2016年11月30日水曜日

★歴史のIFシリーズ① 朝鮮戦争で原爆投下が行われていたら?



韓国が政情不安定になっていますが、60数年前には文字通り存亡の危機に会ったのですね。その際に原爆で戦局を打開していたらどうなっていたのか、という考察です。ところで朝鮮戦争の相手は日本だったと信じる若い世代が韓国に存在すること自体に疑問を感じますが。

War Is BoringWe go to war so you don’t have to
A Climax Event nuclear blast at the Nevada Proving Ground on June 4, 1953.

Whew — Let’s Be Glad the United States Didn’t Go Nuclear During the Korean War

Gen. Douglas MacArthur’s push to direct an atomic onslaught at China would have ended terribly

by ROBERT FARLEY
1950年のこと、鴨緑江から中国軍が来襲し米軍部隊の戦線が崩壊しかけダグラス・マーカーサー大将は中国へ戦略爆撃を要請した。これを聞いた関係者は原爆投下も予期した。当時原爆を保有していたのは米国だけで「一方的な優位性」があった。
アメリカの原爆保有数と戦略爆撃機はソ連に対するアメリカの優位性の証だった。
これに対しソ連赤軍には戦闘経験を重ねた膨大な兵力があり、東欧から短時間で西側に侵攻できた。当時はソ連本国を原爆で壊滅する能力があってこそソ連侵攻を食い止められると考えられていた。またモスクワが朝鮮半島の戦闘を裏で画策していたと信じる向きが多数だった。
ではなぜ米国は朝鮮戦争で原爆を使わなかったのか。使っていればどうなっただろうか。

実際の戦況

朝鮮戦争で1950年に重要局面が3つあった。まず6月に北朝鮮が38度線を超え全面侵攻を開始し、以後数年間続く戦乱の諸端となった。9月に米軍がインチョン上陸作戦をすると北朝鮮は攻勢を終え以後守勢に回る。だが10月末に中国人民解放軍が介入し、国連軍は38度線の南まで後退を迫られる。
その時点でマッカーサーが要請を出すと、米国内では原爆投下の主張が出た。ソ連も原爆開発中だったが、米国は原爆で圧倒的優位があり運搬手段も確立していた。
NB-36H は原子炉を搭載した実験機だった。 U.S. Air Force photo

戦略核か戦術核か

1950年当時の米国防関係者は核兵器運用の計画立案および仕様に関し詳細な準備ができておらず、目的別や種別毎の使用構想はないまま、核兵器は通常兵器の体系に入れたままだった。
米国は原爆使用を「戦術」「戦略」の区分を迫られていただろう。
戦略攻撃は中国国内の産業施設、政治指導部を狙い、中国を崩壊させるか、戦闘中止に追い込むのが狙いだった。毛沢東は人民解放軍を参戦させる際にこの事態は予測していた。
中国の人口規模と産業の分散状況を考えると、この作戦には当時の初期的な原爆を多数投下する必要があった。また中国に原爆攻撃を加えること自体に米国防関係者の反対意見もあった。
国防関係者の主流派にとって中国とはソ連の傀儡国であり西側を混乱させ封じ込め体制を崩す勢力という認識だった。そんな中国に無駄に原爆を投下すればソ連産業力を温存させ、世界各地で代理戦争を増やす効果しかないとの見方だった。
当時運用してたB-36ピースメイカー爆撃機を中国爆撃に投入すれば戦略空軍の戦力が消耗していた可能性がある。同機の防御力には疑問があったためで、その場合の米国にはソ連への攻撃手段がなくなっていただろう。
もし米国が戦術爆撃同様に核兵器を集中投下していたらどうなっていただろうか。
まず、数少ない原爆を「戦術」目標に消費することは考えられないことだった。運搬手段にも限りある中で無駄な使い方は許されなかった。
たしかに中国や北朝鮮の司令部、補給処や部隊集結地は核攻撃の前にはひとたまりもない。核兵器は威力を発揮しただろうが、韓国政府は自国内で核の壊滅的効果を自ら招けば以後の統治正当性を失っていただろう。
北朝鮮元山を空爆する米空軍 in 1951. U.S. Air Force photo

当時の実際の状況

最近の研究から当時米国が核兵器使用をためらった別の理由がわかってきた。米国が一方的に自制したと信じる向きがあるが、実は両陣営それぞれ軍事力の浪費を避け、戦線拡大を避ける配慮をしていた。
米軍は戦線が拡大すれば朝鮮半島防御ができなくなるとおそれ、人民解放軍も相当の予備兵力と空と陸で残して米国が全面戦争に踏み切ったときに備えていた。
もう一つ重要なのがソ連が大きな影響力を及ぼしていた可能性だ。中国、北朝鮮へ装備提供を増やす、あるいはソ連地上軍、空軍、海軍の直接投入に踏み切っていたかもしれない。
もし米国が全力投入していれば、ソ連軍には東アジア地区の米軍をうわまわる兵力があったため米軍が朝鮮半島から全面撤退していたかもしれない。
結論
朝鮮半島で原爆投下していれば、恐ろしい結果が両陣営に待ってていただろう。米国は戦略上の優位性を低下し、共産陣営が一層の力を行使する結果になっていたかもしれない。韓国、北朝鮮は人的被害を相当被っていたはずだ。
世界が核兵器をタブーとみなさなくなり、政策決定の場で原爆も一般の爆弾同様に取り扱われていただろう。原爆を使っていればもっと由々しき事態がその後発生していただろう。■



