Air Force ISR ‘Flight Plan,’ Industry Day Coming: Stealth, Space, Cyber, & AI 米空軍ISRの「フライトプラン」が業界向けに発表され、ステルス、宇宙、サイバー、AIの活用をうたう
B-21爆撃機はステルス偵察機、情報収集機として敵領空内に深く侵入する
CAPITOL HILL: 米空軍がハイテク開発のロードマップ「フライトプラン」を情報収集監視偵察の強化にむけてまとめている。無人機を際限なく調達して一層多くの情報を収集し、解析要員を限りなく雇用することは不可能とISR担当参謀次長ヴェラリン・「ダッシュ」・ジェイミソン中将 Lt. Gen. Veralinn “Dash” Jamiesonが説明している。新戦略では衛星、サイバー空間、F-35やB-21のような高性能航空機材、さらにインターネット上の一般公開情報に加え、人工知能も動員して莫大な量の情報分析に役立てるとある。
ジェイミソン中将
構想では五か年国防計画 Five-Year Defense Plan (FYDP) への予算投入を2035年まで重視するとジェイミソン中将が説明。文書として完成するのは今春だが2月2日業界向けイベントでその先に説明する。
「ISRフライトプランでは情報収集監視偵察活動を宇宙、航空、サイバーの各分野でどう進めるかを検討する」とジェイミソン中将は空軍協会ミッチェル研究所主催のイベントで記者団に語った。
「DoD以外でどんな手段が他に使えるのかという点が最重要」とジェイミソンはペンタゴンの調達制度で開発されている「精巧なまでに」特化した高価格装備に言及している。
武装したMQ-9リーパー
多任務同時実施 Multi-Mission
ジェイミソン中将はマイク・ホームズ大将 Gen. Mike Holmes(航空戦闘軍団)と一緒に新技術の迅速な実戦化を目指しているという。戦闘航空軍団は戦闘機とISR部隊両方を運用しているがジェイミソンとしては境界線をあいまいにして同じ機体でミッションを両方実施させたいと考える。多用途機材なのに一つだけミッションをさせる余裕はないという。
新しい方法論で新装備をめざす。F-35共用打撃戦闘機が第一線に入りつつあり、B-21レイダー爆撃機の開発は時間がかかるがステルススパイ機として敵領空に侵入できる機材になり、敵脅威の位置と標的を捕捉し味方に伝えてくれるはずだ。「次世代長距離センサー機材が『爆撃機』と呼ばれる」とミッチェル研究所を率いるディヴィッド・デプチュラ退役空軍中将は語る。「いまだにF-35やF-22を戦闘機と言う人がいるが、実はちがう」
同時に空軍は既存装備に新用途を見つけられるはずとジェイミソン中将は言う。MQ-1プレデターやMQ-9リーパーに偵察ミッションやヘルファイヤーミサイル攻撃をさせる。だが空軍の定めた機材別任務命令Air Tasking Order (ATO)制定ではいまだに無人機をISRまたはCAS(近接航空支援)用と定義しているが、無人機で両方を一度に実施できる。
最新版の多ドメイン戦闘の概念図改訂版では第七領域として「戦略的深部攻撃」を加え陸軍の担当範囲を超えつつ空軍の担当でもないとしている。「攻撃」を航空攻撃、ロケット攻撃、からサイバー攻撃まで広範囲にとらえており、従来の地理区分上の戦闘帯を超えている。
多ドメイン Multi-Domain
既存、将来双方の機材でミッションを多様に行わせる以外に、ジェイミソン中将は空中ISR機材に宇宙やサイバー空間で集めた情報を統合させたいと考えている。このためチャンス・「ソルティ」・サルツマン准将Brig. Gen. Chance “Salty” Saltzmanの協力を得る。准将は空軍が新しく提唱する多ドメイン指揮統制Multi-Domain Command & Controlの実現でカギを握る人物だ。
MDC2は空軍参謀総長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将本人が高い優先度を置く構想で、単一ネットワークで空軍が運用する三つのドメインである空中、宇宙、サイバー空間内のセンサー、攻撃、支援の各機材を接続することがねらいだ。これを陸軍の多ドメイン戦闘Multi-Domain Battle構想にリンクさせる。陸空軍それぞれの多ドメイン構想ではあらかじめ担当分野を定めているが攻撃を仕掛ける敵への対応では担当にこだわらずすべてを統合していく。
次世代統合作戦の調整には大量の情報を収集、共有し活用することが必要だ。「多ドメイン指揮統制機能とはデータ融合で戦術面より上に情報を取り出すことと見ている」とジェイミソン中将は報道陣に語った。
ロッキード・マーティンのMDC2 ウォーゲーム
データ駆動 Data-Driven
多ドメイン指揮統制の一部としてジェイミソン中将は「来年再来年に」空軍がISR要員と情報処理技術部門をまとめて「データから意思決定へ」のソフトウェア実験を行うと述べた。ねらいは生データを意思決定権者に役立つ情報に変換する作業の整流化だ。
現在の情報入手は運用機材やセンサーの種類に依存することが多いとジェイミソンは述べる。分析官が手動で大量の情報から有益な情報を苦労して仕分けしており、無用な情報の山となることもある。そうではなく、空軍は「情報を武器と見て」収集方法を考慮の上、機材や兵器と同様に活用する必要があると説く。
フロントエンドではISR作業を指揮官の実際の必要に応じてカスタム化を進めるとジェイミソンは説明。例として「MQ-9に『プラグアンドプレイで各種センサーを使い分ける』オープンミッションシステムがある」と述べた。
バックエンドの解決策の一つが人工知能の利用で情報分析官が大量の情報を処理するのを助けることだ。巨大データセットで特定のパターンや異常を見つけるのはマシンラーニングやビッグデータ処理の得意分野だで、担当官に時間を作り人間の創造性と直感を最大現活用させる。そのほかにもペンタゴンのプロジェクト・メイヴン Project Maven(アルゴリズム戦機能横断チーム)とも新規の情報解析ツールの作成で共同作業しているという。
「着任すると参謀総長と次世代ISR機能の実現に向けてどうすべきか率直に話し合いました。これまでは手動作業がとても多くこのままの状態は維持できないのです」(ジェイムソン中将)■
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