2017年2月28日火曜日

ロシア次世代爆撃機PAK-DAは本当に飛ぶのか


いろいろ苦境にあるロシアでこんな機体が本当に実現するのかわかりませんが、米国の国防筋は同機の存在を脅威としてこれから大々的に騒ぎ立てて予算を獲得するのでしょうか。

Russia to start building its next generation flying wing stealth bomber to replace the Tu-22, Tu-95 and Tu-160 aircraft

Feb 27 2017 -
PAK-DA想像図(出展 militaryrussia.ru、スプートニクニュース提供)は公式な想像図ではなく、実際の機体と異なる可能性がある。

およそ四年前ロシアの次世代ステルス爆撃機のコンセプト図が承認をうけていた。今や同機が現実のものになりそうだ。
  1. ツボレフ設計局が2009年から取り組んできたPAK-DA(高性能長距離航空機)はロシアが2023年に就役ををねらう新型爆撃機で既存のTu-95ベア、Tu-22M3バックファイヤー、Tu-160ブラックジャックの後継機をめざす。
  2. 国営スプートニク通信は新型戦略爆撃機の初飛行を2021年頃とし、その数年後に一号機を引き渡すとしているが、楽観的すぎる予測だ。
  3. いずれにせよステルス爆撃機は亜音速飛行の全翼機となる。米X-51、ファルコンHTV-2他が極超音速の攻撃機材を狙う中で、ロシアは超音速も視野に入れていない。スピードの代わりに高度ステルス性能、電子装備と人工知能による誘導ミサイルを搭載する。
  4. 「ミサイル搭載爆撃機を完全にレーダーから隠しつつ超音速飛行させるのは不可能。このためステルスを重視した。PAK-DAが搭載する人工知能ミサイルは射程7千キロに達し、状況から進路、高度、速度を自ら決定する。このミサイル開発はすでにはじまっている」とのロシア航空宇宙軍司令官ヴィクトル・ボンダレフ発言をロシア紙ロシスカヤガゼータが伝えている。
  5. このロシア全翼機は空対地ミサイル・空対空ミサイルを搭載の上、通常型および誘導式爆弾を運用する。2016年の報告書ではPAK-DAは6,740カイリの航続距離になるとしていた。兵装ペイロードは30トンだ。
  6. このPAK-DAから名称未定の「第六世代」戦略爆撃機が2040年代から50年代に登場すると噂されていたおり、昨年の資料によるとロシアは第六世代、第七世代の軍用機の開発に取り組んでいるという。
  7. ただしロシアが本当に新型ステルス爆撃機に加え第六、第七世代機を運用できるか断言できない。
  8. ロシアは現実には次世代ステルス戦闘機もAESAレーダーもまだ試験段階であり、実戦化していない。
  9. 第五世代戦闘機となるT-50 PAK-FAは各種の開発課題に直面したまま、費用も超過し、日程も遅れたまま未だに就役していないことを忘れてはならない。
  10. スホイはこのPAK-FAを原型に第六世代機をつくるといわれており、Su-27からSu-35を完成させた前例もある。
  11. ということはPAK-FAが5++世代機に発展する可能性があり、それが第六世代機に将来発展するかもしれない。
  12. 一方、PAK-DA想像図がインターネットに流布しているがその通りのクールな機体になるのかしばらく待とう。

2017年2月26日日曜日

★WC-135はノルウェー、バレンツ海に向け飛行



続報です。バレンツ海というのが気になりますね。ロシア原子力艦艇で事故があったのでしょうか。あるいは単に通過しただけなのか。全く別の地点に向かったのか。かなり大掛かりな話になってきました。

U.S. WC-135 nuclear sniffer airplane has left the UK heading towards Norway and the Barents Sea

