中国の既成事実作りを許してきたのはオバマ政権の失策でしょう。時間は取り戻せませんが国際法を盾にする西側世界(既存勢力)と自国の主張を根拠とする中国等(挑戦勢力)のせめぎあいが展開されているといってよいでしょう。
USS John S. McCain Conducts South China Sea Freedom of Navigation Operation Past Mischief Reef; 3rd South China Sea FONOp This Year
USSジョン・S・マケインが南シナ海で航行の自由作戦をミスチーフ礁で実施し、今年三回目の南シナ海FONOpとなった
By: Sam LaGrone
August 10, 2017 12:23 PM • Updated: August 10, 2017 1:28 PM
写真 USSジョン・S・マケイン(DDG-56) June 17, 2017. US Navy Photo
- 米海軍の誘導ミサイル駆逐艦が中国がフィリピン沖に構築した人工島の12カイリ以内を10日航行したと国防関係者がUSNI Newsに明らかにした。USSジョン・S・マケイン(DDG-56)がミスチーフ礁上に中国が構築した施設付近を航行した。
- 今回のFONOp航行の自由作戦は今回で三回目で国防長官と米太平洋軍がトランプ政権に今年初めに進言していた。
- ペンタゴン関係者はUSNI Newsに今回の作戦実施の事実関係を確認していないが、声明文を発表し航行の自由作戦は米国の標準行動の一環だと述べている。
- 「アジア太平洋地区で活動中の米軍は通常行動に南シナ海も範囲に収めている。作戦行動はすべて国際法に則り国際法の許す限り米国はいかなる場所でも航行、飛行、運用を実施する」と海兵中佐クリストファー・ローガンが発表。「FONOpsは通常の形で実施し今後も続ける。作戦成果のまとめはFONOps年間報告書で公表するので今はない」
- その他の航行の自由作戦とちがい、ミスチーフ礁付近の航行は中国の人工島構築に対する最も明確な挑戦である。中国は南シナ海各所で拠点づくりを進めているが大部分は満潮時も海面から出る地点で領海として無害通航として知られる運用手順の遵守が軍艦に求められる。
- これに対しミスチーフ礁は引き潮時でしか現れない陸標であり国連海洋法ではこうした陸標は領海起点とされず12カイリ以内の無害通航の根拠にならない。
- 米海軍は5月にミスチーフ礁を大胆に航行しており、USSデューイ(DDG-105)がミスチーフ礁上の基地施設から6カイリ地点を航行し、およそ90分にわたり12カイリ以内にとどまり、ジグザグ航行しながら人員救難訓練したとUSNI Newsがすでに伝えている。
2016年初頭のミスチーフ礁. CSIS Asian Maritime Transparency Initiative, DigitalGlobe Image
- 「今回はこれまでのFONOpsで最も意味のある実施だ。中国の南シナ海での主張に対抗するだけでなく、中国の該当陸標での主張に挑戦するものだからだ」とジェイムズ・クラスカ(米海軍大学校国際法研究ストックトンセンターで国際法教授)が5月時点で解説していた。
- 「米国は領海でのみ無害通航を認め、領海でないということは中国の領有を認めないということだ」
- 国防関係者からは10日にUSNI Newsに対し今回の作戦は5月事例ほど積極的ではなかったと明かしている。
- ミスチーフ礁を舞台にした作戦はこれで二回になったが駆逐艦USSステサム(DDG-63)がトリトン島(パラセル諸島)を7月に通航している。同地は中国、ヴェトナム、台湾がそれぞれ領有を主張している。
- 米国が準定期的FONOpsを南シナ海で2015年末に再開し過剰な領有権主張に対抗しているのは上院なかんづく上院軍事委員会のジョン・マケイン委員長(共、アリゾナ)の圧力によるものだ。
- USNI Newsはこの4月にペンタゴン上層部がホワイトハウスにFONOps実施予定を提出し米国として予定調整が可能な範囲を示したと把握している。
- 駆逐艦マケインは米前方配備部隊の一環で日本を拠点とする。艦名は元米太平洋軍司令官ジョン・S・マケインJr提督に由来する。■
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