スキップしてメイン コンテンツに移動

五輪大会に顔を出したペンス副大統領から対北朝鮮政策で重要な変更のシグナル

北朝鮮のしたたかさと韓国のあまりにも卑屈にしか見えない態度で五輪会場は政治の場になり、北朝鮮にメダルが行きそうですが、米国も実はしたたかな国です。これから丁々発止の動きが出てくるでしょう。日本は振り回されそうですがこの機会に戦略思考力を身に着けることができるでしょうか。

 

US signals major change on North Korea after South Korea's president agrees to meet Kim Jong Un

米国から北朝鮮政策で大変化のサインが出る一方で韓国文大統領は金正恩と会談を受入れ

Pence Pyeongchang Kim Yo Jongマイク・ペンス副大統領と金正恩の妹金与正が並んで冬季五輪を観戦した Getty
  • マイク・ペンス副大統領から米国の対北朝鮮政策で大きな変化が見えてきた。
  • トランプ政権は金正恩政権と条件なしで話し合う用意がある
  • ペンスの発表の前に北朝鮮が韓国の文在寅大統領に招待状を送り実現すれば金正恩と会談する初の国家元首になる
  • 北朝鮮は五輪大会で微笑攻勢をかけているが消息筋によれば立場は弱いので時間稼ぎしながら開戦を避けたいはずと見る

イク・ペンス副大統領から対北朝鮮政策で大きな変更の可能性が平昌冬季五輪から帰国中に示された。副大統領は厳寒の会場で金正恩の妹金与正 Kim Yo Jong と並んで観戦していた。
帰国途中のエアフォーストゥー機内でワシントンポストのジョッシュ・ローギンにペンス副大統領は米国は北朝鮮指導部と前提条件なしで対話の用意があると述べた。専門家がこれを政権にずっと期待してきた。
これまでトランプ政権は「最大の圧力」戦略で米国は同盟国とすべての手段を利用して北朝鮮を苦しめ、核放棄と交渉再開を求めてきた。
これに対し2月11日にペンスは「最大の圧力と並行して関与」を戦略とすると説明。
「大事なのは非核化で意味のある措置だと同盟側が一致して認められる事態が生まれるまで圧力はゆるめないことだ」とポストに述べ、「そのため最大限の圧力は継続し強化する。ただし相手が話し合いたいというならこちらも話をする」

北朝鮮の五輪微笑攻勢

North Korea cheer squad 5北朝鮮の五輪応援団 Grigory Dukor / Reuters
米政策で大きな変化が出てきたのは北朝鮮の微笑攻勢がオリンピック報道を乗っ取る状況が生まれたためで、ペンスは今回の訪韓でこれを阻止すると誓っていた。
だが金正恩は宣伝活動を統括する実の妹を送り込むことで韓国大統領文在寅に目に見える形で譲歩を示したと言える。
北朝鮮代表団からは文大統領に金正恩との直接会談を「早期に」実現する提案が出された。
この要望に関し北朝鮮は韓国に米軍との共同演習中止を求めず、在韓米軍の撤退も求めていない。ただし、核開発を中止するつもりはないとしている。
世宗研究所主任研究員のCheong Seong ChangはNK Newsに今回の北提案には「同国の深刻な国際孤立を脱する」狙いがあると見る。
トランプ政権の「最大限の圧力」が効果を上げ始めており、燃料費が急騰し、中国との交易が衰退してきた。
「金正恩は当初の南北会談への冷淡な態度を変換し無条件で頂上会談を行うと言っています」(Cheong)
ペンス副大統領は現時点の米戦略として南北会談を受けて米朝会談を実現することがあり、文大統領が北朝鮮の後を押してオリンピック会場で米側に話をさせようとしたと述べる。

北朝鮮の譲歩にもかかわらず状況は暗い

North Korea北朝鮮の農民。REUTERS/Damir Sagolj
米国を中心とする国際社会による制裁が効果をあげつつあるが、このまま良い結果が出ると見る専門家は少ない。
「基本条件が変わってしまった」とKorea Risk Groupのアンドレイ・ランコフがNK Newsに語った。「極めて危険な緊張の再来の先延ばしが数週間、数か月になるだけです」
だが文大統領が金与正の隣で五輪観戦する会場の外には抗議のデモ隊が北朝鮮国旗を燃やしていた。北朝鮮が提示する一方で米国は北朝鮮攻撃を検討中でトランプ大統領は同国の人権状況に鋭い関心を示している。北朝鮮には弱点があることため、話の内容に誠意があるのか疑わしい点もあるが、米国の最近の実績も決して芳しいものではない。
レックス・ティラーソン国務長官が北朝鮮と話し合いの用意があると発言した直後にホワイトハウスが否定している。ペンスは訪韓中も毎日トランプ大統領と話しており、意見は一致しているといったものの、当の大統領がツイートを出せばすべてひっくり返ることになりかねない。

朝鮮指導部が真剣に韓国と雪解けを望んでいるのか、それとも「鼻血」作戦の時間稼ぎや延期を望んでいるのか、今後わかるだろう。■

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