Feb 22 2017 -

  1. 先にお伝えしたWC-135コンスタントフェニックスはRAFミルデンホール基地を離陸し、北部ヨーロッパおよびバレンツ海に向かった。興味深いのはRC-135Wスパイ機も同基地から同じ経路に向かったことだ。両機を投入したミッションは何なのか。
  2. WC-135C(機体番号62-3582)は英国ミルデンホール基地に2月17日に移動し「コブラ55」のコールサインで飛行している。コンスタントフェニックスが英国に展開するのはこれが初めてではないが、北欧でヨウ素131の検出量が急増し調査にあたるとの観測がある。
  3. WC-135は核実験探知以外に放射能探知にも投入されており、チェルノブイリや福島の原発事故の例がある。大気中の粒子を集める飛行は事故の数ヶ月後まで及ぶことがある。
  4. 今回のWC-135C配備の理由はまだ不明で、ヨウ素131検出量についても反対の内容の報道もあるが、WC-135はミルデンホールに到着してから本日(2月22日)現地時間11:50初めて離陸し、ノルウェー・バレンツ海にニム向かった。
Nuke sniffer - Constant Phoenix
Airborne from RAF Mildenhall
🇺🇸 US Air Force - WC-135C
Tracking over the North Sea
USAF Rivet Joint
62-4138 PULPY81
USAF Constant Phoenix
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  1. WC-135C(無線コールサイン「フローリ58」)にはKC-135給油機が二機(「クイッド524」「528」)支援につき、長時間ミッションだとわかる。また同じ飛行経路にRC-135Wリヴェットジョイント(「パルピー81」)ともう一機のストラトタンカー(「クイッド513」)も飛び、各機はスコットランド東沿岸上空を飛行している。
  2. これだけの機数を投入するミッションの中身を想像するのは難しい。報道されたようなヨウ素急増現象の調査なのか。ロシアの核活動の情報収集なのか。全く別の調査なのか。なんともいえない。
  3. 各機はスコットランド東のアバディーンに到達すると、トランスポンダーを切り、Flightradar24.comGlobal.adsbexchange.comのようにADS-B、Mode S、MLATで飛行中の機体を追うサイトでは見えなくなる。つまり、各機は作戦活動に入り、所在を知られたくない状態になったことだ。■


2017年2月25日土曜日

ISIS戦闘員の累計死亡数は6万名?


要は何人殺したか、と数字にこだわっても意味がないということですね。ISISはなんとしても撃滅しなければなりませんが、イスラムの名前があれば異教徒になにをしてもいいと言う考えがある以上また狂戦士集団が発生するでしょう。イスラム世界に自浄力があるかが問われています。連合軍に参戦する湾岸諸国にその意識が本当にあるのでしょうか。歴史が証明します。

General claims 60,000 ISIS fighters have been killed

By Christopher Woody, Business Insider
Feb 15, 2017 4:53:24 pm

レイモンド・トーマス米特殊作戦軍団司令官は米軍および同盟軍は対ISIS作戦で戦闘員をこれまで6万名殺害したと2月14日に述べている。
  1. この発言は推定5万名との昨年12月の米関係者推定を上回っている。トーマス将軍の指揮下には海軍SEALsや陸軍特殊部隊があり、慎重な言い回しながら対ISIS作戦の効果が示されている。
  2. トーマスはワシントンDC近郊で開かれた全国国防産業協会主催の特殊作戦低強度紛争カンファレンスの席上で「死者数は大きな意味がある」と述べた。
  3. 「もっと強力な対策が必要なのか交戦規則改正が必要なのかと聞かれるが、実際にはおおきな成果になっているのです」
| Creative Commons photo

  1. 12月から急増の原因はモスル作戦とラッカでの戦闘強化が原因と考えられるが、死体数はいろいろな理由で信憑性が薄いとされる。
  2. まずISISに戦闘員が何人いるのかはっきりしていない。
  3. Military.comによればシリア人道観察団が2014年にISISにはイラク・シリア合わせて10万名の戦闘員がいたと発表していたが、ペンタゴンは2016年夏に15千名から20千名しかいないと発表していた。
統計上、この写真の戦闘員は大部分が死亡していることになる。
| Photo via Flickr

  1. さらに英国防相マイケル・ファロンがISIS戦闘員殺害数をややこしくしている。「ダーイシュ戦闘員25千名以上が死亡している」と12月に発言していた。
  2. ISISの規模で評価が分かれていることからトランプ政権や同盟各国による有効な対抗策が困難になっている。
  3. 死体数評価からヴィエトナム戦の記憶が蘇ってきた。当初の楽観的見積もりが欺瞞だったことが軽蔑の対象となった記憶だ。
  4. アフガニスタン、イラク事例では米政府は二度以上も殺害数を修正している。
  5. 元国防長官チャック・ヘイゲルも殺害者数の算出を非難している。「長官としての方針は一切公表しないことだった」とCNNのウルフ・ブリッツアーに12月述べている。「死亡者数でヴィエトナム戦で教訓があったではないか」
  6. 「敵側死亡者数は推定であり、正確な数字ではありません」と国防総省報道官クリストファー・シャーウッドはCNNに伝えていた。「殺害数は軍事作戦の成功の尺度の一つですが、連合軍はISIS打倒作戦ではこの数字を成功の基準にしていません」■

