北朝鮮ばかりに目をむけるのではなく、本質的に警戒すべきちゅごくの軍事力、作戦構想、行動を意識しなければアジア太平洋の安全保障は片手落ちになるよね、という当たり前の話なのですが、統合参謀本部議長に同行する報道陣に背景説明する米関係者の力の入れようがわかります。日本の記者は同じ話を聞いても勝手に解釈した「解説」をしてしまうのでしょうか。一時ほどではありませんが、中国の取り扱い方にはまだ遠慮した内容がめだちませんか。
China has practiced bombing runs targeting Guam, US says
中国はグアム空爆の予行演習をしていると米国が発表
U.S. military officials are concerned over China's increasing air power in the Asia-Pacific region. One activity by the Asian nation is proving especially worrisome.
米軍関係者は中国空軍力がアジア太平洋地区で強化されている現状に憂慮している。
JOINT BASE PEARL HARBOR-HICKAM, Hawaii — 中国が米領グアムを標的に爆撃演習を行い、その他行為とともに米側に中国が北朝鮮以上に太平洋地区最大の心配の種だと改めて感じさせている。
- 南シナ海人工島への中国による軍事施設構築はよく知られているが、中国は同時に大規模の戦闘機部隊を整備し、東シナ海、南シナ海さらにその先で連日のように演習を行っていると米軍関係者は指摘している。中国の非軍事手段も米国の作戦実行を困難にする手段と見られている。
- 米関係者が中国の過熱する動向を伝えたのは統合参謀本部議長ジョセフ・ダンフォード大将Chairman of the Joint Chiefs of Staff Gen. Joseph Dunfordの視察旅行に同行する報道陣向けブリーフィングでの席上だ。
- 同関係者は北朝鮮の脅威が高まっているが同国との武力衝突は「米側の勝利に終わる」と楽観視しつつ対中戦には「懸念している」と違いを明白にした。
- ダンフォード大将は「軍事力だけを見えれば中国はまだ整備中だがこちらが太平洋各地の同盟国の要望に応える力を維持する必要がある」と述べた。
- 昨年の日本による中国機へのスクランブル回数は900回を超え、中国は2013年に独自に防空識別圏設定を発表して範囲は日本のADIZと重複し、尖閣諸島も含んでいた。それ以降、空中での日中緊張が高まり、日本は那覇航空基地に戦闘機飛行隊2ケを移転させたと関係者は語る。
- 「今や連日のように中国の武装フランカーと日本機が対峙している」と関係者は相互に接近しているとし、米中間でも迎撃事例が増えているという。「PRC軍用機が米軍機を迎撃するのもごく普通になっている」と同関係者は中国の略称を使って述べている。
- また中国機の米防空識別圏への接近も増えており、H-6K「バジャー」爆撃機が射程1,000マイルの空中発射巡航ミサイルを搭載しグアム島周辺で米防空体制を試している。バジャー編隊は「定期的に」米領の範囲内に飛来して「PRCはグアム攻撃を訓練している」という。
- フライトの大部分は「危険飛行」など問題を起こさず発生しているが、同関係者によれば米太平洋軍ガイドラインにしたがい、万一の事態に備えつつエスカレーションを回避しているという。
- 米中間の軍組織同士の関係は今でもオープンだが、管理下にあると同関係者は述べている。米中関係者は年二回の軍事海洋協議合意に基づく会議で顔をあわせており、安全保障全般とともに侵犯事案を取り上げている。
- 中国の戦闘機・爆撃機の活動拡大は中国のめざす「戦わずに勝つ」作戦の一部として、中国の望む形を徐々に日常に根付かせる動きのあらわれだ。
- 圧力は他にもある。例として同関係者は人民解放軍海軍が15万隻もの民間漁船を指示し中国海軍と別に動員できると紹介した。中国漁船は統制の取れた動きでベトナム漁民に攻撃してきたと同関係者は説明し、パラセル諸島付近で衝突し沈没させている。中国は同地をベトナムから1970年に強奪し軍事施設を設置した。付近はベトナムが長年漁場としている。
- 総合すると中国の動きは拡大境界線の防御だと米関係者は憂慮している。「九段線で自国領土だと決めている地帯の実効支配準備が出来ている」と関係者は述べ、中国が南シナ海全体を中国の支配海域と認識している点に触れた。
- 静観すれば中国は「法に基づく秩序」つまり国際法や規範を基にしている各国を中国との安全保障上の同盟関係に鞍替えさせようとするだろう。ダンフォード議長は米国はそのような事態を現実にさせないと発言。「米国は太平洋国家だと自覚している」「米国は太平洋にとどまれないと述べる向きがあるが、米国のメッセージはあくまでも太平洋国家として太平洋を去ることはないとする。米国経済の将来はこの地域の安全保障、政治上のつながりと表裏一体だ」
- 説明に出た関係者全員が今のところ中国と差し迫った危機は存在しないと強調したものの米軍は太平洋で戦争が発生した場合の想定を考え直しつつある。
- 「まず空爆を受ける想定」と関係者は述べる。対応策のひとつに「迅速戦闘活動」 “agile combat employment”があり、日本国内の高性能戦闘機を分散させ、10ないし15か所の航空施設に分散させる。遠隔地なので補給活動が必要になる。米空軍は燃料の分散補給訓練を行っている。航空機を分散させれば中国も攻撃の優先順位で混乱するはずと見る。
- ドナルド・トランプ大統領の太平洋地区歴訪が今週後半から始まり、日本、韓国、中国、ベトナム、フィリピンを訪問する。ダンフォード議長は中国の侵犯事例と経済圧力が増える中で経済安全保障面の課題が出ていると指摘。
- 「中国と同じ見方をしたいのであればそれは勝手だ。だが原則に基づく国際秩序が中心にする必要がある。国益追求で米軍の力が試される。この点で妥協はしない」■
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