How to Push Back Against China in the South China Sea
March 16, 2017
ワシントンで最近毎年恒例のトラック-2「クアッドプラス」対話が開かれた。参加したシンク・タンクはオーストラリア、日本、インド、米国の四カ国で、別に招待された「プラス」国は今回はシンガポールだった。
- 今回の対話は重要なタイミングのもとで開催された。民主体制四ヵ国並びにその他民主主義国は一連の課題に直面している。前回からの12ヶ月でロシアがクリミア半島で地位を固め、ウクライナ東部でも「グレイゾーン」だとして紛争を巻き起こした。中国は南シナ海(SCS)で拠点を要塞化し、国際仲裁裁判所の出した結論を無視している。また多くの国で選挙に忙殺されグローバルな問題が後回しになっている。
- 価値観とともに政治機構も共有している各国であり、それぞれの問題は理解できる。問題は各国の力をどう調整して共通課題に対処したら良いかという点だとわかった。
- 今年は米国から南シナ海問題に関し緻密なペーパーがジェイムズ・クラスカ教授(米海軍大学校)から提示された。教授は中国の一方的なSCS活動に三段階で対処すべきと主張。うち二点は当方の主張と同様だ。米航行の自由作戦(FONOPS)を支援、補完し、2016年の国際仲裁裁判所の出した判決の法的根拠を強化する点だ。
- まず2つの方法論を守りつつクラスカ教授は他国(残りの四カ国含む)もFONOPSを実施し国際海洋法の執行を強化すべきと主張。FONOPSで社会の関心も上がれば、作戦実施の負担は各国で共有できる。FONOPSは国際仲裁裁判所判決を尊重し法による支配の原則を強化維持を各国が図るべきという。
- SCSに関する外交活動で仲裁判決を高く掲げる必要が有ることでは異論がないがFONOPSはオーストラリア他が躊躇する選択肢だ。だがクラスカ教授の三番目の対策に一番興味を覚えた。合法的対抗策の実施だ。ここで言う対抗策とは他国の権利を阻害する国家に国際法に従って相応の対価を支払わせることだ。合法性を担保するため、行動はバランスの取れたものであるべきで、無関係の第三国を不利にせず、より広い国際規範に合致させる。たとえば人権の尊重だ。
- SCSで中国は他国権利を制限しており、UNCLOSに反する。とくに無害通航権をEEZ内部で制約なしで認めてきた流れに反する。ただし今の段階で中国は外交抗議以外の手段はとっていない。そこで各国による合法的対抗策は中国艦船や航空機に各国EEZや領海内で同様の制約を加えることだ。中国艦を尾行し退去を求める。誤解ないようにここで考えているのは探照灯や拡声器の使用であり、砲門を開くことではない。
- これはいろいろな点で有益だ。まず、裏返して同じ状況が生まれる。つぎに第三国の主張権利を侵害しない。だが、一番の理由はFONOPSで直面している費用対効果の悩みを相手側にも与える効果だ。
- 正しいか誤っているかは別に中国はSCSを中核的権益ととらえており、自国権益を守るべく主張を一層強めている。中国の国内感情は強く政府としても引き下がれない状況だ。FONOPSは中国の主張に法的根拠がないことを改めて示す意味があるが、国際裁定結果が出てからは中国は合法性に二次的な意味しか認めていないのは周知のとおりだ。FONOPSの実施を慎重にすれば中国を過剰反応させずエスカレーションのリスクも生まれない。
- 中国艦船に他国海域通過を困難にさせても上記の懸念は発生しない。非対称だった領土領海の主張がひっくりかえり、反対意見に意味が増える。エスカレーションのリスクは対策を行う国の手に握られる。各国が権利を明確に主張しても、リスクは中国が主張する海域でFONOPSを行うより相当低くなる。
- 合法的対策で四カ国の行動を制約される要因は皆無だ。各国が実施できる戦略だ。四カ国はそれぞれの海軍力や海空の能力の恩恵があってこそ同戦略を追求できる。個別では警告を出すことだけでも、集合すれば相当の威力になる。検討の価値がある考え方であり、次回FONOPSの議論が頭をもたげた際に再度思い出す価値がある考え方だろう。■
なるほど、目には目を、というわけですか。もしこの戦略を実施するなら国際海峡を多数有するわが国は厳格な執行が必要となりますね。特に尖閣ではEEZは愚か接続水域まで現在はわがもの顔で中国艦船が通過していますので、今の措置では足りなくなります。海上保安庁があれば法執行が可能と主張する向きがあるようですが、日本漁船が追い回される現状をどう見ているのでしょうかね。海上自衛隊を出さないことで抑止力になっているとの議論もありますが、日本以外の各国からは奇異な意見だと写っているのでは。人権は中国にとって一番触れてもらいたくない点ですね。結局、中国は異質な価値観にこだわれば孤立を深めるでしょうね。
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