2017年2月24日金曜日

★★★そうりゅう級の後継艦に世界が注目する理由



確かに現実には無理と思われても、原子力潜水艦は米国、ハイテク通常型潜水艦は日本と分担し、米国向けに日本が潜水艦を建造すればすべて解決するんですが... The Driveは自動車専門ウェブですが、ちゃんと国防関係のコーナーもあるのですね。やはり軍用となると技術レベルも現実の制約から自由になりますからね。記事では次期28SS潜水艦の一部しか紹介していません。機密事項ですからリサーチも限界があったのでしょう。ご了承ください。


Japan Goes Back To The Future With Lithium-Ion Battery Powered Submarines

Diesel electric submarines may be on the verge of returning to their simpler roots with the help of lithium-ion batteries.

BY TYLER ROGOWAY FEBRUARY 17, 2017


JMSDF
  1. ほぼ一世紀に渡りディーゼル電気推進式潜水艦は浮上してあるいは水面近くでスノーケルによりディーゼル発動機で鉛電池を充電してきた。このため脆弱で潜航しても数時間、長くて数日間が限度だった。大気非依存型推進(AIP)技術が革命的にこれを変革した。AIP搭載ディーゼル電気式潜水艦の性能は遥かに高価な原子力潜水艦の域に近づいており、ディーゼル機関と電池だけで隠密理に行動できるようになった。
  2. AIP技術は多様で、最新のものにスターリングエンジン、フランスがMESMA(自律型潜水艦エネルギーモジュール)と呼ぶ密閉型蒸気タービン、燃料電池があり、潜航時間が大幅に延長された。それぞれ長所短所があり、性能より費用、構造、技術リスクが重要だ。
  3. 例としてスウェーデンのゴットランド級ではAIPにスターリングエンジンを採用したが、大掛かりな液体酸素酸化装置が必要で、それ自体にも危険があるが、ガス注入で別の危険も生じる。スターリングエンジンは付属装置と一緒にして初めて効果を生むが、小型潜水艦では艦内の大部分を装置が占めることになる。スターリングエンジン利用AIPには可動部分が多数あり、遮音性能を高めてもノイズも発生する。

スウェーデン海軍はゴットランド級潜水艦一隻をアグレッサー役として米海軍に提供したことがある。AIP技術により実に危険な敵であるかがわかった。米海軍も戦術対応の必要を痛感しており、現在も対策が検討中だ。(US Navy photo):