11月30日のヘッドラインニュース


11月30日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

防衛省・自衛隊がサイバー攻撃受ける
9月に通信系統がサイバー攻撃を受けていたことが判明した。共同通信がハッカー侵入を伝えているが防衛省はこれを否定。防衛省はこれまでもサイバー攻撃を度々受けている。共同通信は「某国」の関与をうかがわせている。

イランが米ヘリに挑発行動、トランプ当選後初
イラク革命防衛隊艦船が米海軍ヘリコプターに武器の照準をあわせた。ホルムズ海峡で11月26日の出来事。米側はイランの行動を「危険かつ非常識」とみなしている。イランからの論評は無し。

ノルウェーがP-8導入へ
ノルウェーはP-8Aを5機調達する準備に入った。同国は現在P-3CとDA-20ファルコンをそれぞれ6機、3機運用して長大な海岸線の監視に投入している。順調に行けば2021年ごろの納入となり、費用は11億ドルと見積もる。

朝鮮戦争で原爆が使用されていたら....
中国の参戦で一気に劣勢に立たされたマッカーサーは原爆使用を要請したが、原爆が中国に透過されていたらどうなっていたか。当時は核兵器も通常兵器の一環と考えられていた。(本文は別途アップロードします)https://warisboring.com/whew-lets-be-glad-the-united-states-didn-t-go-nuclear-during-the-korean-war-2835a1bc44bb

インド新紙幣を空軍輸送機で運ぶ
インド空軍は160トンの新紙幣を国内四か所の紙幣印刷工場から各地に搬送した。このためAN32、C-130、C-17の各輸送機の他ヘリコプターが動員され、11月19日から実施した。インドでは高額紙幣の切り替えで一時的に紙幣流通が不足しための緊急措置。


2016年11月29日火曜日

★中国の新型超長距離空対空ミサイルは要注意



中国はJ-20に搭載し、米軍支援機材を超長距離から狙う構想でしょうか。記事にあるように正確な識別・標的ができなければ意味がないのですが。

War Is BoringWe go to war so you don’t have to
Photo via Weibo
New Chinese Air-to-Air Missile Could Hit U.S. Jets Before They Can Shoot Back

This is one fearsome rocket

by DAVID AXE
中国軍が新型超長距離空対空ミサイルを試射したようだ。報道どおりなら米軍ミサイルの有効射程の二倍の距離から米軍機を狙い、米側は反撃できなくなる。
  1. この新型ミサイルが中国空軍J-16戦闘機主翼下に搭載された写真が11月に出回った。このJ-16が試射し飛行標的に命中したとされる。
  2. 中国が空対空ミサイル開発を急いでいることは知られているが今回の超長距離空対空ミサイル(VLRAAM)は唐突に登場してきた。その呼称さえ不詳だ。
  3. 同ミサイルの技術詳細はなかなか出ないだろうが、中国情報で外寸だけは推定できるし、性能も推定可能だ。写真ではVLRAAMはJ-16全長のほぼ三分の一に匹敵しており、全長20フィート、直径1フィートと推定できる。
Photo via Weibo
  1. いずれにせよ、同兵器は米軍で最長の有効射程を誇るAIM-120高性能中距離空対空ミサイルを上回る規模だ。AMRRAMは12フィート長で直径7インチにすぎない。最新型のAIM-120Dでも最大有効射程は90マイルといわれる。
  2. この中国製新型ミサイルに匹敵するのがロシアのK-100ミサイルだが開発はほぼ25年間凍結のままで、理論上は200マイル先の標的を狙うという。
  3. これだけの長射程を実現するため中国製VLRAAMには強力なロケットモーターが搭載され、「極超音速」となるマッハ6で飛翔すると伝えられている。これはAIM-120Dの1.5倍の速度だ。
  4. 高度50千フィートを飛ぶ戦闘機から発射し同ミサイルは100千フィートまで達し、薄い大気を100マイル以上滑空移動し、目標へ降下するはずだ。
A U.S. F-35 fires an AIM-120. U.S. Navy photo
  1. さらにVLRAAMにはアクティブ電子スキャンアレイ方式のシーカーともに予備として光学方式の衛星誘導装置がついているという。とすれば空対空ミサイルとして高度技術製品となる。AIM-120Dは旧式で効果が劣る機械駆動式レーダーを搭載している。
  2. 超長距離ミサイルは正確な標的捕捉がなければ無用の長物だ。空域に敵味方織り交ぜて飛行しているとすれば正確に敵機だけを識別する必要がある。
  3. この識別問題のため米海軍はAIM-54フェニックス長距離空対空ミサイルを実戦で投入することをためらった。海軍は同ミサイルを2004年に撤去し、かわりに安価なAMRAAMを導入した。
  4. 中国軍はこの識別問題に取り組んでいる様子でDivine Eagle神雕無人機を高高度飛行させ標的識別ネットワークを構築しているといわれる。この無人機から標的情報がVLRAAMを搭載した戦闘機に伝わり,おそらくデータリンクを介しミサイル本体にも情報が入るのだろう。
  5. 概念上は中国のセンサー・シューターネットワークは米海軍の海軍統合火器管制対空ネットワークNIFC-CAと類似しており、センサー搭載機材と戦闘機、戦闘艦船をつなぎ、AMRAAMや艦上防空ミサイルを運用する構想だ。NIFC-CAは空母戦闘群に2015年に導入済みだ。
  6. 米軍は空中発射兵器では遅れをとっており、ペンタゴンはAIM-120D以後の新型長距離空対空ミサイルの開発は未着手のままだ。
  7. 米側はセンサー・シューターネットワークの稼働開始で先行しているが、今回の中国の試射が示すように中国が長距離運用可能な兵器を先に実用化すればネットワークの利点で有利になってしまう。■


