Pilot Intv. - Attack Missions in the A-10
KRIS OSBORN
Yesterday at 12:22 AM
Scout WarriorはこのたびA-10パイロットへの取材機会を得た。パイロットによれば同機はこれまで飛ばした機体の中で「一番頑丈」だという。米空軍は同機を2020年代中頃まで稼働させようとしている。
- 敵陣地を攻撃し、整備不完全な飛行場に着陸し、再び離陸し敵戦闘員を30mm機関砲で倒し敵を制圧することを難なく繰り返すA-10にはパイロット陣から「空飛ぶ戦車」の異名がある。地上戦の現場に滞空し地上兵員の生命を近接航空支援で守る。
- 「ここまで撃たれても耐えられる機体は他にありませんね。頑丈さは有名です」と語るのはライアン・ヘイデン中佐(第二十三戦闘機集団副司令官、ムーディ空軍基地駐留)でScout Warriorが取材を許された。
- A-10パイロットの周囲にはチタン装甲板が何層もあり機体は小火器の銃弾に耐える設計で撃たれても攻撃任務を続けることが可能だ。
- 「A-10は敏捷性がなく、機敏に素早く動けませんが、計画的に堂々と威力ある攻撃をしっかりと加えます。作りも飛行も危なっかしいところはまったくありませんね」
- ウォートホグの愛称がつくA-10サンダーボルトIIは1970年代後半より供用され数々の戦役で近接航空支援を提供してきた。湾岸戦争、不朽の自由作戦、イラクの自由作戦、コソボ連合軍作戦その他だ。
- 戦闘任務で飛行させてヘイデン中佐はあらためてA-10が敵の地上砲火を受けても帰れるように設計されていると実感できたという。「あちこちで冗長性があります。油圧系が一つ故障しても別のものが起動します」
- 機内の電子装備が全部使えなくなっても、飛行を続け爆弾投下や30mm機関砲を発射できるとヘイデン中佐は説明する。
- 「コンピュータが全部ダウンして目標捕捉ポッドやヘッドアップディスプレイが使えなくなっても精度は落ちますが標的捕捉と攻撃は可能です。この想定で実際に訓練しています」
- 他機種が速度、操縦性、空対空ドッグファイトを目指す中で、A-10は30mm機関砲を軸に設計された機体だ。砲はGAU-8/Aガトリング砲である。
- 「30mm砲は弾倉7つが付いて機体中央に配置され、弾倉は機体中央線にぴったり合います。機体を地上目標に合わせればいいのです。地上攻撃用にうまく設計されている機体です」
- 機関砲には合計1,150発がつき、毎秒70発を発射できる。
- ヘイデン中佐は砲の向きは機体とまっすぐに調整されており、他機種のような上方への傾きはないと説明。また風防窓は広く、パイロットは広視野で目標を視認できる。
- エンジン二基は高い位置に取り付けてあり非整備地着陸も可能という。エンジンはジェネラルエレクトリックTF34-GE-100だ。
- 「砂漠の滑走路に着陸する機体を見たことがありますが、主脚は砂に一フィートは埋まっていましたね。それでもそこで離陸していましたよ」
- またエンジンの被弾にパイロットが気付かずに帰還した例がたくさんあるという。
- 機体の空力特性とエンジン技術でA-10は低速・低空飛行が可能なため陸上部隊や敵標的に接近できる。
- 「主翼はまっすぐで幅広になっています。エンジンはターボファンで燃料消費を考慮して選定されており、推力は理由ではありません。大変効率が良いエンジンで上空待機をしても燃料のことを心配しなくて済みます」
近接航空支援の実態
- A-10は高度100フィートで飛行できる。このためパイロットは敵標的を直接視認でき、搭載する爆弾、ロケット弾や30mm砲を味方部隊のすぐ横で発射できる。
- 「発砲は本当に近距離で、50メートルも離れていない時があります。地上部隊の隊員の手が動くのが見えるほどです。これだけ接近して低空飛行すれば敵味方を目で区別して射撃できます」
- 一方で遠方からの攻撃も可能だという。
- A-10は赤外線と電子光学センサーの「ライトニング」と「スナイパー」の二種類のポッドを搭載しパイロットの標的探しを助けてくれる。
- 「目標捕捉ポッドはF-15EやF-16と同じ種類ですが、戦闘機では二種類のポッドを使い分けできません。A-10ではソフトウェアでこれが可能です」
