Choosing A New Trainer Might Prove Challenging For The Air Force 新型練習機選定は米空軍にとって重要な作業となる
July 17, 2017
- 米空軍は新型ジェット練習機T-Xで契約企業を今年後半に選定し、老朽化進むT-38タロン後継機を実現する。調達規模は350機と大規模ではないが重要案件だ。第五世代機のF-22、F-35で複座型がなくパイロット養成は基礎飛行訓練からいきなり世界最高水準の機体に移行する。そのため新型練習機にも高性能が必要で最新鋭エイビオニクスで飛行速度も十分高速にし訓練生に第五世代機に必要な技能を獲得する機会を作る必要がある。
- T-X最終提案を出しているのは三社で、ボーイングがSaabと組んで完全新規設計を、ロッキード・マーティンは韓国航空宇宙工業のT-50原型案、DRSテクノロジーズが親会社レオナルドの支援を受けM-346を元にT-100を提案している。各社はパイロット養成システムを高性能シミュレーターや地上配備の支援設備も含め提案している。
- 選定のどこが難しいのかと思う向きがあるかもしれない。T-Xは単一ミッション機をめざし、戦闘投入は想定しない。製造機数は比較的小規模だ。高性能戦闘機、新型空中給油機KC-46、新型爆撃機B-21の決定と比較すればT-Xの選定など「朝飯前」ではないか。
- だが新型高性能練習機選定には考慮すべき要素が多い。まずコストだ。空軍の要望は最低価格だが、基本性能を満たすものを選定するともしている。空軍が長期間にわたる機体改修で戦闘機、爆撃機、給油機、情報収集機で相当の費用を覚悟する中、T-Xで予算節約が望ましいのだろう。
- ただ価格だけが選定基準ではない。評価部門はリスク要因に注目するはずだ。その一つに技術リスク、言い換えれば技術成熟度がある。T-X訓練システムのすべての構成部品やサブシステムが期待通りに機能し最初から仕様通りに動くか。新型機では長期テストでバグを取り除くのが通例だ。
- 技術リスクに関連し生産リスクがある。新型機の設計・試作型製造と量産型生産は別の話だ。生産上の難題のため設計変更となった例は多い。さらに学習効果の問題もある。生産ラインの作業員は時間経過とともに技能を上げていく。
- つぎが生産日程のリスクだ。T-38の退役は2020年代で待ったなしだ。同時期に空軍はF-22・F-35向けパイロット養成が必要となので今回のT-X選定の勝者は2020年代初頭に量産体制に入っている必要がある。
- 資源リスクもある。予算環境が厳しいまま2010年代が終わる予想の中で重要な機体改修事業が数々あり、2020年代に実施の必要がある。T-Xが遅れると空軍の調達予算にしわ寄せがくる。またT-38の供用期間延長にもつながりかねない。T-38を長く使えば保守支援コストも高くなる。
- 運用維持性も考慮すべきだ。新型ジェット練習機と支援体制は今後数十年稼働する。ウェポンシステムの総費用の7割は調達後に発生する。高い維持費は初期価格の低さを打ち消す。
- 訓練用シミュレーターの性能が重要になる。シミュレーターや訓練機器を使い空軍は費用ならびに機体消耗を節約するはずだ。さらに空軍にはあらゆる想定に応える訓練空域が不足している。そのため今後の訓練では基地内実施が増えるだろう。合成的に作る飛行環境を多用したほうがいい。そこでT-X選定で空軍は訓練システム全体の効率も機体の性能・価格・維持費用とあわせて評価すべきだ。
- T-X事業は機体数、費用ともに大規模ではない。だが重要な調達事業である。空軍評価部門は選定で事業全体に影響を与えそうな要素すべてを考慮すべきであり、価格のみで判断すべきではない。■
Daniel Gouré, Ph.D., is a Vice President of the Lexington Institute. He served in the Pentagon during the George H.W. Administration and has taught at Johns Hopkins and Georgetown Universities and the National War College. You can follow him on twitter @dgoure and you can follow the Lexington Institute @LexNextDC
いつも画像、本当に素晴らしいです!
返信削除ありがとうございます。