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★中国がTHAADの韓国配備に反対する本当の理由



筆者は釜山大学の米人教授だそうですが、なかなか本質をとらえた論評をしていると感心せざるを得ません。問題は同じ論調が韓国の皆さんから聞こえてこないことです。「空気を読む」のと「感情」を優先するあまり正論・異論は韓国では声に出しにくいのでしょうか。韓国の将来が心配です。

 

 

South Korea’s Gen. Sun Jin Lee visits Guam’s THAAD site. DVIDSHUB/Public domain

 

The Real Reason China Wants South Korea to Ditch THAAD

THAAD撤去を韓国に求める中国の真の理由は何か
The U.S. missile system has fallen victim to South Korea’s tough position between Beijing and Washington. 米中のはざまで苦悩する韓国で米ミサイル防衛装備が犠牲になっている

June 13, 2017

韓国の新大統領文在寅が運用先送りを宣言した米ミサイル防衛装備は米軍が長年にわたり韓国に導入を図ってきた高高度ミサイル防衛装備だ。韓国政府は中国を挑発したくないため消極姿勢になり、米韓双方で合意ずみのトラック1、1.5、2内容を無視した格好だ。朴槿恵前政権がTHAAD最終段階高高度広域防衛装備の導入を2016年に入り決定し、一部導入済みだ。

中国とTHAAD

これに対し中国の反応は韓国向け経済金融措置として即座に現れた。韓国最大の貿易相手先が中国であり、この措置で国内経済に景気後退を生んだ。左翼政治家はTHAADは不要と言い始めた。北朝鮮のミサイル装備に対し過剰装備であるが、北朝鮮の韓国攻撃阻止には役立たないというのが理由だ。また北朝鮮と言えども同じ民族であり韓国を核攻撃をするはずがないとの主張だ。
 左寄りの文が大統領に就任するや配備を停止または遅延させる力が出てきた。文は配備を阻止すべく二方面で策を講じている。立法面の承認手続きと環境アセスメントだ。ただしこの作戦には反対意見が広く生まれている。民主国家として最高指導官には国防事項で幅広い裁量権が与えられている。朴大統領はTHAAD配備で議会承認を得ていないが議会承認を求める前例もない。さらに信じがたいのは環境を理由にした反対論だ。大統領の言う通りなら米側操作員や建設業者は危険な毒性物質に長年さらされていることになる。
 こうした反対論は保守派メディアが言うように中国の機嫌をおもんばかった戦術にすぎない。文は時間稼ぎをしている。文の得票率は41パーセントにすぎずTHAADを追い出せば中国に屈したとメディアからの非難は必至だ。だが文のジレンマは米中両国の間で韓国の未来を決する大戦略をお座なりにすることだ。米中のどちらを選ぶのかゼロサムの選択ではないはずだ。

What THAADでできること、できないこと

THAADへの中国の反対論は技術面とは別のところにある。THAADは中国の対米抑止力を侵害するものではない。THAAD迎撃ロケットの射程は長くない。またTHAADで中国の監視につながるISR情報収集監視偵察能力を新たに得るわけではない。米国は優秀な衛星群で中国の動向は監視中で中国のミサイル発射も迅速に探知可能だ。
 THAADのXバンドレーダーが話題になっているが、中国国内の探知用ではない。IバンドとちがいXバンドは360度回転しないが中国は想像力をたくましくしているようだ。さらに方向は北を向いており、北朝鮮監視用だ。
  中国(及びロシア)の反対根拠は中国北東部(ロシア極東部)が丸見えになるというものでもっともらしく聞こえるが正しくない。地球の湾曲のためXバンド信号も数百マイル離れれば有効でなくなり、北朝鮮国内の監視範囲内でさえも限定される。名称が示す通りTHAADは防衛装備だ。飛来するミサイルの迎撃が目的であり、中国ないしロシアが韓国や日本の都市を狙わない限り、両国に何の脅威にもならない。実は中国、ロシアもこの点は理解している。中国は朴大統領が昨年決定するまで技術的な懸念を示すべく長い時間があったはずだ。だがその機会をすべて無駄にしている。つまり政治的な動機を意味し、文が見え見えの虚構の言い訳で配備を遅らせようとするのもその一環だ。

選択肢

米中間で厳しい立場にある韓国でTHAADが犠牲になっている。中国の台頭で近隣各国には圧力がかかっている。北京は技術用語をちりばめたいいわけで圧力を欺瞞している。THAADで中国が丸裸になる、韓国製品に突如として衛生安全検査を実施するなどはあからさまなごまかしだ。しかも北京はそういう欺瞞を意図的に見せながら韓国エリート層に手袋の下の鉄拳を感じさせているのだ。
 北京が反対しているのは米韓同盟の深化であり、THAADはその象徴に過ぎない。THAADの技術面だけに目を取られると中国の策略が見えにくいが、THAADの本質を理解できるものには北京の反論がいかにも底の浅いことがわかり、真のメッセージが目に入るはずだ。つまり韓国はこれ以上の軍事関係を米国と進めるべきではない。
 ここに選択の分かれ目が見える。中国は米国に並ぶ勢力になりつつある。両国の格差が減少すると中国からの圧力が近隣国に増える。米中両国に受けのよい選択をめざせば韓国の能力は衰退する。THAADに見られる文政権の意思決定は配備を巡るメリーゴーラウンドの様相となるはずで、しかもこれで最後ではない。今回同様の騒動は韓国外交のお約束となりそうだ。
Robert Kelly is an associate professor of international relations in the Department of Political Science at Pusan National University. More of his writing can be found at his website. He tweets at @Robert_E_Kelly.
Image: South Korea’s Gen. Sun Jin Lee visits Guam’s THAAD site. DVIDSHUB/Public domain


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