スキップしてメイン コンテンツに移動

トランプ政権はISIS壊滅に向けてどんな動きを示すだろうか


トランプ政権が発足してから変化の流れが早くなっている気がします。以下ご紹介の記事でも前提としていたフリン補佐官が辞任してしまいました。ISISとの戦いはまだまだ続きそうですが、新政権の新思考で事態をうまく展開してもらいたいものです。

The National Interest

Here's How Trump's Pentagon Could Take On ISIS

February 7, 2017


ドナルド・トランプ大統領は国防長官および統合参謀本部議長にイラク・シリアのイスラム国(ISIS)に猛然と対決する案の作成を求めている。また大統領執行令では案の提出は2月末締切となっている。
電話一本で済む指示をわざわざペンタゴンまで足を運んで署名式を開催したのは大統領がISIS問題を真剣に捉えていることの現れだ。新政権の中東政策はまだ固まっていないが、いかなる政策になろうともISIS打倒が最上段に乗るのは間違いない。選挙運動中は「奴らをふっとばす」と主張していた大統領の公約はISISには海賊集団の末路を準備する(つまり壊滅)として政策に落とし込むとする。
ペンタゴン上層部にはオバマ政権時からの選択リストがあるが、前大統領も対ISIS作戦としては有効とは見ていなかった内容もある。ダンフォード統合参謀本部議長はISIS問題でトランプ大統領、ペンス副大統領と繰り返し会見しており、ホワイトハウスにもペンタゴンから出てくる提案内容は察しがついているようだ。いずれにせよ国家安全保障会議は今後30日間で考えられる選択肢全部を深く検討するだろう。
提案内容はおおむね以下に要約されるはずだ。
1. 戦術裁量権を拡大する
世界共通の交戦時の指揮命令系統の原則があり、武力衝突では敵側が民間人を利用する傾向がある際には特にこれが重要だ。ISISはこの戦術を多用している。モスルでのイラク攻勢が長引きイラク治安維持部隊に多大な損害が生まれたのはおよそ百万人の住民が戦闘の真っ只中にいたためだ。ISISは抜け目なく米軍は多数の住民がいれば空爆を実施しないと踏んだのだ。
ISIS掃討作戦をモスルで加速すべく、ペンタゴン上層部は交戦規則の変更を命じることができたはずだ。イラク治安維持部隊と共同作戦中の特殊部隊にもっと裁量を与えるとか、支援航空隊に現在は禁じられている民間人被害のリスクを承知で攻撃させるとかだ。残念ながら目標リストが拡大すれば民間人殺傷のリスクも増えることになるのは特に人口密度の高い都市部にあてはまる。トランプ大統領が米主導の空爆で数百名の現地市民の犠牲もやむを得ないと判断すれば、モスル解放はもっと早く実現し、作戦展開ももっと激烈にできていただろう。
2. 地上部隊を増強する
6千名の米軍隊員がISIS攻撃の顧問ならびに特殊部隊として現地にいる。これは2006年から2008年の最盛期の150千名体制とは大違いだ。当時はイラクはばらばらになりそうな状況だったがこれがオバマ政権で甘受できる最大値だった。オバマ大統領は国内政治の風向きからイラク・シリア派兵はこれ以上無理と判断していた。またオバマは千名単位で米軍を増派し、最前線近くに送っても効果は少ないと強く信じていた。現地友邦勢力を増強すればよいのであり、米兵が戦い命を犠牲にする必要があるのか。
ただしオバマ政権時の前提は消えた。保安官が変わり、新保安官は結果を求めている。しかも迅速に。CNN報道ではペンタゴンは12千名までの追加部隊をシリアに投入する提案をする可能性がある。ISISが自称する首都ラッカの陥落のためだ。米特殊部隊が攻撃の先頭に立つだろう。残りの部隊はラッカ近郊に展開し、航空部隊に攻撃目標を指示する。これで米軍がISIS領土深くに進軍することになり、前政権の方針とは大きく変わる。シリア民主部隊含む現地友邦勢力が米軍部隊を助けるだろうが、その逆はない。
3. クルド人部隊に武器をもっと供与する
米軍はシリア民主部隊のうちアラブ人部隊をシリア北部で何度となく空中物資投下で支援してきた。この根底にはシリア国内のクルド人勢力がトルコに衝突するのを回避する意義があった。トルコはシリア国内クルド人勢力を徹底して憎んでおり米国政府はあぶなかしいバランスをとってNATO主要加盟国のトルコを怒らせず、トルコ国内のインチリック空軍基地から米軍機を引き続き運用可能とし、地上で実力を三年間にわたり実証済みのクルド人勢力にも良い顔をしなければならない。トランプ大統領は外交上の配慮など無視するかもしれない。もしシリア国内のクルド人戦闘部隊がISIS地上作戦で一番有効な勢力だとわかれば、米国はクルド勢力が求める武器を配布するだけの思慮があっていいはずだ。
4. 敵の探知、捕捉、壊滅
スタンリー・マクリスタル、マイケル・フリン両将軍が特殊作戦、情報収集をイラク・アフガニスタンで指揮していたころ、米軍はテロリスト拠点への強襲作戦を毎晩実施していたものだ。強襲して大量の情報を回収し即座に司令部へ送り分析され、さらに強力な戦闘集団への作戦に応用されていた。この動きはF3EADと呼ばれ、find探知し、fix目標をおさえ、finish全滅させ、exploit情報を回収し、analyze分析し、disseminate次回作戦に応用するとの意味だ。このやり方でイラクのアルカイダは2010年にほぼ壊滅状態に追い込まれた。
マイク・フリンはこのF3EDづくりに一役買っており、今やトランプ大統領の国家安全保障担当補佐官である。一般閣僚が堆積したあとで大統領と直接協議できる立場だ。フリンはF3EADの復活を主張し、情報収集面を強調する形に変える可能性がある。その目的はISIS指導部を根本から壊滅することだ。
トランプ大統領はどんな選択をするだろうか。国内政治面での逆効果をあえて甘受しても数千名の追加派兵をイラク、シリアで命じ、米軍の死傷者増加を受け入れるだろうか。あるいは前任者の政策を継承し、地上戦は現地軍に任せ、米軍は空爆を強化するだろうか。最高司令官の検討課題は多いようだ。■
Daniel R. DePetris is a fellow at Defense Priorities.
Image: U.S. Marine Pfc. Garrett Reed during a security patrol in Garmsir, Afghanistan. Flickr/DVIDSHUB

