2016年10月31日月曜日

歴史に残らなかった機体④ ボーイングX-32


本当にダサい外観の機体ですが、評価基準が違っていれば採用になっていたかもしれない機体です。F-35だってどっこいどっこいですが、採用されていればもう少しはスムーズに配備されていたでしょうか。それともやはり技術開発で手こずり同盟各国への販売で開発費のもとをとる商戦が繰り広げられていたのでしょうか。誰にもわかりません。ボーイングには黒歴史というところでしょうか。

We go to war so you don’t have to

A Boeing X-32 demonstrator. JSF Program Office photo

A Goofy-Looking Plane Could Have Replaced the F-35 Stealth Fighter

Boeing’s X-32 was … hideous

by ROBERT FARLEY
国防総省にはF-35以外の選択肢もあった。1990年代にボーイング、ロッキード・マーティンが戦闘機の大型商談をめぐり争い、空軍、海軍、海兵隊、その他同盟諸国での採用を競った。ボーイング案がX-32、ロッキード案がX-35で、ペンタゴンはF-35を採択した。
別の結果になっていたどうなっていただろうか。ボーイング案のみ、あるいは両機種を採用していたら。
開発の経緯
冷戦終結でペンタゴンは共用戦闘機構想で運用部隊の維持費用含み事業経費切り詰めを図った。
三軍は運用中の第四世代機の後継機種を求めており、F-15、F-16が空軍で、F/A-18およびAV-8Bが海軍、海兵隊で供用中だった。
そのため新型戦闘機には通常離着陸型、STOVL型の双方が必要となった。
DoDの歴史を見ても各軍共通仕様の機体開発にはろくな成果があがっていないが、今回は各軍横断での「共用性」に高度生産技術を組み合わせて慎重に調達活動を展開すれば意味のある機体を各軍に供給できるはずとの期待が高まった。
関係者全員が競作の勝者が各国空軍向けの需要も取り込めることを理解していた。端的に言えば、冷戦後の国防産業で最大規模の商談となるはずだった。
ボーイング、ロッキード・マーテインが実証機の製造契約を受けた。
A Boeing X-32A demonstrator. JSF Program Office photo

性能

同じ諸元から生まれたX-32とF-35は性能面で類似していた。コストを予定通りとするべくボーイングはX-32をデルタ翼を中心に設計し三仕様を実現しようとした。
X-32にはF-35のシャフト式ターボファン揚力はなく、かわりにAV-8ハリヤーと同様に推力方向変更方式を採用した。X-32よりF-35は高度な技術内容だったが、X-32の方が簡易な構造だった。
X-32は最高速度マッハ1.6を想定し、AMRAAM6発あるいはミサイル二発と爆弾二個を機内兵装庫で運ぶ設計だった。
航続距離とステルス性能はF-35と大差なく、F-35同様に高性能電子装備を機内に搭載できた。
A Boeing X-32 demonstrator. JSF Program Office photo

選定

X-32が実に優雅さを欠く外観であったのは確かだ。A-7コルセアを太らせた奇形マナティーのようだった。

F-35とて美観では決してほめられたものでなく、F-22の危険なほどスッキリした外観とは対照的だ。だがX-32と比較すればF-35の方がよほどマシに見える。でもこの点は問題ではない。
ボーイングの戦略方針が商機を逃す結果になったといえる。三軍の仕様を満足させられるところを一機で見せる実証機を製造する代わりに二機を製造し、内一機は通常型超音速機として、もう一機を垂直離着陸機としたのだ。ロッキードの実証機は単一機で両方の機能を示した。
またペンタゴンはF-35のターボリフトの先進性を好んだ。ロッキードはF-22で経験値を積んでおり、別のステルス戦闘機大型案件でも真価を発揮すると期待させるものがあった。
A Boeing X-32 demonstrator during flight tests alongside an F/A-18 Hornet. JSF Program Office photo

結論

2001年にF-35が正式にペンタゴン史上最大規模の調達事業の対象となった。だが同時に最大規模のトラブルにも遭遇する。
X-32はF-35に殆どの分野で劣る評価だったがX-32は十年以上にわたるテストや再設計工程は発生させていない。コストの大幅超過も発生させていない。F-16Aにドッグファイトで勝てなかったと各紙に書き立てられることもなかった。
あの場面で別の結果になっていたら、と言うのは機体競作の結果を回想する際の常であり、X-32がF-35同様に困難な課題に直面していてなかったか断言できない。現代の戦闘機の高度な内容を考えると、「やはり直面してただろう」と言わざるをえない。
だが後知恵といわれようと海兵隊にはVSTOL機の方が理にかなっていたのではないか。これが実現していれば、「共用」事業の一番困難な部分が解決していたはずだ。つまり重要部分を三軍の相当異なる仕様で共通化することが不要になっていたはずだ。
また防衛大手企業各社で経済恩恵がより広く享受できていたはずだ。今ペンタゴンはこの点を上位の優先事項と捕らえている。
もちろんF-35のSTOVLの実績とX-32は当時はまだ提案段階であったことを考えると、この決断は2001年ではなく、1993年にしておくべきだったのだ。■


