朝鮮半島での戦闘で核が投入され地上部隊にEMP効果が出るのかという疑問ですね。戦略核兵器運用の体系では核戦争を想定して何重にも通信命令が行き交う構造になっているようですが、野戦部隊ではそうはいかないでしょう。そうなると通常部隊が行動能力を失い、戦略部隊が自由に動く環境になってしまいます。一方で本当にEMP効果があるのか、今の段階では何とも言えません。日本が再び実験場にならないことを祈るばかりです。
EMP: North Korea's Ultimate Weapon Against America?
EMPは北朝鮮の切り札になるのか
September 5, 2017
- 朝鮮半島で開戦となれば北朝鮮が進めてきた長距離弾道ミサイル(ICBM)と熱核爆弾開発が原因だろうが、結果として発生する武力衝突は通常兵器だけの応酬にとどまっても壊滅的な被害を発生するはずだ。核兵器投入で最終的には終末にまでエスカレートしかねない。
- 核兵器が大都市など人口稠密地帯に投入された場合の被害は甚大だが、戦術核兵器がともすれば無視されがちだ。平壌の場合、戦術核兵器で米国中心の軍事侵攻を食い止める構想があるはずだが、その場合に電磁パルスEMPの効果に注目する必要がある。EMPは電気系統が対応措置ない場合に大きな被害をあたえる。米軍の場合はネットワークや高性能センサー装備に依存するだけに脆弱性が隠し切れない。
- 国防専門家や軍関係者はこの問題が深刻なだけに発言に慎重になっているがEMP効果の対策済みのハードウェアが米軍、同盟軍で少数にとどまるのが事実だ。
- 空軍退役中将でミッチェル研究所長のデイヴィッド・デプチュラDavid Deptulaは「対策済み装備もある一方で何もないものもあり...装備ごとで全く違う」とNational Interestに以前述べていた。
- 「克服すべき別の課題です。EMP対策はとても高くつくので、この分野は高い優先は与えられていません」
- ブライアン・クラークBryan Clarkは戦略予算評価センター上席研究員でもっとはっきりと述べている。
- 「EMP対応で強化策を導入した装備はほとんどない状態だ。一部冷戦時の旧式装備はEMPの被害を受けないはずだ」とNational Interestに語っている。「高高度核爆発で深刻なEMPが低高度部分に発生するのかはっきりしない。北朝鮮がそのような攻撃を加えてきた場合に軍にどんな影響がでるのかわからない」
- マーク・ガンジンガ―Mark Gunzingerも戦略予算評価センターで航空兵力の専門家であるが、自身はボーイングB-52戦略爆撃機のパイロットを務めており、National Interestにペンタゴンはこのような非対称的脅威をある程度予期していたが予算手当ては難題と語る。
- 「過去十年間のDoD(米国防総省)は『ハイブリッド』脅威を相手が通常兵器、非通常兵器の組み合わせで実現するのを懸念し、非対称的な脅威がWMD(大量破壊兵器)含め実現するのを恐れてきました」「DoDの兵力装備の性能向上には相当の予算が必要で、WMD投入後の環境でも作戦行動可能な実力の整備が必要です」
- 北朝鮮問題についてガンジンガ―はEMPでは北朝鮮軍にも影響が出るが、米軍の方が一層大きな被害を受けると述べている。「北朝鮮がさほど完成度の高くないとしてもEMP兵器を朝鮮半島上空で使えば自軍にも影響が出ておそらく防空指揮命令系統も機能を失うだろう」
- ではネットワーク機能や高性能センサー装備に多くを依存する米軍部隊がもっと大きな影響を受けるのかとの質問にガンジンガ―は可能性が高いと断言した。
- 「極めて可能性が高いです。あまり深く触れたくないですね」
- 「軍用装備やネットワークで機能低下の効果が出てくるでしょう。同盟国にも同様の効果が避けれません」
- ただしもし北朝鮮が都市や人口稠密地帯の攻撃に核兵器を投入する代わりに同盟軍側部隊にEMP攻撃を実施した場合、米軍は核兵器で反撃に出る可能性は大いにありうる。
- 「誰かが超強力なEMPで北米の送電網を使えなくしたら、大統領が肩をすくめて『何もできることはないのか』という状況を想像できますか」とジョシュア・H・ポラックJoshua H. Pollack、Nonproliferation Review編集長腱ジェイムズ・マーティン非拡散研究センター上級研究員はNational Interestに問題提起している。
- 「このコンセプトは実際より評価されすぎですよ。1.4メガトン爆弾がホノルルの見通し線上で爆発して街路灯が消える効果が昔ありましたが、EMP委員会の想定が現実的なのでしょうか。抑止力体制にどんな影響が出るか不明です。核兵器攻撃を受ければ相当の被害が発生しますね。お返しの攻撃となれば、やはり相当の被害になります」
- いずれにせよいったん米軍が平壌の政権変更を目指し介入して来たら北朝鮮が自制心を保つことはありえない。
- 「完成した核兵器を高高度EMP効果の実験に使うとはまったくの無駄でしょう。都市攻撃に投入するはずです」と軍縮問題専門家のジョセフ・シリンシオンJoseph CirincioneもNational Interestに語ってくれた。
- 「EMPとは狂った発想です。一度敵が核兵器をいかなる理由であれ投入してしまえば核使用へのためらいは消え、更なる核の応酬を呼ぶでしょう。米軍司令官は『敵は空中炸裂させたのでこちらも同じ形で返してやろう』とは言わないはずです。やられたら圧倒的な核の反撃をするはずです。そしてこちらの核兵器の指揮命令系統は核戦争でも機能するようになっていますが、EMP爆発なんて軟弱なものは取るに足りません」
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @Davemajumdar.
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