本日から大きな外交ショーが始まりますが、日本ではともすれば日本ではトランプ大統領の動静ばかりに注目しがちで大きな文脈を見逃すことが多くメディアでもピント外れな論評が出そうで不安ですね。大事なのは本質であり、宿泊日数が長い短いとという外形ではないはずですが。
Trump Trip: Listen to Japan, Talk to South Korea and Dictate to China
トランプ歴訪にあたり日本には耳を傾け、韓国へは話しかけ、中国には指図せよ
November 3, 2017
- 地政学者はものごとを複雑にするのがお好きなようだがドナルド・トランプのアジア初公式訪問は実に単純だ。今回5カ国を歴訪するが最初の三カ国が最重要で、日本には耳を傾け、韓国とは意見を交換し中国には指図すればよい。
- 特に最初の訪問先選択が絶妙だ。米指導者がアジア歴訪を北京から始めた時代が去ったのは幸いというべきだ。
- 「ジャパンパッシング」がここ数年続いており日本首相は米大統領に北朝鮮問題で断固たる決心で政策実施を求めてきたが傲慢で注意散漫かつ怠慢なる米指導者が助言を無視したことで米国民の今日の不安が生まれた。今こそワシントンンは成績不振記録の更新を終了すべきだ。
- トランプは安倍晋三首相と良好な関係を構築しており、首相の言い分に普通に耳を傾けられるはずだ。また安倍首相の要請で北朝鮮工作員により1977年に新潟から拉致された横田めぐみさんの両親と面会するのは健全な印だ。金正日は2002年に小泉純一郎首相との会談で日本人13名の拉致を認め、横田さんもその一人だった。少女含む多数の誘拐は金政権のグロテスクな一面であり、歴代の日本首相が繰り返し米側に伝えてきたように北朝鮮が大量破壊兵器を保有する事態は看過できないことを思い起こさせてくれる
- したがって日本ではトランプは耳を傾けるだけでよい。
- 韓国では文在寅に話しかけるべきだ。5月に就任した「進歩派」の韓国大統領は北朝鮮を援助、貿易、投資で支援しようとしている。これでは金正恩はもっと強力な兵器を開発しかねない。今のところトランプは文の「太陽政策」あるいは金一族支配体制の「関与」の実行は思いとどまらせているが最終的ではない。文は機会あれば北へ架け橋を作ろうとするだろう。
- 今のところ金正恩は文提案を拒絶しているが、いつ方向転換し韓国と手をつながないとも限らない。他方でトランプ大統領は北朝鮮の「協力」申し出をはねつけてでも米政策を支持するほうが理に適うと文大統領に納得させる必要がある。
- また文大統領と対中関係を話す必要がある。かれこれ一年以上にわたり北京が醜い動きを展開しまずTHAAD装備展開をやめさせようとし、次に実際に懲罰を下してきた。中国が警告を無視してTHAAD配備に進んだ韓国に激怒しているのはレーダーが中国国内も探知するためもある。
- 中韓外相がこの問題を棚上げする共同声明を10月31日に出しており、文が中国に密約し火消しを図ったとの観測がある。いずれにせよカーネギー精華グローパル政策研究所Carnegie Tsinghua Center for Global PolicyのTong Zhaoは共同声明は米韓同盟を弱体化させようという中国のたくらみだとCNNに解説していた。トランプは親中姿勢を一貫して隠さない文の口から再確認を得る必要がある。
- その後で耳を傾けてから米国が防衛してくれるのかとの韓国の不安を解くべきだ。ここ数年、韓国政治家多数が米国が大国の地位を守れるのか不安に感じている。定期的にB-1を朝鮮半島上空に飛行させるのは韓国と日本へのメッセージである。
- そこでソウルではトランプは話す聞く双方が必要だ。
- 北京ではトランプは話すことに集中すべきだ。中国外交筋が好む言い回しで「結び目は作った本人がほどく必要がある」というのがあるが、北朝鮮へ二世代あるいは三世代にわたり支援し核兵器、弾道ミサイルの完成まで実現させたのは中国だ。でぶっちょ三世と呼ばれる体重300ポンドの指導者から恐ろしい手段を除去できるかは中国次第だ。
- 習近平は結び目をほどける。閉幕したばかりの中国共産党第19回大会で地位を強固にした習に言い訳はできない。
- 中国に相当の影響力を行使させる必要がある。中国は昨年北朝鮮の対外貿易の92.5%を占め北朝鮮の原油需要の90%を破格条件で提供している。北朝鮮の食糧需要では三分の一以上おそらく45%を中国が供給しているのが注目されるのは今年のかんばつが2001年以来の深刻だからだ。航空燃料では中国が100%供給する事態が数年続いている。
- このように中国は北朝鮮に多様な提供をしているが、最重要なのが北朝鮮高官に米韓また国際社会からの安全でいられるとの意識を与えていることだ。
- 中国と言えども金正恩の考え方を変えさせることは不可能かもしれないが、中国は北朝鮮兵器や金正恩本人を支持し続けられないと伝えることができるはずだ。
- 中国観測筋は金正恩が中国の意向に逆らったが特に大きな影響は出ていないと述べるが、最近の出来事で別の結果が出ている。金正恩はミサイル開発を加速化していたが、9月15日を境に発射していない。
- では党大会から静かになっている状況をどう利用すべきか。北京が平壌に中国政治上最重要行事のため挑発行為を差し控えるよう告げたのか。あるいは北朝鮮も中国を怒らせる事態は避けようとしたのか。いずれにせよ挑発行為がないことから中国が真剣になれば北朝鮮を制御できることを証明している。
- 金正恩が党大会に熱烈な祝辞を送ったのは中国が北朝鮮を制御できる別の証拠なのか北朝鮮が自らの立場をわきまえている証だろう。
- 歴代米政権は中朝による欺瞞否定戦術に翻弄されてきた。トランプは中国に対して圧倒的に強い経済財政力を行使することでだまされることを避けられるはずだ。
- トランプは習近平に結び目をほどけ、しかも今すぐに行えと伝えるべきだ。■
Gordon G. Chang is the author of The Coming Collapse of China. Follow him on Twitter @GordonGChang.
Image: U.S. President Donald Trump talks with reporters accompanied by First Lady Melania Trump as they depart the White House for a trip to Asia, in Washington D.C., U.S. November 3, 2017. REUTERS/Carlos Barria
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