コメント

このブログの人気の投稿

★★★F-35とF-105の意外な類似性、戦闘爆撃機でドッグファイトは不得手

THE BUZZ America's F-105 Thunderchief Fighter-Bomber: The F-35 of the Vietnam War?
David Axe July 3, 2016 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/americas-f-105-thunderchief-fighter-the-f-35-the-vietnam-war-16839
War Is BoringによればF-35はF-16との模擬空戦で旋回速度が遅すぎて勝てなかったとテストパイロットが語っている。
これからの米空軍で最多の戦闘機材になるF-35が数で優勢なロシアや中国の機体と戦って残存できるのだろうか。 答えは歴史の中にある。50年前にも米空軍は同じ予測をしている。攻撃の主力F-105サンダーチーフは重量級ハイテク地上攻撃機で敵戦闘機も同時に撃退できるはず、とF-35と同様だった。 だが事実はF-105も旋回速度が遅くロシア製MiG-21に太刀打ちできず、空軍はF-105の損失を防ぐ特別な戦法を編み出した。同様の措置はF-35でも必要だろう。 F-35とF-105は驚くほど似ている。「F-105とJSFは大型、単座機、単発の戦闘攻撃機で、その時点で最強力なエンジンを搭載、空虚重量は27千ポンド級で翼幅もほぼ同じ35フィートだ」とオーストラリア航空宇宙専門家カーロ・コップが2004年に指摘していた。 http://www.ausairpower.net/Analysis-JSF-Thud-2004.html © 2005, 2007 Carlo Kopp

「両機種とも機内兵装庫があり機外パイロンで燃料と兵装を運べる」とコップは指摘し、「ともに戦闘半径400カイリクラスを目指し推力重量比、高機動操縦性能で制空戦闘機や迎撃機より劣っていた」 http://www.ausairpower.net/Analysis-JSF-Thud-2004.html

