エアバスがA400Mの米空軍売り込みを図っている模様ですが、本当に採用される可能性があると考えているのでしょうか。事業が大赤字のため輸出に活路を見出そうというのですが、どこまで真剣なのでしょうか。
Airbus Looks To the US in Search of A400M Buyers
MUNICH, Germany – エアバス・ディフェンスアンドスペース(エアバスDS)はA400Mアトラスの輸出先としてアメリカが有望と見ており、技術問題に直面しているが同機を西側最大の軍用機市場に売り込む。
- 「米国を狙いますがまだ実現していません」と同社の軍用機部門トップ、フェルナンド・アロンソが6月20日報道陣に語っている。同社はプロペラギアボックスtp一部機体の胴体中央部で見つかった亀裂問題で修理を急いでいる。
- エアバスDSは今後30年で最低200機のA400M輸出を目指し、米国が最大の需要国とみなす。同社としては財務大損失を輸出で回避したいところだ。
- 空中給油機案件でボーイングに敗退した教訓から、A400Mでは米政界、軍部の上層部に働きかける。
- そのためアトラスをワシントンまで飛ばし空軍に見せる予定で、米国の複雑な調達手続きを乗り切りたいとしている。
- A400Mは米国製部品も採用しており、米国販売が成約すれば米国製部品比率も上げるとしている。未発表だが、同社がA320旅客機を生産するアラバマ州モビール工場で組み立てるのではないか。
- 米国のエアバス関係者は営業でデジタル装備と接続性を売り物にするという。だが技術問題解決の遅れが輸出の脚を引っ張っている。
- 「輸出販促活動の方が難しいですが、あえてこの話題を口にするのは問題の解決策に光が見えてきたからです」とアロンソも言う。「傑作機になると見ており、当社は自信を持っています」
- 問題とはエンジンにつけたプロペラギアボックスの改修とともに素材をアルミ合金から既存材料に戻し機体中央部の亀裂発生を防ぐことだ。
- このうちギアボックスについてはアヴィオ製プロペラギアボックスを緊急交換したテスト機が6月24日までに100時間飛行する。
- 「亀裂問題は安全とは関係ありません。定期検査で安全は保障さています」(アロンソ)
- 緊急対策が付いたギアボックスは600時間ごとに検査される。現状は検査間隔は20時間にすぎない。
- 長期対策として新設計のギアボックスがジェネラルエレクトリックにより製造され、同社のイタリア子会社アヴィオへ来年までに届く見込みだ。
- エアバスDSの親会社エアバスグループからは5月10日に補修コストが「相当」の規模になるとの見込みが示されている。エアバスにはこれまで各種のトラブルで50億ユーロ(57億ドル)の追加出費となっている。
- エアバスDSはまもなく改訂版の納入日程表を公表するとし、ギアボックス改修ならびに一部「戦術」性能の追加を盛り込む。
- この戦術性能向上型を最初に受領したのはフランスで改修の中にはコックピット乗員の防御性向上がある。
- またフランスの航空宇宙研究機構Oneraがフランスが重要視するヘリコプター向け空中給油能力の研究開発中だ。
- 長さ120フィートの小口径燃料ホースの飛行試験を今年末までに行う。80から90フィートが標準だ。延長でヘリコプターから燃料補給中に給油機尾部が目視しやすくなり、A400Mが搭載する強力なユーロプロップインターナショナルTP-400ターボプロップエンジン4基の生み出す乱気流から安全となる。
- フランスはC-130Jを4機一月に発注しており、うち二機は空中給油型KC-130J仕様だ。フランス陸軍と特殊作戦部隊から能力ギャップの早期解消を求められていた。
- 落下傘部隊116名を胴体の両側にドアを設け58名ずつ落下させる改修もあり今年末には116名運用が実現する。両側から同時に落下させることも可能となる。
- エアバスは米国商戦で空中給油機の二の舞をするつもりはないようだが米空軍には給油機を二機種運用する意向はない、と同社営業トップのジャン・ピエール・タラモ二は語っている。
- ヴィエトナム代表団がエアバスDSを訪問し、C-295軽輸送機に「真剣な関心を」示したとタラモ二は述べた。同社はヴィエトナムの輸送機需要の潜在性は高く「極めて有望な輸出先」という。■
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