  1. フランスのMESMA方式AIPはパキスタン向けアゴスタ90B級に採用され、スターリングエンジンより構造が複雑だ。いわば原子炉の役割をさせ、核分裂反応の代わりにエタノールと液体酸素の燃焼でタービン発電を行う。エタノールと液体酸素のため機構は複雑かつノイズも発生するが、得られる出力は大きく、高速潜航が可能だ。ただしMESMAは高価格で運用は安上がりにならない。
  2. 最後の燃料電池方式AIPはハイテクの極みでMESMAのような出力はすぐ得られないが、きわめて静かで可動部品も少ないのが利点だ。これも長距離潜航に有効な手段だ。このため急加速が不要で長期間静かに探知されずに潜む場合に有利となる。オーストラリアが取得するショートフィン・バラクーダ潜水艦は燃料電池式AIPを搭載し原子力潜水艦並の性能が実現する。イスラエルの最新ドルフィン級も燃料電池式AIPを採用しており、イスラエルの核抑止力手段として意味をもってくる。
  3. センサーや兵装が同じなら一国の海軍はディーゼル電気推進潜水艦の選択を費用だけでなく一番可能性の高い戦術から選ぶはずだ。たとえば長距離哨戒活動や待ち伏せ攻撃が多い場合、ステルス性も考慮し燃料電池式AIPが最適だろう。攻撃や退避時に急加速が必要ならMESMAが最適解となる。短距離で沿海地区の戦闘を想定すればスターリングエンジン式AIPが意味を持ってくる。ただしここ数年でバッテリー技術が進展しており、既存AIP技術は新しい挑戦相手に直面するだろう。
  4. ハイテクのディーゼル電気推進式潜水艦がAIPそのものを無意味にする可能性が出てきた。この分野では日本が先頭に立っており、そうりゅう級後継艦にリチウムイオン電池が搭載されると、第一次大戦前の潜水艦に先祖返りし、バッテリーのみで潜航推進が可能となる。
  5. そうりゅう級も十分新鋭潜水艦で供用開始はわずか10年ほど前にすぎない。先に就役したおやしお級を発展させたそうりゅう級は潜水時排水量4,200トン、全長275フィートと相当大きい艦容で、戦後日本が建造した潜水艦で最大だ。特徴はX形艦尾潜行蛇で沿海部での操艦を確実にしている。
  6. 同級は現在7隻が就役しており(5隻が建造中あるいは予定中)、各艦はコックムスのライセンス供与でスターリングエンジン方式AIPを搭載。コックムスはスウェーデン企業でゴットランド級にも提供している。地理条件から日本は潜水艦を領海哨戒任務に投入しており、大型艦に効果実証ずみのスターリングエンジン式AIPを採用したことは同国の事情によくあっている。しかし日本はAIP技術の利点はそのまま、そのAIP技術を取りやめようとしており、艦内の設計や建造を簡素化する。現在のAIP方式潜水艦以上の静粛化が実現するはずだ
  7. 構想ではリチウムイオン電池数千個をディーゼルエンジン、発動機と搭載し、そうりゅう級設計を手直しする。大電流を制御しながら効率を最適化にするのが電力処理のかぎとなる。ここまでだと通常のディーゼル電気推進式潜水艦とかわりがないが、新技術の導入が異なる。
  8. リチウムイオン電池には従来の鉛電池より利点が多数ある。充電量が低下しても出力を維持できる。鉛電池より軽量であり、極めて短時間で充電できる。充電容量も大きい。AIP方式と比較すると、推進装備が簡単となる他、出力持続時間も長くなる。なんといってもリチウムイオン電池なら必要なときに大出力が得られるため瞬発力がAIP方式とは比較にならないほど向上する。
  9. ただしリチウムイオン電池の短所はよく知られている。「熱暴走」と言われる現象と発火事故が発生しているが潜水艦ではともに望ましくない現象だ。発生すれば、高熱と有毒ガスとなり通常方法での消火は困難だ。ただ艦艇では重量は制約条件ではなく、新たな対処方法を採用し危険を未然に防ぐだろう。

整備中のそうりゅう級潜水艦 (Hunini/wikicommons):
  1. 各メーカーが海上自衛隊と解決方法としてリチウムイオンの電池セル集合体を大型化し強化隔壁と強力な化学物質を組み合わせて危険状態の発生を防ごうとしている。消火装備も特別に作り、次期そうりゅう級でバッテリー部の火災が発生しても迅速かつ自動的に消火できる。
  2. リチウムイオン電池は航空機で以前から問題を起こしているが、日本は巨額予算で同技術を実用化しようとしており、そうりゅう級の最後の三隻でリチウムイオン推進方式を採用する予定だ。7号艦にはスターリングエンジン4基とリチウムイオン電池を組み合わせる可能性があり、同艦はリチウムイオン電池のみ搭載の後続艦と以前のAIP仕様のつなぎの役目が期待される他、新型バッテリーを事前に搭載し技術実証艦ともなる。

そうりゅう級の艦体ほぼ全面的に吸音タイルがつく。
(Norio NAKAYAMA/wikicommons):
  1. 新そうりゅう級により日本は通常型攻撃潜水艦技術のトップ国としての地位を高めそうだ。実績が確かなら輸出も当然視野に入ってくる。
  2. さらに日本がリチウムイオン動力艦の実用化に成功すれば、AIP同様の性能が大幅に安く実現する。既存AIP技術でもリチウムイオンと組み合わせる動きが出れば選択肢は増える。リチウムイオン電池と燃料電池を組み合わせれば長航続距離の高性能艦となり、高加速性も実現しそうだ。噂では中国がリチウムイオン電池とAIP方式を組み合わせた艦を開発中だ。ただしハイブリッド設計は高価格かつ構造もかなり複雑で、日本や各国の求める方向と異なってくる。

