長距離空対空ミサイルが進歩していますが、センサーやレーダー技術がマッチしているのでしょうか。敵に命中するまで照射し続けるのであればいい標的になりますね。したがって単純に装備が優れていても実戦での効果は別の話だと思うのですが。ともあれ、AAMの長距離化がすすみそうですね。J-20は長槍の名称があるようですが、記事の指摘する作戦構想とともに日本国内の基地攻撃にも投入されるのではないでしょうか。
Russia and China Could Crush the U.S. Air Force in a War Using This Trick
ロシア、中国は米空軍をこうして撃破する
November 8, 2017
新世代のロシアや中国製の長距離空対空ミサイルは米航空作戦の実施で不可欠な機材への脅威になる。対象はAWACSや各種情報集偵察監視(ISR)機材、給油機、電子戦機材だ。
- 接近拒否領域拒否(A2/AD)を取るロシアや中国を見るときには対艦ミサイルや地対空ミサイルに関心が集まりがちだが超距離迎撃手段が正しい戦闘機に搭載されるとアジア太平洋、欧州の両方で米空軍力の航空作戦継続が困難となりかねない。ロシアのMiG-31、Su-57や中国の成都J-20が空対空ミサイルで米AWACS、JSTARSや給油機に使われるKC-135や今後登場するKC-46ペガサスを狙う。太平洋は広大だが航空基地はまばらなので給油機がアキレス腱になり、ここを北京は狙ってくる。注意が必要なミサイル開発が三件あり、ロシアのヴィンペルR-37M RVV-BD、ノヴァタKS-172 (別名 K-100)と中国のPL-15だ。
- このうちR-37M RVV-BD は新型長距離空対空ミサイルですでに初期作戦能力(IOC)段階にありMiG-31BMフォックスハウンドに搭載されている。最終的にスホイSu-35SフランカーEやSu-57 PAK-FAステルス戦闘機に搭載されるはずだ。RVV-8DはNATOがAA-13と呼び160カイリ以上から標的に命中させたといわれる。
- 「改良型R-37M(RVV-BD,イズデリ610M)ミサイルは2014年から量産中で、いまやIOC段階にありMiG-31BM迎撃機飛行隊に配備されている」とミハイル・バラバノフMikhail Barabanov,(Moscow Defense Brief主筆)が述べる。「RVV-BDミサイルはSu-57にも搭載の予定がある」
- R-37原型はソ連時代にNATOの重要機材のE-3セントリーAWACS、E-8JSTARS、RC-135V/Wリベットジョイント攻撃を想定した。高速戦闘機MiG-31などから発射しNATO機材を掃討する構想だった。MiG-31はマッハ2.35飛行が可能でステルスのSu-57はミサイル発射に理想的な機体で、速度と高度を武器にすれば迎撃を回避できる。
- 「R-37はこちらのISR機材排除を目的に1990年代からテストされてきた専用ミサイルです」とマイク・コフマンMike Kofman(ロシア装備研究を専門とするCNAコーポレーション研究員)は解説する。「さらにノヴァタのプロジェクトには続きがあり、KS-172とかK-100と呼ばれるものがあります」
- 1991年のソ連崩壊を受けR-37開発を続けたものの進まず1990年代が特に大変な時期でロシア国防産業は資金不足に悩まされた。ソ連時代のR-37原型は開発中止となりRVV-BDとして復活した。バラバノフはR-37原型の開発取りやめは1997年と述べる。
- R-37Mは慣性航法と戦闘機からの飛翔経路修正を併用しアクティブレーダー誘導を最終段階で使う。戦闘状況ではMiG-31が高速ダッシュ飛行で標的に向かいR-37Mを一斉発射するだろう。フォックスハウンドは自機の大型ザスロン-Mフェイズドアレイレーダーを照射しデータをミサイル自身のレーダーがアクティブになるまで持続する。米製AIM-120DAMRAAMのホーム-オン-ジャム機能と同様の機能がついておりボーイングEA-18Gグラウラーのような電子攻撃機に対抗するかもしれない。