★建造中の中国新型空母を推理する



なるほど中国の目指す空母戦闘力の整備はまだ道途中ということですね。しかし中国の構想は米国のように世界各地を対象に空母戦闘群を送ることではなく、中国が中核的権益と認識する西太平洋の防護にあるはずですから米国並みの巨大空母を整備する必要はないのです。カタパルト方式をものにするのかが注目ですが、何れにせよ建造中の新型艦は技術の国産化のための習作ということでしょうか。

The National Interest

Everything We Know About China's New Aircraft Carrier

October 28, 2016

ゆっくりだが着実に中国初の国産空母が姿を表しつつある。2015年に建造開始した中国二番目の空母は2017年ないし2018年に供用開始するといわれてきたが、2020年近くになる可能性も出てきた。情報の欠如で観測が先行しており、改めて基本的な疑問が表出している。遼寧(CV-16)の例と同様にアナリスト陣を悩ます論点は多い。まず艦名が不詳だ。遼寧では中国ウォッチャーは結局艦名を推定できなかった。今回も同様で「山東」との説、施琅 Shi Lang、鄭和 Zheng Heとの説もあるがとりあえず「CV-17」としておく。

CV-17でわかっている事項をまとめてみた。

外観はどうか

  1. 大連造船所で建造中のCV-17写真を見ると中国最初の空母と外観が類似しているようだ。艦体の大きさも遼寧都ほぼ同一で、スキージャンプ甲板をもち、動力は通常型だろう。アンドリュー・エリクソンはCV-17はガスあるいはディーゼル/ガス混合タービン方式だと見ている。
  2. ひとことでいえばCV-17はロシアのアドミラル・クズネツォフの従兄弟といったところだ。中国が一部で設計を変更している可能性があるが中核部分では極めて類似している。基本設計が確立できれば建造を長期間続けることはよくあり、米海軍もニミッツ級空母の建造を40年近く継続している。

建造面

  1. CV-17は中国の軍艦建造では最大規模で、空母建造が可能な造船所は世界広しといえどもごく少数で、建艦に必要な技能もほっておけば消滅する。その意味でCV-17は中国軍にとって重要な技術発展の手段となり、建造中の知見が次代空母に反映され、設計内容が向上する可能性がある。
  2. 中国造船業には克服すべき課題が多い。水上艦艇用の原子力推進もそのひとつで、既存推進装備の拡大化もある。(中国のエンジンは信頼性に問題がある) 蒸気カタパルト方式とするのかスキージャンプなのか電磁推進方式を採用するかの選択もある。一部報道ではCV-17がカタパルトも同時に搭載するとしているが、産業力整備の観点から納得できる。

運用想定

  1. CV-17でも瀋陽J-15戦闘機(Su-27フランカーの派生型J-11が原型)を搭載するだろう。さらにJ-31ステルス戦闘機の搭載も将来的にはあるだろうが、将来の航空戦力の構造は不明だ。姉妹艦同様にCV-17にも大型機発艦の能力はなく、陸上運用機やセンサーの助けを借りて戦闘空域の全体像が把握できるはずだ。
  2. ということはCV-17を遼寧よりも遠距離に派遣した場合に同艦は戦闘群の中心にはならないことになる。搭載機は航続距離が短く、ペイロードや指揮統制装備が独立行動する派遣部隊のニーズには不足する。アドミラル・クズネツォフと同様に同艦も米海軍ではアメリカ級軽空母の実力に相当し、ニミッツやフォード級の超大型空母と比較にならない。
  3. 中国ウォッチャーの大半は中国海軍がより大型高性能空母の建造をCV-17のあとに企画していると見る。米海軍空母同様の高性能装備も搭載され、カタパルト(蒸気方式あるいは電磁)、原子力推進も導入されるだろう。そうなるとCV-17は過渡期的存在で、中国造船業が大型艦建造の知見を得るための題材となるのだろう。これはCV-16で航空機運用の知見を得たのの同様である。
  4. では中国海軍が大型艦建造に向かうとCV-17はどうなるのか。PLANがインドと同じ道筋をたどるとすれば、次代空母が中国の空母戦力の中核となるだろう。CV-17はCV-16とペアを組み、第二陣戦力を構成する。最終的に遼寧の方が老朽化を先に示せば、CV-17には練習艦の任務が与えられるかもしれない。
  5. その点を念頭に置くとCV-17建造は中国の海洋進出の大きな転機となる。同艦がより大型高性能空母への道を開き、遼寧とともに中国海軍航空戦力の整備を加速するだろう。その意味で同艦の命名が注目される。■

Robert Farley, a frequent contributor to TNI, is author of The Battleship Book. He serves as a Senior Lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky. His work includes military doctrine, national security, and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money and Information Dissemination and The Diplomat.
Image: Liaoning aircraft carrier. Wikimedia Commons/Creative Commons/Simon Yang