11月29日のヘッドラインニュース


11月29日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

MQ-4Cトライトンのグアム配備準備が進行中
米海軍はノースロップ・グラマンMQ-4Cトライトンを一年以内にグアムに2018年に展開させる。

イスラエルがF-35を追加発注し、50機体制へ
イスラエル内閣は27日に17機のF-35i追加発注を全員一致で承認した。米議会はイスラエル向け同機の販売を75機まで認めている。同国はまず19機を27億ドルで一括発注しており、うち初号機が数週間以内にイスラエルへ移動する予定。第二次調達は14機(28億ドル)で2015年に発注していた。

シリアで米軍人初の死亡案件発生
米海軍の爆発物処理班隊員が11月24日シリア北部で即席爆発装置処理中に死亡した。死亡地点はISISの最大拠点ラッカの南との報道があり、米軍の活動範囲がうかがわれる。シリアには米特殊部隊300名がクルド人勢力を支援するため展開している。

中国の超長距離空対空ミサイルは要注意
中国が新型ミサイルを試射している。報道どおりなら米ミサイルの二倍の射程があり、対抗することができなくなる。AMRAAMが全長12フィートだが、中国新ミサイルは20フィートでマッハ6で飛翔するという。(このニュースは別個掲載予定

無人機をEMPで撃墜せよ 韓国の新技術
指向性高エネルギーのEMP電磁パルスで北朝鮮が運用する無人機を墜落させる技術を開発中。


2016年11月28日月曜日

11月28日のヘッドラインニュース


11月28日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。


日印両国は安全保障で特別な関係をつくれるか
中国に対抗する両国は米国抜きで安全保障上のパートナー関係を深められる可能性がある。地理的な条件を考えると海軍力を通じた協力を深める可能性が一番高い。コルカタのネタジ国際関係研究所の准教授による考察。

ボーイング宇宙防衛部門の新しい動き
ボーイングは宇宙防衛部門を整理統合し、2020年までに事業所を一部閉鎖し、雇用を500名削減する。

オーストラリア向けP-8初号機到着
11月16日、オーストラリアが発注中の15機のボーイングP-8A初号機が同国に飛来した。オーストラリア空軍は同機をMQ-4Cトライトン無人海洋監視機とペアで運行する構想。P-8はすでに12機分の契約が締結済み。これに伴い19機あるAP-3Cオライオンは順次退役する。

ヴィエンチャン・ヴィジョンで日本がASEAN安全保障協力構想を提案
稲田防衛相が11月のASEAN各国との非公式会合で示した構想は日本政府が初めて発出した公式文書でASEAN全域を対象にした安全保障関連の協力支援策で目的は法の支配の実効性と海上安全保障を高めることにある。


主張 トランプ新政権の南シナ海問題への取り組みに期待


アジア太平洋特に対中国問題でオバマ政権が8年という時間を空費してしまった以上次期政権にはいきなり期待が高まります。米国には中国の意図を正確に理解できる人材もありますので、政治トップの価値観が今後重要になります。その意味で徐々に出てきた新政権人事を見守りましょう。

The National Interest


Donald Trump's South China Sea Challenge: 4 Ways America Can Push Back Against China