- A-10が搭載する兵装にはGPS誘導方式の共用直接攻撃弾JDAMの他、GBU38、GBU31、GBU54、Mk82、Mk84、AGM-65マーヴェリックミサイル、AIM-9サイドワインダー、ロケット弾、照明フレア、ジャマーポッド他防御装備がある。各種兵装を16,000ポンド搭載可能で主翼下に8発、胴体下に3発をつり下げるパイロンがあると空軍は説明している。
A-10のエイビオニクス
- 攻撃ミッションで飛ぶパイロットは僚機以外に地上部隊とも無線に加えLINK16データリンクで連絡できる。僚機とは文字メッセージを交換できるという。
- コックピットはCASS(共通エイビオニクスアーキテクチャシステム)仕様でデジタル式移動地図表示他各種ディスプレイで高度、上昇角、周辺地形や目標データなど関連情報を示してくれる。
- パイロットはハイテクヘルメットを装着して目標画像をヘルメットで見ることができる。「目標捕捉ポッドの画像を目の前に投影してみることができます。地上から射撃を受ければその方向を見るだけで目標に設定できるんです」
アナコンダ作戦
- 不朽の自由作戦開始後の数か月たち「アナコンダ作戦」と呼ぶ戦闘でヘイデンのA-10は急変する戦闘状況に巻き込まれた。米軍がアフガニスタン山地でタリバン戦闘員に攻撃を加えていた。2002年3月のことでヘイデン中佐はタリバン対空砲陣地を戦闘員もろとも発見し破壊した。
- 「谷間の片方から銃火の軌跡がもう一方に向かうのが見えました。どちらが味方なのか識別できませんでした。近接航空支援の標準方法に従い搭載センサーの助けを借りて戦術状況を理解してから攻撃を加えました」
A-10の将来
- 議会メンバー、専門家、退役軍人、現役パイロット含む軍関係者の多くが空軍のA-10対処方針の行方を追っている。予算を理由に空軍上層部は以前はA-10全機を今年中に退役させると発言していた。空軍の一部にはA-10退役後もF-16やこれから登場するF-35ステルス多用途戦闘機ならミッションの穴を埋めて近接航空支援を実施できるはずと主張していた。
- ただし、これに疑念の声が議会から続出し、ISIS相手にA-10が非の打ちどころのない実績を示してたため、空軍は供用期間を2020年代まで延長した。他機種で近接航空支援の実施は可能との主張に対しては地上部隊の防御と近接航空支援の実施で同機に匹敵する機体はないとA-10支持派は一貫して主張。
- 現時点で空軍はA-10の交代あるいは継続使用で三案を実行中で既存機体の改修・保管を検討し、どの機種が交代可能かを検討する、または近接航空支援機種を新たに調達することをめざす。
- 近接航空支援機を機体保管場に送り込めば五年間で42億ドルの予算節約になるというのが空軍の以前の説明だった。この金額にはライフサイクル管理関連、機体維持の予算目標値が含まれているが議会メンバーは案を却下している。
- 議会内にはA-10支持派が多数あり、空軍方針に公然と疑義を示していた。中でもケリー・アヨッテ上院議員(共、ニューハンプシャー)とジョン・マケイン上院議員が最右翼のA-10支持派だ。
- アヨッテ議員は事あるごとに空軍の同機退役方針に反対してきた。
- 「A-10で生命を救われた米軍隊員は数多く、アヨッテ議員は後継機種ないのに空軍がA-10を時期尚早に退役させることを憂慮しています。近接航空支援でギャップが生まれれば危険にさらされるのは兵士の命ですから」とアヨッテ議員のスタッフが説明している。マケイン議員は上院軍事委員会委員長として空軍がA-10の供用期間を延長したことを歓迎している。
- 「空軍がA-10を2017年度まで稼働延長する決定をしたことを好意的に受け止める。これでわが軍地上部隊は死活的な近接航空支援を世界各地で受けられる。現時点でA-10部隊はISILとの闘いで不可欠な役割についているほか、ロシアの野望を東ヨーロッパで食い止めるNATOを支援している」とマケイン議員は声明文を発表している。
- ISIS相手の攻撃ではA-10は極めて高い成果を示して、同機への需要は高く、これが決定の変更につながったともいわれる。
- 「世界各地の情勢が混とんとしている中で最高の近接航空支援機材を後継機の当てがないまま早まって引退させる余裕はない。オバマ政権が2017年度予算要求を数週間以内に提出するが、A-10の継続飛行で米軍部隊の防御に充て危険な状況に放り込まれた兵士が助けられるよう希望する」
- A-10は2020年代にも飛行するのは確実だが、後継機種を巡る議論が活発になるのは必至だろう。■
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