「スーパーそうりゅう」の構造図。もともとオーストラリアの次期潜水艦用に想定していた。リチウムイオン電池を採用し、AIPは想定していなかった。採用確実と思われたが、DCNS案が残り、燃料電池とAIPを組み合わせたショートフィン・バラクーダが採用となった。オーストラリア想定の長大な航続距離を考えると「スーパーそうりゅう」でも性能不足だったかもしれない。
  1. 米海軍はディーゼル電気推進式潜水艦を27年前に全廃しており、潜水艦不足は解消の様子がない。日本のハイテク潜水艦が成功し、簡素かつ安価なリチウムイオン電池式潜水艦でAIPを上回る性能が原子力潜水艦同様の静粛性で実現すれば、米国も同技術採用に動くだろうか。

USSブルーバックは米海軍最後のディーゼル電気推進式潜水艦。長くアグレッサー役を演じたが、海軍は1990年に全艦を原子力推進とする方針とした。ブルーバックは映画「レッド・オクトーバーを追え」にも登場しており、現在はオレゴン科学技術博物館に陳列されている。
  1. これまで見たようにディーゼル電気推進式潜水艦技術は相当進歩してきており、米海軍も真剣に検討する価値がある。ミッションによっては原子力潜水艦投入の必要がない。また運用上やインフラの成約から前方配備で外国を母港に出来ない。だが米海軍は日本技術を導入し、米国版そうりゅう級をライセンス生産すれば攻撃潜水艦不足を解消でき、ハイテク内容を低価格で導入できる。現時点でヴァージニア級SSN一隻の価格でそうりゅう級四隻が手に入る。そうりゅう級も建造規模を増やせば価格低下が期待できる。ただし、海軍艦艇建造をめぐる米国内の政治経済の利権とともに米海軍が原子力一本の姿勢に固執していることから論理的に正しいと明らかなこの解決策が実現する可能性はない。
  2. 海軍が原子力潜水艦のみの構成にこだわるかは別として、日本のリチウムイオン電池搭載潜水艦は注視の価値がある。日本が口を閉ざしたままとは思えない。同技術が有効とわかれば輸出による投資回収をめざし見せびらかすはずだ。■
Contact the author: Tyler@thedrive.com


2017年2月22日水曜日

★★北欧で何が起こっているのか 米空軍が核物質探知機を派遣



今回の事件は原子力発電所の事故かもしれません。あるいは原子力潜水艦の事故かも、間もなく真相はあきらかになるでしょう。

U.S. Air Force deploys WC-135 nuclear sniffer aircraft to UK as spike of radioactive Iodine levels is detected in Europe

Feb 19 2017 -


  1. 米空軍WC-135がノルウェーで放射能レベル急上昇を調査中。一部にはロシアが核実験をしたと見る向きがある。
  2. 2017年2月17日、米空軍WC-135コンスタントフェニクス核「嗅覚検知機」がコールサイン「コブラ55」で英国ミルデンホールRAF基地に展開している。
  3. WC-135は現在二機あり、第45偵察飛行隊がオファット空軍基地から運用している。
  4. WC-135は「嗅覚検知機」あるいは「お天気鳥」と呼ばれ、乗員は33名まで搭乗するが、放射線被曝を考慮し通常は最小限の乗員で運行する。
  5. 大気標本を機体側面から採取し、フィルターにかけ放射性物質を集める。乗員はリアルタイムで放射性残留物を分析し、核物質の有無を判定し、弾頭の種類まで判別できる。今回の調査で同機の役割は大きい。
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  1. 核実験以外にWC-135はチェルノブイリ原子力発電所災害、福島原子力発電所災害で放射能調査を行っている。
  2. また北朝鮮の核実験に備えて配備されたり、英国領空を通過した際にはシリア上空で化学物質の検知に用いられたとの観測を呼んだ。
  3. 同機がヨーロッパ上空を飛行するのは通常のことだが、ヨーロッパに移動してくるのは尋常ではない。今のところ米軍から核探知機を移動させた公式説明はないが、複数筋を総合すると同機の任務は1月はじめから北部ヨーロッパでみつかったヨウ素レベル急増への対応と考えられる。
  4. ヨウ素131は自然界に存在しない放射性核種でヨーロッパで大気中に微量が探知されている。速報では2017年1月2日に初めて探知されたのがノルウェー北部だった。その後フィンランド、ポーランド、チェコ、ドイツ、フランス、スペインでも1月に探知された。
  5. ただし、ヨウ素131漏出の理由は不明だ。原子力発電所周囲では同物質は医療用に広く使われている他、過去の災害の結果大気中で探知されることがある。
  6. 一部が推測するようにロシアの核実験による副次効果かもしれない。核実験は衛星や地震計で監視されており、行われたとは考えにくいが事実なら核実験禁止協定の違反だ。
  7. WC-135はヨウ素131の出所を突き止める調査の一部なのだろう。■