November 25, 2016


次期大統領がホワイトハウスで仕事を始める初日から世界中の問題が肩にのしかかってくる。イスラム国、ロシアとの緊張、シリア内戦で新政権は直ちに手を打つ必要がある。それだけではない。上記課題より他年度に渡るジレンマは世界規模の難題、中華人民共和国による挑戦だ。
最大の課題
米中関係の緊張要因は色々あるが、重要なのは一つだけ、中国政府が米国の様子をうかがうことは不要と判断しアジア太平洋におけるアメリカ主導の国際秩序を拒否していることだ。中国の意図はアメリカをアジアから徐々に追い出すことにあり,代わって世界で一番経済成長が著しい地帯を支配することなのは明らかだ。
中国関連の諸問題にはトランプには経済軍事課題とともに日本へ東シナ海問題で圧力をかける事、台湾との緊張など多々あるが、新政権の外交手腕・戦略観が試されるのは何と言っても南シナ海だ。
南シナ海の重要性
南シナ海を「アジアの煮えたぎる大釜」と呼ぶのは理由がある。5兆ドル超の交易が同海域を通過し、うち1.2兆ドルは米国製品である。経済大国の日本、韓国、中国に必要な資源の航路もある。南シナ海の支配者がアジアを支配する。中国が人工島、軍事施設を建設し、領有権を既存事実にしようとする理由は将来の支配権を一発も銃弾を撃たずに実現することだ。
ではなぜ現政権は中国の南シナ海進出に反対しなかったのだろうか。アジア重視を2011年に打ち出したオバマ政権は出だしから問題に直面していた。国内の財政問題に加えて多発する世界各地の問題に貴重な資源を費やし重視は口ばかりになっていた。
現状維持につながる行動とは
トランプ新政権は振り出しに戻って南シナ海では自由にさせないと中国に悟らせるチャンスが生まれる。
以下南シナ海戦略で4つの課題を提起したい。新政権は各課題を容易に実施し、中国が同海域を支配するのを防げるはずだ。
その一 勇気をもって事実を認識すべき 
新政権は中国が既成事実を捻じ曲げようとしている事実を認め、これを白日の下にさらすべきだ。トランプ政権は中国が乱暴な動きをはじめれば公然と挑戦するだけでなく中国が米国に公然と歯向かう大国であると認定すべきだ。
上記は当たり前のことだが、オバマ政権はお上品に振る舞おうとして口をつぐんだことで逆に弱みを露呈している。中国に「悪の帝国」のレッテルを貼る必要はないが、北京が南シナ海でどんな意図をもっているのかは正確に把握しこれを認識するべきだ。
その二 最高の人材をそろえろ
トランプが政権にどんな人材を抜擢するかでアジア内の米同盟諸国や協力国は米国の真剣度やアジア太平洋の外交面での位置づけを理解する。
言われるようなランディ・フォーブスの海軍長官人事は良い出だしになる。もっと重要な職位での人選も必要だ。ジム・タレント元上院議員が登用されれば中国問題に通暁しており優れた選択になる。ミット・ロムニーが選択されればトランプは政敵とも一緒に働けることを示すことになり、特にアジアでは本人の性格と政務は別だと印象づけるだろう。
その三 できない約束はするな 
オバマ大統領はアジア各国の指導層に動揺を与えたのは、シリアで化学兵器が投入されれば「赤い線」を超えると警告しながら、実際に使用されても何もしなかったためだ。またアジア各国はアサドが自国民を化学兵器で攻撃しても怒りを表明せず、国際法違反だとも騒がなかった。実はアジア各国はアメリカがいざというときに救援に駆けつけてくれないのではと恐怖を覚えたのだ。例えば中国が台湾を攻撃するとか、東シナ海で兵員を上陸させる事態を想定している。台湾外交官がいみじくも昨年こう筆者に話しかけてきた。「トランプには守れない約束はしてもらいたくない」
その四 長期戦を覚悟せよ
中国の野望は南シナ海だけでなくアジア全部の支配であり、単独政権の任期を超えた長期にわたる課題となる。中国の学識経験者、政府関係者、現役軍関係者と話すと、この数年間いつも同じ考え方が垣間見えてくる。アメリカには中国に対抗する意思も忍耐力も戦略的な観点も全部欠如していると見られている。習近平主席率いる一派は米国の退場を待てば良いと見ているようで、中国に有利な状況だ。新政権は戦略面で成功を目指すなら、これは一年二年で解決するような課題ではないと覚悟すべきだ。トランプ政権の任期全部さらにその先までかかる規模の話だ。■
Harry J. Kazianis (@grecianformula) is director of defense studies at the Center for the National Interest, founded by former U.S. President Richard M. Nixon.


2016年11月27日日曜日

11月27日ヘッドライン

11月27日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。


2017年にワスプ水上戦闘群を日本で編成する米海軍
米海軍は2017年にUSSワスプ(LHD-1)を中心に三隻の戦闘艦、二隻の揚陸艦で水上戦闘群を編成し、そこにF-35Bを加え、海兵隊、海軍の将官クラスがそれぞれ率いる。従来の遠征水上群の構成とは異なり、空母打撃群の実力には及ばないものの、11隻しかない正規空母への圧力を和らげる効果が期待される。母港は日本。


F-35事業を新大統領、新議会が立て直せるか
開発テストを途中で打ち切り、開発テスト未消化項目を作戦実用化テストで行えば良いとする推進室へペンタゴン評価部門が真っ向から反論。このままでは実戦で使えない機体のままだとする意見。本当にF-35を戦力化するためには何が必要なのか。(現在編集中、27日に掲載予定です)https://warisboring.com/the-u-s-military-will-bring-f-35s-into-service-without-finishing-them-f7a25bc8de2c

SaabがグリペンE初飛行を延期
JAS39Eの搭載するソフトェア技術で成熟度を上げるため。今年末の初飛行を予定していたが、2017年で新しく日程を調整する。ソフトウェアは同社独自判断でDO-178C仕様に変更する。機体は今年夏にロールアウトしており、引き渡しは2018年開始で変更ないという。同機にはスロヴァキア、コロンビア、ベルギー、ブルガリアが関心を寄せている。


潜水空母が生まれる可能性
多数のUUV無人機を運用し、広い海域を制覇できる水中空母が将来生まれるかもしれない。その鍵は生体模倣技術バイオミメティクスであり騒音を出さない推進機構だが、登場までに技術革新が必要だ。http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/us-navys-next-submarine-super-stealthy-now-underwater-16978

★★あまりにひどいF-35の現実にトランプ大統領はどんな判断をする?



