USAF's Controversial New Plan To Retire B-2 And B-1 Bombers Early Is A Good One 米空軍のB-2とB-1早期退役方針は物議をかもしても健全な案だ
The flying service is making the right sacrifices to ensure the B-21 Raider gets fielded in large numbers while making the B-52 all it can be.
空軍はB-21レイダーを大量調達しながらB-52の供用を確実にするべく代償を覚悟している
BY TYLER ROGOWAYFEBRUARY 12, 2018
読者の皆さんが航空機マニアだったり軍事技術に関心のある方なら米空軍が打ち出したB-1B「ボーン」とB-2A「スピリット」を予定より早く退役させる新方針には心穏やかでなくなるはずだ。爆撃機はとかく関心を集めやすく、愛着を感じる機体が多い。だが現実は厳しく、B-21レイダーが2020年代に第一線配備となれば、爆撃機四型式を維持する余裕がないと空軍は説明し、三型式の運用も困難だ。
2017年2月11日のAviation Week記事はUSAFが爆撃機の将来ロードマップを作成し、B-1BとB-2Aを2030年代中頃までに全廃する予定と報じた。このことにB-2運用部隊が目くじらを立てた。そもそも今世紀中頃までの運用を前提に各種改修を受けていたためだ。
USAF
現行の爆撃機三機種、B-52,B-1、B-2体制は1997年から続いている
ただしこの方針の背後にUSAFで最重要機材のB-21レイダーがあるのはまちがいない。同機は爆撃機と分類されるが、実態はステルスで高高度飛行可能な多任務かつ高度に柔軟な運用が可能な機体で長距離を飛び、給油機の助けなく敵地に飛ぶ機体である。また危険地帯を飛んでも安全に帰還し翌日また飛び立てる機体だ。同機こそ将来の戦闘作戦に絶対不可欠な機体で米国と拮抗する力を持つ大国との武力衝突をトランプ政権が新国防戦略に盛り込んだ今は重要さを増す一方の機体だ。
USAFは最低100機を整備したいとするが、空軍内外にもっと多数を求める声が強まっている。
NORTHROP GRUMMAN
B-21 レイダーの想像図
USAF原案ではB-1Bは2040年まで、B-52もほぼ同じ頃まで運用するとしていたが、B-52のほうがB-1Bよりも明るい未来がある。B-1Bは核運用能力がなく運行経費が著しく高い機体で稼働率も低い。B-2は2058年まで稼働してB-21と数十年間共存するはずだった。
ところが新方針でB-2を先に退役させることになる。2032年以前になるのは確実で、ロードマップ原案より15年程度早まる。B-1Bも2036年以前に退役することになった。
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B-2で稼働中な機体は20機弱で常時作戦投入可能なのは数機にすぎない。B-1Bは60機あるが、B-21生産が2020年代中頃に始まれば、一対一の形で旧型機と交代するはずで、まずB-21を80機運用体制にもっていき、B-1BとB-2Aは2036年に姿を消す。
新方針ではB-52Hの75機には手を触れず、2050年まで運用する。そうなると就役期間が100年を超える機体になる可能性が生まれる。新ロードマップでは2040年時点の爆撃機部隊を合計175機と想定し、B-52とB-21のみの編成とする。
B-2をここまで早く引退させるのは過酷な対策に見えるかもしれないが、20機弱という動機部隊は運行経費が著しく高価で保守管理も難題だ。確かに同機ならではの効果を提供してきたのは事実だが。
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だが同時にB-2の存在が今や当たり前に感じられながら運行経費の高さは他機種でできない効果で正当化されている。だがB-21の登場ですべてが変わる。ノースロップ・グラマンが製造するのはいわばB-2の「2.0」版で、これまでB-2の製造、維持で得た知見を投入しB-21はB-2を一気に抜き去る性能の存在になる。いいかえればB-21でUSAFははるかに高い性能を実現しながら、B-2を支援して得た知見やインフラまでの活用を狙っている。
B-1Bは非常に高性能かつ柔軟運用可能な機体になったが、たえずUSAFの爆撃機編成で存在意義が難しい機体であった。1990年代に核運用能力が取り除かれると同機の存在そのものが問われた。対テロ戦で戦術爆撃機として成功し、スナイパー目標捕捉ポッドを機内エイビオニクスに接続して近接航空支援能力を新しく獲得した。だがこうした通常戦能力があっても空軍内でB-1Bが特別の存在になったわけではない。
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B-1Bにスナイパー目標捕ポッドがついた
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爆撃機を四型式250機配備すれば支援体制が大規模になり、各種機材の運用経費は負担範囲を超えるだろう。新プランでも爆撃機総数は157機から175機の範囲となり、B-21製造が100機を超えればさらに増える。それでも機種が三型式から二型式になれば十分対応可能だろう。
そうなるとB-2とB-1の生き残りは困難だ。この二機種廃止で以下の長所三つが生まれる。
まずB-21を最低でも100機配備するには長期間が必要でその間同機を守る必要がある。USAFにおける爆撃機運用実績を見るとB-52からB-2までペンタゴンの死のスパイラルに注意が必要だと分かる。
