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★★米海軍の将来戦力構成でCSBAが抜本的改革案を提言



どこでも海軍は保守的な組織で思考方法もともすれ固まりがちです(以前は大艦巨砲主義、今は巨大空母第一主義でしょうか)トランプ政権でこれまでの縮み志向から一気に拡大するチャンスが来た米海軍ですが戦力編成に悩んでいるようです。そこでシンクタンクCSBAが思い切った提言を議会に提出したようです。果たして海軍の本流思考にはどう受け止められるのでしょうか。

Big Wars, Small Ships: CSBA’s Alternative Navy

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on February 09, 2017 at 12:16 PM

Wikimedia CommonsCSBAはスウェーデンのヴィスビ級に類似したコルベット艦40隻の導入を提言。
WASHINGTON: 米海軍には小規模艦船を多数整備した大規模艦隊が必要なのであり、戦力構造検討結果とは違う形にすべきだと議会委託の戦略予算評価センター(CSBA)が独自の検討内容を発表した。
CSBAも海軍には対テロ作戦やプレゼンス示威から大規模戦闘の抑止任務(必要なら戦闘する)への切り替えが必要だとの米海軍の主張では同じだ。ともに攻撃潜水艦を現行55隻から66隻に増やし、ミサイル潜水艦12隻の整備が必要とまでは共通している。ただしCSBA提言では水上艦艇で内容が大きく異なっており、内容は上院軍事委員会委員長ジョン・マケイン議員の私案に近い。
「戦闘部隊」を構成できるのが大型艦だけと定義すると、CSBA案は340隻で海軍案(355隻)より僅かに少ない。(現在の戦闘部隊は274隻で構成)だが小排水量の哨戒艇まで入れると海軍案の368隻に対し、CSBA案は382隻になる。DARPAが開発中のシーハンターのような無人艦艇も入れるとCSBA構想は更に増えて462隻になる。海軍案ではこの種の艦艇はまったく入っていない。
Sydney J. Freedberg Jr. graphic from CSBA data

分野別でCSBA提言ではいろいろな違いがある。
  • 航空母艦:海軍CSBAともに原子力空母12隻が必要だと一致している(現在は11隻)が、CSBAはスーパー空母をより小型の通常動力「軽空母」(CVL)10隻で補完させる点が違う。CVLは現行の「大型」強襲揚陸艦を発展させ、航空機運用のため揚陸艇運用は犠牲にする。マケイン議員も軽空母構想を推すが、海軍・海兵隊は大型空母の柔軟性を好み、この構想に懐疑的だ。
  • 巡洋艦・駆逐艦:海軍案では「大型水上戦闘艦」つまり巡洋艦・駆逐艦を104隻体制にするとあるが、CSBAは74隻で十分とし、全部駆逐艦であり、巡洋艦は不要とする。報告をまとめたCSBAのブライアン・クラークは記者に大型巡洋艦は無駄な存在で高性能の無人装備や新しい作戦概念である「分散型攻撃力」では小型艦艇により多くのミッションが実施できるとする。たとえば空母打撃群に巡洋艦を対空装備の中心艦とするかわりに、CSBA提唱の重フリゲート艦(下参照)を中心にするとする。この新フリゲート艦は同時に低脅威も担当し、駆逐艦に強度の戦闘任務に専念させる。
  • フリゲートおよびLCS: 海軍は一貫して「小戦闘艦艇」52隻が必要と主張し、問題多い現行の沿海戦闘艦と今後登場する「フリゲート」拡大版を想定している。各艦は3,000トン超の大きさだ。CSBAはこれに対して小艦艇がより多く必要とする。新設計のフリゲート(4千から5千トン規模)が71隻でLCSには不可能な機能を実現する。例えば多目的ミサイル発射管のVLSによる広範囲の防空任務がある。大型フリゲート艦は空母護衛の中心であり、揚陸艦や補給部隊も支援する他、無人艦艇や有人哨戒艇と行動をともにする。新企画のフリゲート艦建造は2020年に開始する。マケイン議員も同様にLCSを「超えた」多機能艦が「なるべく早く」必要だと主張。
  • 哨戒艇:現在はサイクロン級哨戒艇13隻があり、300トンの小艦艇だが「戦闘部隊」の勘定に入っていない。単独で大洋横断できないためだ。CSBAはそこでやや大きい規模の艦艇を多数整備すべきと主張し、600トン程度40隻が必要と算出した。コルベットとも言うべき艦となりスウェーデンのヴィスビをCSBAはモデルとしている。コルベットは外国海軍で多用しているが、米海軍には歴史的に異例な存在だ。マケイン議員も排水量(800トン未満)の哨戒艦の建造を2020年に開始すべきと主張している。
  • 無人艦艇:海軍も無人水上艦(USVs)や無人潜水艇(UUVs)の試験をしているが、戦闘部隊の一部とは位置づけていない。CSBAは逆に「超大型」USVを40隻と「超大型」UUV40隻の整備を主張。有人艦艇の代わりとするのではなく、消耗品に近い扱いで高リスク任務に投入する。偵察や電子戦や機雷敷設だ。海軍の遠征派遣用高速輸送艦(旧名称JHSVs)は無人艦艇の母艦に任務変更する。
内容を見た議会スタッフの一人が「これまで30年間の艦艇建造の流れを大きく変化するもの」「艦隊規模を現実的に引き上げる唯一の方法だろう」と感想を述べている。「軽空母」がこの中で一番大きな変化とし、「空母中心主義」の海軍がどんな意見を言うのか読めないとしつつ、歴史を見れば各種規模の空母を運用した前例はあると指摘した。
CSBAのもう一つの提言に艦隊構成を2つに分ける変更がある。艦艇の大部分は「抑止力部隊」としてあらたに編成する10個部隊に所属し、地域別に任務海域を割り当てる。各部隊は大規模戦闘が発生した場合、第一線部隊となる。予備部隊は世界規模の「消防隊」であり、米国に配備する「派遣部隊」とし、ハイエンド機能の艦艇として原子力水推進スーパー空母二隻と護衛部隊を常時展開可能として保持する。
DARPA's Sea Hunter (ACTUV) unmanned ship
DARPAがすすめるACTUV「シーハンター」無人艇
費用はどうなるか。CSBA試算での取得費はオバマ政権が残した2017年度建艦案に年間35億ドルの追加が必要で、18パーセント増となる。(197億ドルから232億ドルへ) 作戦運用維持費で訓練、燃料調達に追加19億ドル(14%増)の165億ドルが必要となる。予算管理法ではこれだけの金額を上乗せするのは困難だが、トランプ大統領は同法を終わらせ国防予算は大幅増とする公約しており財政赤字の増加も甘んじる姿勢だ。■



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