★★★米空軍次期戦闘機はもう戦闘機の形状となることはない---第六戦闘機の用語は駆逐

米空軍は次期戦闘機材の姿を未来から考えていますね。目的は航空優勢の確立であり、ドッグファイトは目的ではないと分析し、宇宙やサイバーも含めた多様なシステム構造の一貫として次期機材を捉えております。また、アジア太平洋での作戦をにらみ足の長い機体となると現在の戦闘機と相当形状が異なってくるとし、現状の姿の延長線上に次期機材を想定する勢力の生み出す結果と全く異なる結果を生み出そうとしています。改めて空軍の構成、運用がシステムで成り立っていることを痛感させられる内容です。 Air Force Prepares to Hash Out Future Fighter RequirementsBy: Valerie Insinna, August 28, 2016 (Photo Credit: Northrop Grumman)http://www.defensenews.com/articles/air-force-future-fighter-jet-penetrating-counter-air-next-generation-air-dominance
WASHINGTON — 一年をかけて将来の制空任務に必要な戦術や技術を検討した米空軍が次期戦闘機を実現する第一歩を踏もうとしている。2017年予定の代替策検討(AOA)に先立ち、空軍は予備作業を開始している。AOAはF-35に続く機体の要求条件、調達戦略に焦点をあてる。空軍は次期戦闘機をNGAD次世代航空優勢とかPCA侵攻制空用機材と呼んでいる。
だがアレクサス・グリンケウィッチ准将はAir Superiority 2030による戦力連携チーム(ECCT)を率い、NGADは従来の戦闘ジェット機と大きな違いが2つあると強調する。ひとつめが調達期間を比較的短くすることだ。
「2020年代末までに何らかの形が必要です」と准将はDefense News取材で発言している。「現実的な日程として2028年頃に中心的な技術分野で大幅な投資があれば侵攻制空性能で初期作戦能力が実現します
第二の相違点に関係するのがこのたびまとめられたAir Superiority 2030研究で将来の米空軍の航空優勢で決め手になるのは単一機種としての第六世代戦闘機のような機体ではなく、統合ネットワーク化された一連のシステムの集合だとする。この組み合わせの中に侵攻能…

★★★F-3事業に参画意欲を見せるボーイング、ロッキード・マーティン

Boeing, Lockheed Martin emerge as early rivals for Japan's fighter contest
Jon Grevatt, Bangkok - IHS Jane's Defence Weekly 19 July 2016 http://www.janes.com/article/62368/boeing-lockheed-martin-emerge-as-early-rivals-for-japan-s-fighter-contest Japan's Mitsubishi F-2 multirole fighter aircraft. Source: Japanese Air Self-Defense Force
航空自衛隊JASDFがめざすF-2多用途戦闘機の後継機種をめぐり、ボーイングとロッキード・マーティンがともに参画の意向を表明した。 IHS Jane’sが両社へ7月19日照会したところ、ともに日本での実績をもとに同事業参入を目指していることがわかった。事業規模は200億ドルといわれる。 防衛省は情報提供要求RfIを発出済みで、2018年4月までに「次期戦闘機」の決断を下すとみられる。 F-2は2000年代に三菱重工業MHIとロッキード・マーティンの共同事業で製造され、2027年ごろまでに全機退役する。 ボーイング広報によれば同社はF-2後継機の要求内容を検討中だという。「日本で当社の存在意義を大きくする方策は常に考えており、日本での安全保障ニーズに応えたい」 ロッキード・マーティン広報は「日本から各社に情報の要求が出ているが、当社もこれまでの日本との関係をさらに強化する今回の機会を活用したい」とし、「F-35事業とF-2でMHIと実績が成果を生んでいることは誇り」とする。 RfIは6月に出ており、各国の戦闘航空機メーカー宛に送付されている。RfIは7月はじめに締め切られており、米二社に加えユーロファイターとSaabもプレゼンを8月末に行う見込みだ。 RfIは既存機種での検討の一助にするほか、各社の事業参加への意欲をさぐることのがねらいだ。MoDはF-2後継機を純国産あるいは共同開発ですすめるかの決断を下すが、後者の場合は既存機種を原型にするとみられる。■