A-10退役案の時と同様に議会から猛烈な反発が米空軍にありそうですね。A-10とちがいF-15には明確な寿命延長策、性能改修策がすでにあり、議論が前向きになり、かつ国防予算の制約が緩和されればF-15C/Dの供用延長が可能で、これが一番コストパフォーマンスが高いと思うのですが。ただしF-16改修を先に進めさせている米空軍は外堀を埋めた気なのでしょうね。ただし数字の使い方が意図的すぎます。日本も対岸の火事とたかをくくる余裕はなく、F-3が登場するとしても2030年近くのことでしょうから当面イーグルを大事に使わなければならないことに変わりはないのです。
Boeing Opposes F-15C Retirement Plan
ボーイングがF-15C退役案に反論
ボーイングは2040Cと銘打ったF-15イーグルの改修案を米空軍並びに海外向けに販促中。Boeing
- 米空軍が打ち出したF-15Cの早期退役案にボーイングが意見を表明し、ロッキード・マーティンF-16改修では冷戦時から航空優勢を維持してきたイーグルの代わりは務まらないと主張。
- 空軍はF-15C全機を退役させF-16にアクティブ電子スキャンアレイレーダーを装備し国土防衛に当たらせる構想を発表している。これはF-15Cの機体構造強化で寿命延長に一機あたり30-40百万ドルかけるのを回避する狙いがある。改修は主翼新造と機体中央部の再製造が内容だ。浮いた予算を将来の航空優勢戦闘機開発さらにロッキードのF-35の調達数増加にあてるのが空軍の計算のようだ。
- ボーイングの説明ではF-16では速度、航続距離、ペイロード、レーダーのいずれもF-15の比でなく、戦力低下は避けられず、結局短期つなぎ策にしかならない。
- ボーイングはイーグル稼働機の疲労試験を行っており、派生型のF-15Eストライクイーグルでも同様に試験を実施中だ。その結果から縦通材longeronを交換する安上がりかつ簡便な対策でF-15は2030年代中頃以降も稼働可能とわかってきた。
- 一機あたり40百万ドルとは航空戦闘軍団司令官が機体中央部全体の再製造と主翼交換費用として3月に述べた数字とボーイングは説明。ただし試算は空軍の求めに応じ同社が提供したとも述べている。
- 「これは一番費用がかかる方法で最悪の場合のシナリオです。現時点で真剣に考える必要のない方法だと見ています」(ボーイングでF-15事業を統括するスティーブ・パーカー)が4月17日取材に答えてくれた。
- パーカーによれば縦通材交換は空軍の定期補修策として実施中だという。費用は一機あたり1百万ドルで部材と人件費すべてをカバーする。ボーイングはイーグルの構造設計は15,000飛行時間設定だが改修で2030年代中頃までは十分飛行可能だという。
- 空軍は2023年から2024年までにF-15C全235機の縦通材を交換する予定だ。2017年度予算要求では同機を2045年まで供用させるため大規模構造補強が必要で、主翼交換も2020年代に実施するとしていた。
- ただF-15供用を続けるには構造補修だけが必要なのではない。空軍は数十億ドル予算で性能改修を進める予定で一部は実施中だ。
- 空軍が力を入れるのはレイセオン製APG-63(V)3アクティブ電子スキャンアレイをF-15C/Dに導入することと、APG-82(V)1をF-15Eに搭載することだ。F-15Eでは高性能ディプレイコアプロセッサーIIの搭載が始まっている。他方でBAEシステムズ製のイーグル・パッシブアクティブ警告残存性向上装備 (Epawss) が電子戦装備として米政府の設計審査段階を通過したばかりで2018年にも飛行テストが始まろうとしている。
- ボーイングはこうした改修策でF-15Cの威力は2030年代に入っても十分通用すると主張。早期退役させれば空軍の戦闘機機材数並びに実力が低下することになるという。
- F-15をF-16で代替させる空軍提案は2019年度の「計画指針」の一部といわれる。実施となれば州軍航空隊に影響が大きく出るのは必至で、同時に英国、日本に駐留する戦闘飛行隊にも影響は避けられない。
- 「現有機材をレーダー、航続距離、ペイロード、本土防空能力のいずれも劣る別の機材に交替させる意味があるのでしょうか。攻撃を受ければ、最速かつ静かな機体に大量の兵装を搭載して撃退させるのがあたりまえではないでしょうか」(パーカー)
- F-15はロッキード・マーティンF-22ラプターで交替されるはずだったが、ラプター生産は2011年に187機で終了している。ボーイングはF-22生産でも主要契約企業だった。
- 空軍の侵攻制空機材/F-X事業は現在代替策検討段階にあり、2030年代に十分な機数を調達しF-22(183機在籍)にかわりイーグルが現在務める本土防空任務につかせる目論見だ。これと別に空軍はロッキードにF-16C/Dの耐用年数延長作業の契約を認め、ブロック40から52の機材のうち300機を選抜し4,000時間相当の追加で2048年まで供用する。
- ここに来てF-15Cの将来に疑問が出ているが、ボーイングは「2040Cイーグル」構想を性能改修策として米空軍他各国に販促中だ。カタール販売が実現する可能性もある。
- 2040改修案の中核は機体一体型燃料タンクを左右に付けること、赤外線捜索追尾センサー、第五世代通信ゲートウェイ、四発搭載ミサイルラックを第二、第八兵装ポイントにつけること、電子戦能力、レーダーやプロセッサーの能力向上だ。
- ボーイングは各方面から性能改修内容に大きな関心が寄せられており、州軍航空隊と一体型燃料タンクの飛行テスト実施契約を取り交わした。
- ボーイングは自社負担でミサイルラックの開発も進めており、レイセオン製AIM-120高性能中距離空対空ミサイルAMRAAMをこれまでの二発から4発搭載できるようになる。この四発パックを国名非公開の顧客向けに実証し今年中に飛行テストを実施する。
- 「退役構想が話題に出ていますが、同機への関心度があらめて高まっており領空を守る必要がある国なら航空優勢戦闘機は絶対必要です。当社には現在生産中で最良かつ最先端の性能を有する航空優勢戦闘機があるのです」(パーカー)■
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