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★「普通の国」になった日本を歓迎する世界(中国、南北朝鮮除く)が現実



Japan is Back on the World Stage 世界の舞台に復帰した日本





February 4, 2018


国グリニッジで12月に外交・国防両相と協議した河野太郎外務大臣、小野寺五典防衛大臣は東京でフランスの両相と並んでいた。日英2+2同様に日仏2+2も海洋安全保障が議題で共同声明では「自由で開かれたインド太平洋」を求め、法の支配による秩序を「共通の権益」とした。二回の大臣会合内容には驚かされるものがある。米国と日本は強固な同盟関係で結ばれている。英国、フランスは強い国防上のつながりを有する。フランス、米国、英国はNATOの有力メンバー国である。英国と米国はオーストラリアを入れてファイブアイズを構成し、そのオーストラリアは日本、英国、フランスと防衛面で二国関係を維持している。
北京、モスクワにより自由体制と法に基づく秩序は存続の危機にある。2014年を境に法の支配を基にした秩序は力を背景にした変革に道を譲っている。その年にロシアがクリミアを「併合」し、ウクライナ東部に軍部隊を出動させ1994年ブダペスト覚書を破った。また同年初めに中国艦船がジョンソン南礁で「埋立て工事」を開始した。ここは大量の交易輸送が行き来する場所で中国による工事には法的根拠はない。
両事案を非難する声明多数が発出されたが、対応に苦慮しているのが西側の現実である。妥協を知らない新大統領の選出やブレグジットも解決にならない。さらに日仏2+2および日英2+2で自由民主主義国家が結束を強めることになるのかも見えてこない。中国を「封じ込める」意図はなく、これ以上の野望を食い止めつつ法の支配を基にした秩序を強めるつもりなのか。また米-日-豪の三国関係、米-日-豪-印四か国関係としてみるべきだ。
中で特筆すべきが日本がそれぞれで中軸の役割を果たしていることだ。最近では1991年まで日本の安全保障上での提携国は米国のみの状況が続き、平和憲法に縛られたままだった。中国と南北朝鮮を除き、日本の実力再興と外交政策の強化は米国、オーストラリア、インドがいずれも日本が正常な国に復帰し、各国に加わったとして歓迎した。まだ日本の与党LDP自民党内の中心的リーダー、小泉純一郎、麻生太郎、安倍晋三の考え方を反映した変化である。この中で小泉は吉田茂首相時代後の初の首相となり、安倍は最大規模の変革を力強く主導する首相となっており、安全保障面で日本周辺のみならず欧州にまで影響を与えている。
安倍のもとで日本は単に防衛装備の充実を図っただけでなく、域内パートナーとともに集団的安全保障を可能とする法案を通過させ、さらに機密防護を狙った体制を作り上げた。ただ日本は広範囲に及ぶ情報活動の改革法案が未整備のままだ。とくに文民主導の情報機関の創設が緒についたばかりだ。この創設では日本は英国、オーストラリア、そしてもちろん米国を参考にすることができる。
日本がヨーロッパに関心を示す理由はいろいろある。まず日本とEUは自由貿易協定を今夏調印の見通しだ。これで日本は中国韓国や米国さえも抜いてEUの有力経済パートナーになる。現時点ではEUの経済関係では米国が一位、中国が二位で日本は七位と下位に位置する。経済関係の強化を背景に日本はフランス、英国とのつながりを強める。
日仏2+2は2014年に始まり、同年に中国とロシアは軍事力で法の支配を揺るがせ始めた。翌年に日英2+2が始まった。ともに日豪二国間協議と驚くほど類似しているのは従来は同盟国に限定されていた産業協力が議題になっていることだ。英仏両国は日本と武器移転合意を結び、一層の防衛協力が産業基盤を通じて行えるようになった。フランスとは水中機雷除去UAV案件、英国とは三菱電機製センサーを英メテオミサイルに搭載する話がある。両国とも米F-35事業の最上位関係国で、同ミサイルが将来総合運用性を獲得できるかを検討している。
その他にも着実な成果が生まれている。英国とは2015年に兵站面で物品役務相互提供協定Acquisition and Cross-Servicing Agreement (ACSA)を締結した。ACSAで両国は糧食、燃料、弾薬を融通しあい、補給活動を共同実施できるようになった。目的は共同作戦体制の実現だ。日仏間でACSAは未締結だが、共同声明では補給面での合意形成に向け作業中とある。
はここまで日本を動かしているのは何か。安全保障上の不安が背景にあるのは確かだ。中国の台頭を横目に日本は安全保障提携関係や防衛産業協力を西側諸国と進め疑似同盟関係まで強めることが対抗措置になると見ている。だが高次元の戦略と別に日本も防衛費の高騰、特に研究開発費の増大に直面している。60年前と今日の最先端戦闘機の開発でコンピューター処理能力の違いは歴然だ。英国やフランス程度の中位防衛大国への道を狙う日本がR&Dを効率よく進める方法、公平な入札方法、調達工程を国内構築するヒントを各国に期待するのは明白だ。こうした安全保障提携関係が完全な同盟関係に進展するのだろうか。現時点では今のままで法の支配に基づく秩序の強化に十分とはいえない
Dr. John Hemmings is director of the Asia Studies Centre at the Henry Jackson Society.
Image: Under Abe's watch, Japan has not only developed a national security apparatus, but pushed for collective security with regional partners.

まだ日本国内の「教育」が不十分です。これだけ先にお膳立てが進んでいるのですが、いまだに安全保障を国境線で考える傾向があり、「遠い」地点の出来事がなぜ日本の安全保障に関係してくるのか理解できない=したくない傾向がありますね。あるいは集団安全保障になぜ拒否反応を示すのか。「専守防衛」の意味を漢字で理解しようとしているからではないか、と筆者は感じます。まず自衛隊員が公務員という扱いでは戦時に困りますよね。過去の延長線でものを考えるのではなく、「あるべき姿」を考えてから現実を見つめてみるべきと思うのですが...

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