借りたものは返す、数字はうそをつかない、という常識は中国では以下に踏み倒すか、都合の良い数字に置き換えるかと理解されているようです。 嘘はいつか破たんします。中国経済が嘘の塊であれば信用した世界が一番の被害者になります。中国経済が破たんしたとき軍事力を中国はどう使う(使わない)つもりなのでしょうか。解放軍も一種の企業体であることを忘れてはならず、国営企業の常と同様に巨額の借り入れがあってもおかしくありません。このままでは中国の夢は文字通り夢に終わりそうです。朝鮮、中国と日本は大変な国家に囲まれていますね。
Why China's Rise Is Built on Debt (And the Bill Keeps Getting Bigger)
中国はどうやって借入れをもとに台頭できたのか(そして借入額はどんどん増えている)
May 25, 2017
遅きに失したが中国が27兆ドルの債務の山を崩そうとして金融市場に動揺が走っている。果たして中国はバブルが破裂する前に信用の急膨張を制御できるのか。
どれだけ債務が増えているのか
- 前回National Interestが中国の借金問題を報じた際は国内総生産GDPの260パーセントを超え、2008年の163パーセントから急増し、金融危機前の米英の債務合計増加を上回る勢いになっている。
- 中国の「シャドーバンキング」も急拡大し、金融商品が3.8兆億ドルと三年で三倍になる一方、企業部門の借り入れはGDP比156パーセントになり、7年で四倍になった。
- ムーディーズは今週に入り中国債権の格付けをひと刻み下げ、中国政府が目指す経済成長の持続には借入を増やす必要があると指摘した。
- この切り下げ前に公表された中国のGDPデータでは政府が相変わらず借り入れ前提のインフラ建設で経済成長を狙っていることが明らかになった。第一四半期の成長率は6.9パーセントと伝えられ、市場予想の6.8パーセントを上回ったが、ANZリサーチは「いつも通りの投資の筋書きだ」と論じた。
- 固定資産投資は建設、不動産ともに上昇したが、サービス部門等の第三次産業の成長は鈍化している。
- 過熱気味の住宅分野はさらに熱くなり、不動産投資は9パーセント超の増加、住宅投資は10パーセントを上回った。住宅ローンは8,000億元(1,160億ドル)増と最大の伸びを記録した。
- 社会投資の合計は経済の全般的信用枠の把握に使うが、年率4パーセント増7兆元となり、320パーセント超の成長をしたシャドーバンキングが助けた格好だ。
- 第一四半期だけで借金が4.2兆元増え、GDPの四分の一に相当するとANZリサーチが指摘している。
- 「重要な問題は投資先導モデルがこのまま維持できるのか、当局が信用枠拡大の抑制に苦労していることです」(ANZ銀行)
- 「中国トップ指導層が金融引き締めをもっと強力に進めるのか注視したい」と同行は4月17日調査報で述べていた。
- これに対して別の格付け会社フィッチレイティングスは今年の経済成長目標が6.5パーセントと控えめになのに対し信用枠はGDPを50-100パーセント上回る増加ぶりだと警句を鳴らしている。
- 「この信用枠拡大により今年の中国経済では借り入れがさらに増える。当局は金融リスクの拡大を認識しているのだが」と同社は研究レポートで述べている。
最大のリスクとは
- 4月後半になり北京政府はやっと金融部門の債務拡大リスクの懸念に対応を示した。習近平主席が会議を招集し「国家金融市場の安全確保策」を4月25日に検討した。これは上海株式市場が2017年最大の下げを記録した翌日のことである。
- 過剰借入れ、株式投機などすべての対策と並行して中国保険規制委員会の前委員長が解任され、国家統計局の局長が収賄疑惑で起訴された。
- その結果として株式市場が停滞し政府発行債の利回りが急上昇した。ベンチマークになる上海複合指数は4月11日の最高値から4パーセント急落し、10年物政府債の利回りは2015年4月以来最高水準を記録した。
- 政府は資金の流れを制御しようと規制を一層強化にする一方、公式交換レートは高く誘導されたのは「通貨市場にパニックが広がるのを防ぐため」とエコノミストのXia Leは述べている。