「F-35事業は15年にわたる失敗、遅延、予算超過の一大叙事詩」----す、すごい表現ですね。しかし一体どちらが正しいのか。メーカーや運用する米空軍等は楽観的な見方をする一方でペンタゴンの評価部門は極めて厳しい評価をしており、事業推進責任部門にも厳しい目を向けています。大きすぎてつぶせない、というF-35事業ですが、ビジネスマンのトランプ大統領がどんな判断を下すのかが来年の大きな話題になるでしょう。

War Is BoringWe go to war so you don’t have to
An F-35A takes off from Mountain Home Air Force Base in Idaho. U.S. Air Force photo

The U.S. Military Will Bring F-35s Into Service Without Finishing Them

Program office cuts development short

by DAN GRAZIER
戦闘対応の準備ができていない状態でしかも開発が完了しないままでパイロットがF-35共用打撃戦闘機を操縦することになりそうだ。
  1. 「このままでは実施できない」重要なミッションがあるとペンタゴンの武器試験部門トップも警鐘を鳴らしている。
  2. Project On Government OversightはこのたびDTO&E作戦試験評価部長マイケル・ギルモアの作成したメモを入手したが、共用打撃戦闘機推進室がF-35開発期間を切り上げることで日程・予算ともに予定通りと取り繕おうとしていると批判している。

開発テスト打ち切りでさらに予算超過する

  1. 契約企業各社、JPO、ペンタゴンともに同事業を予定通り進行することに失敗しており、今回は開発試験や技術修正が必要なのに予算がなくなったようだ
  2. 失敗を認める代わりに関係者は開発期間を短縮し次の作戦テスト製造段階用に確保しておいた予算に手を付けようとしている。
  3. 遅ればせながら推進室は追加予算で開発を完了しつつ議会には中途半端な開発のままの量産機の追加購入を求めているが、後年度に大幅かつ高額の改修が必要になることは承知の上だ。
  4. 現行の410機まとめ買い案では340億ドルから540億ドルの規模になるという差は、ペンタゴン公表の楽天的な数字と控えめな数字の違いだ。
  5. 不完全なままF-35が実戦配備される可能性が出てきた。戦闘投入されればギルモアを引用すればパイロットの生命が「大きな危険に」さらされる。
  6. ギルモアからは推進室の主張通りになれば、F-35が実戦テストに合格しない可能性もあると警告が出ている。その場合は高額な費用で修正を加えてからテストを全部やり直すことになる。この費用は納税者に3億ドルの追加負担となり、技術的な解決を図り、搭載でさらに高額の費用がかかるだろう。
  7. ギルモア作成のメモがブルームバーグで記事になるとジョン・マケイン上院議員(共、アリゾナ)が上院軍事員会委員長として書簡を国防長官アシュトン・カーターに送り、ペンタゴンが同委員会に対して事業の進展状況で正しくない理解に導いたとの懸念を表明している。
  8. マケイン委員長は推進室長クリストファー・ボグデン中将が先に出した開発は2017年末に完了するとの報告に疑念を示し、空軍長官デボラ・ジェイムズから必要な予算は確保ずみで開発は予定通り完了するとの発言があったことにも疑いの目を向けている。テスト部門のメモが火に油を注いだ格好だ。
  9. 「性能の不調、繰り返される遅延、コスト超過の常態化」を理由にマケイン議員は国防総省の主張する2,433機が必要との見積もりは現実的かつ実現可能との見解に反発しており、かわりにペンタゴンは現実のコストと日程から調達規模を見直すべきと主張している。
  10. 議会内とペンタゴンのF-35推進派は巨大すぎて失敗が許されない同機事業を何としても温存し生産することのほうが実戦でどんな威力を発揮するかより重要と考えているようだ。
  11. ペンタゴンが追加調達の要望を議会に送ったが、下院では超党派推進支持派70票がさらに11機の追加を求めている。
Airmen refuel an F-35 at Hill Air Force Base, Utah in November 2016. U.S. Air Force photo

