尖閣、南西諸島での中国の海空軍の不穏な動き、蔡政権の台湾への露骨な圧力などすでに以下予想するオプションが現実ののものになっています。7月からの南シナ海は荒れた海になりそうです。
A South China Sea Explosion: Why China Might Go ‘Rogue’ on July 12, 2016
July 1, 2016
7月12日に国際仲裁裁判所が中国とフィリピンの係争案件で裁定を出す。中国に不利になるとの見方が大半の中、中国は早くも距離を置こうとしている。だが予想通りきわめて不利な結果が出た場合に中国はどう対応するだろうか。中国には選択肢は多数あり、大部分で悪影響を出しそうだが、アジアのみならず米国にも悪影響が及ぶのは必至だ。
最も可能性が低い選択:何も反応せず裁定を事実上受け入れる
- 北京からお決まりの声明文が出て、南シナ海は自国領海と主張したらどうなるか。
- 一見悪くない選択に見える、表面上は。中国は今と同様に人工島建設で小規模軍事基地を構築し、最新「空母キラー」対艦兵器を配備し、最新鋭戦闘機、爆撃機を順番で移動させ、南シナ海を究極の接近拒否領域否定(A2/AD)地帯に変えるというシナリオだ。中国は裁定内容に怒りを表明し、今まで通りの行動を続ける。自国主張を固める効果があるといえよう。
- この反応なら最近の中国にすれば穏やかな方だ。が実現の可能性は極めて低い。習近平一党は国内に力強く見える形で対応を迫られるだろう。昔通りではだめだ。強硬策を求める国民に外部勢力には屈しないと見せるため南シナ海は兵力投射先として中国の影響圏にしておく。
- ここから二つの可能性が生まれるが、どちらも超大国同士の衝突の危険を発生させるはずだ。
可能性が一番高い選択肢:防空識別圏(ADIZ)を設定する
- 中国政府はここ数か月にわたりこの動きを予告している。防空識別圏を宣言するかとの問いに中国政府関係者は現時点で予定はないが将来あるとしたら南シナ海の危険度が理由だろうと述べている。中国に不利な裁定内容が出れば中国の公式見解も変わるだろう。
- 習近平はじめ上層部が公式見解で変更を正当化するのはたやすい。裁定内容で中国の権益が侵されたと言えばよいのであり、他国の誤った行動や国際圧力でADIZ宣言に「追い込まれた」と説明すればよい。中国はすでに防空装備を配置しており、戦闘機も交代で派遣している。現状でも中国はある程度の騒動を起こす力はある。東シナ海と同様に宣言しながら強制力は行使できないのではないか。だが宣言だけで緊張は相当高まる。識別圏の大きさや範囲にもよるが、アジア各国との危機状態につながるかもしれない。ワシントンとしても今回はB-52を一機か二機通過飛行させるだけでは済まないだろう。
もう一つの選択肢:不良国家になる
- ではADIZ設定だけで満足せず、武力衝突一歩手前まで強硬な態度に中国がでればどうなるか。中国はアジアの危険の火種すべてに圧力をかけてくる、つまり悪党の役を演じることだ。例として、
-東シナ海で海空のパトロール回数を大幅に増やし日本の神経を逆なでする。同時に石油天然ガス採掘も大々的に始めて日本政府を大いに憂慮させる
-台湾で危機状況を引き上げる。習主席は台湾渡航を大幅に制限するかもしれない。台湾はすでに中国本土に経済的依存度を高めているが、投資貿易規模を減らすことから始めるだろう。習は台湾を困らせる方法を各種熟知している。アジアの目を台湾海峡に向けさせるのも有効な手だ。
-スカボロー礁でも埋立て工事を開始する。リスクも危険も最高でワシントンは実施の場合は対処するとの意向を示しており、A-10他で示威飛行させている。だが中国がフィリピンからわずか150マイル地点で浚渫工事を開始し南シナ海でもう一か所の軍事基地構築を始めたらアメリカはどう対応するだろうか。
南シナ海対決へ向かうのか
- 7月12日の裁定結果前後に世界各地のアジアウォッチャーは多忙を極めるはずだ。アジア太平洋地区には不幸なことだが、その後に発生する事態で南シナ海の緊張はさらに高まるし、中国が選択可能なオプションを考えると、同時に中国の実力とここ数年にわたり中国が国際関係の現状を大きく変えようとしてきたこともあり、今後数か月にわたり緊張が高まることは避けられようにない。
Harry J. Kazianis is a Senior Fellow for Defense Policy at the Center for the National Interest and Senior Editor for The National Interest magazine. You can follow him on Twitter: @grecianformula.
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