スキップしてメイン コンテンツに移動

★北朝鮮がICBMを完成する前に先制攻撃を実施すべきか



北朝鮮の思考は大戦中のわが国の国体護持と同一で、案外もろいものかもしれませんが、核兵器整備まで進むのはあらゆる国とって容認できるものではなく、イランと並んで頭の痛い問題でしょう。先制攻撃構想は単純な思考でしょうが、魅力があることも事実です。トランプ大統領がどう判断をするのかが見ものです。



The National InterestShould Washington Strike North Korea's Dangerous ICBMs Before It's Too Late?

January 7, 2017


  1. こんな仮定はどうだろう。北朝鮮の独裁者金正恩が朝鮮中央通信を通じいつもの調子で米国がいかに邪悪で嘘まみれかを罵詈雑言とりまぜて演説。20分後、初のICBM発射実験が最終段階に入ったと宣言し予定は一週間後と述べる。演説を受け米情報機関は北朝鮮がICBMを太平洋に向け発射するのは確実と評価。米政府は発射を食い止める唯一の手段は米軍による攻撃と判断し、二日後に米空軍、海軍に実行命令が下る。
  2. まるでハリウッドのサスペンス映画だが、ワシントンの外交専門家の間では北朝鮮が近隣諸国はおろか西海岸なまでと脅威を及ぼすのを防ぐには米国・国際社会には武力行使しか選択肢がないとの見方が強まっている。リンゼイ・グラハム上院議員もその一人で、上院軍事委員会の昨年12月の公聴会で軍事力行使の権限を大統領に与え北朝鮮のICBM完成を阻止するため先制攻撃も必要だ陳述している。
  3. 共和党院内総務ミッチ・マッコネルは黙殺するだろうが、共和党が正式に審議に持ち込めば、民主党上院議員は成立阻止に動くだろう。北朝鮮への先制攻撃は止めどもない被害を生じさせ、百万の兵を有する北朝鮮との全面軍事対決になる予想もあり、金の権力基盤を揺るがすだけに終わらない。
  4. 米軍が先制攻撃した際に金がどう対応するかが予測できないが北朝鮮による報復攻撃の与える損害の大きさは容易に想像できる。グラハム上院議員は失念しているかもしれないが、北東アジアには米軍8万名(日本に55千名、韓国に28,500名)が駐留しており、北朝鮮には標的が8万通りあることになる。在韓米軍は非武装地帯に沿って配備されており容易に標的になる。金が直情的に行動していることは知られており、中距離ムスダンミサイル多数を日本や韓国へ発射するのを自制できるか不明だ。三代目の最高指導者が報復が最善の選択ではないと計算できればよいが、希望的観測は戦略の根拠になりえない。
  5. 次に、北朝鮮ミサイル基地が攻撃を受ければ北朝鮮は核開発交渉に戻れなくなる。北朝鮮指導部との外交交渉の再開はきわめて薄くなっている現状からすれば一旦攻撃を実施すれば北朝鮮が主張してきたように米国が好戦的かつ侵略国家だとの観点が強まるだけだ。北朝鮮ウォッチャーは金正恩は信じられないほど偏執狂だと見ている。張成沢Jang Song-thaekの処刑が示すように政府転覆を図る分子、国家の敵、反逆者を絶えず摘発するのに懸命だ。その中で米国が究極の敵であり、北朝鮮に一度攻撃を加えれば外交は全く役立たずとなるのは間違いない。
  6. 最後になるが、北朝鮮への軍事力行使を支持する向きには孔子の聖句を思い出してもらうのが賢明だろう。力の行使は最後の手段だ。ワシントンのタカ派には反対の論調があるが、北朝鮮との外交交渉はまだ途絶してない。ビル・クリントン政権時代の交渉は包括的かつ究極のアメとなる平和条約を持ち出す代わりにその場しのぎで各論中心だった感が強い。平和条約の話もあったが協議は一回もされていない。オバマ政権の第一期目では覚書の協議があったがごく短期間に終わった、8年間に及ぶ「戦略的忍耐力」の時期とは問題に目をつぶり自然に消えることを願うのみだったのではないか。外交手段が完全に道を閉ざされた場合にのみ米政府に軍事力の行使を選択してもらいたい。実際にはそんなに簡単ではないが。
  7. ジェイコブ・ヘリブランはドナルド・トランプ次期大統領に金と話し合い、「我々の時代に平和」を精緻に構築してもらいたいと助言している。先制攻撃により米軍数万名の生命と韓国全土を危機に追いやるよりはずっとましな選択だろうが、米国と中国の関係には悪影響が生まれるはずだ。■

原著者ダニエル・R・デペトリスはWikistrat Inc.地政学コンサルタント企業のアナリストの他、フリーランスで研究員もつとめる。CNN.com、Small Wars Journal、The Diplomatに寄稿している。
Image: An F-15 Eagle and an F/A-22 Raptor fly in formation. Wikimedia Commons/U.S. Air Force



コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