ここにきて米中開戦想定の記事が米側に増えています。中国国内ではなぜかKFCが襲撃を受けたりと民衆はアメリカへの反発を短絡的に示す一方、解放軍は動きを示していません。中国軍は共産党の機関であり、一部が言うような軍の暴走は考えにくいです。党の指示で機能する組織です。その共産党は今後100年の統治を想定しているはずで、今回の法廷決定を無視するのも大計に立った計画をしているからでしょう。西側が短絡的な動きを示せば北京の思う壺では。
New Report Details Why a War between China and America Would be Catastrophic
August 1, 2016
- 米中両国が開戦すれば両国に相当の被害が発生するが、今開戦となれば中国の損失の方が大きい。ただし中国が進める接近阻止領域拒否(A2/AD)整備で、中国有利が2025年に生まれる。それでも中国は米側より相当大きな被害を被るとRANDコーポレーションの最新研究成果が述べている。勝者は誰なのかあいまいになるのは軍事衝突は終わりなき人命損失へ悪化していくからだ。
- 「米側の軍事優位性が減少する中で作戦案が実現するか米国にも自信がなくなる」とこのたび出た報告書(David C.
Gompert , Astrid Cevallos and Cristina L. Garafola)にある。「中国の交戦能力、特にA2ADが強化されると米国は主導権を握れず、中国防衛網の突破が困難になり、決定的な勝利は得られなくなる」 - 中国と開戦となれば戦場は海空が舞台となりそうだが、サイバーおよび宇宙装備が大きな意味を有すると報告書は述べる。RANDは通常戦のままと予測している。「両国とも部隊を広範囲に配備し相互に捕捉追跡し攻撃する能力が高いので西太平洋全体が戦闘地帯になり重大な経済的影響が発生する。」「核兵器使用は考えにくい。損害が極度に多い通常戦でも両陣営ともに核兵器の先制使用による放射能のリスクを恐れるはずだ」
- RANDは米国が中国本土を重点的に攻撃する前提としたが、研究員は中国の米本土攻撃手段はサイバーだけを想定した。「中国がサイバー除き米本土を攻撃できるとは考えにくい。中国の通常兵器能力に制約がある」とし「対照的に米国は中国国内の軍事施設を広範囲に攻撃するだろう」
- 米中戦は短期集中戦から長期にわたる消耗戦まで多様な形で勃発する可能性がある。双方が先制攻撃の誘惑にかられるはずだ。「センサー技術、兵器誘導技術、デジタルネットワーク他の情報技術で敵軍を捕捉できるので米中が相互に深刻な被害を与えられる」と報告書にある。「このため先制攻撃の手段と動機が生まれる。半面、開戦で双方とも深刻な損害を受ける恐れがあり、軍事的損失や経済費用が発生しても両国とも継戦能力が相当ありともに一方的な主導権は握れないだろう」
- 今日の時点なら短期戦も米側は相当の損害を受けるが、中国の損害は壊滅的規模になる。「米中いずれかの指導部が軍に猛攻撃を命じれば、きわめて大規模な戦闘となる」とし、「2015年なら米側の水上艦艇と航空機の損害は空母大破、空軍基地各地の能力喪失と甚大だが、中国の損失は本土でのA2AD体制の破壊含みはるかに大規模になる。数日内に開戦当初の低い米側損失も戦闘継続で拡大するのがわかるはずだ」
- 2025年までに中国軍事力はさらに拡大し、多大な損失は甘受できなくなる。「2025年までに米側損失規模が拡大するのは中国のA2ADの拡充によるところが大きい。中国側の損失は一定規模に収まるが、それでも米側損害を上回る。戦闘が長引けばどちらが勝利したか微妙になる」
- 長期戦なら損害ははるかに拡大し、両国の残存部隊は悲惨な形になるだろう。「2015年時点でも長期かつ深刻な戦闘が続けば、中国有利と予想される。2025年になると初期戦闘の不明瞭な成果から両陣営ともに大損害が発生することを知りながら戦闘を継続するだろう。そうなると米軍が勝利を収める可能性は現在より低くなるとはいえ、そのまま中国が勝利を収めることには結びつかない」
- 上記の場合では人命損失と経済被害が相当発生し、両陣営とも軍備を消耗するかもしれず、ともにその他国の脅威に無防備となる。「米中両軍が目標捕捉と攻撃を行う能力は前例がない規模なので、数か月で装備を使い果たす」とし、「当然両陣営とも補充しながら部隊立て直しを国力を賭けて競うだろうが、要素が多すぎ結果予測は困難だ。とはいえ費用だけ確実に上昇する」
- RANDは開戦リスクを下げるため以下提言をしている。
- 米中の政治指導層トップは即時攻撃による相手陣営破壊以外の軍事選択肢を確保すべきだ
- 米指導層は中国側と意思疎通手段を確保し、紛争激化の前に事態を鎮静させるべきだ。
- 米国は中国のA2ADへの攻撃が自動的な実施にならないよう戦闘激化の予防策を作っておくべきだ。「フェイルセーフ」の仕組みを整備すれば軍事行動の前に政治面の承認が必須となる
- 中国のA2AD効果を減らすため、米国は残存性の高い装備(例 潜水艦)やA2AD対抗装備(例 ミサイル)の開発に注力すべき
- 米国は主要同盟国と緊急対策案を練るべきだ。特に日本が念頭
- 戦闘に勝利しても破滅的な結果になると中国に認識させる必要が米国にある
- 大規模戦を想定し継戦能力増強の必要が米国にある。
- 開戦後に中国が重要資源や技術を入手不可能にする方策が米国指導層に必要
- 中国から重要製品の輸入が途絶しても影響緩和する方策が米国に必要
- A2ADに対抗し米陸軍は陸上配備装備を拡充すべきで、東アジアの米側各国(特に日本)へ防衛力増強、相互作戦能力向上を求め、米中軍事組織間の相互理解、協力へも支援を求め誤解や誤算による危険事態発生を防止する
- 戦争が米中双方の利益にならないのは自明の理とは言え、一方の防衛力整備が他方を不安にさせる「トゥキデテスの罠」が発生する。高名なハーヴァードの政治学者の権威グラハム・アリソンが著している。トゥキデテスの罠ではごく普通に行うことが大規模交戦のきっかけになる。台頭する側が既存支配に挑戦すれば、通常なら制御できる危機が雪崩のような反応を呼び、双方が望みもしなかった結果が発生する。アリソンは「戦争は不可避」とアトランティック誌で言い切っている。■
Dave Majumdar is the defense editor of The National Interest. You can follow him on Twitter @DaveMajumdar.
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