週末は米駆逐艦海上事故に目を奪われていましたが、シリア上空でも大きな事態が展開していました。時あたかもラッカ陥落を目指す最終段階に入ったようでISIS組織は壊滅に近づいてきたようですが、シリアと背後にいるロシアが不穏な動きに出そうです。
(U.S. NAVY PHOTO BY MASS COMMUNI
USN F/A-18E Super Hornet Shoots Down Syrian Su-22 Fitter Attack Jet
米海軍F/A-18Eがシリア空軍Su-22攻撃機を撃墜
The unprecedented engagement could lead to a rapidly escalating security situation in the skies over eastern Syria.
今回の交戦でシリア東部上空で急速なエスカレーション発生か
- 6月18日、シリア戦場で大きな進展が発生した。戦略上でも今後の戦闘の行方にも影響が出るかもしれない。詳細は明らかでないが、ペンタゴン他の発表によれば米海軍のF/A-18スーパーホーネットがシリア空軍のSu-22フィッター攻撃機をジャディンJa'Din近郊で撃墜した。同アルタブカAl Tabqaにあるシリアの重要なダム付近であり、イスラム国が首都と自称するアル・ラッカAl Raqqaの西にある。
- 現地時間4:30ごろアサドに近い勢力がジャディン攻撃を開始した。同地は米国が支援するリシア民主勢力軍(SDF)が占拠中。SDFは死傷者が発生し撤退を余儀なくされた。連合軍航空部隊が威嚇し、敵超低空高速飛行し、おとりデコイを投下して攻勢を止めようとした。策が効果を出し航空隊の出撃要請は出なかった。
- 通常どおり米主導連合軍は「衝突回避」ホットラインでロシアを呼び出し攻撃をやめさせようとした。すると地上戦闘開始後2時間ほどでシリア空軍Su-22攻撃機一機が上空に現れSDF部隊に爆弾投下を開始した。米海軍のスーパー・ホーネット一機が「交戦規則と連合軍勢力の集団安全保障方針に従って」Su-22を撃墜した。
AP
シリア空軍のSu-22フィッター
- 不朽の決意作戦合同統合部隊CJTFOIRの発表によればジャディンは衝突回避ラインの二キロ北に位置する。ラインはロシア、アサド政権が暫定的に引いたものでSDF占拠地帯を明確に表示している。発表内容はISISが世界に対する脅威でありその撲滅に焦点を合わせるいつもどおりの文句が見える。
CENTCOM RELEASE
- これに対してシリア政府の公式発表の要旨は以下の通りだ。
- 木曜日午後に南部ルサファ地区でわが戦闘機がテロリスト集団ダーイシュ攻撃中に国際同盟を自称する勢力により撃墜され、パイロットが死亡した。
- このあからさまな蛮行はテロリズムを支援するアメリカの立場のあらわれであることに疑う余地なく、同盟国支援をうけ全国各地でテロリズムに対抗するシリアアラブ軍こそ正当な権利を有する唯一の勢力であることが今回の事件で明らかになった。シリアアラブ軍と同盟軍がテロリスト組織ダーイシュへの戦いで着実に進展を示す中で発生したのであり、ダーイシュはシリア砂漠の各方面で敗退を続けている。
- 米国とダーイシュテロリスト集団の間に連絡調整が存在することがあきらかになり、米国はテロ活動を操りながら支援を行い米シオニストの流入という目的を達成しようとしている。
- 陸軍総司令部と国軍は対テロリスト作戦に対する今回の蛮行に警鐘を鳴らすとともにこのような攻撃を受けてもダーイシュおよび勝利戦線テロリスト組織撃滅戦への決意は揺るぐことなく、シリアアラブ共和国全土で平和と安定の回復を続けていく。
- 今回のスーパーホーネットは地中海に展開中のUSSジョージ・H・W・ブッシュ所属機の可能性がある。同型機で初の空対空戦撃墜となった。また米戦闘機が有人機を撃墜したのは久しぶりの事例となったが、アサド側航空機との交戦は以前にも発生している。ちょうど一週間前に米空軍F-15Eがイラン製武装無人機をシリア南部で撃墜している。
- 今回のシリア空軍機撃墜はWar Zoneが長年予測していた事態が現実になったといえる。外交状況がこのままでISISの脅威が減ればイラク、シリア国内の対抗勢力間で戦闘が激化すると予測していた。「ラッカ陥落レース」もこのひとつでシリア軍、イラン支援のシーア派武装勢力、トルコ系戦闘員、ロシア特殊部隊は同市解放に加わることができないまま緊張が高まっていた。
- 今はロシアがどんな反応を示すかを見守るしかない。モスクワはアサドの軍事力を以前にまして保護する姿勢を米巡航ミサイルによるシャイラート空軍基地攻撃(今年4月)以来示している。今回の交戦でロシア軍戦闘機がシリア東部上空を監視飛行する頻度が増えれば同地区上空が一層不安定になりかねない。
- 米国はこれまで今回のような事態を予防しており、アサド側の空爆や脅かしにも左右されてこなかった。今回の事件でロシアが自国空軍力で対抗してくれば米国が連合軍とシリア東部に飛行禁止区域を設定しても驚くべきことにはならないだろう。
- 何よりも今回の撃墜はアル・ラッカ陥落の最終段階を支援する連合軍航空戦力には事態の複雑化以外のなにものでもない。慎重な態度のまま機体投入の増加が必要となればシリア国内のイスラム国勢力場撲滅に投入できる機体が決定的に不足しかねない。■
Contact the author: Tyler@thedrive.com
連合軍司令部の発表を見ると即座に撃墜したようです。シリア側発表が正しければパイロットは脱出する間もなく機体が墜落したことになります。一方的な戦いだったようですね。
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