中国海警局の新型艦はフリゲート艦へ転換可能。日本も注意すべき存在


中国の海警局の存在はさんざん知れ渡っているでしょう。今回海軍仕様の艦艇が加わることで大きく存在意義が変わることを記事は指摘しているわけですが、尖閣でさんざん騒いでも海上自衛隊が出てこない=エスカレートさせる名目が立たない中国として同艦を尖閣に動員すれば線引が一気に難しくなりますね。


The National Interest


China's New Coast Guard Vessels Are Designed for Rapid Conversion into Navy Frigates

October 29, 2016


  1. 中国海警局China Coast Guard (CCG) はアジア太平洋地区の戦略を論じる際に真っ先に注目を集める組織で特に複雑な様相を示す南シナ海でその傾向が強い。米海軍情報部は同組織のカッターで編成する艦艇規模を世界最大と認定し、フィリピンと係争中のスカボロー環礁、ヴィエトナムとの間で発生したパラセル諸島沖の石油掘削施設案件でも姿を現した。大型化を続ける「白い船体」の同局所属カッターは中国の新海洋戦略の先兵と解釈されている。

  1. これまでの西側の解釈ではCCGは艦船の大きさ、行動範囲、通信能力、組織のいずれでも中国の国力を誇示し、近隣国の漁民を排除し、海上法執行(MLE) に当たる各国艦船を怖じ気つかせることが目的とされてきた。今回はさらに槍先を尖らせようとしている。新型カッター818型が艦番号46301をつけまもなくCCGへ配備される。注目されるのは同艦が人民解放軍海軍(PLAN)の054型フリゲートをMLE仕様にした点だ。054型は各種兵装・センサーを搭載し海軍アナリストが高く評価し、PLANは同型艦をアデン湾の海賊対策で多用している。

  1. 米側や西側アナリストが気づいていないのは同艦によりCCGが新しい水準の任務実施能力を獲得することで、特に武装面で注意が必要だ。もっと警戒すべきは新型艦が海軍予備兵力となり、比較的簡単に軍艦に転用できることだ。中国の海軍雑誌 Naval & Merchant Ships [舰船知识]の2016年8月号ではこの818型を詳細に解説しており、説明文では「有事には各艦に秘められた能力から迅速にフリゲート艦に転用できる」とある。解説によれば性能諸元は全長134メートル、全幅15メートル、排水量3,900トン、最高速度27ノットとある。武装は76ミリ主砲一門、30ミリ重機関砲2丁、高圧水発射砲4門、Z-9ヘリコプター一機だ。

  1. 同誌では第二次大戦中の米沿岸警備隊のカッターが同活躍した弧を解説しているのは偶然ではない。なお、同誌の発行元は中国船舶工業集団(CSSC)で今回登場した新型カッター818型の建造元でもある。

  1. もう一方の大手造船企業である中国船舶重工集団(CSIC)が刊行する雑誌Modern Ships [现代舰船で新型カッターの詳細がよくわかる。818型建造契約の交付が2013年12月で、主砲の火器管制システムは054A型と同一である。また同記事では退役提督尹卓 Yin Zhuoがフリゲート艦と共通仕様にする構想を提起したとある。2010年のことでミサイル、防空レーダー、電子対抗装置まで搭載した艦を海賊相手に派遣するのはコスト面で逆効果と主張したのだ。ここから軽武装で治安維持に派遣しつつ、フリゲート艦と船体を共有化する発想が生まれた。ただし艦前部に相当の空間が予備となっており「垂直発射システム(VLS)の搭載も可能」とある。艦内の配電系統は拡充可能で、対空監視レーダーを追加し、曳航ソナーを有事に追加すればよい。同様に30ミリ銃を撤去し、代わりに近接武装システムCIWSをつければよい。

  1. 五年以上前だが、筆者は別の出版物を目にしている。「最新の漁業法執行用カッターでは戦時に備えASWヘリコプター、ASW魚雷、曳航ソナーの搭載が想定されている」(CHINA BRIEF, Jamesetown Foundation) 。また筆者は中国MLE部隊の「忍び寄る軍事戦力化」を指摘してきた。いまやその過程は完成した感があり、非武装で組織化未成熟というこれまでの中国の沿岸警備部隊像はもはや過去のものだ。CCGは数ヶ月あれば真の海軍戦力に変身し、中国の海軍戦略の実現手段となるのだ。つまるところ、海上護衛艦対潜水艦の戦いの中で数量に物を言わせれば中国に有利な状況を生む。
  2. 一方で沿岸警備隊を海軍予備兵力として整備するのは中国が初めてではない。日米両国とも同じ発想を採用している。中国との海上緊張を紛争にエスカレートさせないため、米国や同盟国は「海上法秩序」を世界各地の海域に広げる際にCCGも巻き込もうとしており、重要な捜索救難演習に、また海洋環境保護措置に中国を参画させている。

著者ライル・J・ゴールドステインは米海軍大学校(ロードアイランド州ニューポート)で中国海事研究所(CMSI)所属の准教授をつとめている。本稿中に見られる評見あるいは分析は著者個人のものであり、米海軍あるいはその他米政府機関の見解ではない。
Image: People’s Liberation Army Navy type 054A frigate. Wikimedia Commons/Creative Commons/Simon Yang


