フォークランドでは相手装備が30年前より劣化したため、英軍もこれだけの防衛体制ですむのでしょうね。これに対して日中では年ごとに装備能力が進んでいきますから深刻度が全く違います。フォークランドには基地があるのが大きな違いですが、尖閣では海上抑止体制の限界が来たら日本はどんな選択をするでしょうか。
The Window for Argentina to Invade the Falkland Islands Is Fading
March 13, 2017
- 現時点のフォークランド諸島における英防衛体制はユーロファイター・タイフーン戦闘機4機と1970年代の旧式レイピア対空ミサイル陣地だけだ。英軍は短距離スターストリークミサイルをRAFマウント・プレザントに隠しているかもしれない。
- だがレイピアは旧式化しており、スターストリークは短距離でしか使えない。1982年のフォークランド戦争で英軍はレイピアでアルゼンチン機を20機撃墜したとするが、アルゼンチンは喪失3機と主張。両陣営が過大評価したようだ。
- フォークランドの防空体制強化が今後数年のうちに必要で、アルゼンチンは奪取の構えを捨てていないが実際には侵攻は極めて困難だ。アルゼンチンの1998年経済不況は軍も打撃し、空軍は戦闘機が一機もない。
- アルゼンチン大統領マウリシオ・マクリは領土奪取の夢を捨てていないものの前任者より静かな姿勢だ。
- 防御兵装は保険であり、将来のアルゼンチンが軍再構築に乗り出さない保証はない。現にアルゼンチンは戦闘機調達に乗り出したが不調に終わっている。だが状況がいつ変化してもおかしくない。
- 英軍も1980年代から大きく縮小しており、クリーンエリザベス級空母二隻が2020年代に就役しても作戦投入できるのは一隻だけのはずだ。現時点でヘリコプター空母HMSオーシャンが唯一の空母だ。
- そこで2020年までにレイピアの代わりに全天候無線周波数誘導方式の共用対空モジュラーミサイルCAMMを導入する。弾頭は接触式、近接式どちらでも運用できる。
- CAMMは中距離ミサイルで射程は15マイルしかないがそれでもレイピアの三倍だ。メーカーMBDAは射程延長型を開発中で27マイルまで伸びるが、これは輸出専用となる。だが同ミサイルは高機動型でレーダー照射を見通し線内で照射し続ける必要がないのはレイピアにはない特徴だ。CAMMは大規模センサーネットワークで標的を「見る」事が可能。
- CAMMはデータをジラフAMB(スウェーデン製パッシブ電子スキャンアレイレーダー)が75マイル内を探知したデータを利用する。ここにイスラエルがアイアンドーム用に開発した戦闘統制装備を組み合わせる。
- 英国防省は78百万ポンドで極秘のうちにイスラエル企業ラファエルにシステム開発を2016年12月に発注したがこれが最近判明した。
- イスラエルがNATO非加盟国でアルゼンチンにも武器販売をしていたため物議をかもした。英国は以前にもイスラエル製装備を購入しており、2007年にはスパイクミサイルを極秘調達し、イラク、アフガニスタンに配備している。
- CAMMの海軍版シーセプターの23型駆逐艦さらに26型フリゲートへの搭載は別途進行中だ。すべて総合するとアルゼンチンがフォークランド奪取する可能性は今でも少ないがこれからもっと厳しくなる。■
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