Would China Invade North Korea?
中国は北朝鮮に侵攻するのか
December 1, 2017
朝鮮半島で軍事行動が論じられる中、話題に出てこない国は中国だ。中華人民共和国は予測不可能で悪名高い隣国と880マイルにわたり国境線で接しており、強大な軍部隊で国境の安全はなにがあっても確保する姿勢だ。軍事行動が現実になるとすれば北京の選択肢、軍事力行使の選択肢はなんだろうか。
- 北朝鮮は中国にはありがたい存在でもあり面倒な存在でもある。朝鮮民主人民共和国は米国等に公然と敵意を示す独立国だ。同国の兵力は中国の抑止力となる。このため中朝国境の南に構える政権は米勢力圏にことごとく反発し自国防衛体制を整えている。
- 状況は完ぺきとはいいがたい。北朝鮮はずっと中国の属国だったが両国のつながりはここにきて悪化している。火のつくような平壌の反米論調と核兵器開発が米国を挑発し、米中間の大きな争点になっている。北朝鮮の目に余る国際規範違反は中国政府の忍耐力を試している。
- 中国が北朝鮮への介入準備に入ったとのうわさが絶えない。北政権崩壊後か北が中国に深刻な脅威になった場合を想定している。その準備内容は北京政府以外には知りようがないが、シナリオは紹介できる。一つ確かなことがある。中国が北朝鮮に入った時点で金正恩あるいは後継者はそのまま残ることはできない。
- 可能性があるシナリオは北政権崩壊後に中国が北朝鮮に進軍することだ。軍事クーデターやシリアのような反乱の勃発でも現政権は転覆される。しかも急速に。これが発生すると、国内食糧配給が止まり、難民が国外脱出を試みるだろう。韓国との国境は要塞化されており、ロシア国境は遠く、中国国境越えが一番楽だ。
- 中国政府は国内治安維持に強迫観念を持ち、難民が数百万単位で中国北部に入るのは許容できない。中国の観点では難民は北朝鮮国境を超えない方がいい。政権崩壊の場合は人民解放軍(PLA)の北方軍区の三個軍団が南進する。選択肢として北朝鮮を緩衝地帯にしても、政治経済上の不安定さを解決できない。PLAが南進するのであれば、平壌まで一気に進軍して傀儡政権を樹立し、一定の安定度を確立しようとするだろう。
- 最も可能性が高いシナリオが全面侵攻で現行の北政権を転覆することだ。朝鮮人民軍(KPA)には装甲機械化歩兵師団、砲兵隊が16軍区に展開しているが、中朝国境に配備しているのはうち2個だけだ。KPAのほぼ7割は平壌と元山より南の地域に集中し、韓国への侵攻に備えている。
- 中国の北方軍区に78、79、80の各地上軍団がある。米陸軍兵団に相当し、混成旅団18個を特殊作戦旅団、航空旅団、砲兵旅団、工兵旅団が各3支援する。これでPLA軍は紙の上では米陸軍戦闘師団5-6個に相当する戦力となる。さらに中国空軍の航空攻撃師団2個の支援があり、PLA三個軍団は迅速に渡河しKPAの背後から南方へ進軍する。
- KPAはどこまで抵抗するだろうか。状況次第だ。平壌政権がその時点で健在なら中国部隊は相当の抵抗にあうかもしれない。燃料不足で北朝鮮の残りの14軍団は移動がままならず、中国軍を迎え撃つことができない。政権が崩壊すればKPAは指導者のいない飢えた集団になるが武装していることは変わりない。中国はKPA首脳部と良好な関係作りにつとめ中国軍進駐に抵抗することなく秩序維持を求めるはずだ。
- PLAが戦時に機能するかは予見できない。中国の大規模軍事行動は1979年の対ベトナム戦が最後だ。古めかしく効果が低い戦術を使った中国地上軍は戦場で鍛えられたベトナム軍の前に大損害を被り、最高司令官鄧小平がこのような代償の高い戦いは繰り返さないぞと誓ったほどだ。となるとPLAが確実に任務実行できると確信できて初めて中国は攻撃命令を出すだろう。
- ただし今日のPLAは当時とは比べようのない野獣になっている。PLAには戦闘経験豊かな米陸軍の技術水準はないが、KPAよりは上のはずだ。習近平は繰り返し「戦闘可能態勢」を求めており、戦闘以外に汚職追放にも言及しているが高機動機械化戦への備えが平壌への進軍で効果を見せるだろう。
- 中国軍の進撃で最大の危険は米韓連合軍も同時に北に進軍することだ。北から、南から進軍する部隊間で衝突が発生する可能性は極めて現実的だろう。
- 平壌政権の全面崩壊を防ぐべく中国がすぐにも進軍する可能性は低い。経済、政治、軍事上の対価が国境地帯の軍部隊を使った進軍の代償より多い。少なくとも今は。ただし計算条件が変われば躊躇せず隣国に介入してくるだろう。ただし中国、韓国あるいは他国がその際の結果を想定し準備しているかは別の問題だ。■
Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009, he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.
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