2016年10月30日日曜日

POTUSポルカ 米大統領の移動で動員される機材各種と発生経費をGAOが分析


大統領が一回訪問するだけでこれだけの支援体制が動員されるわけですね。文中にはありませんが、国家最高司令官としてE-4Bも緊急時に備え運用されていたはずです。ま、一種の移動サーカスのようなものでしょう。それだけに電子メール問題で煙が出てきたヒラリー・クリントンには軍は一様に否定的な反応を示しており、仮に同人が当選しても軍関係者は微妙な感情を持ったまま対応するのでしょうね。


POTUS Polka In the Sky

Oct 28, 2016by John Croft in Things With Wings

ボルカは軽快なフットワークが必要だ。今回公表された米政府会計検査院(GAO)のまとめでは同様に合衆国大統領(POTUS)が公務あるいは私用で足を伸ばすと軍や国土安全保障庁の機材、人員が動き回っていることが改めて証明されている。
監査ではオバマ大統領による2013年2月15日から18日を対象に公務私用双方の出張を精査している。米国東部ほとんどを旅程に組んだ大統領はまずシカゴへ飛びハイドパークアカデミーで演説し、一般教書演説で述べた経済提案について意見を交換している。シカゴからパームビーチ(フロリダ)へ飛び、タイガー・ウッズ他とゴルフを楽しんだ。
報道ではこの週末旅行の経費を報じている。総額3.6百万ドルで国防総省が2.8百万ドル、残りを国土安全保障庁と分担している。興味をそそられるのは大型機他装備が準備されていることで、今回の監査はジョン・バラッソ上院議員(共、ワイオミング)の請求で行われた。
出張にC-17が3機、C-130は2機、さらにC-5が一機動員され、26回の移動で15空港を移動している。ここにさらに大統領専用機のVC-25A(ボーイング747-200B)「エアフォースワン」が加わるが、海兵隊第一ヘリコプター飛行隊のVH-3D、VH-60N、MV-22Bは空輸されPOTUSのゆくところあらゆる場所あらゆる機会に随行している。
GAOが以下まとめている。
「第89空輸飛行隊を隷下におく航空機動軍団が機材を準備し、大統領移動に伴う貨物を輸送する。旅行の内容により使用機材はC-17グローブマスター、C-5スーパーギャラクシー、C-130ハーキュリーズより適宜選択する。各機はヘリコプター、大統領専用車両他車両に加え各種必要機材を空輸する。航空機動軍団はKC-10エクステンダーはKC-135ストラトタンカーも必要に応じ投入する」

「空軍に加え海兵隊も海兵第一ヘリコプター飛行隊により支援をする。同飛行隊はヘリコプター輸送と緊急時の支援を大統領に旅行の行き先、日時を問わず提供するのが目的でVH-3D、VH-60N、MV-22Bを運用する。下の写真のうちCH-46Eは供用を終了している。

大統領の移動のためGAOによれば「航空機各機は米空軍の各地基地を離陸後、各軍共用基地アンドリュースおよび海兵隊基地クアンティコに到着し、シークレットサービス要員および各種車両、海兵隊員、ヘリコプターを搭載し支援を提供した後、所属基地に帰投している」

だがこれだけではない。
沿岸警備隊(国土安全保障庁所属)はRB-S舟艇やHH-65ドルフィンヘリコプター隊を待機させていた。費用586千ドルで「水路での支援を提供」していた。■


DARPAの進めるコックピット自動化の現状 ALIASシステムで操縦士一人体制が生まれるか


いつも一歩先を狙う技術開発を進めるDARPAからの新しい成果報告です。すべてが人間が行うよりも信頼でき学習できるAIがあれば積極的にこれを使えばよいという発送のようですね。頑固一徹にチェックリストを読み上げるのは良いのですが、本当にチェックになっていない形骸化があるとすれば問題なのでこの技術は有望と見て良いのではないでしょうか。(ターミナル1共通記事)