- 中国企業が売り出しを止めた企業債は今期だけで推定1,840億元にのぼるが、一方で3兆元の金利支払いが必要だ。債券利回りは上昇傾向にある。支払い不能を宣言した企業は3月31日以来4社で今後借り入れコストがさらなる上昇で債務不履行となる企業は増えるとみられる。
- フィナンシャルタイムズによればファンドマネージャーの三分の一が中国の信用引き締め策が遅くに失しており「今や市場で最大のテイルリスク」と見ている。2016年1月以来、ユーロ圏崩壊の可能性より高いリスクとして中国が認知されているとバンクオブアメリカ=リンチはまとめている。
- オックスフォード大チャイナセンター研究員のジョージ・マグナスは中国には五つの罠が待ち構えているという。資本、債務、人口、中間所得層および歴史だという。「中国国内の信用形成を見れば、時間の問題であり、おそらく二三年以内に資金回収の波がやってくるはずで、低成長になり元安が長期間続くでしょう」
- マグナスの意見ではシャドーバンキング部門が中国のアキレス腱で、今年秋の全国人民代表会議までに経済を正常にしようとする政策部門にとって障害だ。
- 「この部門の貸付は仕組み上国営企業や銀行の債務よりもっと緊急性が高い時間問題」とマグナスは見ており、「闇貸付の危機は貸し手側が制度からはじかれてその結果焦げ付いた貸付が金融制度全体に悪い影響を与えることですが、今から半年から2年以内に表面化するはずです」
- マグナスはGDP成長率が6.5パーセントを下回るのが政府の「テスト」となるとみている。「債務問題は平和的に解決できない」とフィナンシャルタイムズに語っている。
- ロイター調査では中国経済は今年の6.5パーセントが2018年には6.2パーセントになるとみている。昨年の6.7パーセントが過去26年間で最低だった。
一帯一路の損金処理は
- 政策部門は全人代の前に減速を防ごうと必死だ。全人代は習近平の権力基盤強化になるとみられる。習が自らの地位を固めるため打ち出した一帯一路構想Belt and Road Initiativeは借金を増やすだけかもしれない。
- 同構想に参加する各国向けの中国各銀行の貸付は2,840億ドル(2016年末)に上っており、最近開かれた一帯一路サミットで追加1,000億ドル枠の提供が約束された。
- それでもクレアモント・マッケンナ大のミンシン・ペイ教授はプロジェクト全体は中国さえも対応不能な巨大な債務の山に終わると警告している。
- その指摘ではラオス向け総延長260マイルの鉄道敷設の費用は60億ドルとなっているのに対し、東南アジア最下位の同国のGDPは120億ドルにすぎず、巨額貸付が押し付けられており、借り入れ側は返済が困難になる例だという。
- 「中国は債務国側に対して影響力が限定され今後一帯一路が不良債権化すれば回収はわずかしか期待できないでしょう。中国の納税者がツケを払わされます」
時間がない
- 短期的に中国政府の期待は金融部門取締まり強化で過剰貸し付けを制限し、不動産価格急落を防ぐことだろう。後者は歳入確保を土地販売に頼る地方政府や金融機関に打撃となる。
- 国際通貨基金から中国の国内銀行までさらに政治家も債務危機を警告しているが、時間はどんどん減っており、このままだと2008年以来最大の債務危機は回避できそうもない。暴落が一度始まれば、アジア全体並びに世界がすぐに痛みを感じるはずだ。■
Anthony Fensom, a Brisbane, Australia-based freelance writer and consultant with more than a decade of experience in Asia-Pacific financial/media industries. You can find him on Twitter: @a_d_fensom.
Image: Five-yuan note. Flickr/David Steadman
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。