ミッションソフトウェアが不完全なまま

  1. 機体構造、空力特性、エンジン、信頼性と問題が山積みのところに日程をさらに遅らせているのはミッションシステムのソフトウェア問題だ。
  2. ミッションソフトウェアはパイロットが得るインプットすべてを制御し、脅威対象、標的、武装、ミッション内容全般に関係する。空軍は繰り返し、ミッションソフトウェアでステルス性能とともにF-35の優位性が最大化すると説明してきた。
  3. ソフトウェア初期版のブロック2Bと3iが機材に搭載されており、今可能なのは基本的な飛行に加えレーダー誘導ミサイル一種類と誘導爆弾一型式の運用だけだ。
  4. ただし初期型でも開発テストに合格できない事態が発生しており、現時点で戦闘能力は極めて限られている。
  5. そこで実戦能力の実現には新型ミッションシステムのソフトウェアが必要だ。近接航空支援や深部侵攻爆撃、空対空で必要となり、各種名称で今後改訂され大幅な手直しが行われる。
  6. 各型には追加装備がつき、初期型の欠陥を修正する。開発中のブロック3F改訂版5で運用兵装が追加となり、これまで多発していたコンピュータ作動中止が減ることが期待されている。
  7. ギルモアはコンピュータがクラッシュしたためミッション中のパイロットがレーダーを一度止めて再起動を迫られていたと書いている。
  8. この第五版の開発が完了してもF-35に求められる戦闘能力の一部しか実現できず、実践的な作戦テストとしても不十分だ。重要なテストのためにはさらにブロック3FR6が必要となるが開発はまだ始まっていない。
  9. 初期型ブロック3Fのテストでは近接航空支援、敵防空体制制圧・破壊、制空任務、対地攻撃はことごとく「受け入れられない程度の効果で性能、作動に大きな欠陥がある」と判明している。
All three variants of the F-35 over Florida in May 2014. U.S. Air Force photo

その場しのぎの対策ばかり

  1. 開発テストで不十分な結果の山積み状態だが、手直しに相当の費用がかかることが予想される中で開発室は開発テスト段階を短縮化し、未完のテスト項目、再テストは今後の運用テスト段階に持ち越すと決めてしまった。
  2. そこで残る開発テスト項目、再テストは運用テスト用の予算で実施することになるが、そもそも想定していないテストに予算が食われることになる。
  3. 運用テストを中断して問題点を手直しすることは本来開発テスト期間中に完了しておくべきことなので、運用テストとして念入りに計画した内容にしわ寄せが行く。運用テスト自体は四年前にすでに各軍と当部で合意しておいたものだ。(ギルモア
  4. ギルモアはこの方法ではリスクが高すぎると警句を発している。作戦テストを現実的かつ有益に活用できるようにすべく開発段階を完了させ開発テストを合格し、諸元に合致する装備を先に準備すべきだと言う。
  5. ウェポンシステムの戦闘テストを始める時点で開発期間中の補修がまだ必要なら危険が発生する。
  6. 中途半端なままのF-35を過酷な戦闘テストに持ち出してもあらたに設計上の瑕疵が見つかるだけだ。修正作業が必要となり、再度テストすれば工程が長期化するだけだ
  7. 作戦テストを途中で繰り返し中断して基本設計が原因の問題を解消していくと緻密に組んだ上に各軍とDOT&Eで合意済みの運用テスト日程が狂う。
  8. その結果でさらに遅延し、コストを引き上げることになるが、ギルモアへの批判筋やF-35弁護派はこういう事態を回避できるという。
  9. ペンタゴンがF-35事業を立て直したのが2012年のことだったが、同時並行による作業量を減らすために生産を一時延期してまで開発・運用テストを完全に終えようとしていた。今回推進室が開発期間を短縮すると逆にF-35の同時並行作業を増やすことになる。
  10. 同時並行作業の大義名分は日程消化を加速と費用節約だったが、実際の目的は調達費用の流れを確保した上でテスト結果の不調を理由に発注取り消しになることを防ぐことにある。
  11. さらに歴史上はこのやり方ではさらに遅延が加わり費用が高騰することがわかっている。

機関砲が運用できない

  1. F-35Aが内蔵する機関砲は近接航空支援、ドッグファイトの両方で重要な装備だが、問題が解決できておらずさらに開発努力が必要だ。ステルス性を確保するため通常は機関砲扉が開閉するが、これで抗力が増え機首が一方向に振られ照準が難しくなる現象が発生している。
  2. 技術陣は飛行制御ソフトウェアの改良でこの問題は解決できると見ているが、当然テストで実証する必要がある。
  3. もっと深刻なのが銃の照準を当てるための600千ドルもするヘルメット搭載ディスプレイだ。このヘルメットでの射撃精度テストは2016年10月に行われる予定だったが、ソフトウェア問題のため2017年まで先送りされている。
  4. ヘルメットの視野が機関砲の射撃精度性能と合致しないという技術問題がある。
  5. パイロットから報告があったのはヘルメットに表示される記号が眼球の動きに対応していない問題で特にタービュランスがある場合や機体に振動が加わる過激な機体操縦時に発生するという。機関砲が戦闘投入可能なのか判明するのは現実の条件に近い運用テストを待つ必要があり、結果が出るのは最短で2020年となる。
  6. 海軍と海兵隊向けのF-35にはもっと深刻な機関砲精度の問題がある。というのはともに機関砲は外部装着ポッドを使い、機内搭載砲と比べると安定度が劣るためだ。このポッドから発射すると反発力で機首が下がり、F-35Aの場合より悪い影響が生まれる可能性がある。
  7. こうした深刻な問題を克服できたとしても機関砲は当初の目標を達成できない可能性がある。25ミリ銃弾の仕様が途中で変更されたためだ。
  8. F-35Aは新たに非爆発性破砕型弾薬を使うことになったが、精度と威力は実証されていない。F-35BとC型は従来同様に海軍開発の半貫徹型高性能銃弾を用いる。開発室は「新規採用銃弾では精度面の要求水準は実現しないとわかった」としている。
  9. DOT&Eが指摘しているように推進室はこれらの課題を契約上の運用必要性能から削除することで解決している。しかも正式な承認を各軍やOSDから得ていないままだ。契約企業はこのため契約上は空対空、あるいは空対地での発射精度や命中威力の保証義務がないのだ。
  10. F-35搭載機関砲では目標に命中させられず威力がないと判明した場合、誰も責任を問われず、修正作業が実施されるまで使用不能のままだ。
An F-35A drops a GBU-12 laser-guided bomb onto a range in Arizona in April 2016. U.S. Air Force photo