The National Interest


DARPA Flies Plane with Robot Co-Pilot

October 27, 2016


各種チェックリスト項目や安全手順はコンピュータがずっと早く、安全かつもれなく実施できるはずだ。
  1. ペンタゴンの研究開発部門が実証をめざすのは航空機自動化の全く新しい段階で人間の持つ問題解決能力にコンピュータ化したロボット機能を組み合わせることだ。
  2. これを国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)は航空機乗員コックピット作業自動化システムALIASと呼ぶ。
  3. ALIASの中核は認識能力で人間の頭脳は状況が急速に変化しても問題解決できる能力を有するが、一定の手順はコンピュータが実施したほうが実効性が高いと研究者は見る。
  4. ALIASのソフトウェアはオープンインターフェースでパイロットが操作するタッチパッドや音声認識に対応し機体操作が自律的に行えるようになる。
  5. 例としてチェックリスト手順や安全手順のチェックがあり、エンジン状況、高度計、照明、スイッチレバー類は今までより迅速かつ、安全で効率よく確認をコンピュータが自動的に行なってくれる。
  6. 「乗員が通常行う仕事ですが当たり前すぎて退屈になることがあります。ALIASがチェックリストや点検を代わりに行い結果だけをパイロットに教えます。パイロットはもっと大事な飛行任務に専念できるわけです」とオーロラ・フライト・サイエンシズ社長兼CEOのマーク・チェリーが語っている。
  7. 航空機運用には多様な作業があり、緊急時の手順、ピッチ、ロール、エンジン状況の点検ライト、自動操縦等は乗員の手を煩わせず実施できる。
  8. LIASはDARPAの実証を業界大手のロッキード・マーティンおよびオーロラ・フライト・サイエンシズが行っており、今後B-52や大型民間機など各種機材に導入する。
  9. ALIASの初期仕様には小型機も対象で、セスナ208キャラバン、ダイアモンドDA42、ベルUH-1でも実証しているとチェリーは説明。ALIASは学習機能があり単発、双発両方に対応できる。
  10. ロッキード、オーロラ・フライト・サイエンシズ両社による実証を受けて、DARPAは第三段階の選定作業に入ろうとしており開発をさらに続ける。
  11. アルゴリズムがさらに改良され「人工知能」の域に入ると、各種機能、コンピュータがネットワークで高度に結ばれ情報を自動的に統合、分類、表示する機能が実現する。これができればヒューマン-マシンインターフェースが向上し、パイロットの「認知負担」が軽減される。
  12. 既存のセンサー、航法装置に加え「フライバイヤー」技術により機体の自動操縦がすでに実施可能だがALIASでは自律航行とヒューマン-マシンインターフェースの水準が大幅に引き上げられコンピュータの独自運用レベルが進む。
  13. ヒューマン-マシンインターフェースは米陸軍がすすめる次世代垂直離着陸機FVL構想の中核でもあり、2030年代に実用化しようとする高性能飛行機能を実現する
  14. ALIASのような技術が新型機開発で効力を発揮する可能性は十分ある。供用多用途技術実証機として米陸軍が未来のヘリコプターの開発段階を一歩進めようとしている。FVLの要求仕様としてALIASが組み込まれれば生身のパイロットの認知負担を減らし、その分もっと重要なミッションに専念できるようになる。
  15. パイロットの頭脳は指揮統制に重きを置いて、自動システムへの指示に専念できるればあとは機能を自動的に果たすようになる、とチェリーは述べている。
  16. 「パイロットの負担を減らした分、将来の機材の安全性は高まります」
  17. スロットルや作動系の装置、ヨークはすべてALIASで自動化が可能だ。
  18. 「見通し線外の通信を高度に自律化しており、プレデターやリーパーがこの技術で現時点でも運用されています」(オーロラ・フライト・サイエンシズのCEOジョン・ラングフォード)
  19. ALIASは技術的な可能性と実証成果を理由にGCN Dig IT賞を最近受賞している。■
Kris Osborn became the Managing Editor of Scout Warrior in August of 2015. His role with Scout.com includes managing content on the Scout Warrior site and generating independently sourced original material. Scout Warrior is aimed at providing engaging, substantial military-specific content covering a range of key areas such as weapons, emerging or next-generation technologies and issues of relevance to the military. Just prior to coming to Scout Warrior, Osborn served as an Associate Editor at the Military.com. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army - Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at CNN and CNN Headline News. This story originally appeared in Scout Warrior.


2016年10月29日土曜日

シリア上空での米ロ軍用機衝突は回避できるか


そもそもシリア問題を放置した挙句、ロシアの全く別の意図による介入を許してしまったのはオバマ政権の失策です。シリア上空の空域で米ロ間の衝突が発生すれば事態がエスカレーションしかねません。両国間の理性ある行動が期待されます。

Report: Russian, U.S. Jets Have Close Encounter Over Syria

Russian long range bomber
アレッポを空爆するTu-22M3  / Russian Defense Ministry via AP
     
October 28, 2016 10:43 am
米ロ軍用機がシリア上空で数日前に異常接近していたことが判明した。
10月28日のAFPが米関係者の発言を引用し、ロシア戦闘機一機が米軍機にシリア上空で同月17日に危険な接近飛行をしたと報道している。
大型スパイ機に随行したロシアジェット機が米軍機の近くを飛行し、「半マイル以内」まで近づいたと米空軍ジェフ・ハリガン中将が述べている。
匿名の防衛関係者はこのロシア機が「通過する際にジェット噴流がわかるくらい接近していた」と述べている。
米ロはリシア上空での空中衝突を回避するホットラインを開設している。今回は米側パイロットからロシア機に交信を試みたもののうまくいかなかったという。
ハリガン中将は同地域で米ロ軍用機の接近遭遇が急増しているとも述べ、ロシア機が意図的に米軍機に接近飛行を10日に一回のわりで実施しているという。
米ロ間の緊張はシリアをめぐりここ数週間高まっており、きっかけは停戦協定の不調とともに両国間の通信連絡が中断したことだ。
ロシア・シリア軍はアレッポで一般市民並びに米国が支援する反乱勢力を空爆しており、オバマ政権がシリア政府軍への攻撃を検討中と伝えられるとモスクワは作戦行動中のシリア空軍を標的とする連合軍は撃墜すると警告している。■


