軍研究所にブラックスィフト向け予算が計上される場合には極超音速技術の研究の継続に使われると見られ、X-51(空中発射、ミサイル大)の開発が進むだろう。

大統領専用機の後継機種さがしが始まった

Flightglobal 1月9日 米空軍はボーイングVC-25大統領専用機の後継機選定に踏み出した。昨日、現有のVC-25(747-200改造型)2機に替わる広胴型合計3機発注を前提に市場情報の公告を発表した。代替候補の検討は2007年にしており、その際はA380が候補で、VC-25の近代化を実施するよりも新規購入が費用対効果で有利との結論であった。 次期大統領専用機一号機の納入は2017年としており、二号機三号機は2019年、2021年納入とする。選択肢は 747-8I とA380 に限定されよう。2007年10月にエアバス社は米空軍よりの要求でA380,340,330各機に関し前例のない範囲のデータ提供を実施している。今回の新規要求に対して同社は「同要求文書をすでに受領しており、検討中です。今後社内決定となります。」と発表している。昨年9月にEADSノースアメリカは大統領専用機含む各種米空軍向け開発計画を推進すべく開発責任者の公募公告を掲載している。 一方、ボーイング幹部は大統領専用機契約の受注は同社最重要事項の一つと発言している。「同契約はボーイング社に大きな意味を持ち、これまで50年にわたり維持している当社は大統領専用機に必要な事項をはっきりと理解しております。」(同社スポークスマン) ボーイング707を基にしたVC-137エアフォースワン一号機の納入は1962年。その28年後にVC-25が引き継いだ。同機も機齢27年を超え退役を迎えようとしている。 ただ、米国航空メーカーによる大統領用航空機供給の独占状態はすでに2004年に破られている。ロッキード・マーチンがアグスタ・ウェストランドEH101を原型とする次期他大統領専用ヘリコプター提案がシコルスキーH-92案を破って採用されているからだ。 コメント:ボーイングにはまた不利な展開となりそうな気がします。A380になると、またボーイングからの抗議となる泥仕合になるのでしょうか。そうなるとグローバルに大統領を運ぶ機体がなくなっていまいますが、いまさら巨大なA380をエアフォースワンとして運航するよりも威厳はなくなっても長距離ビジネスジェットや787にダウンサイズしてはいけないのでしょうか。通信機材や余裕の問題から一定の大きさが必要なのかもしれませんが、エアバスが大統領専用機になる事態だけは目にしたくないもので