兵装運用テストの遅れ

  1. 戦闘条件を想定した運用テストで搭載兵装の実力を確かめる前に、兵装投下の精度を確かめるテストが各装備で必要だ。F-35の性能諸元によれば「敵探知、目標固定、識別、追尾、標的確定、攻撃、評価」をすべて行えるはずだ。
  2. 一連の機能を確かめてからストレスの多い戦闘条件を再現するテストで「キルチェーン」が機能するか検証することになる。この運用作戦テストは複雑かつ費用がかかるので通常のの技術テスト条件でさえ標的を外すような兵装をいきなりテストしても意味が無いのだ。
  3. F-35開発テストでは極めて高い精度を証明した場面もあったが、DOT&Eによれば全般成績は芳しくないという。実際にテスト現場で成果を上げるために「制御室からの介入」が必要となったという。
  4. その例としてメモによれば長距離用AIM-120レーダー誘導空対空ミサイルのテストで地上要員からパイロットに発射タイミングを教示していた。F-35搭載レーダーとコンピュータが敵攻撃のタイミングを表示できなかったためだ。
  5. さらに予定していた開発段階兵装の精度確認テスト13種類が未実施のままだ。推進室はテストをすべて実施しないことにするのか、開発段階中にすべて完了させるのかそれとも運用テスト段階に先送りするのか明らかにしていない。
  6. 兵装テストが完了しないままと未確認の不良を放置することとなり、修正の後に再テストする必要があるのだ。
  7. 兵装テストの日程を再度調整し必要な予算を手当し開発段階を完了しないままなら運用作戦テストに悪影響が生まれるとギルモア部長は警告する。結果として日程がさらに狂い、経費超過を招き、F-35の戦闘能力の妥当性そのものが評価できなくなるという。
  8. もともと合意ずみの大日程通りに兵装開発テストをすべて完了してから運用テストに望むのが技術上、倫理上ともに正しい選択のはずだ。
  9. 残念ながらそうすれば推進室と長官官房関係者は一層の費用と時間が必要だと認めざるを得なくなり、すべての問題は解決済み、価格は低下中という前言を覆さざるを得なくなる。
An F-35A during a preflight inspection in Idaho in February 2016. U.S. Air Force photo

テストを短縮して機体は完成と言えるのか

  1. F-35事業はこのままでは戦闘に送り出せない問題をかかえている。この見解は空軍自体が内部評価で認めている。”
  2. 空軍はF-35が戦闘投入可能と公言したが、同日に空軍参謀総長デイヴィッド・ゴールドファイン大将は「本日のIOC宣言はF-35Aが完全な戦闘能力を獲得する道筋の大きな一歩だ」と述べている。
  3. 同大将がこう表現したのはテスト工程がさらに遅れを加えているさなかだった。最新のDOT&Eメモによれば、2016年9月末現在で65パーセントの飛行テスト項目しか消化していない。
  4. 推進室は2017年早々に予定されていた飛行テストを実施しないと決定し、ブロック3F開発が同時に完成予定だったがなりゆきに任せるとした。
  5. 今年8月のIOC宣言までに確保しておくはずだった戦闘性能では数点が開発フライトテストをこの度初めて開始している有様だ。その他にはまだそこまで到達していない項目もあり、2017年に想定していた運用作戦テストの開始が時期尚早になったのも事実だ。

不十分な準備体制

  1. 不完全な設計だけが貴重な運用テストの効果を危うくする要素ではない。ギルモア部長は推進室がおそらく意図的に戦闘テスト用機体に十分な予算をつけなかったのではと疑っている。
  2. 量産型で戦闘投入用のF-35の機数が運用テスト開始で考慮すべき要素だ。試験評価の大日程案ではDOT&Eと推進室が同意のもと18機が必要としており、各機に試験装備を搭載してテスト開始するとしていた。
  3. だが推進室はその通りにテストを開始するつもりはないようだ。関係者はテスト機材を確保する準備をまだしていないが、もともとテスト前に7年もの時間があったのだ。
  4. 対照的に納税者には不完全でテストのおわっていないF-35に61億ドル追加が必要だと説明するのに懸命だ。
  5. 推進室は運用テストの完了に必要な事項を無視しており、極めて現実条件を考慮した人員介在ミッションのシナリオのシミュレーションや脅威環境での電子装備の機能シミュレーションを軽視している。これが評価できないままF-35の戦闘能力全部をテストするのは不可能だ。
  6. 例えば、テスト中にステルス性能と対抗措置が作動するのか不明なままではミサイルは発射できない。F-35の性能を多面的に試す唯一の方法はヴァーチャルに再現した環境を使うことだ。というのは飛行試験空域では実際の戦闘で遭遇する可能性のある状況全てを再現できないためである。
  7. このため運用テスト用の機材を確保する努力を怠る推進室へギルモア部長は厳しく批判している。
The U.S. Capitol Building in Washington, D.C. Stefan Fussan photo via Flickr