★★中国空母二号艦の建造状況、上海で建造中の三号艦が要注意



中国が建造中の初の国産空母の進捗状況をChina Defense Blogが中国報道を引用する形で紹介しています。一体中国の軍拡はどこまで続くのでしょうか。ハードウェアはできても運用要員等のソフト面がついていけるのでしょうか。なんでもコピーすれば良い、自分で作らなくても買ってこれば良いと言うのが中国流ですが、いつか馬脚を表すでしょう。



2nd carrier almost complete

http://english.chinamil.com.cn/view/2017-02/21/content_7494952.htm




中国空母二号艦が完成に近づいており、2020年就役の見込みと関係者が述べている。

  1. 中国中央テレビ(CCTV)報道では001A型航空母艦の足ぐみが外され、赤色下塗りが艦喫水線下ではじまったという。建造は大連で行われており、進水式がまもなくだという。
  2. 「遼寧(001型)との違いは001Aが国産建造で設計、戦闘能力、技術のいずれも進んでいることです」と中国軍事専門家 Song Zhongping が環球時報に述べている。「艦設計は一層『人間に優しい』点も大きく違い、乗組員は快適に仕事ができます」
  3. ただし「進水から就航までは時間がかかる。通常でも2年だ」と人民解放軍海軍装備研究センターの Yin Zhuo がCCTVに語った。
  4. 武装や装備すべてを艦に取り付けたあと、空母は搭載航空機とともに公試に臨みやっと就役準備が終わる。
  5. 「艦体建造は日程通り。建造設計は大部分完了している。レーダーその他装備の取り付けが今後ある」と国防部報道官 Wu Qian が2016年10月の時点で語っていた。
  6. 進水後に艤装工事が控える。進水は今年中と海軍専門家 Li Jie は述べている。「各装備の機能を調整しながら公試は2019年はじめだろう」
  7. 中国国防部が001A型の建造を公式を公式発表したのは2015年12月31日のことで、「排水量5万トンでJ-15戦闘機等を搭載する」とし、二号艦の設計、建造には遼寧の経験が生かされていると述べている。
  8. 国防部発表内容から001Aはスキージャンプ方式で航空機を運用する点で遼寧と同様だとわかる。
  9. 中国もカタパルト方式の採用を狙っており、002艦で採用される予想だ。同艦は上海で建造中だ。「002は遼寧(001)、001Aと全く違う艦になり、米空母に似た艦容になろう」(Li)
  10. 最新型空母では電磁カタパルトシステムを採用するが中国はまだ蒸気カタパルトの試験中だ。「電磁カタパルトは柔軟度が増え、スピードも調整可能となりますので、各種機体を一緒に運用できます」(Li)
  11. 「中国領土と海外権益を守るべく、中国には空母打撃群が二個西太平洋で必要、インド洋にも2つ必要なので空母は少なくとも5隻ないし6隻必要だ」(Yin)■


2017年2月21日火曜日

北朝鮮ミサイルに有効な迎撃手段はすでに複数存在している


4 other ways the US could shoot down a North Korean ballistic missile

Feb 20, 2017 3:18:20 pm

北朝鮮の核ミサイルが色々話題になっているが、直近のテストから北朝鮮が米本土を攻撃する日が来るのではと関係者は真剣に心配している。
だが米国にはICBMが米大陸部に向かってきても迎撃する手段が複数ある。現在の対ミサイルの中心は高高度広域防衛システムTHAADだ。一個射撃隊には発射装置6個を配備し、各6発のミサイルを装填し、韓国に配備が予定されている。
だがTHAAD以外にも米国にはミサイル防衛手段がある。
ペイトリオット対空隊ミサイル防衛発射機から迎撃ミサイルがホワイトサンズミサイル射爆場(ニューメキシコ)から打ち上げられている。最新のPDB-8仕様は4回の試射を行い、米陸軍が最終評価を行っている。 | Raytheon