主張 クリントン当選を期待する国の存在がトランプへの一票を正当化する



報道界が必死になりクリントン優勢の機運を盛り上げてきたにも関わらずここに来てもクリントンのリードはごくわずか、というのは投票日当日に大きなどんでん返しがあっても不思議ではないということで、最初からクリントン優勢と信じ込んでいる向きには不安な気持ちが広がっているでしょう。
 20世紀政治の延長を選ぶか、21世紀になりあらゆる点で見直しを図るのかの選択で、米国からの便宜供与を受けている既得権層が自らの存続をかけ必死になるのは理解に堅くありません。
 果たしてその期待どおりに進むのでしょうか。


The National Interest


Foreigners Want Hillary Clinton for President: A Good Reason to Vote for Donald Trump

October 28, 2016


ヒラリー・クリントンは世界の大統領候補なのか。ある見出しは「世界はクリントンに期待」とある。

  1. 背景には醜悪とも言えるドナルド・トランプの大衆迎合主義がある。ただしアメリカだけの話ではない。フィリピンのロドリゴ・ドュテルテはトランプ以上に「トランプ的」である。ヨーロッパにも大衆の受けを狙った政党が乱立しており、一部政権に参画しているものもあれば次回国政選挙で政権奪取を狙う党もある。マリヌ・ルペンが大統領となればトランプよりも過激になるだろう。

  1. だがもっと大きな懸念事項は世界各国を支援する超党派政策をトランプが継続するとは思えないことだ。第三世界では米財政支援に頼り切る国が多い。トランプは「対外支援」の用語を口にしておらず、米国から雇用を奪い不法移民を流入させるような国には資金提供を打ち切る可能性が高い。

  1. 西側の経済援助が各国の開発に大きな貢献をしたと証明することは難しい。被援助国エリート層は恩恵を受けているが、豊かな国の貧困層から資金を調達したのが対外援助の本質で貧しい国の富裕層を肥やしているといわれてきた。その恩恵を受けてる側はアメリカにこのまま継続してもらいたいと考えている。

  1. もう一つ重要なのは米政策により先進国ほぼすべての国防が恩恵を受けていることだ。ヨーロッパ各国の経済規模、人口は全部合わせればいずれも米国を上回るのにワシントンが各国の防衛の盾を提供するのを当たり前に思っている。各国は軍備支出を節約し、福祉政策を賄っている。トランプが大統領になれば各国首脳は都合の良い政策を継続できなくなる。

  1. あるヨーロッパ関係者がニューヨーク・タイムズに語っている。「トランプが当選したら皆が困るんですよ」 フィナンシャルタイムズによればヨーロッパ各国大使館にはトランプ当選の場合の影響を探るよう指示が来ている。フランス大統領フランソワ・オランドは社会主義者であり他人の金を使うことが信条で、トランプには「吐き気を感じる」とまで発言している。

  1. 既存ヨーロッパ西側諸国には脅威はさほど大きくないが、東ヨーロッパにはロシアの脅威がひましに増えているのに西側の隣国は対応していない。そのため各国とも米国の救援を期待している。バラク・オバマ大統領はウラジミール・プーチンの謀略へ反応してきた。オバマ政権が各国に「再保証」を伝えたので、各国は米国からの支出増要求を無視して良いと理解している。ワシントンがいつも穴埋めしてくれならこちらの期待どおりに動く政治家などいない。

  1. アジアでも状況は大差ない。日本と韓国は米国の防衛約束を権利とみなしている。日本が世界第二位の経済規模を誇っていた間もそのままだった。たしかに日本が自国権益の保護のために自ら不利益を被るとは期待できない。これはアメリカの責務だ。

  1. 韓国の状況はもっと厳しい。韓国は北朝鮮に対しGDP40倍、人口でも2倍の規模だ。にも関わらずトランプは韓国が米軍の恩恵でぬくぬく暮らしており、その恩恵に値する費用をアメリカに返金すべきと主張し韓国報道界から一斉に反感を招いた。韓国左翼勢力も自国で大幅軍備増強をする必要はないとの主張では右派と同一意見だ。

  1. ごく最近までフィリピンは中国への対抗のため米国支援を取り付けるのに必死だった。フィリピン海軍は中国に対抗できない。そこでフィリピン政界は一致して米国をひきつけ米軍の力を借りて中国に対抗していこうとしてきた。デュテルテ大統領は全く違う姿勢を示しているが、中国寄り政策を任期満了まで継続できないだろう。

  1. 外交当事者にとって米国が国防で手を貸さない世界は想像がつかない。ニューヨーク・タイムズ記事では米選挙を目にしたヨーロッパに「静かなる絶望感が底流にあり」とし、「NATO加盟国間にとくに失望感」があるとの見方を示す人もいる。米国への依存度は「なみなみならぬ規模」とドイツ大使ピーター・ウィティッグは述べている。

