P-8の機内の様子など初めてわかる内容もありますが、そうですかP-3Cは乗員には優しくない機体だったのですね。ゼロから作ったP-8Aですが、わがP-1はどうなのでしょうか。そのうちに機内の様子などわかってくるとは思いますが、海外へのアピールをもう少ししたほうがいいのではないでしょうかね。それにしても中国は大変ですね。周囲に味方が皆無でこんな高性能機に見張られていては。
The P-8, Singapore & South China Sea Strategy
Singaporean Defense Minister Ng Eng Hen and US Defense Secretary Ash Carter pose in front of a US Navy P-8 Poseidon operating from Singapore.
OVER THE MALACCA STRAIT: アシュ・カーター国防長官はシンガポール国防相ン・エン・ヘンともにシャングリラ対話開会前に中国へ鋭く明瞭な声明を出した後、米軍が誇る対潜哨戒監視機P-8ポセイドンに乗り込んだ。
「この機はどんな感じなの」と長官がP-8搭乗員に尋ねるとトリー・プラム中尉は「大好きです」と答えた。
米海軍トリー・プラット中尉がアシュトン・カーター国防長官、ン・エン・ヘンシンガポール国防相を自らが機長をつとめるP-8に迎え入れた。
ボーイング製の同機に夢中なのはプラム中尉だけではない。米、オーストラリア、英国、インドの各軍に共通した受け止め方で各国が同機を配備しようとしている。
米海軍の最新鋭機P-8が真っ先に太平洋に配備されたのはとかく疑念を持たれる「アジア再バランス」が本物だとの証拠だと国防関係者や海軍上層部はいう。
国防戦略の担当者にとってはP-8がシンガポールを基地にしていることは興奮を呼ぶ事実だ。同国は昨年9月に同機の常駐を受け入れた。シンガポールに恒久的な米軍基地はないが、この事例はアジアにおける米国の新しい同盟関係のモデルになっている。世界有数の海洋ハブから最新鋭海上哨戒機が展開するのは中国にはうれしい話ではないだろう。
シンガポールから運用することの意味
まず地理だ。この地域は「スーパータンカーのスーパーハイウェイだ」とカーター長官はシンガポールへ向かう機内で報道陣に語った。
P-8体験飛行を終えてから「マラッカ海峡上空を飛行しましたがいつ見ても奇跡のような場所です。国際海上通行の混雑度、あらゆる国の船籍、すべての主発港、仕向け地と、まさしくグローバルコモンズの生きた証明であり、これこそ軍が守ろうとしていることです」
「シンガポールと比較できる国も立地条件も世界に存在しません」と長官はフライトの後でパヤ・レバ空軍基地で記者団に語った。
シンガポールはマレー半島先端で戦略的な位置にあり、マラッカ海峡につながり、同海峡を通り原油その他経済活動に不可欠な物資が韓国、日本、中国に輸送されている。逆に製品が今後は西方へ運ばれる交通の要所だ。
P-8配備は「この海域の重要性への共通認識のあらわれ」とン国防相がカーター長官の隣で発言している。「13百万バレルの原油が輸送されているのはホルムズ海峡に次ぐ規模。不安定要因が発生すればASEAN各国のみならず世界規模で経済活動が影響を受けます」
ロイドが海賊活動を理由に同海峡通過の保険料を数年前に引き上げが域内各国は2005年シャングリラ対話で海賊撲滅で合意し、米国など外部関連国が支援を約束した結果、共同パトロールが海空で始まり、保険料の高止まりは解消したとン国防相は説明している。
各国協力で海上通商の安全を守ればすべての国の利益につながるのであり、中国も例外ではない。「特定国だけが対象ではなく、むしろ中国も含めすべての国が対象なのです」とカーター長官は述べた。
だが作戦運用で問題がないわけではない。通過するのはタンカー、貨物船、漁船以外に中国の軍艦、潜水艦もある。海南島の軍事施設が出発地で、同時に中国の南シナ海進出の本拠地であり、人工島は海南の外縁部となる。そこで海南島の諸施設は中国が何としても秘密を守りたい対象で米軍が接近するたびに迎撃含め何らかの反対行動をとってくる。特にP-8のような長距離監視偵察機に敏感に反応する。
2014年8月に海南島沖合でP-8ポセイドン偵察機に嫌がらせをする中国海軍のJ-11戦闘機。
P-8の機内様子他