1. MIM-104 ペイトリオット – 含む Patriot PAC-3


砂漠の嵐作戦以降、ミサイル迎撃に使われている。
サウジアラビアおよびイスラエルの各部隊はサダム・フセイン政権が発射したSS-1スカッド・ミサイル多数を迎撃した。国防総省の公式発表ではサウジアラビアの命中率80パーセント、イスラエルは50パーセントだったとし、MIM-104Cを使用した実績としている。MIM-104Eが2002年から供用されており、PAC-3の供用開始は2003年だ。
Japan/U.S. Missile Defense Flight Test Successful-standard-missile-3-SM-3
日本による飛翔テストミッション1(JFTM-1)は同盟国海軍艦艇による初の弾道ミサイル迎撃成功事例となった。イージス弾道ミサイル防衛の一環。JFTM-1は駆逐艦こんごう(DDG-173)の改修イージスBMDの交戦能力を実証した。

2. RIM-161 スタンダードミサイルSM-3

米海軍のSM-3はおそらく信頼性がいちばん高いミサイルキラーだろう。ミサイル防衛庁の公式発表によればSM-3は試射34回で27回成功つまり79.4パーセントの命中率だ。
さらにTHAAD、ペイトリオット両システムに対する優位性がある。艦上配備のため理想的な発射地点に移動可能だ。また有効射程も270カイリと高性能で現在はRIM-161Dがテストに入っている。
また「イージスアショア」の中核となる。
ミサイル防衛庁によれば、イージスアショアはルーマニア、ポーランドに展開中だ。イージスシステムの実証済み性能をもとにもっと多くのイージスアショア施設が建設されても不思議ではない。

3. RIM-66 SM-2・ RIM-174 SM-6 スタンダードミサイル

ともにもともとは航空機を標的に開発したミサイルだが6回試射で6回命中のミサイル迎撃実績があるとミサイル防衛庁はまとめている。SM-3の性能には及ばないが飛来するミサイルには十分対応できる。

両ミサイルはイージスアショアでも運用可能で強力な防空網を形成でき、北朝鮮の弾道ミサイル防衛にも有効だ。
地上配備迎撃ミサイルがサイロに運搬されている。Missile Defense Agency photo

4. 地上配備迎撃ミサイル

この装備も飛来するミサイル対応の一部となる。ミサイル防衛庁によれば現在30基がアラスカのフォートグリーリーおよびカリフォーニア州ヴァンデンバーグ空軍基地に配備されており、命中率は試射17回で命中率52.97%だという。
ただしGBIには2つの問題がある。まず配備数30基しかないことと東海岸にはないことだ。
ミサイル防衛庁のウェブサイトではさらに新技術を検討しているとあり、早期迎撃手段と呼んでいる。


WATM contributor Harold Hutchison was consulting senior editor at Soldier of Fortune magazine and is the author of the novel Strike Group Reagan. He has also written for the Daily Caller, National Review, Patriot Post, Strategypage.com, and other national web sites.

限定核戦争は実施可能なのか再び問われています



これもシンクタンクの頭の良い人達によるエッセイですが、核兵器が結局使えない兵器だとしたらなぜ新政権は核兵器近代化を課題としているのか、他国も相変わらず核兵器の保有を続けているのか、議論を呼びそうですね。条件さえ合えば、北朝鮮やイランへの核攻撃は実施可能と見ています。もちろん通常兵器でも恐ろしい威力は可能ですが。

The National Interest

Could America Really Win a "Limited" Nuclear War?


