大きなニュースですね。本日は多忙につき、記事部分のみお伝えします。米国読者はさっそく活発な反応を示しており、その部分は後日追加でお伝えしますのでお待ちください。
Japan Issues Request For Information On Fighter Options
Jun 24, 2016Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology http://aviationweek.com/defense/japan-issues-request-information-fighter-options
防衛省が次期戦闘機の技術情報開示を求めている。調達に向けた第一歩で今世紀中ごろの戦力化を狙い、おそらく国産開発に向かうだろう。
- 防衛省が求め情報では次の三つの選択肢がある。新型機の開発、既存機種の改良、輸入の選択肢だ。いずれも三菱重工(MHI)のF-2後継機を想定する。
- だが同省が本当に欲しいのは新型機開発だろう。現在生産中の機体で日本の要望を満たす機種はない。内容は大型、双発、長距離飛行、空対空ミサイル6発の機体内部格納だ。
- 外国企業に参入可能性がないわけではない。仮にMHIが機体でIHIがエンジンで中心の国内生産となっても価格さえ条件に会えば海外企業の技術を採用する余地はあるからだ。
- 防衛装備庁が求めるのは各社の技術能力及び最近の実績だ。既存機種改修と輸入に関しては最新機種が対象。「情報開示請求」という用語は使っていないが、同庁の狙いはまさに同じである。回答締め切りは7月5日。
- 対象企業は絞り込まれている。機体あるいはエンジン製造の実績がある企業、開発生産の知見がある企業、商社およびコンサルタント企業である。そのうち、メーカーにはMHI、IHIが当然含まれ、合わせてボーイング、BAEシステムズ、ダッソー、SAABも含まれよう。第二グループにイスラエル航空宇宙工業が想定されているが、戦闘機を完全に自社設計で作った実績はないが中核技術の知見があるからだ。
- 商社が加わるのは日本の防衛装備導入では国内仲介役として不可欠の存在だからだ。ロッキード・マーティンのF-35ライトニングが選定された2011年事例では三菱商事が陣営に加わっており、対して伊藤忠はボーイングF/A-E/Fスーパーホーネットを、住友商事がユーロファイターの総代理店としてタイフーンを推挙していた。
- 日本政府は平成30年度までにF-2後継機種を選定する予定だ。新型機が供用開始するのは平成42年度(2030年)ごろの予定で、今世紀後半を通じて稼働する。
- MHI、IHI他日本企業はすでに国産機開発の基礎研究を始めており、その内容は今回の防衛省の要求水準をほぼ満たす。新型機、改修型、あるいは輸入機のいずれになっても新型機はF-3の呼称となるだろう。
- 政府は研究開発予算を大幅に増額しF-3実現を目指している。1988年以来の累積支出は1.730億円(16.4億ドル)に登っている。F-3の開発費用は不明だが、ロッキード・マーティンF-22が概念上はF-3に近く当時の米国は304億ドルで開発している。F-2はロッキード・マーティンF-16を元に開発され3,600億円で開発できた。
- F-2は戦闘爆撃機だが日本はその後継機を求めているのではない。防衛技術研究本部TRDIの概念設計では制空任務を明らかに想定している。同本部は長い航続距離を与えてを空戦能力より重視している。機内格納兵装で遠距離から攻撃を加える想定で、図面ではラムジェット推進を想定しているようだ。また概念設計ではステルス性も想定している。
- 一方で技術や政治面で受容可能なF-2後継機の原型となる既存機種あるいは輸入機種はどうだろうか。まずボーイングF-15が1980年代から日本で稼働中だ。日本が求める長距離航続力はあるが、兵装庫はないうえ一番大切なステルス性も欠ける。F/A-18E/Fは限定的ながらミサイルをポッド格納搭載できるため有望だ。タイフーン、ダッソー・ラファール、グリペンE/F型もそれぞれ制約があり、長距離運用という点で失格だろう。ステルスF-35では機内兵装庫で制約があり、なんといっても航続距離が短すぎる。
- 今のところ日本の要求内容を満足できる新型機の開発日程はどの国にもないが、米海軍と空軍には日本の求める大日程と性能とほぼ一致する新型機開発構想がある。■
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