なぜ人はブラックの世界に惹かれるのでしょうか。長年愛好家が語ってきたオーロラがSR-72なのか、それとももっと奥深いブラックの世界があるのか。興味は尽きません。また世間に公表する際に必ず「消毒」したストーリ―が紹介されますのでそれをうのみにせず、裏の世界を知りたいと思うのは筆者だけではないようです。
Rumors of Secret Warplanes Preceded SR-72 Reveal
SR-72の前に謎の機体の噂あり
Has the SR-72—or something like it—been flying all along?
SR-72あるいは別の機体は実はすでに飛行しているのか
- ロッキード・マーティンは2013年にSR-72偵察攻撃無人機の提案を発表した時点で、SR-71後継機がついに現実のものになる思われた。そして2017年7月にSR-72が初めて機影を目撃されたようだ。
- 1990年代初頭から謎のソニックブームが記事になっており、正体不明の航空機の目撃が伝えられ、ロッキード・マーティンの社内でも謎の機体が描かれている。
- SR-71は1998年に退役し、後継機があるといわれてきたがその存在は確認されてこなかった。航空機愛好家はこの謎の機体をオーロラと呼び、航空業界のビッグフットとでも呼ぶべき存在になった。
- オーロラの物語は1990年に初出したのはAviation Week & Space Technologyが「オーロラ」が1986年度国防予算に計上され、「ブラック機材生産」の一つと報じてからだ。オーロラ予算は1986年に23億ドルに達し、SR-71後継機の登場が迫っているとの観測が高まった。
- だがそこで止まり、以後謎の機体の追跡が続く。だが果たしてその対象がオーロラなのか、それとも全く別の機体なのだろうか。
- 1988年にThe New York TimesがSR-71後継機開発を報じ、マッハ5飛行可能とした。記事の二年後にSR-71は用途廃止となり1990年代末に一時的に復帰している。
- 1990年代初頭に謎のソニックブームがカリフォーニア沿岸地方で相次ぎ、事情説明できない事態になった。今日でも南部カリフォーニアではソニックブームがたびたび報告されている。たとえば2009年4月には地元新聞紙が調査したものの説明がつかなかった。
- 多くは自然現象で隕石が大気圏突入する際に発生する。だが一部は明らかに軍が発生源だ。そこでオーロラ観測者たちは説明を組み立てた。ブームはオーロラが太平洋上空の飛行からカリフォーニア南部の基地に帰還する際のものだというのだ。
- ソニックブームの発生源がなんであれ、カリフォーニア各地の地震探知網が毎回拾ってしまう。2001年にはカリフォーニア工大の航空学研究室の論文がブームを解析し正体不明だが沖合発生を突き止めた。
- 規則性ある形で発生していることから疑問が二つ出ている。ソニックブームが自然現象ならなぜ突然発生するのか。さらに米軍機が発生源なら軍からの説明がないのはなぜなのか。
- 謎の機体目撃をオーロラに結びつける動きもある。1989年にクリス・ギブソンから謎の機体を北海沖合の海上石油掘削施設から目撃したと報告が入った。ギブソンによれば同機は二等辺三角形の形状でKC-135給油機が随行していた。
- 1992年には航空愛好家スティーブン・ダグラスが「ロープ上の連続ドーナッツ」飛行機雲の撮影に成功した。この異例な飛行機雲はパルスエンジンの排気だ。これもオーロラの存在を信じる向きにはパルス爆発ウェイブエンジン技術がオーロラに採用され極超音速を実現したと解釈された。
- 1992年に Aviation Weekが軍の動向を観察する愛好家がエドワーズ空軍基地と正体不明の高高度航空機「ガスパイプ」と呼ばれる機体との交信を傍受したと伝えている。エドワーズの航空管制官が「ガスパイプ」に高度67千フィートと確認したと伝えおり、通常の機材よりはるか上の空域で空軍はU-2、SR-71のいずれも該当時間には航空管制の対象ではなかったと確認している。
- ここから話は荒唐無稽になる。
- 1990年代末にJane’s Defence Weeklyの記者ニック・クックがロッキードの有名なスカンクワークスを訪問しジャック・ゴードンとのインタビューの他構内を視察した。その際に遭遇した奇妙な出来事がずっと頭を離れなかった。
- 「(スカンクワークス)本館を離れる前にロビー壁面の前で足がとまった。前は気づかなかったが、スカンクワークスが手掛けてきた機体の系譜が描かれていた。XP-80からはじまり、U-2、SR-71ブラックバード、F-117Aステルス戦闘機の姿もあった。戦闘機ではYF-22やダークスターがあったが、もうひとつ『アストラ』と呼ぶ機体が描いてあった。「進化の木のてっぺんでアストラは超高速偵察機のように見えた」とクックは述べている。「専門家がみな思い描くオーロラの姿がそこにあった」
- クックはロッキード広報に「アストラ」の正体を問いただしたが、数週間後に30年前の「高速旅客機コンセプト」だと告げられる。
- 30年前のコンセプト機がスカンクワークスのあゆみの樹上に位置するとは....変だ。
- オーロラがここまで多くの人を魅了しているのは、目撃報告を噂と記事でつなぐと実機開発の時系列と一致する姿があらわれるためだ。また高速飛行可能な機体はみんなが好きだ。
- ロッキード・マーティンがマッハ6飛行可能とするSR-72は「ブラック」機の秘密開発の世界で本当に存在する機材のひとつなのか。また公表できる機材として「ホワイト」になる過程にあるのだろうか。そうだとしてもなぜこのタイミングなのか。
- 結局この質問になる。戦略偵察飛行の重要性は米軍にとって当たり前だが、なぜSR-71後継機が長年存在していないのか。スカンクワークスが今になって発表した機体が(20年前の)オーロラのコンセプト図と酷似しているのはなぜなのか。なぜスカンクワークスの壁画でそのような機体が実用機と並んで描かれているのか。
- 結局、オーロラなどという機体は存在しなかったのかもしれない。あるいはロッキードの2013年の発表、さらに2017年7月の目撃がオーロラなのかもしれない。20年の時間経過があっただけなのかもしれない。■
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