  1. Die Zeit のジョセフ・ジョフェは「仮にトランプ大統領がNATOを解体すれば、いきなり寒風に晒されたヨーロッパ各国はロシアと和睦に走るだろう」と考える。代替策はある。ヨーロッパ各国が防衛支出を増額するのだ。だがジョフェはその可能性は検討に値しないと考える。これはヨーロッパ全体でも同じだろう。つまるところ、ヨーロッパは防衛はアメリカの責任と見ているのだ。これは変わらない。

  1. オバマ政権もクリントン候補の選挙運動もともにヨーロッパに対してアメリカはこれからも責任を果たすと述べており、とくに現政権はアメリカ自身より主要同盟国を重視している観さえある。端的に言えばアメリカは自らの防衛に悩みたくないヨーロッパ各国を甘やかす政策とはきっぱりと決別すべきだ。

  1. ジュリアン・スミスはクリントン選挙対策本部内部でクリントンが民主党全国大会で述べた「ヨーロッパ再保証」の主張を起草している。民主党副大統領候補ティム・ケインは共和党がNATO各国を「見捨てる」と非難している。マデリン・オルブライト元国務長官はトランプの恐喝で「友好国同盟国が離れる」と不満だが、施しに頼り切るよりもはるかに成熟した国の行動なのだ。

  1. 民主党全国大会でヨーロッパ各国が「安堵した」とニューヨーク・タイムズが書いたのはいかにもという感がある。イタリア外交団のひとりが同紙に「従来どおりの政策になるとわかった」とアメリカが各国の権益を今後も守ると示唆して、クリントン当選となれば世界は安心できるという。特にアメリカ軍の奉仕に頼り切った各国は安堵するというのだ。

  1. もちろんドナルド・トランプに反対票を投じる理由は数々ある。だがアメリカ納税者は同候補への一票で世界各国の恩恵を重視する勢力の期待を崩せる。

  1. 当選してもトランプがどんな大統領になるのか今は誰もわからない。同盟各国に防衛費用を請求するのは良い考えではない。米軍は傭兵ではない。にもかかわらずトランプは問題の本質を捉えている。防衛能力を整備できる国や地域はその通り実施すべきだ。全部が米国政府の責任ではない。

  1. バルト海で危険が叫ばれるとなぜいつもまっさきにワシントンが人的資源では困らないヨーロッパ大陸に先駆けて部隊を急派することを期待されるのか。なぜ米国が韓国の防衛に責任を有さなければならないのか。韓国政界は北朝鮮と同等の軍備整備を想定ていない。なぜ日本が攻撃下の米艦船を防御する方針をやっと昨年に決めたのか。もともと日本が攻撃を受ければ真っ先に対応するのが米軍である。中東でも同様でサウジアラビアはじめ湾岸諸国はイランよりはるかに巨額の防衛予算を執行しつつ米軍にはシリア、イエメン内戦に関与させ続けるのか。

  1. 米国民は投票に際して米国権益につながる一票を投じるべきであり、世界のための投票ではない。各国が好む候補があるということ自体その候補に投票しない強い理由になる。ワシントン政界が各国を念頭に置くのは結構だが、そもそも誰のために奉仕すべきか忘れてもらっては困るのである。  ■  
                                                             
Doug Bandow is a Senior Fellow at the Cato Institute and a former Special Assistant to President Ronald Reagan. You can follow him on Twitter: @Doug_Bandow.
Image: Creative Commons/Flickr User Gage Skidmore.



2016年10月27日木曜日

もし戦わば⑧ 日本は中国の侵攻にこう対応する



沖縄では今日も防衛体制整備に反対する住民(沖縄以外の住民含む)がとんでもない行動をしているようですが、現実世界に背を向けているのはちょうど成田闘争に参加した人たちと同じではないでしょうか。法執行のため機動隊員が各地から派遣されているのも成田と同じですが、沖縄では30年間も辛抱強く待っている余裕はないはずです。国家などない方がいいなどと平気で言えるような人は中国や北朝鮮にぜひ旅行してもらいたいものです。

