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米国は北朝鮮ミサイルをどこまで監視追尾しているのか


北朝鮮を取り巻く状況がどうも悪い方向へ向かっています。ISRの重要性が今ほど重要になったことはないように思います。本当の性能はだれにもわかりませんが、抑止力の一つとして機能すればそれにこしたことはありません。

North Korea's New ICBMs: How Well Can American Intelligence Track Them?

北朝鮮のICBMをどこまで米情報機関は追尾できるのか

August 6, 2017

  1. 北朝鮮の核兵器開発が進展を見せているが米国は北朝鮮の核兵器運搬手段の所在地を把握し先制攻撃で破壊できるとくりかえし暗示している。
  2. 7月4日のICBMテスト直後に米軍は北朝鮮の発射準備を監視してきたと米関係者が報道陣に話している。Diplomatのアンキット・パンダの記事で「米国は発射前およそ70分の時点で発射台に乗っているミサイルを観察していた」と暴露している。発射の翌日にフォックスニューズのジェニファー・グリフィンも「米政府関係者は今回の発射準備の状況を米国が監視していた。液体燃料注入も監視していた」と伝えている。
  3. 7月28日の次回発射でも同じパターンとなった。米政府から報道機関に情報リークがあり、米情報機関は発射の兆候を事前につかんでいたという。リークは7月19日に始まり、翌週に激しくなる。発射当日の週には米側は発射日を「おそらく」7月27日の朝鮮戦争休戦日と予測していた。パンダは米政府関係者から「米軍情報部は火星14型の輸送起立車両をクソンで探知している」と聞いている。
  4. 前回テストが監視されてイラついたのか北朝鮮は二回目のICBM発射テストを北部慈江道(チャガンどう)舞坪里(Mupyong-ni)から発射した。また夜間発射にしたのは米偵察衛星の性能限界を熟知していたためだ。
  5. だが米国はだまされなかったと政府筋が再びパンダに伝えている。発射直後にパンダは以下報道している。「米政府は数週間にわたり発射準備を監視し発射24時間前に準備状況を把握していた」「情報筋は四時間前に発射が迫っていることを確信した」「評価の根拠は金正恩他政府上層部の視察用VIP席の準備が見られたため」
  6. 米監視活動の対象は北朝鮮の地上配備ミサイルだけではない。北朝鮮潜水艦の探知も可能と伝えている。通常潜水艦発射の弾道ミサイルは残存性が高いため機挑戦も整備を急いでいる。だが米政府関係者は平壌に対して潜水艦も米情報収集力の前に安全ではないと伝えようとしている。今週に入り米軍関係者がCNNに北朝鮮潜水艦活動が「きわめて異例かつ前例のない水準」になっていると語った。具体的には今月に入りミサイル排出テスト三回を確認しており、コールド・ローンチテストは今年四回実施している。テストは陸上での実施だったがこの関係者はさらに「北朝鮮サンオ型が黄海に展開したがその期間が長い。ロメオ型二隻が日本海に出動したが各艦一週間も展開した」と明らかにした。
  7. 総合すると米国は北朝鮮の核運搬手段をリアルタイムで追尾できる能力を有していると伝えようとしているのだ。この事は重要で米国が北朝鮮核兵器を発射前に地上で破壊する、おそらく先制攻撃の決定で大きな意味を持つ能力であるためだ。米関係者が意図的に明らかにしているのは北朝鮮指導部を怯えさせながら韓国など同盟国に米国の安全保障上のコミットメントは北朝鮮が米本土を核攻撃する能力を得ても有効だと伝える意味があるからだ。
  8. このうち前者での米国の試みは成功しているようだ。北朝鮮が今回のICBM発射で欺瞞工作を行ったのも核兵器の残存性に懸念を感じている証拠だ。残存性は核兵器整備を開始した段階の各国が直面する問題だ。アルバート・ウオールセッターが欧州内の戦略空軍基地がソ連の初期攻撃に脆弱だと証明すると米国はパニックになった。ジェフリー・ゴールドバーグとマーク・アンビンダーによればパキスタンは核兵器を民間車両に乗せて定期的に移動させて探知を逃れているという。北朝鮮の現状は特に脆弱である。弾頭数は少なく、ICBM福多数のミサイルは液体燃料方式であり、発射直前に燃料注入が必要だからだ。
  9. 一方で韓国を安心させことにはそこまで成功していない。韓国の主要紙朝鮮日報は今週に入り米本土が狙われるのであれば米国が韓国の防衛に本気になるとは「とても期待できない」と述べている。韓国は最悪の事態に備えて情報収集、監視、目標捕捉、偵察(ISTAR)に力を入れており、独自に北朝鮮を先制攻撃する能力を整備している。
  10. ただし北朝鮮の核兵器運搬手段を追尾する能力が本当に米関係者が言うほど有効なのかわからない。二回目のICBM発射の前に米関係者は報道陣に発射地点はクソンのはずと言っていた。発射後にはじめて舞坪里を以前から監視しており発射準備の様子を事前に把握していたと明らかにした。米軍の監視偵察能力が宣伝通りとしても先制攻撃はかなりのリスクとなるため先制攻撃はあくまでも最後の手段になるはずだ。第一撃を成功させるのが難しくなれば北朝鮮の核兵器整備と拡大の可能性は飛躍的にふえる。
Zachary Keck is a former managing editor of the National Interest. You can find him on Twitter: @ZacharyKeck.
Image: Reuters

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