February 18, 2017


  1. ドナルド・トランプ大統領の就任から三週間だが、批判派は選挙運動中のスローガン「アメリカを再び偉大な国へ」はアメリカ社会を1950年代に引き戻すと指摘している。気づいた向きは少ないだろうが、トランプが目指す時間の逆回転は米国の核兵器にもあてはまる
  2. 先週ペンタゴン審議会がトランプ政権に「限定核戦争」体制の整備を提言したとCQ Roll Calが伝えている。
  3. 記事によると「国防科学委員会は大統領に現在の戦力整備方針を変更し低威力兵器多数の整備をめざし『限定使用前提で状況に応じ核兵器を投入する選択肢』を可能とすべき求めた」
  4. 核兵器の限定投入の裏にある戦略は一見単純に聞こえるが、紛争終了にはエスカレーションが必要となる。
  5. 理論上では敵通常部隊に低威力核兵器で対応すればこちらが全面核攻撃を真剣に覚悟していると見せてしまう。敵はそのまま地球大熱核戦争に移行したり通常戦を続けるかわりに引き下がるはずとする。
  6. 軍事用語の「限定原子戦争」が婉曲的に聞こえたらそれは正しい。核を相手に落とせば小規模兵器といえども核攻撃に変わりない。また中国やロシアを相手に「限定核戦争」を行えば、報復が核攻撃になるのは確実だ。
  7. 現実世界では核兵器を「限定的に」使う構想は危険な幻想だ。ニクソン政権でさえ、ソ連相手の限定核攻撃は「狂人の理論」と称していた。
  8. だが今回のCQ Roll Call記事では「提言は革命的というより発展形」だという。
  9. 限定核戦争は新概念ではなく、かなり前からある。
  10. 米国が原子爆弾を世界で初めて広島・長崎に1945年投下して核のパンドラの箱が開いた。核兵器の開発、製造、貯蔵を各国が始め、より長距離を攻撃できる威力の高い兵器をめざした。
  11. こうした超兵器は数分で文明を破壊可能で、その結果生まれたのが相互破滅保証の概念で、現在まで続く危っかしい核抑止体制が生まれた。
  12. だが冷戦初期の核兵器は戦略抑止手段ではなく大規模戦の手段として認識されていた。シャーマン戦車やAK-47銃と同様50年代の核兵器は製造された。
  13. 核兵器は1990年代までに漸次削減されたものの、米国は今でも欧州に戦術核兵器180発を保持中で、対ロシア戦が発生すればNATO戦闘機が運用する想定だ。
  14. 実戦に使用されず幸運だったと歴代政権が実施した図上演習結果から判る。限定核戦争は幻想にすぎない。
  15. 1955年のカートブランシュ演習では戦術核兵器300発以上をドイツ国内で使いソ連侵攻を食い止める想定だった。
  16. ドイツ国民推定170万人死亡、負傷者350万名の判定と放射能の影響で計算不能な被害が生じた。演習内容が報道機関に漏れると、西ドイツで米軍の核戦略への「広範囲な不安と怒り」が生まれた。
  17. 「小型」核兵器に戦略的意義が再び与えられるか不明だ。低威力兵器を一発使用しただけで相当の死傷者とともに長期にわたる放射能の影響が発生する。
  18. CQ Roll Call報道は「低威力核兵器貯蔵量を増やせば敵の反応を招き、核戦争の可能性が増え、...危機状況で核兵器投入の選択肢を米軍が大統領に示せば食指を動かす案に写り、...大統領は全面核戦争を起こさず小型兵器が使えると考えるかもしれない」と伝えていた。
  19. この想像も幻想だ。今回の提言中の真の問題点は核兵器投入は限定の有無と無関係にエスカレーションを招く点だ。
  20. レーガン政権は1983年の図上演習で狂人理論の実効性を試した。誇り高き預言者 Proud Prophet のコード名で同演習はNATOがソ連の通常戦力に対抗すべく限定核攻撃をソ連に行う想定だったが、ソ連を演じたチームは引き下がるどころか大量の核反撃を米本土に加え、米国も応酬し演習は終了した。
  21. 死亡判定は10億人となり、NATOは消滅。レーガン大統領は大きく衝撃を受け、同日の日程は取り消しになった。反応は素早かった。
  22. 国防総省顧問ポール・ブラッケンによれば「ソ連対抗用の戦略構想案ほとんどが実際の米戦力と無関係ないし実行不可能と判り即座に廃棄された」。
  23. 数カ月後レーガンは「核戦争で勝利は不可能。絶対に実施してはだめだ」との有名な文句を米国民に伝えている。
  24. 戦術核兵器に戦略的な優位性が生まれると考える向きもあろう。ヨーロッパに貯蔵中のB61核爆弾180発が証明ではないか。実施主体は米軍通常部隊であり、強力なJASM-ER巡航ミサイルのように全面核戦争へのエスカレーションを招かず投入できるのではないか。
  25. ダイアン・ファインステイン上院議員の言葉を借りれば「核兵器の役目はひとつだけ。抑止だ。実際の使用を容認できないし、すべきでない。限定核戦争はありえない概念であり、ペンタゴン審議会提言に憂慮せざるを得ない。」
  26. このゲームは実施済みで、結果は良好でなかった。1950年代同様の核兵器貯蔵は2017年には不要だ。白黒テレビを今さら購入する人は皆無だ。「使用可能な」核兵器も歴史のゴミ箱に捨てよう。■
Geoff Wilson is a Policy Associate at Ploughshares Fund, where he focuses on U.S. nuclear and military strategy. Will Saetren is the author of Ghosts of the Cold War: Rethinking the Need for a New Cruise Missile, and is an alumnus of the Roger L. Hale Fellowship at Ploughshares Fund.
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