かなり現実的に見ている文だなと訳しながら思いました。外交の世界では現状維持というのは大きな意味を持つので、趣旨はそのとおりなので開戦に向かうとすれば、トランプ政権がやはりカギを握るのでしょうか。ただし、北朝鮮と言う「悪」との共存は不可能と考える向きには今回の趣旨は受けいられないはずですが、戦争はない方がいいのは当たり前なので、この予測が今年通じて正しいことを祈りましょう。
There Will Not Be a War with North Korea in 2018 (Unless America Starts One) 2018年中に北朝鮮と開戦の可能性はない(米国から開始しない限り)
January 3, 2018
恒例の新年予想予測の時期になった。中東、米国、中国と大型案件では予測は難しいが、北朝鮮は簡単に予測できる。米国との戦争はワシントンが開戦を選択しない限り起こらない。西側メディアから大規模戦闘のがけっぷちと思わされているが、これは実に不正確だ。北東アジアで戦争の可能性があるとすれば核兵器保有の北朝鮮とは共存は絶対不可能とドナルド・トランプ政権が誤って主導した場合だ。地域内の関係国すべては北朝鮮の新戦力に適応しようとしている。
もちろん北朝鮮の核兵器保有すを望む国はない。ただし不安不快でも受け入れようとする動きがある。北朝鮮が歴史上で最も危険な国であることは皆が理解しており、統治が低劣なことも分かっている。南北の小規模衝突が拡大すれば次回は核兵器投入につながることに全員が恐怖を感じる。また北朝鮮の核兵器の保管状態にも神経質になるし、同国内の管理状態の欠如でチェルノブイリ型の事故が発生するかもしれない。北朝鮮の武装で周囲国が恫喝を受け譲歩を迫られる可能性がある。韓国なり中国が現金による「援助」を与えないと同国が爆弾を「喪失」する可能性がある。
だがこうしたリスクは「血みどろ」のオプションとなる軍事攻撃や大規模会戦よりましと地域内は見ている。大規模戦闘のリスクが2017年通じ散々メディアが伝えており、ここで繰り返す必要はあるまい。「血みどろ」のオプションもリスクがあることでは同じだが、連合軍側つまり韓国や日本のメディアは通常戦と比較してこのオプションにあまり不安を感じさせる内容は伝えていない。当然ながら中国とロシアはこうした動的な行動に強く反対している。
端的に言えば地域内の関係国すべてが現状維持を図る勢力である。中国、ロシア、日本、南北朝鮮いずれも現状の国境線や国際社会内の地位を書き換えようとは思っていない。このことはディヴィッド・カンが容赦ない書きぶりの著書American Grand Strategy and East Asian Security in the Twenty-First Centuryですでに伝えている。東アジアでこの40年間は戦争を回避しており、最後の大規模交戦事例は中国がヴィエトナムを侵攻した1979年だ。また北東アジアで北朝鮮の挑発で緊張があるのは確かだが予想に反しまだ戦争に発展していない。
たしかに地域内各国が変化を望んでいることも事実だ。中国が地域支配をねらっているとタカ派は恐れる。日本は抱える領土問題多数を自国有利に収めたいと願う。南北朝鮮はそれぞれ自国憲法で有効な主権を全土で主張する。局所的に不満が多く、そのため修正主義の外交政策に走る可能性は残る。だがそうした理想的目標より各プレイヤーが迫られる代償が関心を呼ぶはずだ。南北朝鮮は何度も統一を口にするものの真剣に統一に向かっていない。修正主義を口にするが両国は実際は現状維持勢力である。
興味深いことに米国が北東アジアの関係六カ国で現状維持の意識が最も薄い。著者は韓国で10年近く居住して米国の安全保障専門家のほうが統一に前向きでこの論点を韓国側より強く主張する傾向に気づいた。韓国は一時的にせよ北朝鮮の存在を前提で平和を構築し米国側はこの事実を受け入れようとしない。日本、中国いずれも力の行使で北朝鮮の核武装を抑えると口にしていない。米国だけだ。
おそらくその理由は米国ではコース修正を公然と主張しても代償が低いためだろう。もちろん米国は地域内では中途半端で好奇心たっぷりのプレイヤーで、米国のビジネスや安全保障の投資面も同じだ。米国は地理的にも文化的にも遠隔に位置する国だ。あるいはトランプの心理状態が関係するかもしれない。大統領は大言壮語が好みのようで政治姿勢は伝統的なナショナリストで男らしさに酔う傾向があり容赦なくなることがある。
理由はともあれ2018年に新朝鮮戦争勃発の構造が見当たらない。抑止が何十年も機能してきた。新たな核の環境でも機能するはずで、北朝鮮含むすべてのプレイヤーに戦争のリスクを冒してまで地域内の秩序を塗りかえるだけの真剣さは見当たらない。それでも米国が開戦に踏み切れば自ら望んでの戦争になる。■
Robert Kelly is an associate professor of international relations in the Department of Political Science at Pusan National University. More of his writing can be found at his website. He tweets at @Robert_E_Kelly.
Image: Reuters
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