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もし戦わば② 戦艦大和 対 戦艦ビスマルク


世の東西を問わず歴史が好きな人にとってIFの世界はたまらない魅力がありますね。あくまでも遊びの世界なのであまり目くじらたてないでください。
We go to war so you don’t have to

The Japanese battleship ‘Musashi’ in 1942. Photo via Wikimedia

A Clash Between German and Japanese Battleships Would Have Been Mighty

And ugly for the losing side

by ROBERT FARLEY

第二次大戦時の巨大戦艦、ドイツのビスマルクと日本の大和の直接対決シナリオが想像できるだろうか。難しいが不可能ではない。
マルヌ会戦が逆の結末となり、ドイツが1914年秋にフランスを破ったとする。1940年春と同じ状況だ。
ドイツと英国は海軍軍備で和解し、ドイツ帝国はヨーロッパ大陸を手に入れ、英帝国は存続を保証された。
第一次大戦前からドイツは太平洋に相当の領土を確保していた。第一次大戦に勝利しドイツは領土拡張に乗り出していただろう。特に中国を。すると、日本はドイツと摩擦を起こしていたはずだ。

The German battleship ‘Bismarck.’ Photo via Wikimedia
両艦の特徴
アイオワ級やHMSヴァンガードを除き、ビスマルク級と大和級は世界最大級の戦艦だった。
ビスマルクと姉妹艦ティルピッツの排水量は約5万トンで30ノットが出せ、主砲15インチ8門を砲塔4つに搭載。装甲は合計19千トンだが第二次大戦の標準仕様で建造された。これに対し大和級は排水量7万2千トンで主砲は18.1インチ三連装三砲塔形式で速力は27ノット。装甲の合計重量は22千トンで近代的な艦体設計だ。
ドイツがビスマルク級戦艦を極東まで回航し、第一次大戦前から確保している青島軍港を本拠地とした仮定とする。航続距離が長いドイツ戦艦は通商破壊も想定し、太平洋でも十分活躍しただろう。またドイツには高速戦艦もあり、大西洋に強力な艦艇を残していたはずだ。
The Japanese battleship ‘Yamato’ in 1941. Photo via Wikimedia

海戦の展開

開戦となりビスマルク、ティルピッツ及び小型艦(重巡2、駆逐艦6)は青島からトラック島へ移動する。
機動部隊は別地点で投入中のため日本帝国海軍はHIJMS大和およびHIJMS武蔵をドイツ艦隊を捕捉撃滅すべく派遣する。
ドイツ戦隊は速力差3ノットを活かし、日本部隊を振り切り、交戦を避けられる。ただし日本には地理上の優位性があり、各拠点基地から旧式艦を随所に配備しており、脱出経路を警戒している。
長門はじめ旧式戦艦部隊と交戦せずギュンター・ルッチェンス提督は日本帝国海軍の最新鋭艦艇との交戦で運を試す決断を下す。ルッチェンスは日没前交戦を期待した。なぜなら日本側が夜戦で優位とを知っているからだ。ドイツ艦にはレーダーがあるにもかかわらず。
砲門を先に開いたのはドイツでだが一撃離脱できないことがすぐわかった。ルッチェンスは日本巡洋艦・駆逐艦による魚雷攻撃の射程に入る前に叩く決断をする。ドイツ情報部は93式魚雷の性能を評価し、遠距離から大型艦を撃沈できると知っていたのだ。
ビスマルクが大和を、ティルピッツが武蔵に主砲を発射し、ビスマルクは日本旗艦に初弾から命中を上げる。
だがすぐに日本側も反撃を開始し、18.1インチ主砲が火を噴く。日独双方とも火器管制は優秀だが、結果は一方に傾く。ビスマルク級15インチ主砲は発射回数が高いが命中しても日本主力艦に与える損害は軽微だ。(ただし日本艦も上部構造物は相当損傷する)
これに対し18.1インチ砲が命中すると即座に深刻な打撃を与える。長距離から着実にドイツ艦に命中していくが、損害を区画でくいとめる両艦に致命的な損害にならない。ただし、ビスマルク、ティルピッツとも速度が低下し、離脱の可能性が減る。
小型艦同士の海戦も始まり、これは日本に有利となる。日本側は24インチ「長槍」魚雷の有効範囲で一斉にこれを発射。ドイツ艦三隻に命中。巡洋艦駆逐艦各1が甚大な被害だ。日本側砲撃でドイツ戦隊の動きが鈍り、日本の補助艦艇がドイツ側に当たり、戦艦部隊はドイツ戦艦部隊に集中できる。
日本側砲撃は正確度をあげ、ドイツ艦の上部構造物がますます破壊されていく。速力差の優位が消え、ドイツ側は重武装大型艦と長期戦に巻き込まれたことを自覚する。日本側の優位性が明らかになり、ドイツ艦の火砲発射間隔が長くなり不正確になる。
駆逐艦雪風、磯風が勇猛果敢にドイツ巨艦二隻に近距離で魚雷攻撃を加え、両艦に命中する。
ドイツ各艦は日本側へ意味ある交戦能力を喪失し、強力な戦艦火砲を一方的に受けている。
日本側巡洋艦駆逐艦はドイツ側の同等勢力を排除し、主砲と魚雷で攻撃を開始する。ドイツ主力艦二隻が日本帝国海軍の攻撃を受けても驚くほどの残存性を示している。
二時間が経過し、ティルピッツで艦内爆発が発生しまもなく転覆沈没する。日本部隊はビスマルクに火砲を集中し、ビスマルクも停止し発砲を停止する。大和艦上の見張り員がビスマルクが降伏するのを見つける。命令はドイツ戦隊に伝わり戦闘が終わる。
雪風の拿捕隊が傷ついたドイツ戦艦に乗船し、日本各艦からも損傷復旧部隊が合流する。ドイツ乗員も手助けし、鎮火と浸水は一定範囲に抑える。大和がビスマルクが曳航し、タグボート到着まで待つ。
ビスマルクは日本軍艦籍に入るが、その後戦闘に加わることはない。修理が複雑かつ高価すぎるためだ。ただし乗員大部分は戦闘を生きのびた。

まとめ

大型艦で相当の攻撃に耐えられるはずのビスマルク、ティルピッツが他国海軍の高速戦艦との比較では高評価されなかった。
大和、武蔵は史上最大かつ強力な戦艦であったが、(米アイオワ級には不利な点もあった)ドイツ艦を凌駕し簡単に撃破していただろう。
ただし帝政ドイツの野望は忘れてはならない。日米両国が太平洋で19世紀末から20世紀初頭にかけて展開した政策(特に米のフィリピン併合)によりドイツは域内での領土野心を一層堅くしていたのだ。
日本は第一次大戦を英仏の側に立ちドイツ等へ宣戦布告した。連合軍体制がもし崩れたとしても日本はやはりドイツと対立するはずだっただろう。■
Robert Farley is author of The Battleship Book and Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force. He serves as a senior lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky.


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