B-21開発は順調に進展中で予算以内に収まっているようだが、秘密のベールに隠されているため確かなことはわからない。とはいえ、USAFにこの機体が将来必要となるのは確実であり、他機種より優先されるべき機体だ。そこで同機実現に向け現実的な資金投入に努め機体が完成後戦力化まで支援を緩めるべきではない。
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二番目に新プランでB-52H用の改修予算が生まれる。とくにエンジン換装で同機運航の信頼性と経済性の実現に繋がりながら、ペイロードや航続距離を増やす性能向上が手に入る。AESAレーダーと今後登場する長距離スタンドオフ(LRSO)ステルス巡航ミサイルを搭載すれば核・非核両用でBUFFは今後も武器運搬トラックとして数十年間供用に耐えるだろう。
その他の改修にレーザーやアクティブミサイル防御装置があり、生存性が高まる。またスタンドオフジャミング用ペイロードも搭載するだろう。こうしてB-21を補佐する能力が実現し、B-21が敵攻撃をかいくぐる攻撃・偵察ミッションを行う。
最後に新プランでB-21の核運用能力が遅延することなく実現し、B-2Aの敵地侵入核攻撃任務を引き継ぐ。核ミッションを早期に実施し、無人機になるB-21運用をUSAFは公式文書で思い描いている。
新ロードマップはペンタゴンが発表した新核戦争対応検討とも符合し、現時点より多くの核兵器運用手段を求めている。B61-12新型核爆弾を搭載すればB-21の大編隊は一回の出撃で多数地点を目標にし、かつ柔軟に途中で呼び戻すことも可能となる。
USAF
こうした三点以外に今回発表された「爆撃機方向性」では現状のUSAF各機材の運用の裏側が見えてくる。
Air Force Magazineによれば、飛行時間当たりの整備に要する時間は以下の通りだ。
- B-1B:74 時間
- B-2A:45時間、ただしステルス機体表面の整備時間を含めず実際はもっと多い
- B-52H:62時間
だが重要なのは機体の稼働性(飛行可能な機体であること)とミッション実行率(戦闘システム全部が機能する状態で飛行できる機体)で差は大きい。
- B-52Hは稼働率で平均80%をここ5年間維持
- B-1B と B-2Aは稼働率平均50%
- B-1Bのミッション実行率は平均40%
- B-2Aのミッション実行率は平均35%
- B-52Hのミッション実行率は平均60%
飛行時間当たりの経費は以下の通り。
- B-1Bと B-52H は平均 70千ドル
- B-2の平均は110-150千ドルでUSAF機材中最も高価な運航コストの機体だ
B-52HとB-1Bの選択は単純に数字の面からあきらかで、B-52が新エンジン換装他改修を受ければさらに性能が上がる。B-2の場合はもともと生産数が少ないことで当時は最高水準の性能だったがそれ以前にステルス爆撃機そのものが存在していなかった。だがそれでも数字は数字であり、B-2の機材としての総合性能は低いと言わざるを得ない。
TYLER ROGOWAY/AUTHOR
B-21は成熟技術を中心に半成熟技術による部品やサブシステムを採用しリスクを下げつつ同時に長期供用期間を実現する。B-21の将来の活躍を過去の事例から考えようとする向きが多いが、前身の機体の運命を回避すべく作られた機体は今まで存在していない。事業の進め方や従来の調達方法と異なるが、そもそも同機の要求性能は15年以上前に凍結されており、追加要求や変更で高価格化になる道を閉ざしているのだ。
B-2ではこのような形で設計が大きく変わり、機体価格は大幅に上昇したが、一回も使わない性能内容に大金を払ったのだ。B-21ではこれを教訓とし目標水準の実現に直結する性能に焦点を当て、コスト面でもB-2の恐ろしい経過を繰り返さないようにしている.まだ同機の成功が保証されたわけではないが今後の予想をするのには十分だ。
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そうなるとほろ苦いが同時に重要なニュースとなりB-21の狙いが実現に向かうだろう。もしUSAFがハイエンドのB-21だけで爆撃機部隊を編成すれば、悲惨な結果になる。逆に今回の空軍の選択はハイローミックスの爆撃機編成で評価されるべきだ。
大事なことはB-2やB-1退役の前にB-21の優秀な性能を実現することだが、開発段階で困難な課題に直面しても大日程表の日付をいじる余裕はない。
TYLER ROGOWAY/AUTHOR
結局、USAFはこれまで使ってきた機種の一部を犠牲にする必要があるのであり、欲しかったステルス爆撃機部隊が最後には実現するだろうが、30年前と違い成熟技術で信頼性を高く、より高い戦力を実現するはずだ。
同様にB-52Hも長年素晴らしい働きを示しており、史上最高の機種になりそうだ。過去何年も合理的な判断が出来てこなかった空軍としては実に合理的な判断だと言える。厳しい選択でも論理的に正しい選択をUSAF上層部が下せることを示している。
この新プラン発表後や2019年度予算でB-21の広報キャンペーンが始まりそうだ。予算手続きは始まっており、レイダーの姿を目にできそうだ。■
久々にコメントを残します。
返信削除私には空軍案は妥当に思えますね。
3機種運用での整備コストと新型ステルス爆撃機は何を代替するのかを考えると運用機数の少ない、しかし整備コストが過大なB-2。それとB-1・B-52のどちらかになりますがB-52は非常に古いターボファンエンジンやその他の改修で空気抵抗係数や燃費が改善して航続距離が延伸出来る上に整備コストでも亜音速域での運用である為に超音速機であるB-1より優れていると思います。限られた予算でB-21の大量導入を確実にするには堅実な案ではないでしょうか。