「高性能偵察機が海南島付近に来るのは中国には気に障ることです」と解説するのはブライアン・クラーク(退役海軍中佐、海軍作戦部長の上級補佐官を務めたあと戦略予算評価センターで主任研究員)だ。シンガポールのような戦略地点から運用するP-8は「水上活動を監視記録でき、フィリピンやヴィエトナムといった中国の南シナ海進出に反対する勢力に対する行動の記録も例外ではありません。またP-8が海南島から展開する中国潜水艦を監視していることにも懸念しているはずです」
P-8には対潜戦(ASW)能力もあり、浮上式ソナー(ソノブイ)を投では1960年代のP-3Cオライオンと比較すると二倍以上を投下できる。誘導式魚雷も運用する。現時点でソナー信号のプロセッサはP-3と同型式だが今後アップグレードし性能を引き上げ潜水艦探知能力は向上する。また水上艦探知能力も向上しており、ハープーンミサイルで攻撃も可能だ。
さらにP-8は高性能電子センサー類が搭載できるとクラークは指摘する。レーダー基地の位置を突き止め、無線交信を傍受すると、従来のEP-3の性能をしのぐ。中国がEP-3を海南島沖合で迎撃して戦闘機と空中衝突したことがあったが、EP-8としてシンガポールから飛来するのを中国が気持ちよく思うはずがない。
P-3やEP-3がシンガポールから飛来しても中国はここまで憂慮しないだろう。プロペラ推進の両機は空中給油を受けられないが、P-8は可能だ。速度と飛行距離からP-8は広い地域をカバーでき迅速に行動できる。高性能センサー類がすべてを探知できる。また新型機のため整備時間は短くその分飛行時間を多く確保できるのだ。
カーター長官とン国防相がP-8機内のセンサー操作員の仕事ぶりを視察した。
乗員の受け止め方
プラム中尉は記者に「P-3と比べてずっと新しい機材です」と離陸前に手短に取材に答えてくれた。パイロットとして中尉は「完全グラスコックピット」のデジタル表示の利点を挙げ、「飛行計器が全面的に新しくなり、今までなかった状況認識手段がつき、航空路の状況や気象状況がよくわかります」
「オートパイロット機能もあるね」とマーク・バーデン中尉(戦術調整士官(TACCO))が口を開いた。TACCOは機内のセンサー操作員を取りまとめる。
「そうね、オートパイロットはP-3でもあったけどうまく機能していなかった」とプラム中尉も述べた。
「機内で後ろから見ているとソフトウェアのインターフェイスがセンサーすべてで改良されていますね。無線装置がたくさん搭載されており、各システムの作動で正確度が上がっていると思います」(バーデン中尉)
「P-3も高性能でした」とバーデンは急いで付け加えた。「でもインターフェイスはここまでよくなかったですね。なんといってもP-3は1960年代のアナログ機で40年間にわたりアップグレードを重ねましたが、P-8は思い切って新しくスタートした全面デジタル機です」
「搭載機材の多くが前と同じで性能でもよく似ています」とバーデン中尉は述べるが、P-3の旧式装備は機内スペースをたくさん必要とし、操作員はかがみこむように対応していた。対照的にデジタル技術の恩恵でP-8機内はすっきりしており、乱雑ではない。センサー操作員とTACCOは一列に座り、高解像度の画像を共有したりメモの交換が簡単になった。
「替わってくれるかな」と操作員の一人が隣の同僚に気軽に頼み、センサー操作を任せてカーター長官、ン国防相への説明に専念した。P-3では機内配置の関係でここまで簡単にはいかなかっただろう。
P-3では乗り心地が悪く乗員がよく嘔吐する悪評があった。P-8はこれがない。「滑らかな飛行をしてくれます」とプラム中尉。確かに民間で多用される737が原型だ。「乗り心地が良くてずっと静かです」
結語
滑らかで静か。これこそシンガポールがP-8配備で望むことで、中国を怒らせることは避けたいのだ。「米国のプレゼンスは過去70年間にわたり安定の条件となってきた」とン国防相は述べている。「同時に状況の変化も認識している。中国が国力を伸ばし、われわれはこれがゼロサムゲームではないと理解している。封じ込めるかどうかの問題ではないのだ」
とはいえ南シナ海で緊張が高まる中でP-8は状況が円滑さを欠けば本領を発揮する機材だ。■
飛行後にクルーに感謝するアシュトン・カーター国防長官。左端はペンタゴン報道官ピーター・クック。
いやー、アメリカ海軍も怠け者になったと推測。不満もないなんて。
返信削除なんかで室内みたが、ゴージャス。戦闘員として失格になったか。