スキップしてメイン コンテンツに移動

★提言 X-47Bを給油機として飛行再開せよ



この意見のように確かにX-47Bのテストは唐突な終わり方をしており、もったいないことは確かなのですが予算問題など飛行を中止させる理由があったのも確かです。一方で空母離着艦ができるのは有人操縦だけという組織内文化がすべて無人でこなしてしまう同機に反発したことも考えられませんかね。

 Put the X-47B Back to Work — As a Tanker

An X-47B UAV made a historic launch from the aircraft carrier USS George H.W. Bush on May 14, 2013.
U.S. NAVY / ERIK HILDEBRANDT
BY JERRY HENDRIX
JUNE 13, 2016
米海軍は数十億ドルを投じて別のUAV試作機を作らなくても既存機材を有効活用できるはずだ。


ソルティドッグ501および502は未来の海軍航空兵力へ当初期待された効果を全部出すことなくひっそりと格納庫に座っている。海軍は新型UAVに予算と時間を使う前に、X-47Bを飛行再開すべきだ。

2007年に十億ドル予算が付いたX-47B実証無人機は海軍航空兵力に無人機が統合可能か調べるのが目的だった。その栄光の日々の実績には初の空母自律着艦、初の空中給油の実施があり、二機はさらぶテストに使う予定だったが、想定飛行時間の八割で海軍上層部はX-47Bを博物館送りにする決定を下した。せっかく無人空母艦載機の実現に向けて事業が進んでいたのに。

ソルティドッグ二機は低視認性の無人攻撃機で機内ペイロード4,000ポンド戦闘半径1,500マイルの試作型として製造された。だが実際に完成すると海軍航空部門の上層部はおどろくべき変心を見せ長距離攻撃能力は不要と言い始めた。すでにMQ-4Cトライトン広域海洋監視機を68機調達する予定なので空母打撃群のニーズにこたえられるとしたのだ。

だがこの方針転換は接近阻止領域拒否 (A2/AD) 体系の新型装備には目をつぶっているようで、たとえばDF-21D空母キラー弾道ミサイルの登場で艦載航空隊の有効距離より外で空母が航行を迫られる事態に対応できない。航空隊の有効半径は通常500マイルであり、航空隊には長距離攻撃機が必要であり、X-47B計は参考になるはずだ。

そこでソルティドッグの仕様をもう一度思い出してみよう。実際には実現までしないものもあったが、当時の海軍作戦部長ゲイリー・ラフヘッド大将は次の内容を承認した。

  • 空軍のブーム式給油装置に対応すること
  • 夜間発着艦および低照度下で艦上移動可能とすること
  • 悪天候、向かい風でも飛行オペレーション可能とすること
  • 有人機と同等の着艦条件の実現(海軍飛行隊員がケースI、II、IIIと呼ぶ想定)
  • 母艦から無線制御で着艦させること.
  • 空母離着艦を100回以上実施すること(実績は20回未満)

10億ドルを投じ、無人機の空母運用テストの8割をこなしたただけで格納庫入りさせておきながら海軍は別事業で空母用無人機を検討しているのは皮肉としかいいようがない。

そこでペンタゴン内部から別の声が出ているのは驚くべきことではない。海軍に偵察機ではなく給油機として無人機を活用させて有人機の飛行距離を伸ばしA2ADに対抗させようというのだ。給油機としての設計が将来攻撃機に進化できるのであればこの案に意味がある。だが基本設計が給油機としても機能する偵察機のままならば意味がない。その設計では攻撃機として想定する高度、速度が実現できず、重装備兵装を搭載する想定のかわりに機内燃料を他機に分け与えるだけの想定だからだ。

そこで以下を提案したい。何か突飛なことをしてX-47B/ソルティドッグのテストを当初通り貫徹させる。各機能の発展をチェックし、追加テストも行う。ソルティドッグの一機に4,000ポンド燃料バッグを爆弾倉に搭載し、ホース-ドローグ給油装置をハードポイントに取り付ければソルティドッグは無人給油機のテスト機材に早変わりする。X-47Bの運用高度上限は40,000フィートプラスで高めの亜音速により現行の有人機への給油は容易に実施できるはずだ。さらにすぐにもテスト開始できる利点もある。

財政事情が窮屈なのはわかるが、敵も進歩しており、せっかく二機が眠ったままなので海軍は将来のために両機を有効活用すべきである。今すぐその場で。


本記事の著者ジェリー・ヘンドリックスは新しいアメリカの安全保障を考えるセンターにおいて国防戦略評価部長を務めているが、海軍を大佐で退役しており、海軍歴史遺産保存部門長をしていた。



コメント

  1. X-47Bの開発中止は個人的にも惜しい事をしたと感じる。
    またF/A-18Eのようにマルチロール化の果てに給油任務が付与されるという話には説得力がある。
    恐らく著者はX-47B本来の機能に給油という付加価値を追加することで議会を納得させ将来への投資にしたいと考えているのだろう。
    全く間違っていない、むしろ歓迎すべき考えだと思う。

    だが根本的に予算がそれを許さない。
    海軍にはX-47Bを投稿者の言うような感情的な理由で撤回できる程の余裕もない。

    米海軍は世界屈指の航空戦力を保有しており、艦艇共に調達コストは上昇する一方、予算は縮小という矛盾した状況下にある。
    ジェラルド・フォード級、ズムウォルト級、フリーダム/インデペンデンス級、F-35と将来の海軍戦力を左右するプランが軒並みコスト超過している中で、X-47Bがリストに加わらない理由はない。
    しかし著者も述べている通り、中国のDF-21Dに代表される脅威は無くならない。
    つまり世界情勢によっては議会が態度を軟化させる事もあり得る、そのための準備は議会に逆らえない海軍よりもノースロップに託すべきだ。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