スキップしてメイン コンテンツに移動

★金正恩暗殺が本当に実施されたら



なるほど金正恩暗殺には法的な問題も事後の問題もありますね。筆者のいうように中国を米国が受け入れられる形で関与させる企みの一環なのでしょうか。一方でオサマ・ビン・ラディン殺害を実施したのも米国ですが(死体は信奉者が出るのを防ぐため海中に投棄)北朝鮮で強固に守られて怯えて暮らす北朝鮮指導者はバンカーバスターを投入してもを一人殺害できるのかもわかりません。

The National Interest

What If America Assassinated Kim Jong-un?アメリカが金正恩を暗殺したらどうなるか。

Nobody knows whether cooler heads in North Korea would prevail after Kim Jong-un's death. 冷静な後継者が現れるのか不明だ

April 10, 2017


  1. サリンガス攻撃の様子がホワイトハウスの緊急事態対策室に流れると、ドナルド・トランプ大統領は国家安全保障会議NSCに翌日までに具体的対策案を出せと求めた。国防長官ジェイムズ・マティス、安全保障担当補佐官H・R・マクマスター、統合参謀本部議長ジョセフ・ダンフォードはその通り行動し、トランプ大統領は米海軍に巡航ミサイル59発の発射を命じ、ガス攻撃の出撃基地攻撃を狙った。
  2. 同時にNSCは北朝鮮政策見直しも検討している。シリアとちがい、大統領は安全保障専門職に長い時間を与え、より柔軟に対応策を検討させた。これに先立つ3月にウォール・ストリート・ジャーナルが「正当派から外れる選択肢も検討」せよとの国家安全保障補佐官補K・T・マクファーランドの指示が出ていたと報じている。
  3. その際の選択肢がいかに異例の内容だったが今はわかっている。韓国への核兵器再展開、金正恩および司令部上層部の殺害もその一部だ。「この20年間外交と制裁を繰り返した結果は失敗で北朝鮮の動きを止められなかった」と情報機関高官がNBCニュースに語っている。その言葉の真意を読めば、トランプ政権のメッセージが見える。北朝鮮は長年に渡る問題国であり、今こそ同国指導体制を崩し別の可能性を探る時期だ。
  4. 外国指導者の暗殺が米安全保障政策上で重要要素だった時代がある。冷戦中は米国の政策目標への支持が不十分な指導者またはソ連と親しい指導者はいずれも排除対象だった。キューバのフィデル・カストロ、コンゴのパトリス・ルムンバ、ドミニカ共和国のラファエル・トルヒーヨ、グアテマラのジャコボ・アルベンスの面々はCIAの暗殺リストにあり、リビアのムアマル・エルカダフィは国際テロ支援のため何度も攻撃対象となった。1986年にロナルド・レーガン大統領はカダフィの居住地への空爆を命令し、本人が屋内にいるよう祈った。国家安全保障の官僚層の取材でニューヨーク・タイムズは「リビア空爆の主目標はカダフィ暗殺だった」と突き止めた。
  5. ただし冷戦が終結して25年になる。外国指導層の殺害は今や人気のない選択肢であり実施できる状態ではない。事実、ジェラルド・フォード大統領の時代から米国が絡むと疑われる暗殺の企てはできなくなっている。フォードの大統領令はきわめて簡潔だ。「合衆国職員はだれも政治的暗殺への関与、謀議に与してはならない」 これに対しレーガン大統領は独自に大統領令12333で「合衆国政府に雇用されるあるいは代理で動くいかなるものも暗殺への関与あるいは関与しようと謀議することは許されない」と再定義、これは拡大解釈の余地を残したともされる。
  6. したがって金正恩暗殺および北朝鮮指導部の斬首を狙う政策は41年間続いた米政策の大転換となる。もちろん政策や大統領令、行政命令は変更修正されたり書き換えられたりできる。また合衆国大統領が外国指導者を殺害する命令を出すことを禁じる制約はない。米国法典第18部1116条により米市民が外国指導者殺害を試みれば訴追対象となるが、これは殺人が米国内で実施された場合または該当指導者が「自国外」で殺害標的となった場合である。トランプ大統領が以前の大統領令を修正するつもりなら、同政権は金正恩殺害を決行しても刑事訴追の対象にならない。
  7. もっと重要な問題は金正恩や核・ミサイル開発に関与した将軍連を抹殺するのが果たして賢明な政策なのかという点だ。トップを排除すれば残る悪者も怯え心を入れ替え新政権は一夜にして人権を守る民主国家に変身すると信じがちだ。前例がある。イラク軍事作戦開始の数字前にワシントンはサダムに巡航ミサイルを発射し、イラク政権はこれで大規模開戦は避けられると見ていた。サダムは攻撃を生き延び、バース党政権が連合軍に降伏したが、戦闘は終わらなかった。
  8. 北朝鮮は2003年のイラクとは全く異なる状況で、金正恩の権力基盤は盤石であり政権のじゃまものはすべて粛清し(叔父および異母兄弟含む)脅威度が低くても例外としていない。イラク軍は1991年の湾岸戦争とその後の制裁措置で士気戦力ともに低下していたが、北朝鮮は核兵器保有国であり、弾道ミサイルもあり、韓国を圧倒し、米軍基地も狙う戦力を有している。金を殺害すれば政権が変わると考えるのは未実証仮説だ。70年間に渡り保持してきた体制を簡単に手放すだろうか。北朝鮮は人的諜報活動でブラックホールであり、金正恩の後継者になりうる人物が誰なのか簡単に推察できないが、金正恩同様に腹黒い予測不可能な人物ではない保証はない。国家指導者の暗殺は戦争行為そのものと解釈され、平壌にもう少し冷静な人物が現れ、報復行為の主張を押しとどめる可能性があるのか誰にもわからない。
  9. 金正恩殺害は国家安全保障会議がトランプ大統領に提出する唯一の選択肢だが、いかにも通常の選択肢から外れ、大統領補佐官も大統領に断念させようとするかもしれない。北京の反応は迅速で主張を曲げないだろう。韓国、日本両国は北朝鮮が予測できる国になることを期待したいところだ。両国としてもトップ層排除で期待通りの結果が得られるとは思っていないはずだ。
  10. この話題は中国を米国寄りの協力姿勢に追い込むための政治ゲームであると期待したいところでありそれ以上の何者でもない。
Daniel DePetris is a fellow at Defense Priorities.
Image: A U.S. Air Force B-2 Spirit bomber aircraft approaches the rear of a KC-135 Stratotanker aircraft before refueling during a training mission over the Midwest in August 2013.​ Flickr / U.S. Department of Defense / Airman 1st Class John Linzmeier​.


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