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中国経済が実は最盛期を過ぎていたら....緊張がさらに高まる、軍事行動が要注意となる



中国人は中国は大国なので世界秩序を中国の都合よい形に変え、国境線も変えてよいと考えているようです。その背後にさんざん中国経済の興隆ぶりを吹き込まれていることがあるのですね。しかし、その経済の実態があきらかになったらどうなるでしょう。ソ連もかつては米国に次ぎ世界二位の経済規模と自慢していましたが実態経済がフランス並みと分かって大恥をさらしましたね。かくいう日本もこのままなら米国を抜くと過信していた時代があったのですが...安全保障ではこれからが大変ですね。逆に言えばこれからを乗りきれば中国の脅威は減少するのでしょうかね。


The World Needs to Prepare for ‘Peaked China’

世界は「最盛期をすぎた中国」に備える必要がある

Bad economics = China won’t be a superpower.

経済悪化で中国は超大国になれない




トランプ大統領がアジア各国を訪ね北朝鮮対策へ支援を訴える中、もっと大きな課題を見過ごしていないか。国際政治の在り方を一変しかねない課題だ。アジア最大の課題は核武装した北朝鮮ではなく中華人民共和国の成長余地がなくなっていることであり、事実上中国の最盛期はすぎたといってよい。ここから生まれる結果は深刻でアジア太平洋に限らずグローバル政治構造のとらえ方そのものを一変させるものがある。
  • 筆者はこのような主張をかつては一蹴していたものである。十数億人の人口を抱える中国政府が貧困を脱却しGDPで米国に次ぐ第二位の規模を実現し、軍事力増強は地域大よりグローバル規模の地位を目指す中国の指向のあらわれである。見出しでは大国の域を脱し米国と入れ替わり世界の覇権をめざすのは中国の宿命だ....
  • だがこうした通念は間違っている。高成長が終わった中国では経済発展は難易度が高くなっており、米軍に対抗できるグローバル軍事超大国になるための投入資源がなくなる日が来る。あらゆる意味で中国の最盛期は終わっているのだ。
嘘と債務まみれの中国経済に人口構造の課題が加わる
  • これまでの中国は高度経済成長の恩恵を享受しており、今も高成長は可能と主張しているが中国の経済状況は統計が示す好況とは異なる。
参考 中国関係者が経済統計ねつ造を認める Forutne 2015年記事
  • まず経済学者が中国のいう6パーセント超成長は虚偽と主張している。一部には実態は2パーセント程度ではないかというものもある。そのひとりは「中国の経済成長は大部分が虚偽だ。北京政府が帳簿をいつから改ざんし始めたのかは明らかではないが、私自身含むエコノミスト多数は実態は2から3パーセントと見ている」と語ってくれた。さらに「中国の経済成長戦略の基礎は安い労働力を使い工場から消費財を出荷することで世界有数の安い製造拠点となることだった。だが給与水準が上がり、そんな工場で働こうという労働力が減っている中で従来の経済モデルでは中国は経済超大国になれない。中国経済は方向性が見えにくい状況になっている」
  • さらに債務問題がある。巨額債務だ。中国は西側世界を襲った2008年経済危機の影響を受けず高成長を続け、特に地方政府が借り入れで支出を増やした。資金を道路、橋脚、空港、高速鉄道等に使い、大部分は実質的な意味のない無駄な支出で経済規模拡大にのみ裨益し、今や中国の借り越し総額はGDP比260パーセント規模になっている。ここまで高いためムーディーズも中国国債格付けを下げており、米国の座を奪おうという国に似つかわしくない。
  • これからさらに悪化する。中国の巨大人口で高齢化が進む。出生率は極めて低く、1.2にすぎない。人口維持に必要な2.1でより相当低い。この原因が人口増を抑制すべく導入した一人っ子政策であるのは明らかだ。このため中国の高齢化は世界最高速で進む。中国のインターネット加入者数や携帯電話利用者数の成長率が話題になるが、間もなく新しい統計として数千億ドル規模の介護高齢者向け市場が加わる。ただしこの支出は経済成長には貢献せず国力の涵養にも役立たない。60歳以上人口が3憶人と米国の総人口程度になる2030年には規模はもっと大きくなるかもしれない。
経済悪化で中国は超大国になれない
  • 高度経済成長が鈍化し終了するとこれからの世界秩序内での中国の位置は再考を迫られるだろう。
  • 債務問題と人口構で経済成長が抑制されるとしたら現在の大幅な軍拡も減速を迫られるはずだ。
  • 中国が兵力投射能力の整備が不可能になる事態に直面するとは考えにくい。中国は空母打撃群4ないし6、長距離爆撃機、大規模遠征部隊の輸送能力を必要とするが、全部入れると数千億ドル以上になるだろう。ここに国外基地を加えれば規模はさらに膨らみ中国の負担能力を容易に超えてしまう。
「最盛期を過ぎた」中国への対処:国家主義の問題  
  • 西側特に米国の戦略思考家が中国経済が「最盛期を通り過ぎた」ことにまだ気づいていない可能性がある一方で、中国は米国や西側諸国と緊張を高めるコースを選択する可能性がる。
  • また中国は遠隔地どころか近隣諸国でさえ支配できる経済力がない可能性があるとはいえ、東アジア安全保障の構造で中国が南シナ海、台湾、東シナ海で自らの主張を弱めることはないはずで米国等との緊張はさらに増すだろう。
  • 中国共産党による一党独裁統治の根拠は高成長により生活水準を引き上げ社会の進展を実現することだ。だが中国国民の間に自由や権利を制約する中央専制体制が代償として「支払う」内容が負担に見合わないと受け止める向きが増えたらどうなるか。
  • 中国指導部が強硬な愛国主義を提唱し国民の怒りのはけ口として中国の地政学上の対抗勢力をとりあげたらどうなるか。(すでにこうなっているとの見方もある)このシナリオでは共産党は米国、日本、その他中国が面倒とみなす国へ非難を強め、むき出しの力で地域制圧に乗り出すことで国内統治の根拠を国民に示そうとするだろう。
  • 「最盛期を過ぎた」中国は世界制圧または世界秩序を書き換える国力はないものの今日の地位に上り詰めたことでアジア各国や米国に問題を引き起こしており、中国自身にも独自の課題やジレンマがある。今こそ新しい現実に合わせこちら側のとらえ方を調整すべきときなのである。■
Harry J. Kazianis is director of defense studies at the Center for the National Interest and executive editor of its publishing arm, The National Interest. Previously, he served as editor of The Diplomat, a fellow at CSIS, and on the 2016 Ted Cruz foreign policy team.

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