- ソ連はNATOや米空軍の優位性はAWACSを使った調整型航空作戦の実施能力によるものと見ていた。ソ連はAWACS対抗策としてパッシブホーミング方式長距離空対空ミサイルを開発していた。「知る限りでは空対空ミサイルにパッシブレーダーでホーミングさせるのがソ連の1980年代で主流だったが今では効果がないと見られている」(バラバノフ)
- RVV-BDは恐ろしい兵器だがモスクワはもっと高性能のミサイルをノヴァタKS-172別名K-100として開発している可能性がある。RVV-BDは最大射程が200カイリと見られるが、新型は250カイリだとみられる。「200カイリを超える射程はR-37Mでは無理だろう」とコフマンは見る。「ここまで長距離対応の装備を作れるのはノヴァタしかない。KS-172は200マイル超で打ちっぱなしミサイルの想定だったが似たようなものだろう」
- ただしKS-172/K-100ミサイルがいつ開発を終了し生産に入るのか不明だ。K-100は結局実用化されないとの見方もある。「K-100ではインド資金がないと開発完了できないようです。ノヴァタ製の優秀なミサイルなのですが、実用化されるか不明です。長さがかなりあり第五世代機に搭載できないのでは」(コフマン)
- バラバノフもK-100は開発中止の可能性があると述べる。「K-100ミサイルでは今も生きている事業か疑わしいと見ています。かなり前に中止しているのでは」
- 世界の反対側では中国がラムジェット動力のPL-15の開発中で、射程は120マイルといわれる。PL-15は米空軍でも警戒しており航空戦闘軍団司令官ハーバート・「ホーク」・カーライル大将が米国も採用後数十年が経過しているAIM-120AMRAAMの後継ミサイル開発に進むべきと提唱していた。
- 「どうしたら対抗できるか」とカーライル大将は戦略国際研究センター主催の会場で問題提起していた。その後、Flightglobal,の取材でカーライルは新型中国ミサイルへの対抗は「きわめて上位の優先事項」だと米空軍内部の取り組み方を紹介していた。「PL-15の射程距離以上のミサイルがこちらに必要だ」
- PL-15がAMRAAMより射程が長いことだけが問題ではない。J-20戦闘機に搭載すれば中国は給油機、ISR機材を掃討し太平洋の戦闘で不可欠な機材が使えなくなる。2008年のRAND研究所のまとめではF-22をグアムから発進させ台湾上空に投入する米空軍は毎時給油機を3ないし4ソーティー発進させ260万ガロンの空中給油が必要と指摘している。この事実に北京が気付かないはずがない。
- J-20ではっきりしたデータがないが高速長距離ステルス機で相当の機内搭載量があるようだ。レーダー断面積が減って超音速飛行をし、内部にPL-15ミサイルを搭載すればJ-20は米空軍空中給油機やISR機に脅威となる。同じく2008年RAND研究では中国のSu-27フランカー派生型が米給油機、ISR、海上哨戒機さらに指揮統制機を長距離空対空ミサイルで全滅させるシミュレーション結果だった。
- 米空軍の対応策は基地分散と補給体制強化で遠隔地の不完全な基地に補給を絶やさず中国A2/ADに対抗するというものだ。ただし空軍は給油機、ISR機、指揮統制機を敵攻撃から防御する手段は開発に着手していないようだ。この課題への解決策はこうした機材を安全圏内に退避させることだけだ。だがそうすれば戦術機の行動半径も短くなり、中国内部への攻撃ができなくなる。
- そうなると、ロシアや中国の長距離空対空ミサイルを第五世代戦闘機に搭載させる構想はペンタゴンに頭の痛い問題になりそうだ。今後数年間にわたり注視すべき問題だ。■
Dave Majumdar is the defense editor for the National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.
This first appeared earlier in the year.
Image: Reuters.
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