F-35の政治的な意味

  1. 大型装備整備事業では常に政治が背後にあり、ことに今年は大統領選挙の年である。F-35とて例外ではない。
  2. 当初から関係者はF-35を予算削減の対象にさせないよう懸命に動いてきた。同機の部品は全米45州で生産されている。
  3. 生産企業を分散させることでF-35支援者を議会内に多数確保するようにしたのだ。
  4. 議会にF-35支援議員があることで、ペンタゴン内関係者はF-35向け予算を増やす圧力を感じている。
  5. こうした支援派は結束してF-35の追加調達で合意を取り付けようとしている。
  6. 下院共用打撃戦闘機を支援する議員の集まり70名が署名した書簡では下院国防歳出小委員会へ上院によるF-35先行調達1億ドル追加案を支持するよう求めている。
  7. この先行調達予算は空軍にF-35新造機体の部品を購入させ、2018年に完成機体を納入させようとするものだ。
  8. 実施されれば該当機材のコストを二年間にわたり分散させ、納税者の観点からは機体を先に導入する効果があるが、運用テストの結界如何ではF-35が本当に戦闘状況で実力を発揮できるか不明のままだ。
  9. ただしこの観点は何故か書簡には盛り込まれていない。
  10. 予想通り、大統領選挙費用を分析したCenter for Responsive Politicsによると署名議員はほとんどが国防産業からの寄付を受けている。
  11. 議員団幹事をつとめるケイ・グランジャー(共、テキサス)とジョン・ラーソン(民、コネチカット)両議員は144千ドル、43千ドルをそれぞれ国防産業大手や労組から受けている。
  12. 議会にF-35推進派がある中で、ペンタゴン関係者がF-35関連予算を可能な限り増やせとの圧力を感じているのは疑う余地がない。
An F-35A takes off from Mountain Home Air Force Base in Idaho in February 2016. U.S. Air Force photo
さらに墓穴を掘るのか
  1. F-35の開発・テスト状況はこのように悲惨な状況なのだが、推進室はブロック4の「完全性能」機体をさらに高額で多数調達する契約を2018年に交付する準備に入っている。
  2. ブロック4の詳細は未定だが、ブロック3のIOT&Eが始まる前に契約だけ交付することになる。
  3. 今後新たな問題点がいくつ見つかるか不明なままで初期作戦能力は宣言したもののあたかも片足で歩くようなものだ。推進室および支援派は一貫して現行の実現不可能な日程案のままで機体購入数を増やそうと言うが、これでは既知、未知の問題点を多数抱えることになるのは必至だ。
  4. ブロック3機材のテストが完了しないままブロック4機材を多数生産することは、建設会社が基礎工事を中途半端なままで超高層ビルを建てるようなものだ。
結語
  1. F-35事業とは15年にわたる失敗、遅延、予算超過の一大叙事詩と言って良い。
  2. ロッキード・マーティンへの契約交付のは2011年9月11日のテロ事件の数週間後のことで、当時の同社は空軍、海兵隊に新型機の初飛行は完全な性能を備えた形で2008年に実施すると約束していた。その後海軍向け機材は2010年に初飛行としていた。合計2,866機を総額2,000億ドルで生産する目論見だった。
  3. だが2016年現在で、2,457機生産で3,900億ドルになり、機体単価は二倍になり、409機減っても2,000億ドルを追加支出することになった。
  4. ペンタゴンで調達技術開発ロジスティクスを担当する副長官フランク。ケンドールはF-35調達について機体完成前に「調達の悪しき事例」と言っていた。この発言は2012年のことだったが、その後本人は意見を後退させている。
  5. ギルモア部長のメッセージは明瞭だ。F-35は戦闘で実力を発揮できず、米軍兵士の生命を危険にさらす。その回避のために今こそ大胆な策をうつべきだ。
  6. 開発テストを切り上げ運用テスト用機材の予算を確保しない現行案を先にすすめようという議会とペンタゴンはF-35の実戦での有効性を試すための実戦テストを事実上妨害しているようなものだ。
  7. 予算を十分つけないと回避できる問題を見つけ修正することができなくなり、パイロットは戦闘で危険な目にあう。
  8. 新しい大統領、新しい議会、新しい国防長官は官僚主義の妨害工作を止めるべく必要な対策を講じるべきだ。手始めに、F-35購入規模の拡大傾向を止めるべきだ。
  9. それで浮いた予算は開発段階、開発テストの完了に流用し予定通りの工程を完了させるべきだ。完璧までに現実に即した作戦テスト用に予算を当初通り確保した上でペンタゴンの作戦テスト評価部長が厳しく誠実に統括して難易度の高い工程を完了させるべきだ。
  10. 機体を繰り生命を賭ける男女にこの作業がなんとしても必要なのだ。■
Dan Grazier is the Jack Shanahan Fellow at the Project On Government Oversight, where this article originally appeared.