文在寅大統領といえば左翼で政策に不安のある人物との見方が日本では大統領選挙前に強く、現在も良い評価はなかなか出ていないのですが、以下の米分析では盧泰愚元大統領時代の残滓はあるものの結構現実的な見方をしていると決して低く評価していません。果たしてこの評価が正しいのか今週の米韓首脳会談で明らかになります。その行方は日本の安全保障にも重要な影響があるので軽視できませんね。ソウルから過激な主張しか聞こえてこないのは北朝鮮勢力による言論操作なのでしょうか。だとすると過激な発言に日本が過激に対応すれば北朝鮮の思うつぼになるのでは。沖縄の反対運動の背後にも不純な動機を感じるのは当方だけでしょうか。
Is the U.S.-South Korea Alliance in Trouble?
米韓同盟関係は揺らいでいるのか
June 26, 2017
- 韓国保守勢力とオバマ政権が接近した時代を経て、ドナルド・トランプ、文在寅両大統領の間の緊張で米韓関係が揺るがしかねず以前のジョージ・W・ブッシュ=盧泰愚両政権の関係に似るとの観測に米側が備えている。ただこの見方が見逃しているのは文大統領が直面する制約のため軌道を外すことはないはず点だ。韓国国民が息をのみ見守るのはトランプ大統領の不確実性により米韓関係が危機に陥る可能性の方だ。
- 文は盧政権の首席補佐官を務めたことがあり、大統領選挙で盧の戦術を借用している。THAADミサイル配備の一時停止措置を国内手続きと環境基準を理由に発表したのも米国側に10年前のとげとげしい米韓関係の記憶を呼び戻してしまった。
- ただ文在寅大統領が直面する現実は盧大統領時代に本人が主席補佐官として経験した当時の国内国際情勢と大きく異なる。まず国内では政権政党は少数党であり、一方で韓国民の米韓同盟関係(THAADミサイル防衛装備の配備含む)への支持は高い。一方で文の政策課題は主に国内汚職追放と経済平等の追求であり、そのため外交方針は現実的かつ分別をわきまえた路線とする必要があり、米国との同盟関係を基礎にすべきことは明らかだ。
- 次に金正恩下の北朝鮮は父金正日時代と異なる。文は選挙期間中に繰り返し北との対話と経済関係刷新を訴えたが大統領選挙からわずか四日で北がミサイル実験をし、目を覚ます効果があった。北朝鮮が非核交渉の席を蹴って久しく文政権による民間交流の再開にも応じていない。北朝鮮軍部は韓国体制の転覆に注力しており対話には関心がない。
- さらに国際関係でも変化が生まれている。文が提唱する南北朝鮮間の経済交流再活性化はトランプ政権がめざす圧力強化に反するどころか国連による制裁措置にも違反する可能性がある。また、文政権がめざす対中関係修復では米国を弱体化させTHAAD配備を中止させるべく圧力をかけている中国が障害になっている。
- 最近の国際環境で韓国が直面している制約とリスクの中で文は対米関係で現実主義と協力姿勢を賢明にも示している。訪米を控え文は各種米報道機関の取材でトランプ政権との相違点を極力出さないように動いている。自身の対北朝鮮外交姿勢はトランプ政権の「最大の圧力と関与」と共通していると主張している。
- 米国が提唱する制裁と圧力を目指した政策に協調姿勢を示した文は開城工業団地など南北朝鮮経済協力の再開では控えめな姿勢に終始した。文は実施には北朝鮮が核廃絶の姿勢を示すのが条件だとし、米学生オットー・ウォームビアの死去は北朝鮮に責任があると怒りを示し、さらに金正恩は「非合理性の塊の指導者かつ極めて危険な人物」だと6月20日にワシントンポスト取材で答えている。こうした現実的な発言が文から出ているのは自身の政治の師廬武鉉と対照的だ。
- だがTHAADを巡る決定で文はトランプ大統領を怒らせたとの報道があるが、環境評価の結果が出てもミサイル装備受入の決定が覆ることはないと韓国側は保証している。同様にトランプは韓国の防衛・通商政策はタダ乗りだと長年にわたり発言しており、その考えがいつ表面に出てきてもおかしくない。文は韓国の国防体制を強化するとしソウル南部に在韓米軍基地を新設する事業も続けると確約しているのだが。米韓協議では在韓米軍の駐留費用負担で韓国の負担を増やす点が重要でその他に米韓自由貿易協定の見直し協議もありうる。
- 韓国にとって最大の恐怖は文とトランプ間の相性がうまく行かない場合で韓国存続の基盤たる安全保障が消えることだ。実際には両国間には共通目的で深く結ばれた仕組みがあり半島情勢や地域内の不安定に対応するべく安全保障上の同盟関係があるのだが。
Scott Snyder is Senior Fellow for Korea Studies at the Council on Foreign Relations. He is the author of the forthcoming book, South Korea at the Crossroads: Autonomy and Alliance in an Era of Rival Powers (Columbia University Press, 2018).
Image: People watch a TV broadcast of a news report on North Korea firing what appeared to be several land-to-ship missiles off its east coast, at a railway station in Seoul, South Korea, June 8, 2017. REUTERS/Kim Hong-Ji
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