The National Interest


Japan's Master Plan to Defend Itself from China

October 23, 2016

  1. これまで日本の本土防衛方針は凍結されたままだった。冷戦時にはソ連が北方国土を侵攻する想定で強力な機甲部隊でソ連軍上陸を阻止し、空軍部隊で爆撃機を撃退し、海上部隊がシーレーンを確保し、米軍到着まで持ちこたえる想定だった。
  2. この防衛方針が冷戦終結でゆらめいたがゾンビのように生き残ったのはそれ以上によい案がなかったためだ。だが今や中国の軍事力が増強され北京が尖閣諸島の領有を堂々と主張するにいたり、日本も防衛部隊再編で南方での新しい脅威へ対応せざるを得なくなっている。
  3. 中国の軍事費は毎年10パーセント以上の増額を18年間続けた。2010年に突然中国が尖閣諸島の領有を主張すると中国の脅威が急浮上してきた。
  4. 「動的防衛案」と言われる方針は完全な方向転換で、北海道に代わり尖閣、琉球諸島が焦点となった。以前の構想では戦車中心の防衛体制をおく第七装甲師団が中心的存在だったが、今度は新編成の迅速展開揚陸部隊(旅団規模)が中心だ。
  5. この揚陸旅団が新防衛体制の中核で九州佐世保に駐とんし、日米の揚陸艦艇で迅速な移動を目指す。2017年に初期作戦能力を2千名規模で確立し、後に3千名に拡大される。
  6. 同旅団の核が西部方面普通化連隊という大隊規模の軽歩兵部隊で日本の揚陸作戦の知見を一手に握る部隊だ。同部隊は米海兵隊の揚陸作戦演習アイアンフィスト、ドーン・ブリッツに2000年以来参加しており、ゆっくりだが上陸作戦の知見を蓄えており有事に真価を発揮する存在となった。
  7. 同旅団の編成は揚陸歩兵大隊が3つ、それを支援する新型機動戦闘車両(8x8の車輪装甲車で105ミリ砲で機動火力を提供)が配備される。同旅団を運ぶのは三十両の強襲揚陸車両(AAV)で米海兵隊から購入し、BAEシステムズが改修したもので、同隊は米海兵隊の強襲揚陸中隊並の威力を発揮し、大隊全部を装甲車両で上陸できる。AAVは旧式だが新型揚陸戦闘車両が米国で整備されるまで選択肢は他にない。
  8. またV-22オスプレイが17機配備され、中隊規模の空中機動作戦が可能となる。飛行距離はKC-130給油機(6機)で延長できる。第1空挺団(千葉)はH-60中型輸送ヘリ、CH-47J大型輸送ヘリで移送され、AH-64J攻撃ヘリが必要に応じて支援する。
  9. 海上自衛隊も同旅団の支援体制を強化している。おおすみ級揚陸艦三隻が同旅団を車両と輸送する。甲板は航空対応可能で艦内にLCACホーヴァークラフト二隻を収容する。またAAVの発進も可能で各車両で18名の隊員を海岸線まで運ぶ。
  10. 各国で航空機動運用が揚陸作戦の鍵となるが、自衛隊も例外ではない。海上自衛隊はひゅうが級「ヘリコプター駆逐艦」でヘリコプター兵員輸送艦となる。2015年のドーン・ブリッツ演習ではひゅうががAH-64JおよびCH-47Jヘリを日本からカリフォーニアまで輸送し、洋上ヘリコプター基地となったが、2011年の大津波後の救援作戦でUSSロナルド・レーガンが果たしたのと同じ機能だ。ひゅうがはオスプレイの運用も可能だ。
  11. 動的防衛戦略では日本列島に沿って迅速に部隊を展開する必要がある。6,852を数える日本の島しょすべてで防御を固めるのは不可能だ。そこで監視哨やレーダー基地を南方諸島に展開する。早期警戒体制で侵攻の動きを探知するのだが、琉球諸島のうち陸上自衛隊が駐留するのは与那国、奄美大島、石垣、沖縄の四島だけで残りは事実上無防備だ。
  12. では有事に日本の防衛方針はどう機能するのだろうか。尖閣諸島は小さく居住に適さないといわれる。同地区の防衛には揚陸連隊が迅速に展開すべくオスプレイで上陸するだろう。もっと大規模な部隊は佐世保から20ノットで移動すると28時間で到着する。
  13. 敵対勢力が日本領土を実力占拠した場合は該当地の場所により対応方針が変わる。尖閣諸島に上陸された場合なら小隊規模でも艦艇の火力支援があれば奪回可能だが、琉球諸島となると居住民もあり、一個大隊あるいは揚陸旅団をまるまる派遣する必要が生まれる。
  14. 占領下の島しょは海上封鎖し守備隊への物資補給を阻止する。偵察部隊の上陸の前に海上自衛隊が5インチ砲射撃を行うはずだ。偵察部隊は米海兵隊から攻撃の指示訓練をカタリナ島で受けている。AH-64Jアパッチヘリがひゅうが級ヘリコプター駆逐艦から発進し陸上標的を狙うのは英軍のアパッチがHMSオーシャンから発進したリビア作戦と同一だ。
  15. 最後にAAV7を使って歩兵部隊がLCACが機動戦闘車両を移動させ敵の抵抗のない地点へ揚陸させると島に残る敵部隊との交戦が始まる。島の規模が大きいと支援空中機動強襲作戦が行われるだろう。
  16. 日本の動的防衛戦略は最小限の支出増による安全保証に特徴がある。新規旅団の編成では主力戦車は島しょ防衛には不適として多数を廃棄する。旅団編成では不要となった部隊から隊員を補充し、自衛隊全体で千名未満の増員となる見込みだ。その結果生まれるのは柔軟かつ迅速に展開できる部隊で将来の戦場に対応できる。■
Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.
Image: A Japanese soldier with the Japan Ground Self-Defense Force conducts a beach raid as part of training for Exercise Iron Fist 2016. DVIDSHUB/Public domain