中国が次々に導入している装備、新型艦には要注意ですね。ハードウェアの優劣よりもその意図が重要です。当面気が抜けない展開になりますね。
写真 JAPANESE MINISTRY OF DEFENSE 815G型 天狼星Tianlangxing
Chinese Spy Ship Was Snooping Off Alaska For the First Time During THAAD Test
中国スパイ艦がアラスカ沖でTHAADテストを監視していた
The Type 815's visit is a significant display of China's expanding naval capabilities.
815型は中国海軍力の伸長を示す大きな存在
- 人民解放軍海軍(PLAN)が目に見張る拡張を続けるのは海外軍事力展開をめざす中国の願望の表れだ。アフリカに新設した基地に注目が集まっているが、海軍関連で別の進展があった。初めて米国近海に高性能スパイ艦が航行し、重要なミサイルテストを監視した。
- 2017年7月11日、PLANの高性能電子情報収集艦815型北極星級の一隻がアラスカ沖の国際公海に到着したとEpoch Timesが報じている。同日に米軍ミサイル防衛庁が最終段階航行高度防空(THAAD)弾道ミサイル防衛装備を模擬中距離弾道ミサイル(IRBM)を標的に発射するテストを行っている。
- 米北方軍並びに米加共同の北米防空軍(NORAD)の広報官マイケル・クチャレックがEpoch Timesに815型艦は同群の分担範囲内に侵入したと述べている。これは2015年に初めてPLAN部隊がベーリング海経由でアラスカに接近したのに次ぎ二回目の米国沿岸接近事例になった。今回のスパイ艦の具体的な行動は不明だが同艦は国際公海にとどまっていたとクチャレックは述べている。
- ただし同艦がTHAADテストを監視していた可能性は高い。北極星級情報艦にミサイル追尾用のレーダーが搭載されているか不明だが、アラスカ沖で電子信号を吸い取っていたのは確実だ。THAAD部隊の通信機器やデータリンクも含まれていたはずで、さらに広義の米ミサイル防衛システムにも探りを入れていたはずだ。XバンドのAN/TPY-2レーダーから出る電子信号は中国軍の大きな関心事項であることは間違いない。
- このことから中国側分析官は個別米装備の特徴を理解するのみならず米ミサイル防衛装備の理解にもつながり、迎撃ミサイルの弱点や限界も解明するだろう。特に妨害対策や電子戦対抗手段がTHAAD以外の米ミサイル防衛全体で講じられる。またサイバーセキュリティの穴も中国が把握するかもしれない。
- 北極星級(東調級)は新鋭艦ではない。PLANで一号艦北極星Beijixingの就航は1999年で大型パラボラアンテナを搭載し外観は米海軍の冷戦時スパイ艦USNSヴァンデンバーグやソ連海軍のコスモナット・ユーリ・ガガーリンに似ていた。
- ほぼ10年にわたり同型は北極星一隻だけだったが2010年にPLANは5隻を導入した。うち四隻は改良型815G型だったが、2017年に就役した海王星Kaiyangxingは815A型という別の型になった。今回アラスカ付近に出没した艦の種別は不明だ。
- 815型の詳細は極秘事項だが海王星就役時にPLANから重要情報が紹介されている。815A型の排水量は6千トンで最高速度23ノットと共産党公式新聞China Dailyが伝えていた。「海王星は全天候下で常時偵察活動を多数対象に同時に行う能力がある。PLANは情報収集艦の詳細を明らかにしてこなかった」
PLAN
PLAN報道資料から海王星のレドームがわかる
- 海王星では不明の点が多く、とくに姉妹艦との違いがわからないが、艦体と形状は米海軍の退役ずみUSNSオブザベーションアイランドに類似し、排水量はUSNSハワード・O・ローレンゼンより小さい。ただしローレンゼンは「ミサイル飛翔距離測定艦」とされ外国のミサイル実験や米テスト時の情報収集を強力な電子スキャンアレイ型レーダーで行うものの多用途電子情報集機能はない。同艦に匹敵する中国艦は远望Yuan Wang級だ。815型はロシアのバルザムBalzam級やノルウェーのマルヤッタMarjataに近い存在のようだ。
USN
USNSハワード・O・ローレンゼン
- 815型の性能が各艦に近いと仮定すると2017年7月にアラスカ沖合に姿を現したのは重要な進展と言えるが、驚くべきことではない。同艦はTHAADミサイルテスト関連の重要な電子情報を広範に吸い上げることが可能だ。中国は韓国へのTHAAD配備に反対の姿勢を示しており、AN/TPY-2の長距離探査能力が中国領空も範囲に収め中国の抑止能力が脅かされると主張する。
GADFIUM/WIKICOMMONS
远望Yuan Wang級
- 815型がアラスカ近辺で集める情報により新兵器設計やTHAADへの対抗策が生まれる可能性がある。また中国がつかんだ情報が北朝鮮情報筋に流れる可能性もある。
- 815型情報収集艦が米沿岸近くに出没した意味は大きい。世界規模で海上での電子情報収集はこれまで米ロ両国の独壇場だった。ロシア海軍はバルザム級を派遣し大規模軍事演習時に情報収集をしており、リムパック演習(2016年)でも出没が見つかっている。2017年2月にはより小型のヴィシュニヤVishnya級スパイ艦が米本土東海岸沖合に現れている。2015年には815型北極星もリムパック演習を監視していたがPLANは同演習に正式に参加していた。
- 中国艦の性能が米ロより劣っていても、6隻もあることで中国は多様な情報収集ができる。2017年7月2日に815G型艦天浪星が津軽海峡を通航している。
- 同艦の日本領海通航で日本政府は厳しい対応に迫られたが、その時点で同艦が電子情報を収集していたか不明だ。中国は国際法で航行は認められていると主張。
- 815型のアラスカ沖到着がTHAADテスト前だったのとは別にこれからもミサイル発射は中国が沖合から監視することを米軍は覚悟する必要がありそうだ。■
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