スキップしてメイン コンテンツに移動

MQ-25無人空中給油機に期待する米海軍航空部隊


すったもんだのあげく「給油機」で落ち着いた同機の構想ですが、果たして完全新型機なのか、それとも...というのは供用開始を最短で2019年と設定しているからですが、それにしてもMQという名称で給油機とするのにも違和感がありますね。ふつうはKでしょう。ここにはUCLASS事業以来米海軍が構想してペンタゴンとやりあった作戦構想でのごたごたがあるのでしょうか。また空母での無人機運用もX-47で実証したきりですからこれから運用体制(遠隔操縦パイロットの引き抜き、艦内の運用施設構築)さらに空中給油実施テストも行う必要があります。そうなると相当の加速度で事業を進めることになりますね。ま、それはともかくスーパーホーネット多数を空中給油用に酷使する現状が改善されるのはよいことではないでしょうか。

Boeing image of the company’s MQ-25A Stingray bid. USNI News Photo

MQ-25 Stingray Unmanned Aerial Tanker Could Almost Double Strike Range of U.S. Carrier Air Wing

MQ-25スティングレイ無人空中給油機により米空母航空隊の作戦半径はほぼ倍増する

 By: Sam LaGrone

August 31, 2017 7:09 PM • Updated: September 1, 2017 6:55 AM




  1. MQ-25スティングレイ無人空中給油機が空母航空隊に加われば打撃戦闘機部隊の有効打撃半径が最大で400カイリ増える効果が見込まれると海軍航空部隊トップが米海軍協会機関誌Proceedingsで以下述べている。
  2. 航空部隊を率いるエアボスのマイク・シューメイカー中将Vice Admiral Mike Shoemakerは初の無人艦載給油機は空母から500マイル地点で15千ポンドの燃料を打撃戦闘機部隊に補給し、各機の運用半径をほぼ倍増できる。
  3. 「MQ-25により航空隊は400マイル以上も先に展開可能となり、必要な機数を展開できるはず」とシューメイカー中将はProceedings9月号の独占インタビューで語っている。
  4. 空母航空隊の現状の作戦半径は450カイリ程度で、ボーイングF7A-18E/Fスーパーホーネットは空中給油なしでこの距離で運用可能だ。ここに300ないし400マイル上乗せすれば戦闘機部隊は700カイリ程度まで進出可能となる。
  5. これが実現すれば海軍航空隊として最大の行動半径が手に入る。退役済みのグラマンF-14Dトムキャットの650カイリがこれまで最長だった。
太平洋艦隊航空部長時代のマイク・シューメイカー中将。厚木基地にて。on March 23, 2016. US Navy Photo

  1. 行動半径が伸びる以外にシューメイカー中将はスティングレイの投入で現在空中給油任務にあたるスーパーホーネットの負担が減る効果が大きいと述べる。現在、スーパーホーネットの23割が僚機への給油にあたっている。「MQ-25はライノ(スーパーホーネット)より効率よく給油でき、相当先の地点で4機から6機に給油可能です」
  2. 「またサイクル運用時にはリカバリー給油機の機能も期待できる。少なくともサイクル三回分の実施が可能だろう。一機発進させ、上空を飛び攻撃後、リカバリー地点に戻り、ふたたび高高度で待機し次のリカバリーを待つ。スーパーホーネットを給油任務につけて機体の消耗を防げるのはいいことだ。飛行距離を延長しつつ給油任務機材の消耗をふせぐことをめざしている。今はライノしか給油機がないからね」
  3. これに加えて精密着艦モードを可能とするマジックカーペットの導入が期待される。予備給油機の必要が減る効果があるからだ。「スーパーホーネットとグラウラーに精密着艦モードが使えるようになると着艦操作が大幅に簡略化できます。飛行に使える燃料が増えて精密着艦が可能となると給油機数も減らせる」
  4. シューメイカー中将はさらにスティングレイの運用方針に触れ、海軍のヘリコプター部門がMQ-8B/CファイヤースカウトUAVと並行運用すると述べている。「MQ-25スティングレイも同様の形で運用し、小規模分遣隊で運用するでしょう」「パイロットはホーネット、E-2、グラウラー、F-35部隊から集めます」
  5. シューメイカー中将の発言はこれまでのところ最も詳細にMQ-25Aを使う空中給油内容に触れたものである。海軍航空システムズ本部NAVAIRはあいまいな発言しかしていない。
  6. USNI Newsとの7月のインタビューでマーク・ダラー少将Rear Adm. Mark Darrah(無人航空機攻撃兵器体系開発主幹)ならびにボー・デュアルテ大佐Capt. Beau Duarte(MQ-25A事業主任)は飛行距離など詳細のかわりに代表的性能指標二つを発表すると述べていた。
  7. 「空母運用への適合性があります。空母から運用し空母搭載のあらゆるサブシステムと統合します。カタパルトや回収装置などですね」(デュアルテ大佐)「次がミッション用給油能力です。洋上で十分な給油を提供する必要があります」
  8. ダラー少将はNAVAIRは価格面を公表しないと述べた。「数値目標を出すとその数字に近づくのは本当に不思議な現象ですが、開発がどんどん遅らせてその数字にしていくのです。今回は今までとは違く方法を取ります」
  9. 「今の段階では価格を決めませんが、各社にはインプット数字の提示を求め、適正かつ正確に事業が進められるかを判断させてもらいます」
  10. NAVAIRはMQ-25Aの機体関連部分の提案要求原案をく評しており、今年秋と見られる完成版RFPをノースロップ・グラマン、ジェネラルアトミックス、ボーイング、ロッキード・マ―ティンの各社に提示する。海軍はデータリンクおよび地上制御装備を開発する。
  11. USNI Newsは海軍作戦部長ジョン・リチャードソン大将が求めるスティングレイの空母運用開始は最短で2019年と理解している。■

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