ちょっとしつこいのですが、韓国が空母機能を追い求める理由について考えてみましょう。日本とは戦略の方向性が違う韓国が日本の方ばかり見ているとしたら大変不幸なことだと思います。韓国がこの構想を現実にするとしたら西側陣営に残る最後の試みになるかもしれません。
South Korea May Turn Its Assault Ships into F-35 Armed Aircraft Carriers
韓国が強襲揚陸艦をF-35運用空母に変えようとしているが
January 5, 2018
韓国は保有する強襲揚陸艦を空母に転用するのか。聯合通信配信の記事では韓国軍関係者が14千トンの独島級揚陸強襲艦でF-35B搭載を検討中という。
「軍上層部がF-35Bを小規模導入し就役済み艦、建造予定艦での運用を検討した」と記事が匿名軍事筋の話を伝えており、「知る限りでは構想は同艦の戦略価値を最大限にする意味で重要視されている」とも述べたという。別の匿名筋は「F-35B運用が独島や新造艦で可能なのか検討を継続する」という。
独島級は一隻が就役中でもう一隻の建造に入っている。初号艦は2005年進水し2007年に就役した。その時点で韓国は三隻を建造するつもりだったが予算制約で二隻になり、一時は二号艦予算も削除されたが現在は回復している。満載排水量は18千トンではヘリコプター15機と海兵隊員720名を搭載する。
韓国は共用打撃戦闘機開発に関与しており、F-35A40機導入を2014年に67.5億ドルで決定した。ただしF-35BSTOVL型が独島級での運用に必要だ。このため韓国が聯合通信記事通りに案を実現するのならF-35Bを追加調達し揚陸強襲艦を固定翼機運用に改装する必要がある。
どこかで聞いた話との感覚になるのは日本が全く同じことを計画中との報道があるためだ。日本が巨大ないずも級ヘリコプター駆逐艦2隻を改装するとの記事はたくさん出ており、やはりF-35Bを運用するとある。
いずも級でF-35B運用を可能にする改装が先に報道されており、匿名筋によると「飛行甲板の端にカーブ付きランプを追加し、飛行甲板の熱耐性を引き上げ、航空管制能力を強化する」のが内容だという。聯合通信記事も同様に独島級の飛行甲板をF-35Bの高温度排気に耐える形にするとしている。いずもと独島のちがいは排水量だ。National Interestに多く寄稿しているロバート・ファーレイは「14千トンの独島級はいずも小さく、性能は低くなる。独島は大改修でF-35B運用が可能となるはずで、二号艦でも大幅改修が必要だ」と解説している。ただ決定的な欠陥ではなく独島より若干大きいだけの軽空母は存在する。それでもファーレイは独島級が小型空母に転用されれば揚陸能力はあきらぜるを得ないと書いている。
ここで重要な疑問が生まれる。なぜ日韓両区が疑似空母の取得に急ぐのか、他の重要機能を犠牲にしてまで急ぐ理由は何か。つまるところ日本も韓国も外洋海軍力で兵力投射を遠距離地点に行おうとしているのではない。日本政府は中国が陸上航空基地を開戦当初に攻撃する前提で小型空母が必要と考えている。ファーレイの指摘のようにSTOVL機なら奇襲先制攻撃を受けても有効活用できるのだ。
聯合通信記事は韓国にとっての必要が明確に示していないが、日本報道が出てすぐに表れたことから自国の面子が相当大きな意味をもっているようだ。日本の意思決定でも同様に見栄が大きな要素になっている。と言うのは記事が出てきたタイミングは中国初の国産空母の完成が近づく中で出てきたためだ。皮肉なのは空母に将来があるのかと疑問を呈するものが米国で多くなっていることで、アジアで中国、ロシア、インド、日本、韓国が空母取得に走る中で、急ぐ背景に本当に意味の戦略的考察があるのか明らかではない。■
Zachary Keck (@ZacharyKeck) is a former managing editor of the National Interest.
Image: Reuters
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。