スキップしてメイン コンテンツに移動

★1945年8月が終戦でなかったら日本本土は化学兵器の攻撃を受けていた



なるほど、あの時点で日本が降伏していなければ国土が文字通り死ぬ事態になっていた可能性があるわけですか。戦後に同じ製品を日本の農家が除草剤として大量導入したのは皮肉な事実ですね。土壌汚染は中国が深刻といわれますが、日本も人のことは言えないでしょう。旧陸軍731部隊と言い、今回の化学兵器といい、科学の成果が形を変えて今日でも日常の中に生きている例ですが、科学技術の持つ暗い面に目をつむらずに正しく判断するためにも情報の普及と共有は政治力以上に必要と痛感させられます。

 Revealed: America Nearly Attacked Japan with Chemical Weapons in 1945


June 10, 2016


バラク・オバマ大統領が歴史に残る広島訪問を5月にして第二次世界大戦末期の日本を降伏させるため原子爆弾投下は必要だったのか議論に火がついている。ただし議論が触れていないのは米軍が原爆以外の恐ろしい兵器も投入する準備をしていたことで、化学兵器による飢餓作戦もその一つだ。
  1. 1944年4月のこと、米陸軍は農作物を全滅させるあるいは被害を与える特殊化学品の備蓄を開始した。その一年後に地上戦部門は日本本土で作戦実施の場合に投入可能な武器の準備に追われていた。
  2. 「化学戦成分の投入で日本本土の主要作物を枯死させる選択肢は第二次大戦の最終年に真剣に検討されていた」と1946年の国家防衛研究委員会(NDRC)報告書は述べている。
  3. 終戦時点で「化学薬品の散布方法の開発は高い優先順位事項で進行していた」
  4. 1945年8月に広島、長崎が原爆二発で壊滅したことで日本は戦闘継続を断念した。だが戦闘が続いていたら米軍は大規模化学攻撃で日本本土の農耕地を破壊する決断に動いていたかもしれない。
  5. 農作地を使用不可能にし食料備蓄を破壊する構想は人類史上に古くからある。第二次大戦終結までに米側にはこの構想を大規模に利用する準備ができていた。
  6. 1945年4月までに米陸軍はキャンプ・デートリックで1,000種類以上の化学薬品の試験をしていたが、ここはワシントンから80キロしか離れていないメリーランドの陸軍基地だ。これは1947年公表の陸軍生物戦の資料で明らかになっている。
  7. 陸軍はオハイオ州立大学に委託し効果の高い化学薬品200種類の合成をさせ、デートリックでもその他化学薬品を開発している。陸軍は各化成品にはコード「LN」の後に無作為の番号を付け識別した
  8. 「戦時研究から化学薬品で農作物を破壊する有効策は生まれていない」とNDRC報告書はまとめている。「ただし一部化合物は有望と見られる」
  9. 軍事的観点ではフェノキシ酢酸が一番効果があると見られる。この化学物質は植物生育を混乱させ枯死させる。
  10. 陸軍はフェノキシ酢酸を使い可能性が高い9種類の化学兵器を準備した。中でもLN-8が一番高い成績で、大量生産に移された。ダウ・ケミカルの特種製品事業部がLN-8をもとに製品三種類を作った。固形製品、アンモニアを混合した「塩」、濃縮液体だ。ペンタゴンはそれぞれ野菜殺し酸、野菜殺し塩、野菜殺し液と呼んだ。
  11. 陸軍は航空機からの除草剤散布方法を模索し1945年4月、B-25爆撃機編隊は550ガロンのタンクをそれぞれ爆弾倉に搭載し、インディアナ州とテキサス州でテストを実施している。各機は野菜殺し酸の霧を散布し、ディーゼル燃料その他石油製品を各種混合していた。
  12. 陸軍は結果から重い、つまり粘性が高い混合物の方が地表に着実に到達することを発見している。それ以外は空中で拡散してしまった。
  13. 「ただし効果的な散布には危険な低空飛行を敵地上空で行う必要があった」と陸軍生物兵器開発史は述べている。「長距離飛行が可能な大型機の投入が日本の米作地を攻撃する際に必要と判明した」
  14. そのころ米陸軍航空隊は日本の都市部工業地帯に焼夷弾攻撃を加えていた。散布試験の前月に一回の空襲で東京で10万名超が死亡し、280千棟以上が炎に包まれ百万名が住居を奪われている。
  15. ペンタゴンは農作物全滅攻撃を連続実施する考えで、同年6月に米陸軍のB-25がユタ州のテスト場でクラスター爆弾各種を投下している。
  16. 爆弾容器の中身はLN-8混合物125ポンドだったがテストでは故障が続き満足に散布できなかったため、陸軍は別の選択肢に動いた。
  17. 翌月に爆撃機はSPDマーク2爆弾を投下した。設計は簡素化され200ポンドの野菜殺し酸が入っていた。B-29なら数十発を搭載できただろう
  18. 設定高度で起爆剤が本体を開放し、化学物質が空中に放出された。英国の爆弾をお手本に陸軍はSPDに炭疽菌やリシン等の生物兵器を詰め込んだ。
  19. SPDは設計通りに作動したが、新たな問題が浮上した。高高度で投下すると除草剤の散布範囲が広がりすぎ効果が出ないのだ。
  20. 反対に爆弾の開放を地上近くで行うと十分に対象地に広がらない。そこで陸軍は苦労の末LN-8の効果を最大化する最適値を発見したとNRDC報告書は述べている。
  21. テスト結果から広葉作物に効果が一番大きいことが判明した。化学物質を集める効果があるためで、穀物作物のコメや麦には効果が薄いことが分かった。陸軍は穀物用に別の化学製品を準備する必要に迫られた。
  22. 各化学薬品が人体や自然界に毒性があるとは述べず、1925年のジュネーブ協定では化学生物兵器の使用を禁止していた。
  23. だが1947年時点の米陸軍はLN-8等の化学製品の危険性は認識しておらず、土壌にどのくらい残り、水源を汚染した場合の影響がはわかっていないようだった。
  24. 「大量使用する場合、2,4-Dは胃腸障害を発生させるが致死性はない」と陸軍地上戦闘部門はLN-8の中心成分について以下言及している。「2,4-Dは吸入しても毒性はなく皮膚からすぐには吸収されないようだ」
  25. 仮にB-29数百機が数千ポンドの野菜殺しを日本の農業地帯に散布した場合にこの所見で正しかったか確信がもてない。ただしこの所見をもとにダウはじめ各社が民間用除草剤として戦後に販売を始めている。
  26. 世界保健機関は1987年に正式に同化学製品をがん誘発物質と認定した。そらに二十年後に米環境保護庁は同成分が人体のがん発生に直接関連しているとは結論づけられないと発表した。
  27. ただしLN-14は異なる。数十年後に研究者は製造過程で一般にはダイオキシンとして知られる発がん物質が生成されることを発見している。
  28. 米空軍は陸軍とともに数千ガロンの化学物質を南ヴィエトナムで1960年代70年代に散布した。悪名高き除草剤エージェントオレンジにはLN-8や14と同じ成分が入っていた。
  29. 1985年になり環境保護庁もついにこの化学製品の米国内販売、使用を禁止した。しかしこの1月ダウ・ケミカルから 2,4-Dの最新版としてグリホセート(商品名ラウンドアップ)を混合した製品の米農業生産部門への販売予定が発表されたところだ。■


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