Russia vs. America Underwater: What if the World's Two Best Submarines Went to War?
ロシア対アメリカ水中戦、両国の精鋭潜水艦が対決したらどうなるか
June 14, 2017
- 米海軍の潜水艦部隊は冷戦を経て海中で圧倒的な存在になった。全隻原子力潜水艦で構成したエリート部隊は競争相手だったソ連潜水艦部隊が停泊されたまま錆びるに任せているのと対称的だった。新生ロシア連邦は原子力潜水艦部隊の維持をする余裕がなかった。
- 米潜水艦の独壇場が20年ほど続いているが新たな挑戦が深海からやってきた。米海軍の優越性に挑むのがロシアのヤーセン級潜水艦で米海軍の主力ヴァージニア級と対決したらどうなるか。
- ヤーセン級潜水艦は1980年代中頃にマラヒト中央設計局による構想で一号艦セヴェロドヴィンスクの建造は1993年に始まったが資金不足のため作業がほぼ10年にわたり遅れた。2010年に進水にこぎつけ艦隊編入は2013年だった。
- 全長390フィート、排水量13,800トンのヤーセン級の乗員は90名で同程度の米潜水艦より少なく、高度の自動化をうかがわせる。艦形は以前のアキュラ級に似るが司令塔以降が延長され垂直発射管を備えている。権威あるCombat Fleets of the WorldによればOK-650KPM原子炉を一基(出力200メガワット)と十分な動力を確保し水上16ノット、水中31ノットとしている。別の報道では水中35ノットとするものもある。20ノットで静粛潜航が可能だ。
- セヴェルドビンスクが搭載するセンサー装置はイルティシュ-アムフォラ製で、艦首に球状ソナーアレイ、艦側部にソナーアレイ、艦尾にえい航式ソナーを搭載する。航法捜索用にはMRK-50アルバトロスレーダーがありリムハット電子支援対抗装置もある。
- 武装は標準的な533ミリ魚雷発射管4本と別に650ミリ発射管も4本ある。ホーミング魚雷と3M-54クラブミサイル(対艦、対地、対潜に対応)を運用する。sらに垂直発射管が24本あり、P-800オニクス超音速ラムジェット対艦ミサイルが使える。
- これに対してヴァージニア級潜水艦は少数建造に終わったシーウルフ級の後継艦として価格の妥当性にこだわる。現在ヴァージニア級が米海軍潜水艦部隊の主力になりつつある。
- 全長377フィートのヴァージニア級はヤーセン級より13フィート短いが排水量は半分だ。乗員は113名でジェネラルエレクトリック製SG9原子炉一基を搭載し、従来のプロペラではなくポンプジェット方式推進だ。水上25ノット、水中35ノットといわれ、25ノット航行でも十分静粛だとされる。
- ロシア艦同様にヴァージニアの主ソナーも球状で船首につく。ただしブロックIII建造分からBQQ-10ソナーのかわりにU字型の大型開口艦首ソナーを搭載する。補助として艦の両側部にアレイをつけ、軽量広範囲開口アレイと呼ぶ。これは光ファイバーによる聴音装置でディーゼル電気推進式潜水艦の探知を狙う。後方の監視にはTB-29(A)えい航式パッシブアレイを使う。司令塔と艦首下には高周波ソナーアレイを付けており、機雷を探知し回避できる。
- ヴァージニア級の武装は533ミリ魚雷発射管が4本のみでMk.48高性能(ADCAP)大型ホーミング魚雷とUGM-84サブ-ハープーン対艦ミサイルを水上艦攻撃に使う。初期型はトマホーク陸地攻撃ミサイル12本を垂直発射管に搭載していたが、その後ブロックIIIから円筒型発射管二本になり、さらにブロックV以降は発射管を増やしてトマホーク40発を搭載する。
- 現在建造中のブロックIIIヴァージニア級がセヴェロドヴィンスクと一対一で他決したらどちらか勝つのか。両艦とも潜水艦技術の粋を搭載し相手国を意識している。良い勝負になるだろう。セヴェロドヴィンスクが水中速度がやや低いが潜航深度が大きい。ヴァージニアは高速だがCombat Ships of the Worldによれば艦体の最高深度テストは488メートルだという。ヴァージニアはソナー探知能力で優れている。これは新型大型開口艦首ソナーによるところが大きい。
- 兵装では両艦はほぼ互角だ。ただしセヴェロドヴィンスクにはクラブミサイルの対潜用があるので敵潜水艦に対して軽量魚雷をミサイルで迅速にふりむけることができる。この方式は米サブロックシステム(退役ずみ)に似ている。
- ヴァージニア級は静粛性で優れソナー性能もロシア艦より優秀だ。潜水艦戦ではこの二つがそろうと無敵だ。移動しながらセヴェロドヴィンスクを探知するだろう。逆にセヴェロドヴィンスクは敵を急に探知してもクラブASW超音速ミサイルを発射して対応可能だ。近い将来にはヴァージニア級の改修ソナー性能がソフトウェアアップデートと一緒に実用化されるはずだが、セヴェロドヴィンスクではソナー性能の改修は無理でも静粛化対策は簡単に実施できるはずだ。総合するとヴァージニア級が有利だ。
- 長期的には両艦の競合関係では無人水中機など新技術が導入されるはずだ。米国が冷戦終了後は潜水艦戦に本腰を入れてこなかったのは事実だ。これは9/11後でも同じだ。だが米国が再び大国との対決に目を向け始めた中で米潜水艦部隊は再びロシア艦を出し抜きそうである。■
Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.
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