ジミー・カーターはまだ存命ですが、潜水艦勤務士官だった本人からすればこの命名に感じるものが多かったでしょうね。(原子力動力の原理を正しく理解する初の大統領だったはずです。)シーウルフ級はこうしてみるとバラバラな命名基準でもし予定通り多数建造していたら艦名の混乱が避けられてなかったでしょうね。
Inside the USS Jimmy Carter: America's Most Secret Attack Submarine Ever
USSジミー・カーターの内側、米海軍で最も秘匿度が高い攻撃型潜水艦
August 18, 2017
- 2013年1月20日、シーウルフ級攻撃型潜水艦USSジミー・カーターは母港ワシントン州バンゴーを出港し、ほぼ二か月後に真珠湾に修理のため入港した。
- 謎に包まれた航海だ。初の海上任務で同艦がどこに行ったのか、乗員150名が何をしたのか不明だ。シーウルフ級は米軍で最も秘匿性の高い装備であり、そもそも海軍の「沈黙の部隊」に関する情報を探すのは困難だ。
- ジミー・カーターが何らかの任務を行っていたことはわかる。同艦の公式年鑑ではミッション7とだけ記載されている。「外部支援が全くない中で極めて厳しいストレスがかかる環境で任務を遂行し、USSジミー・カーターの伝統たる死活的国益の追求における優秀な成果を続けた」。
- 同艦の公式記録ではミッションに関する記載に7月ピクニックとかハロウィーンパーティーが見られる。だがミッション7で大統領殊勲部隊章を受けており、「武装した敵相手に類まれな英雄的行動を示した」と公式海軍記録にある。
- シーウルフ級最終建造艦ジミー・カーターは唯一無二の存在だ。建造中にペンタゴンは艦に100フィート2,500トンのモジュール多用途プラットフォームを挿入し、水中無人艇、SEALs他の搭載能力が備わった。
- さらに重要なのは同部分は砂時計のような形で海中通信線を見つけ盗聴器を海底に敷設できるようになっていることだ。同艦がペンタゴンのステルススパイのひとつであることはまちがいない。
- もう一つのヒントがミッション7での大統領殊勲部隊章である。海軍でこれは海軍十字章に匹敵する、つまり上から二番目の賞だ。受賞基準としてミッションが「極めて困難かつ危険」であったことを意味する。だが海軍長官による同艦の2013年実績もあいまいな記述に終始している。
- 同様に目につきにくい水中研究開発分遣隊とともにジミー・カーターは「米国の国家安全保障上死活的な重要度を有する極めて難易度の高くかつ達成困難な潜水艦単独運用を無事達成した」という説明がある。両部隊が「数々の障害を乗り越え難易度高く複雑な任務を事故を安全理に実施した」のだという。
- 報告書添付の写真では艦長ブライアン・エルコウィッツ中佐他幹部が感状と付属三角旗を手にしている。海軍の検閲で他の幹部の顔は黒塗りされている。
- War Is Boringは情報の自由法により上記書類を入手した。海軍の全艦船、潜水艦、航空隊、戦闘部隊は海軍歴史伝統本部(ワシントンDC)へ年間記録の寄稿が義務付けられている。だが内容は特定かつ詳細に記載する必要はない。ジミー・カーターでは秘匿の壁がたえず取り巻いている。
- そもそも潜水艦の情報を守る壁がはだかるが、海軍はシーウルフ級について口を堅く閉ざしたままだ。最高性能の攻撃型潜水艦を目指した同級だが冷戦終結で建造隻数を削られ、ハイテクのソ連潜水艦の脅威も消えていた。30隻建造の予定がわずか3隻各30億ドルで調達した。潜航時排水量9,100トン超のシーウルフ級は史上最高額の攻撃型潜水艦となり潜水艦全体でも上から二番目の高額艦だ。
- 海軍はUSSシーウルフ、コネチカット、ジミー・カーターの三隻を潜水艦開発第五部隊に統合した。同隊の無味乾燥なウェブサイトでは新型水中聴音装置や遠隔操作潜航体の試験評価にあたるとある。同隊は北極海での新戦法開発も行っている。
- 同隊は情報収集について触れていないが、実験任務が専任のような名称だが海軍ではこの種の名称を特殊任務やエリート部隊につけることが多い。テロ集団を追い詰めているSEALのチームシックスが有名だが、公式には同隊は海軍特殊作戦開発集団である。海軍はスパイ艦を米空軍と共同して運用するが「ミサイル射程距離測定艦」と呼ぶ。大統領とその幕僚を輸送する飛行隊は海兵隊ヘリコプター第一飛行隊だが今でも略称はHMX-1であり、「実験」任務の出自を残している。
- ジミー・カーターが実際にスパイミッションをこなしていることを示すのが同様に謎に包まれたUSSパーチがジミー・カーター就航の四か月間に退役していることだ。海軍によればパーチは最多の受勲艦で大統領殊勲部隊章も数回受けている。
- 1974年に完成したスタージョン級攻撃型潜水艦のパーチはソ連通信情報の収集用に後年改装されている。1978年から1979年にかけ同艦は日本北方のオホーツク海に出動しアイヴィーベルズ作戦の呼称で通信線を盗聴した。
- 「海軍はNSAの支援をうけパーチをオホーツク海に送り録音ポッド二個目を設置したことで、盗聴地点が増えた」とシェリー・ソンタグとクリストファー・ドリュー共著のBlind Man’s Bluff: The Untold Story of American Submarine Espionageにある。「同艦は今まで誰も立ち寄れなった遠隔地の危険海域に派遣された」という。
- オホーツク海での成功によりさらに多くのミッションが混雑したそれだけ危険なバレンツ海で実施されることになった。ソ連の対潜部隊から身を隠すためパーチは氷山の下に潜み混雑した航路に侵入した。
- そのほぼ10年後に海軍はパーチを大修理した。1991年に工事が完了した同艦は潜水艦開発第五戦隊に加わった。
- ソンタグ-ドリューの共著は同艦退役前に出版されているがジミー・カーターの艦中央部の延長工事についてもパーチがソ連領海で使ったのと同様の装備を収めるためと説明している。海軍がNSAと共同でその後も改良を加えているのは疑う余地がない。
- 建造所のジェネラルダイナミクス・エレクトリックボートが艦体を組み立てている2001年委NSA長官マイケル・ヘイデン中将がウォールストリートジャーナル取材で海中ケーブル線切断任務の噂を一笑に付している。ただしジミー・カーターの任務内容ではそれ以上論評していない。
- その二年後に同紙は再び同艦の任務に水中盗聴があると「その筋に詳しい向き」の発言を引用している。就役後十年近くが経過しているが、同艦の任務内容はほとんどなにもわからないままだ。
- ジミー・カーターのミッション7の詳細内容や独特の運航実績はさらに10年以上待たないと何もわからないのだろうか。その場合も海軍公式発表よりもソンタグ-ドリュー共著作のような図書の方が情報量が多いのだろう。■
This first appeared in WarIsBoring back in early 2016.
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