プーチン大統領が発表した各種新兵器は常軌を逸した内容のようです。米防衛体制の弱点の裏をかくような内容で米側も見直しを迫られそうですが、前にも指摘したようにミサイルや無人機に核動力を搭載することで副次的な破壊効果も生まれるでしょう。看過できない内容で「反核」主張の人たちが沈黙しているのは理解できません。奇をてらった装備もあり、本当の効果は永久にわからないかもしれません。米側としては新装備導入を訴えやすくなる効果があるのですが、ロシア中国が開発ペースを加速化する中で焦りも米側に見えますね。このため今後は日本、イスラエル、インドはじめとした技術力の取り込みを米国は意識するでしょう。
U.S. Calls For Better Defenses As Putin Touts New Nukes ロシアの新核装備に対応し米防衛体制強化が必要だ
Mar 2, 2018Lara Seligman | Aerospace Daily & Defense Report
Sarmet: NBC News
米戦略軍団司令官が追尾監視体制の強化とミサイル防衛能力の引き上げがロシア大統領ウラジミール・プーチンが公開した恐るべき新型核装備の数々に対抗するため必要と求めている。
3月1日演説でロシア連邦議会に向けプーチンは5種類の「無敵」次世代核兵器を紹介し、米ミサイル防衛体制をかいくぐる、通常の弾道コースを通らない「サーマットSarmat」大陸間弾道ミサイル(ICBM)に「アヴァンガードAvangard” boost-glide hypersonic weapon, 」飛翔滑空極超音速兵器を搭載し、核動力巡航ミサイルで無限の飛翔距離を実現し、海中に核無人機を投入し、「キンザルKinzhal」空中発射式極超音速ミサイルに言及した。
プーチン演説は米側が国防長官ジム・マティスの新核戦力整備検討結果でミサイル防衛体制の整備を加速強化すると中で出てきた。ジョン・ハイテン大将(米戦略軍団司令官)はロシアの核戦力は「100%最新装備化」され米国が後塵を拝することになると警告した。
「では米国はどうか。近代化はゼロパーセントに近くこれから始まろうかというところだ」とハイテン大将は2月28日に米陸軍協会会合で講演した。
ハイテン大将は宇宙配備ミサイル警報機能の実現が今後登場する極超音速兵器や大気圏再突入体の追尾に必須の装備として米ミサイル防衛体制に加えることと強調し、現在の体制は弾道ミサイルを中心に想定している。
「センサー探知効果では艦船も太平洋のレーダー施設も十分でなく、宇宙を活用せざるを得ない」(ハイテン大将)
ミサイル防衛庁(MDA)にはこの構想として中間軌道対追尾センサー(MTS)があるが、「あまりにも時間がかかりすぎる」とハイテン大将は述べた。
ハイテンは同時に汎地球規模のセンサー・レーダー網によるミサイル発射探知機能の向上を求めている。同様の装備はMDAがアラスカに長距離判別レーダー(LRDR)として設置ずみだが、もっと信頼性が高くないと確実な破壊につながらず、多数の物体を同時に識別する必要があるという。
だがハイテン大将の最大の懸念は米国が「迅速に事を進める能力を喪失した」ことだ。
「何かしようとすると永遠と思えるほど時間がかかる一方で敵側はこの問題に無縁のようだ。もう一度迅速に進める方法を樹立しないと敵に追いつかれる」
ではプーチンが発表した戦力の内容は以下の通りだ。「サーマット」は200トンのICBMで射程距離11,0000キロで現行のR-36ヴェーヴォダの後継となる。プーチンはサーマットの性能を自慢し加速段階が短時間のため米ミサイル防衛体制で迎撃は困難とした。同ミサイルは極超音速兵器含む各種核弾頭が搭載可能だ。
プーチンの背後の画面ではサーマットの攻撃パターンを北極、南極双方を経由で示していた。
サーマットは「アヴァンガード」地上発射式加速滑空制御可能極超音速兵器の搭載も可能でプーチンは対空網、対ミサイル網に「絶対無敵」と豪語した。アヴァンガードは機体表面が1,600-2,000度Cになり「隕石のような火の玉となって標的に飛ぶ」と述べた。
同時にプーチンは核動力巡航ミサイルを紹介し、飛行距離で制約がほぼ存在せず、「想定外の飛翔軌道」を飛ぶと述べた。米トマホーク同様に低空飛行のステルスミサイルと述べ、小型核ロケットエンジンを搭載するという。ロシアは2017年末にテストに成功したとも述べた。
ロシアは水中核動力無人機も開発し、プーチンは長距離を「極限の深度で」進み、速度は「潜水艦の数倍」と述べた。同兵器は「敵の対抗措置では破壊不可能」で通常型、核双方の弾頭を搭載し各種標的の破壊が可能という。
最後に「キンザル」(短剣)は高精度極超音速航空機搭載ミサイルでプーチンによれば核・非核両用でマッハ10で射程2,000キロのという。MiG-31から発射される様子が示されたが、飛翔中は一貫して制御可能なため米対空ミサイルやミサイル防衛体制をかいくぐることが可能だとプーチンは説明。性能はテスト済みで「試用投入」が昨年12月1日に始まったという。■
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。