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中国潜水艦が2003年に恐ろしい事故に遭遇していた

潜水艦を運用する国は増えていますが、特に中国の潜水艦の数的拡大はずば抜けているのですが、高度の建造、運用、訓練が不可欠であることを数々の事故が物語っています。各国で事故が発生しないことを祈るばかりです。

In 2003, a Chinese Submarine Sank Mysteriously. How the Crew Died Is Horrifying. 2003年発生した中国潜水艦の謎の沈没事故で乗員は恐ろしい運命に直面した


February 16, 2018


2003年4月25日、中国漁船が水面に浮かぶ潜望鏡を見つけた。同船は人民解放軍海軍(PLAN)に通告すると早速現場に二隻が到着した。
 当初PLANは韓国や日本の潜水艦の一部と考えたが、漂流物から自軍のディーゼル電気推進型潜水艦明級第361号艦と判明した。
 翌日艦内に乗り込むと乗員70名が全員配置のまま倒れて死亡していた。
 軍事委員長の江沢民主席が悲劇的な事態を2003年5月2日に声明文で認め中国海軍人員の犠牲を招いたのは「機械故障」とあいまいに背景情報を伝えた。
 一か月後の調査結果から北海艦隊の司令官、政治将校が更迭され、「不適切な指揮統制」が理由に幹部6-8名も降格など処分を受けた。江沢民と跡を継いだ胡錦涛は回収された潜水艦を訪問し遺族と面会したと伝えられる。
 中国政府は自軍の事故で透明性は眼中にない。たとえばジェット戦闘機墜落の調査報告は公開せず、潜水艦事故でも事実を一切認めてこなかったのだが、この事件では事実を認めて解説者を驚かせた。当時流行していたSARSを軽視して批判を浴びたのをかわそうとしたとの観測も生まれた。
 明級035型潜水艦は大戦時ドイツのXX1型を基にしたソ連ロメオ級の派生型ですでに時代遅れだった。035型の最初の二隻は1975年完成だったが、同時期の米、ソ連それぞれの潜水艦と比べて探知は容易だった。中国はディーゼル潜水艦多数を建造したが、耐候性に難があり沿海域を超える航行はまれだった。
 それでも中国は改修した明級を1990年代まで建造し続けた。361号艦はこの大型化035G明III級の一隻で潜航中の敵艦と誘導魚雷で対戦する能力が実現した。就役は1995年で同艦含め4隻が北海艦隊の第12潜水戦隊として遼寧省に配備された。
 361号艦は渤海、黄海で演習に参加したが、異例なことにCheng Fuming代将が乗艦していた。同艦最後の航海日誌4月16日付けによれば長山島沖合で無音潜航訓練にあたり山東省威海Weihai基地に帰投するとある。
 無線封印のためPLANは10日間にわたり状況を把握できなかった。361艦の回収方法は現在も不明だ。複数筋によれば沈没していた同艦は母港に直ちに回航されているため浮上させたのだろう。
 公式説明がないため想像が多数生まれている。035型潜水艦の乗員は通常35名ないし37名なのに70名が乗艦していた。訓練教官という名目だが、艦内は相当混雑していたはずだ。追加乗員と代将の乗艦で361号艦が通常任務とは違っていたとの結論が出る。
 一部解説では追加乗員は試験装備の大気非依存型推進 (AIP) の運転を視察要員とある。たまたまもう一隻の035G型潜水艦308号艦がAIP推進の試験に投入されており、ス041型元級潜水艦にターリングエンジン式AIPが搭載され今日に至っている。
 別の説明では浸水がバッテリーの酸と触れ猛毒の塩素ガスが発生し乗員が窒息死したとする。香港の星島日報Sing Tao Dailyは同艦は「危険な」対潜水艦戦訓練に従事し、「人的エラー」により艦首を降下させ制御できなくなり、海底に衝突したとする。
 ただし広く信じられている説明は香港の北京寄り新聞文匯報Wen Wei Poが伝えるディーゼル機関の排気で乗員が窒息死したとするものだ。
 通常型ディーゼル電気推進潜水艦は大気を燃焼するディーゼル機関で海中航行用にバッテリー充電をする。充電は通常は浮上時に行うが、探知を避けるため水面ぎりぎりに潜航しスノーケルで空気を取り入れることがある。スノーケルは波高が高いと自動閉鎖する。
 文匯報によれば361号艦はスノーケルでのディーゼル運転中に高波で空気取入れ口が閉まった、あるいは弁が完全に開放しなくなった。だがディーゼル機関は停止しなかった。
 機関が艦内空気をほぼ2分で消費尽くしたようだ。乗員は軽い頭痛と域狂しさを最初の一分で経験し、二分目に意識を失った。また艦内が陰圧でハッチが開けなくなった。2013年のロイター記事でこの説明が紹介されており排気が艦内に循環され深刻な事態を招いたとある。
 こうした説明から中国で潜水艦乗員の訓練とともに機構にも深刻な欠陥があったことを示している。
 アルゼンチン潜水艦サンフアンの不幸な失踪が最近発生し、ロシアのキロ級潜水艦もウラジオストック係留中に火災事故を起こし(モスクワは演習と説明)、インドの原子力潜水艦アリハントでは浸水事故があり幸い人命には損害が発生しなかったが、最高の威力を持つ装備と言われる潜水艦が平時でも乗員に危険な装備だと分かる。乗員のちょっとした気のゆるみや機械故障が海のステルス殺人メカをいきなり海の棺おけに変えてしまうと如実に示している
時の事故を防ぐためには高い保守管理、建造技術の水準、乗員訓練しかない。すべてを高水準に保てるのは一部国しかないが、PLANは急速に潜水艦戦力を拡充する中ですべて実現して維持したいと考えているはずだ。■
Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

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